日本人の働き方の9割がヤバい件について

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569823584

作品紹介・あらすじ

カイシャは、もう守ってくれない。生き残りたければ、自分商店を開け! 海外の事例をもとに来るべき時代に備える働き方を提言。

感想・レビュー・書評

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  • 2021年12月17日読了。めいろま女史による、日本人の働き方への警鐘と、日本以外ですでに起こっている働き方・労働市場の変化に関する解説本。国連はじめ世界数カ国での勤務・生活実績のある氏であるが、単なる個人の経験・感想を語るのではなく、学術論文やレポート、統計などエビデンスを引きつつ解説されるので信憑性は高く感じる。「会社に所属する私」ではなく、技能やスキルを売り込める個人商店である私にならなければならない、日本の労働環境に我慢し続けるくらいなら自分のスキルを磨き投資しそのような環境にシフトすべき、はそのとおりと思う。ただ日本という国は根本的には変わらず、みんな一緒に貧しく沈み、他国に資産を買い漁られる三流国への道を突き進むのだろうなあ…自分はいいとして、子どもたちには日本を出て生活できる能力を身に着けてもらいたいものだ。

  • 日本と外国を行き来する生活を送っている著者が感じた日本の働き方の限界と、どうすればよいかを述べたのが今回の本。

     ベストセラー本の移り変わりを使って日本人の意識について述べている。今は、自己啓発本が流行している。その一方で、1990年のベストセラー本を見ると、落合信彦、長谷川慶太郎、堺屋太一と言った世界や未来に関する本を書いている著者に人気があった。そこから見えるのは、どうやったら自分のスキルが伸ばせるかと言うことに重点が置かれているのがわかる。

     仕事第一でプライベートは二の次、会社が人生のすべて身を粉にして働くのが美徳と思われている日本だが、その意識が変わってきている。著者が引用している世界価値観調査(World Values Surveys)と言う調査で、仕事よりも余暇が重要と思っている人の割合が高いと言う結果を紹介している。

     手軽に自己改革をうたっている自己啓発書やジャンボ宝くじに飛びつく人がいる理由もわかるなあ。仕事は美徳ではなく、可能ならやりたくないと潜在的に思っている人がたくさんいるのだろう。

     「カイシャ」というシステムの終焉と著者は述べているが、実際に会社に通わずに在宅で勤務している人もいる。また、外国にアウトソーシングして人を雇う形態も増えている。

     生き残りたければ「自分商店」を目指せ!では、良くある人気ランキングを参考にしてもその企業がこの先まであるかどうかという保証がない。「渡り鳥」になれとして、おいしいエサにありつける業種に移動することの必要性も説いている。そして「ロボットに取って代わられるような仕事ではなく、就きたい仕事ではなく、求められる仕事を選ぶべきとも説いている。投資と節税にも関心を示すべきとも述べている。やはりお金は大事だよということだな。

  • 最後に出てくる、ライフスタイルジョブという言葉。
    正規非正規という言葉の馬鹿馬鹿しさにそろそろ気づいて、この言葉に代えていこう。

    日本人の仕事観、ほんとヤバいね。

  • 臭いものに蓋をせず現実を見ていくにはいい本だと思う

  • これから社会人になる身としては、胸が痛くなった。自由に働きたいなら海外に行った方が早いよ!と言われている気分だった。

  • 図書館で借りた。結局は優秀な人しか生き残れないよってこと

  • 「不寛容社会」でもそうでしたが、著者は日本以外の事情に通じており、世界との対比で日本の労働事情をあぶりだそうとしています。タイトルに「働き方」とありますが、決してミクロな話し、すなわち日本の企業にはびこるサービス残業や根回し習慣といったことではなく、マクロ的=年功序列や終身雇用、就職ではなく就社(という言葉は著者は使っていませんが)といったあくまでも世界の国々と比較可能な点についての議論になっています。日本に生まれ日本で働く経験、また自らの人生の時間軸を基準にした「これが常識」という価値観が決して絶対的なものではなく、数ある考え方の一つなのであるということを実感させられます。

  • 著者の働き方に関する意見本であり、人によって賛成できるかどうかはわかれるだろうが、自分の考えを深める意味では読む意味はあるのではないだろうかと思う。ワークシフトや自己啓発本などいわゆる売れ筋の本を批判し、日本社会の働く仕組み自体がおかしいことを指摘しています。この機会にもう一度自分が何のために働くのかを考える機会にしてはみてはどうだろうか?

  • 高度成長期のモーレツ社員とか、バブル期の24時間戦えますかのように、日本では遅くまで仕事をすることが美徳なように語られてきた。
    そのモーレツ社員のお陰で日本は世界2位の経済大国になれたんだと、私も含め信じていた人も多いと思うが、モーレツ社員がいたからというのは要因の一つでしかなく、日本は戦前からの工業力があり熟練労働者がいたことや、非軍事化され軍事のことを考えなくてよかったので、重工業なども平和的分野に資源が回せたこと、そもそも後進国で発展の余地があったこと、為替レートが安定していたことなどもあるという。モーレツ社員だけでもだめだし、経済発展する基板だけがあってもだめで、2つがうまく絡み合った結果ではあると思うが、低成長の今の世の中モーレツ社員はむしろ弊害であるということが認識できた。

  • バブル崩壊から20年以上たち経済環境や世界情勢が大きく変化しているのにもかかわらず、日本人の働き方は高度成長期の頃とほとんど変わっていない。ネットを使えばどこでも仕事ができる時代なのに、いまだに会社まで通勤している。会社の仕組みも昔のままの年功序列、終身雇用。長年勤務しなければ高い報酬を得られない仕組みになっている。

    まるで仕事中毒者のような働き方をする日本人だが、世界価値観調査データから見ると、実は日本人は仕事が嫌いで余暇が好き。このため理想と現実とのギャップに苦しんで悩む人が多いのだろう。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。シラキュース大学Maxwell School of Citizenship and Public Affairs(国際関係論)修士課程、シラキュース大学School of Information Studies(情報管理学)修士課程修了。ITベンチャー、経営コンサルティングファーム、国連専門機関(FAO)の情報通信官などを経て、現在情報通信サービスのコンサルティング業務に従事。ロンドン在住。趣味はハードロック/ヘビーメタル鑑賞、漫画、料理。著書に『ノマドと社畜 ~ポスト3.11の働き方を真剣に考える』、『日本が世界一「貧しい」国である件について』(祥伝社)、『キャリアポルノは人生の無駄だ』(朝日新聞出版)、『日本の女性がグローバル社会で戦う方法』(大和書房)など。

「2015年 『添削!日本人英語 ――世界で通用する英文スタイルへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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