昨日の海は

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569825908

作品紹介・あらすじ

カメラマンだった祖父とそのモデルだった祖母。二人の死に秘密があることを聞かされた光介は……。海辺の町を舞台とした青春ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 静かな青春ミステリー作品ですね♪
    四国の鄙びた海辺の町で、進学校の高1になった光介は母の両親だった祖父母の旧家に両親と3人暮らしだったが、夏休み中に不意に母の姉という女性が8歳の娘連れで東京からやって来て同居することとなる。
    四十代の若さで亡くなった祖父母が実は心中だったという噂も小さな町なので耳にするが実感が湧かない光介だったのに、ひょんなことから祖父母や伯母や母の知らなかった事実を掘り起こして行くことになる。
    終盤の二転三転の展開もなかなか良くて一気読みでした。
    知らなかった家族の真実を探ることが光介の成長する糧にもなっていくさまが良いです。この著者の他の作品も読みたくなりました♫

  • 近藤史恵さんも好きな作家さんの一人。
    この本は27冊目。

    四国の南側にある磯ノ森が舞台。
    進学校1年生の大江光介は旅館で働く父、専業主婦である母の夢と三人暮らし。
    古い自宅の表はシャッターが下りたまま。
    祖父が写真展を営んでいたらしいこと、祖父母が海で心中したことは母から聞いていたが、それ以上のことは知らない。
    ある日、母・夢の姉である芹とその娘双葉が東京から引っ越してくる。
    祖父母の心中事件の真相を探ろうとする芹。
    光介も祖父母のことを調べ出す。
    そこで明らかになったこととは…

  • 四国の海辺の町で暮らす、普通の男子高校生・光介。
    突然帰郷した伯母とその娘と暮すことになり、
    心中したと聞かされていた祖父母の死の謎が明らかになっていく…。

    「切なくてさわやかな青春ミステリー」
    帯に惹かれて読みましたが、う~ん、”さわやか”ではないかな…。
    芸術家が求めつづけた一つの世界として理解したいのですが、
    生理的に受け付けない部分が残ってモヤモヤ。

    たしかに光介は成長できたのかもしれません。
    でも、すべてを明らかにすることが必ずしもいいとは限らない気がします。
    自分の母親やその姉、祖母の女性の部分まで知らなくてもよかったのでは…。

    数限りない人生を見続けながら、
    何もかわらずそこにある”海”が印象的でした。

  • 四国の海辺の小さな町で暮らす高校生光介。母の妹の伯母さん芹、その娘双葉が一緒に暮らす事になる。
    芹は、心中で亡くなったという祖父母の真実を知ろうとして、光介もいつのまにか、巻き込まれてしまう。

  • ホームドラマ系?って思ってたけど、そんなはずはなかった。近藤史恵さんだもの、ミステリーに決まってる。
    芸術のセンスがない自分には、芸術家はよく分からない。よく分からない物はちょっと怖い。それなりに理解は出来る結末だけどモヤモヤする。

  • 四国の磯ノ森の海辺の小さな町で起きた、祖父母の心中事件の真相を、孫である高校生の光介が成長しながら突き止めていく。

    芸術家ならではの、プライベートや常識を越えるといった、境界線の危うさ。
    高郷カメラで起きた、各々の家族の考え方の違い。
    大人にならざるを得なかった子どもたち。
    時に真実を明かさない優しさ。
    悲劇は、一体どこで起きてしまったのだろう。

    文章から、写真の美しさや力強さも伝わってきたし、光介が初めて一眼レフカメラを手にする描写とか、芹が時間が止まった写真店を復活させようとしている描写とか、それぞれの家族の思いが交差するところか、とても良かった。

  • 四国で平凡な日々を送る主人公が、東京に住んでいた叔母が引っ越してきたことで、祖父と祖母の心中事件を知ることになる。二人の心中の謎を紐解いていく青春小説。読み終わった後には主人公の成長も感じられるし、心中を扱っている割にはそんなに重くもなく、気軽に読める1冊。

  • 田舎の平凡な生活からの脱出を思い描いていた高校生の気持ちが分かるなぁと。でもそんな日常でも思いもよらないところから視界が開けることもあるよなぁと思えた素敵な1冊でした(*^^*)

  • 田舎町の平凡な高校生だった主人公の家に、存在も知らなかった伯母が従妹を連れて戻ってくる。25年前に亡くなった祖父母は、海の事故ではなく無理心中だったと聞かされ、その原因を調べようとする。自分が芸術家の孫だったと知ったり、クラスメイトの女子がひたむきに絵を描く姿に惹かれたり、何もかも明らかにするだけが正しいやり方ではないと悟ったり、大人へと変化していく過程が丁寧に描かれていてよかった。が、祖父母に関する真相については、果たして死ぬほどの事なのかと疑問に思った。

  • 長く会っていなかった伯母(母の姉)とその娘が突然やってきて同居することになった。
    長く会っていなかったというところで、何か事情があることが感じられる。祖父母のことも徐々に明らかにされてきて。
    高校生の夏にこんな環境の変化があったら、自分でも追求しちゃうよね〜。気になってしかたがないもん。
    飛行機で東京へ話を聞きに行くなんてところは、冒険だっただろうな。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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