なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
4.07
  • (83)
  • (89)
  • (46)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 805
感想 : 101
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (273ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569819419

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ローカルビジネスに興味があるのであれば、こういう本をちゃんと読まなきゃいけなかったよなと後悔。ただ、過去を悔やんでもしょうがないので、これからちゃんと勉強しよう。
    日本全体が人口減少している中で、これまでと同様に地方の産業政策が「工業団地造成&企業誘致」では立ち行かなくなるだろうというか、すでに立ち行かなくなっていると実感しており、じゃあどうするかというと「質の高い産業だ」とロボット産業などの誘致になっているのだが、果たしてそれでいいのだろうかと思っていた。そういう意味では、この本で語られている、ローカルビジネスは密度の経済性が働いており、グローバルトップを目指す必要はなく、生産性の向上を図るための企業集約を図るべし、というのは腑に落ちた。ただ、それを行政政策に結び付けるのはなかなか難しい。転廃業の促進はできるかもしれないが、金融機関のデッドガバンス強化や、再編促進型の倒産法の導入といった解決策は、国や民間と協力しながらでなければ進められない。が、そういう視点を持つことが重要なんだろう。

  • 「地方消滅」のおさらい的に。人材と同様、グローバルの標準的なルール(オリンピック)で戦う会社と、ローカル経済で戦う会社のルールはおのずと異なるので、きちんと峻別して運用しましょう、という本。納得です。

  • ローカルとグローバルの話が中心。労働生産人口、少子化、雇用問題、移民政策、サービス業の人出不足等、範囲が広くなってしまう内容。

  • GとLという経済の分け方は非常にしっくりときたし、これまでごちゃごちゃにして考えてきたが故に整理できなかったことが整理できるなと思った。また、世界の流れとしてはGのイメージが強いが、Lの経済における問題の大きさに気づかされる。

  • こういう方向には進んできてない。言ってることはすごく私の実感にあう。でも。たぶんこうはなかなかいかない。なんだろう。

  • 経済学的には、好景気だから人手不足、不景気だから人余り、なのに景気停滞の今人手不足…

    少子高齢化時代の今、従来と異なる経済環境を経験している。団塊の世代の大量退職から、あと20年間は続くであろう極端な少子高齢化とこの人手不足の問題にどう対処するか?まもなく日本と同じ少子高齢化問題を迎える他国のお手本となる対処法を構築できるか?日本の腕が試される。対処法の糸口として、大企業と中小企業ではなく、グローバル企業とローカル企業に分けて考えることを推奨した本。モノを生産するグローバル企業に見られるのは資本集約型であり、サービスを提供するローカル企業に見られるのは労働集約型であることを考えると、国の支援の仕方は後者を軸にしたほうが効果的だと思われる。国を支える労働力をサポートするには、ローカル企業が健全に経営できる環境を整えることが大切だと改めて思う。

  • 日本の現在の状況と、将来的な予想について述べている本。

    以下、気づき。
    ○ 「既得権」っていう言葉をあちこちで目にするけど、つまり、変わることを恐れて次のステージに行けない人が、今持っているものにしがみつくことを言っているのね。
    「変わらずにいる権利」っていうのもあるけど、生き物としては、環境の変化に対応できなきゃ死ぬだけだよね。
    自分の持っているもので、何が本当に譲れないもので、それを持ち続けたいならどんな戦略が必要なのか考えないで、誰かに守ってもらおうとするだけじゃダメじゃないかと。
    でも 、変わるためにはエネルギーが必要で、エネルギーを蓄えることができて、失敗してもホームレスにならなくていい社会が無いと、当然リスクの高いことには挑戦できないっていうことか…。

    ○「昔からある」っていう理由で使われる「昔からある」の理由を考えないで踏襲するのは、ただの思考停止なんだなぁ…。

    ○少子化時代には、企業と同じように大学も外国籍の学生にとっても魅力になっていく必要があるということなのか。
    その方向で成功した大学に入るということは、大学時代から外国籍の人との関わりが増えるということだ。
    北海道にいると感じないけど、外国籍の人は国内に徐々に増えている。そういうことも生徒に伝えないと。

    ○少子化による人手不足は、もしかしたらブラック企業の撲滅に繋がるのか?
    「お前が辞めても代わりはいくらでもいる」なんて言えない時代になるんじゃないのか?
    バス会社がすでにその道を歩んでいるよね。

    ○人手不足になるということは、今の中学生が大人になる頃は就職難なんて無くなってるんだ。むしろ、外国籍の人を雇うより日本人の方がいいと思うような企業は、囲い込みを始めてるということか。
    外国籍の人を雇った方がいいと思われるような業種には就職できなくなるっていうことは、たまに生徒に伝えていたけど、もしかしたら、日本政府はそこまで外国籍の人に魅力ある条件を提示できないかもしれない?
    つまり、私が予想していたような、外国籍の人に囲まれた生活じゃなくて、本当に人が減って過疎化するのかも…。

    札幌市の図書館で借りた本。

  • vol.289 成長戦略は本当に機能するのか?日本の未来の行く末が書かれた書。
    http://www.shirayu.com/letter/2015/000585.html

  • <目次>
    プロローグ 労働力消滅!? 今、かつてないパラダイムシフトが起こっている。
    第1章 グローバル(G)とローカル(L)という二つの世界
    第2章 グローバル経済圏で勝ち抜くために
    第3章 ローカル経済圏のリアル
    第4章 ローカル経済圏は穏やかな退出と集約化で寡占的安定へ
    第5章 集約の先にあるローカル経済圏のあるべき姿
    第6章 GとLの成長戦略で日本の経済・賃金・雇用は再生する
    エピローグ 双発なる会話
    参考文献

    2015.03.17 冨山氏の著書を検索してみた。キーワードは「地方創生」
    2015.07.05 読書開始
    2015.07.07 読了

  • アメリカ大統領選で、トランプ氏が勝利し、いろいろと考えているときに、著者の冨山和彦氏のコメントが非常に参考になったので、本を読んでみました。
    これもkindle版で読み上げさせています。

    結構経済系の話は好きで、経済学系の本を読んだもしたし、新聞は日経新聞で、The Economistを定期購読していたこともありました。

    しかし、今まで読んでいた本は全てGlobalな展開を目指す経済で、日本のGDPの7割を占めているLocalな経済のことなんて、まるで考えたことがありませんでした。
    なんて片手落ちだったんでしょう。

    イギリスのEU離脱、アメリカの大統領選など、自分の常識と異なる結果が出たことに驚いた人には目からウロコのお勧めの1冊です!

全101件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

冨山 和彦(トヤマ カズヒコ)
株式会社経営共創基盤(IGPI)グループ会長
1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。2020年10月より現職。日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役社長、パナソニック社外取締役、経済同友会政策審議委員会委員長。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、国土交通省インフラメンテナンス国民会議議長、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)、『コロナショック・サバイバル』『コーポレート・トランスフォーメーション』(いずれも文藝春秋)などがある。

「2022年 『両利きの経営(増補改訂版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

冨山和彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×