文系の壁 理系の対話で人間社会をとらえ直す (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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本棚登録 : 497
レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569825335

感想・レビュー・書評

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  • 2016/02/02

  • 非常に面白かった。
    養老氏が若手理系識者4人と対談している本。

    「理系と文系」と対比させて対談しているのはしょっぱなの森博嗣氏の対談。
    あ~なるほどな~と思ったのは文系の方が理屈っぽい、それは言葉で割り切るからだという表現。氏が意図している所を完全に理解しているかどうかわからないが、理系の人が数字に拘るのはざっくり映像的にイメージしたいからイメージを共有させないと成り立たないというのが理系同士の会話。
    続く藤井直敬氏はVRをやっている人。養老氏は多重構造で成り立っているこの世界を認知するためにはVR,SRというのは間違いなく人を進化させると語る。
    次の鈴木健氏は複雑系の科学の専門家でありながらプログラマーさらにはニュースアプリ「スマートニュース」まで立ち上げるという偉人。彼の著書である「なめらかな社会とその敵」の内容を中心に対談は進んでいく。印象深いのは次の須田桃子氏の対談の時と同様、養老先生の科学の難しさ、限界について語っておられる。

    「サイエンスのルールは笑うべきもの。例えば再現性の担保。それを生き物に当てはめるのは難しい」
    「人間とは「同じ」と思う能力を開発した。また「交換」するという事を覚えた」
    「あるものはしょうがないという認識が大事」
    「「全ての細胞は細胞から生じる」という19世紀のルドルフ・ルイドリッヒ・カール・ウィルヒョーの言葉を忘れ過ぎ。ドーキンス理論なんて最たるもの」

    次は氏の「唯脳論」を読んでみたいと思う。

  • なんかもっと面白くなりそうなのにな〜。
    個人的には名大、理研、長野、毎日と
    自分に関わりのあるワードばかりで
    なんだかいらぬ親近感を抱いてた( ´ ▽ ` )

  • 森博嗣さんの本で、この対談集を知って購入しました。
    普段殆ど考えずにルーチンワークをこなす身としては、非常に劣等感を刺激される内容でした。
    ただ、専門家がその道を頑張っていることがわかりました。
    理系側の風景がわかって、良かったです。

  • レビュー省略

  • 文系がどうのこうのというのは分からないけれど別視点からのモノの見方が分かる!

  • 「理系は言葉ではなく、論理で通じ合う」「他者の認識を実体験する技術で、人間の認知は進化する。」「細胞や脳のしくみから政治経済を考える」「STAP細胞研究は生物学ではない」……。解剖学者養老孟司が、言葉、現実、社会、科学研究において、多くの文系の意識外にあるような概念を、理系の知性と語り合う。

    『すべてがFになる』などの小説で知られる工学博士森博嗣、手軽にバーチャルリアリティが体験できるデバイス(段ボール製)を考案した脳科学者藤井直敬、話題作『なめらかな社会とその敵』の著者で、「スマートニュース」の運営者でもある鈴木健、『捏造の科学者 STAP細胞事件』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した毎日新聞記者・須田桃子。「前提」を揺さぶる思考を生む四つの議論。

  • 対談形式でテーマが進む。理系と文系の違いに驚きを隠せずにいる。こんなにもものの捉え方が違うのかと唖然とした。だがしかし、内容が難しいため理解するのにかなりの時間を要する。馬鹿なので、賢い人々の言ってる内容を理解するのは難しいと改めて、実感をした。

  • 久々に養老先生の著作を読んだ、ここ最近よく読む森博嗣先生との対談を見つけて興味が湧いた。それをきっかけに藤井直敬、鈴木健、須田桃子という3人の新しい人を知ることが出来た。中でも鈴木健さんはスマートニュースの人なのに哲学や地域通貨のことなどの幅の広い研究対象に惹きつけられた。著作もいつか読んでみたい。こういうことをきっかけに新たな知見を得られることは対談を読む醍醐味でもある。日本人にとってノーベル賞がすごい影響があるというのはとても納得いく話だなあ。言われてみればそうだ。「理系・文系」のタテ割りと「〜の壁」と書くと売れやすいのと通底してる理屈があると思う。あと日本人は性善説を信じている。というのはそうなのかと思った。読み終わったあとにもっと他の本も読もうと思える良い本だ。

  •  サブタイトルは「理系の対話で人間社会をとらえ直す」とあり、養老孟司が4人の理系の研究者や理系出身の記者らと社会や人間や脳の問題についての対談。ちなみに帯には「文系が意識しづらい領域を、四人の理系の知性と語り合う」とある。
     おれが文系なので、こういうタイトルとか帯の文句を読むとほんと文系でスミマセンという、文理のミゾを感じずには入られないが、別にそんな卑屈にならなくても、文系のおれでも読めば面白いし、もっと養老孟司の本を読みたくなった。(というか養老孟司って大学受験で読んだくらい。)だからこんな意地の悪いタイトルにしなくてもいいのに、と思ってみたり。
     それにしても単純に理系のことについておれがあまり分かってないので、勉強になる。「ほとんどの医者は自分のことを自然科学者だと思っているでしょう。今や、医学部にも数学ができないと入れなくなってしまいましたが、医学において必要になる数学は、せいぜい統計学くらいです。統計学にしても、もはや数学とはいえないかもしれない。データの取り方で結果はまったく違ってくるわけで、見ようによっては統計学は嘘ばかりと言ってもいいくらいです。厳密に統計学に取り組もうとすると、今度はプロの数学者でないと手に負えない。本当の統計学は、非常に難しい分野です。」(p.25)なんて厳しい話。そう考えると教育学と医学なんて変わらないんじゃないか、と思ってみたり。あとその話の続き、「健康管理をしないほうが長生きする」という話があって、「要するに、ストレスが多いから長生きするはずがない」(p.26)なんて、当たり前だけど、改めて言われると、なんかおれの生き方すら考えてしまった。あと、p.74で麻酔薬を打って意識がなくなる理由はまだ分かっていない、というのは驚いた。そんなことも分かってないのか、という感じ。ちなみにその後「だから僕は、『科学的に証明された』なんて言うやつは一切信用しない。前提を考えたことがないって言ってるのと同じですからね。」(p.74)というのも、別の厳しい話だった。「前提を問う」のは「哲学なんか典型的」とあるけど、哲学的な訓練を受けていないと前提を問う学問、というのは本当に頭の良い人じゃないと出来ない気がする。だから養老先生に言わせれば、どれもこれもそもそも学問じゃないということなのだろうか。さらにその後、「サイエンス」という枠組みで「ルール」になっている「再現可能性の担保」について、「生物をやっている人が信用するのは、『ある範囲』ですよね。『こうなりました』と言われたときに、『八割はそうですね』というふうに見てるんです。そうは言わないですけど。でも、ほかの物理、特に工学系の人は、ほぼ100%再現性があると思っているでしょう?」(p.76)というところに、理系で一くくりにできない決定的な差異があると思う。この話は、後でも話題になっていて、「僕は、理系の科目の分け方がまずいと思ってるんです。生物学じゃなくて、フィールドサイエンスにすべきですね。フィールド系と実験室系は、非常に違いますから。」(p.184)という部分。確かにこういう違い、という話だったら「文系が記しづらい領域」と言えるかもしれない。あと、「手軽なVR」を開発している藤井さんによれば、「人間もそろそろ進化しないと。これは形態とかじゃなく、認知的進化で、複数の現実があるということを当たり前に受け止める大人になるということです。『そっちから見るとそうなるのか(僕は嫌だけど)』という新たな認知ですね。だから、相手を本当に否定することができなくなるんです。『俺は嫌だ』とはいえるけど、『お前は間違ってる』とは言えない。」(p.85)というのは、たぶんこの2人が話している文脈とは違う文脈で(デバイスを利用して人間の認知面を拡張させる可能性という意味じゃなくて単なる大人への成長という教育の意味で)納得。同じ意味で「人の認識はどうすれば変わるか」も、教育に示唆を与える内容だと思う。次に、また生物系、工学系
    の話に戻って、iPS細胞なんて生物学以外の何物でもないと思っていたけど、「学問全体がそういう方向に動いていくと、たぶんどこかで行き詰まるでしょう。生命とは何なのかについて考えずに、ただ目の前にあるものをいじっているだけだから。」(p.127)とか、「細胞を完全にコンピュータ扱いしていますよね。でも、まったく違うんですよ。生き物って実は、一度も切れていない。」(p.176)とか、こういうのを複雑系科学というのだろうか。クローン羊のドリーも「あの手の実験は、『できれば勝ち』なんです。(略)でも、追試をやるとできない。歩留まりが悪いから。」(p.173)だそうで、「歩留まり」なんか問題になるんだ、という発見があった。ということで、どれだけの確率で「うまくいく」か(こういうのを記者の須田さんによると「手が切れる」と言うらしいが)、そして「ものを飼わせると、男はだめなんですよ。女性の方がやっぱり上手。」(p.175)とか、もはやこういうのが「サイエンス」の世界なのか、と思ってしまう。おれの思っている「サイエンス」と違う…。あと「社会契約論」について、複雑系科学が専門の鈴木さんかは「だけど、社会契約論なんて嘘に決まっているじゃないですか。契約したことのある人なんていないでしょう?また、ルソーはすべての人間は生まれながらに天から権利を与えられていると言いましたが、そんなわけはありません。(略)でも、そういうものがないと国家を維持できないから、みんなで嘘を信じたということにしたんです。考え方自体は嘘なんだけど、大勢の人が思考停止して信じることで、本当の社会制度ができあがっていく。」(p.129)なんて、倫理を勉強する時にこれくらいの口調で教えてもらいたかったなあ、と思って面白かった。
     ということで、別に文系だからと言って卑屈になる必要はない、色んな思考を知るのが面白いと思える1冊。(19/05/06)

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著者プロフィール

解剖学者

「2019年 『世間とズレながら、生きていく。(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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