文系の壁 理系の対話で人間社会をとらえ直す (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569825335

作品紹介・あらすじ

本当の理系思考とは「前提を問う力」だ――。森博嗣(工学)、藤井直敬(脳科学)、鈴木健(複雑系)、須田桃子(新聞記者)と共に考える。

感想・レビュー・書評

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  • 「理系は言葉ではなく、論理で通じ合う」「他者の認識を実体験する技術で、人間の認知は進化する。」「細胞や脳のしくみから政治経済を考える」「STAP細胞研究は生物学ではない」……。解剖学者養老孟司が、言葉、現実、社会、科学研究において、多くの文系の意識外にあるような概念を、理系の知性と語り合う。

    『すべてがFになる』などの小説で知られる工学博士森博嗣、手軽にバーチャルリアリティが体験できるデバイス(段ボール製)を考案した脳科学者藤井直敬、話題作『なめらかな社会とその敵』の著者で、「スマートニュース」の運営者でもある鈴木健、『捏造の科学者 STAP細胞事件』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した毎日新聞記者・須田桃子。「前提」を揺さぶる思考を生む四つの議論。

  • 文科省が国立大学に対して人文社会科学や教員養成の学部・大学院の縮小や統廃合などを求める通知を出したというニュースを見ました。これは、文学部出のわたしにはかなり気になるニュースで、大学は職業訓練の場ではないよねという大前提をさておいても理系学部であればそれだけで「社会のニーズ」とやらに応えられるのか?が謎。さらに人文系に分類される社会学や心理学は文学部からみるとかなり理系(というか数学)の要素が強いように見えるし理系に分類される情報系の学部は文系っぽくない?と思ったり…じゃあ「文系」と「理系」ってどんな違いがあるのか知りたく読んでみました。
    まえがきを読んで、かなりすっきり。本文は第二章が非常に面白かった。

  • 養老孟司氏が、4人の理系知識人と行った対談内容が書かれている。
    文系理系を対立構造と見るのではなく、「言葉」や「社会」など、文系のフィールドで研究されている概念について、理系的に考え話し合っている。

    4人との対談で共通して感じられるのは、「前提」に対する疑義の持ち方だ。思考をスタートさせた時の「前提」について、より深く見ていく必要があるということが再三再四書かれていたと思う。

  • 森先生につられて買ったのですが、他の人の対談も普段自分からはすすんで読まない分野の話だったので興味深く読めました。面白かったのだけど、興味深い話をちょっとずつつまみ食い、という感じで、それぞれの対談の人が書いている本をちゃんと読みたくなりました。そういう、作戦か……! 読まず嫌いをしていた養老先生を好きになったのが一番の収穫かも。他の本も読みます。

  •  本当の「理系」とは、数学と哲学である。
     なるほどなぁ。「理系」は真理を追い求めるが、それ以外はとりあえずどうすればどうなるか、を取り扱う学問だから「文系」ということか。工学や医学も原理は置いといてどう改良するか、どう治療するかに重きを置くからね。自分は農学だけど文系脳だなと思っていたが、それは間違いではなかったか。

  • 養老孟司の壁シリーズ本。中堅科学者、ジャーナリストとの対談集。
    サブタイトルは、「理系との対話で人間社会を捉えなおす」。
    理系とは言っても、いろいろなタイプがいる。工学系の人の中には、文系的な人が多い。数学ができること=理系ではない。むしろフィールド系と実験系の分け方の方がしっくりくる。文系は、物事を言葉で切り取るからデジタル的であり、理系の人は論理で通じ合う、、等々、仮想現実、今後に社会の在り方、科学ジャーナリズムについて、いろいろ示唆に富んだ対談で勉強になることが多かったけれど、本の内容自体は、雑多な話題を取り上げる対談なのでまとまりは無い。
    読んでいて気が付いたのは、養老さんはタバコの話題になると、いつもムキになる。おそらく周りから禁煙を勧められているからだろう。彼にはどうしても受け入れられない「禁煙の壁」がありそうだ。

  • 文系を非難したりするわけではなく、ものの考え方、捉え方を、文系理系で分け、その思考についての対談本。
    んー...変なフィルターが出来てしまいそう。この人は、理系的だな、文系的だな...
    しっかし、どうしても文系には壁が立ちはだかるな。
    はぁ。ま、良い悪いではないんだが。

  • 404

  • 積読になっていた新書から。
    「バカの壁」もあったので、もう少し文系視線での壁のお話かと思っていたら、普通に理系の人が世の中を語っているだけという感じ。
    文系出身ながら、理系の人の多い職場環境で過ごしてきたからなのか、特に分けて語る必要もないよなと思ってみたり。
    改めてSTAP細胞事件のおさらいが出来たのはよかったかな。

  • 薬学部という一般的に理系と言われる学部を卒業したもののまったく理系脳ではなく、最近は理系なのか文系なのかよくわからない仕事をしている私には非常に興味深い対談だった。
    理系からみる社会学は、最近の技術の進歩もあり研究手法も大幅に変わっていくのではという期待が感じられる。要はフィールド科学 or 実験科学という括りでみていて、あまり文系、理系にこだわることも今後なくなっていくのだろう。

    気になったフレーズ→

    •細胞は40億年以上前から分裂し続けている

    •Individualの語源はin dividual つまりはこれ以上分割出来ない単位。しかしながら人間は本来分割可能 ニューロン上の死票を生まない

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著者プロフィール

養老 孟司(ようろう・たけし):1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学名誉教授。医学博士(解剖学)。『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。『バカの壁』(新潮社)で毎日出版文化賞特別賞受賞。同書は450万部を超えるベストセラー。対談、共著、講演録を含め、著書は200冊近い。近著に『養老先生、病院へ行く』『養老先生、再び病院へ行く』(中川恵一共著、エクスナレッジ)『〈自分〉を知りたい君たちへ 読書の壁』(毎日新聞出版)、『ものがわかるということ』(祥伝社)など。

「2023年 『ヒトの幸福とはなにか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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