アメリカの戦争責任 戦後最大のタブーに挑む (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569826646

作品紹介・あらすじ

戦後70年を迎えるなかで、絶対に語られなかった「戦争責任」がある。気鋭の作家が最大のタブーに挑み、新しい日本の展望を切り拓く。

感想・レビュー・書評

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  • 原爆が先の大戦を終わらせたのか、ソ連の参戦が決定打になったのか。本著は原爆が本当に必要だったかという点を中心にアメリカの戦争責任を解き明かそうとする。
    戦争行為としての原爆投下の善悪を定義づけるのは難しい。道徳観や国際法上は否と断じるべきだが、これが成されぬのは外交上の解釈、所謂国家間の政治協定による要素が大きく、ある意味では国家の意義を問うような本質的イデオロギーに繋がるからだ。その意味では、本著はこの倫理的、国際法上、原爆投下を正しく理解すべきとの視座から、その証拠を基に検証したものであり、それ以上ではない。歴史認識は、外交と内政の影響を受けずには成立せず、国家間を跨ぐ国際法の解釈など、これら影響の下では安定した機能など果たせないのだろう。

  • この本だけはタイトルも内容も少々過激だったので躊躇っていましたが、年末の大掃除を契機に、正月休みを利用して書くことにしました。サブタイトルにある通り、これは最後最大のタブーです。

    でもこのようなテーマが本にして出せるような時代になりました。少なくとも私が現代史を習った学生時代には、知ることもできなかった内容がこの本を通して知ることができて私は幸せだと思います。

    この本の著者は、明治天皇の玄孫でもある竹田氏で、今までにも何冊か本を読ませてもらっています。皇族だから優遇されているのではなく、綿密な取材や研究のベースに執筆されている感じを受けました。

    但し、この本の内容は、アメリカの戦争責任についても記述していますが、日本を運命づけた海戦は何だったかか(有名なミッドウェーでなく、本当に制空権制海権を失った海戦な何だったか)、ポツダム宣言のカラクリについて解説されています。なぜ、ソ連が署名されていないのか、この本を読むことでそれが理解できました。

    以下は気になったポイントです。

    ・石原莞爾は戦争にずば抜けて長けていた、関東軍たった一万程度の兵で、近代装備を持つ22万の張学良軍を、僅か三か月という短期間のうちに制圧、日本の約3.5倍の広さがある満州全土を占領した(p14)

    ・もしミッドウェー海戦に敗北して米軍による反攻が始まった昭和17年の時点で、戦線を一気に縮小し、マリアナ諸島に強靭な要塞を築いていたら、アメリカの補給線が伸びきっただろう(p20)

    ・最初に処分を受けたのは「朝日新聞」、昭和20年9月15日付で、原子爆弾の投下を批判する記事を掲載し、17日付で日本軍を擁護する内容の記事を掲載したことに対して、9月18日に2日間の業務停止命令を下した(p25)

    ・昭和13年から始まった日本軍の重慶爆撃を、アメリカは国際法違反としたが、終戦後はそれを非難しなくなり、重慶爆撃の指揮官を東京裁判の戦争犯罪リストから外した(p67)

    ・1945年2月に米英軍によって行われた、ドイツ・ドレスデン空爆の民間人の犠牲者15万人を意識している(p76)

    ・昭和19年6月19-20日かけてのマリアナ沖海戦で、大型空母三隻、投入した航空機498中378隻を失い、西太平洋の制空権と制海権を失った、7月にはサイパン島に続き、グアム、テニアン島が陥落して絶対国防圏は突破された(p90)

    ・10月23-25日にかけての、レイテ沖海戦で、残存する海上戦力の全力を挙げて攻撃したが、空母4隻、戦艦3隻、重巡6隻を失って、米軍に対する能力を完全に失った(p92)

    ・硫黄島を手に入れたこと(昭和20年2-3月)で、護衛戦闘機の直援をうけたB29による、昼間の中高度以下の爆撃が可能となった(p93)

    ・硫黄島では、約2万2000人からなる日本の守備隊は全滅したが、米軍は島嶼戦で初めて敵よりも多くの死傷者を出した。投稿した兵隊も皆無に近かった(p101)

    ・日本に原子爆弾を使用することは、昭和19年9月に、使用方法は20年6月に決定していた(p117)

    ・日本との戦争を終わらせる4つの選択肢は、A案:原爆使用、B案:ソ連参戦、C案:降伏条件緩和の声明、D案:本土進攻作戦、アメリカの国家指導者たちのほとんど統一した見解は、C案であり大統領に勧告していた(p121)

    ・7月25日に伝達された文面には、有視界攻撃な天候になり次第、広島・小倉・新潟・長崎のいずれかを目標として、最初の特殊爆弾を投下せよとした(p142)

    ・ポツダム宣言は、日本を「降伏させる」ための勧告ではなく、日本を「降伏させない」勧告であった(p162)

    ・ポツダム宣言は、イギリス・アメリカ・中華民国の三か国宣言として発表された、ソ連が署名国になれなかったので、スターリンの予定が大きく狂った。日本とソ連は中立条約を締結し有効であった。ポツダム宣言にソ連が加わり、これを拒絶した場合には、条約は実質的に無効化される(p164)

    ・ポツダム宣言に対して、宥和派は、首相・外務省・陸軍省、主戦派は、陸軍省・参謀本部軍令部、であった(p179)

    ・もしポツダム宣言に、スターリンの署名があったら、日本はアメリカと直接交渉する以外に取り得る道は無かった。ポツダム宣言にソ連が加わっていたら、ソ連を通じての和平交渉があり得ないことが悟れた(p181)

    ・昭和天皇がポツダム宣言受託による終戦をご決意されたのは、広島長崎への原爆投下ではなく、ソ連参戦であったことは明白(p207)

    ・8月14日にポツダム宣言受諾を決定すると、15日未明、本土決戦を望む陸軍の青年将校たちが決起した。近衛第一師団長を殺害して、偽の師団長命令書を発して、皇居を軍事占領した。ソ連参戦後でさえこのようなクーデター未遂事件があった(p219)

    ・ハーグ陸軍規則(1899年)によれば、防守都市と、無防守都市を区別し、占領に対して抵抗する都市(防守都市)については、無差別攻撃が許されるが、そうでない都市については、軍事目標のみが許され、市街地への攻撃は違法である(p247)

    ・真珠湾では戦闘員が攻撃対象であったが、アメリアの原爆投下では非戦闘員が対象(p249)

    ・原爆投下の理由として、1)ソ連に対して優位な立場にたつ、2)マンハッタン計画費用(現在の価値で230億ドル)の正当化、3)ルーズベルト政権で作られた空気、4)人道精神欠如、5)人種差別意識、がある。結論としては、1)であろう(p262)

    2016年1月3日作成

  • 中立の立場を維持しようとしながら、
    アメリカの戦争責任について非常に論理的にわかりやすく書いてあった。

    日本の戦争責任についても詳しく勉強したい。

    私自身、フラットな視点で見れる人間でありたい。

  • ルーズベルトに戦争に引き込まれて、トルーマンとバーンズに原爆を落とされた…大東亜戦争における国内国外の諸事情を知れば知る程、これまで教わってきたことや見聞きしてきたことが嘘ばっかりで馬鹿らしくなる。歴史を正しくみて、何故回避できなかったのか?何処に問題があったのか?誰がどう行動したのか?そういったことを知るってことが安心な未来を作っていくのに本当に大事なんだと思います。

  • 明治天皇のやしゃごの【竹田恒泰】が、原爆投下の戦争責任をテーマにした新書版である。アメリカが日本との戦争を終わらせるための4つのキ-ワ-ド( A.原爆使用 B.ソ連参戦 C.降伏条件緩和の声明 D.日本本土侵攻作戦)があった。トル-マン大統領はAとBを優先させた。国体の護持(天皇の地位の保障)を絶対降伏条件として譲らない日本は、最後まで徹底抗戦の構えであったこと、スタ-リンに出し抜かれる結果となったソ連侵攻によって、アメリカの戦後処理に大誤算を生じさせたことなど、執政責任の重大さは計り知れない。

  • あまり期待してなかったが、内容はしっかりしていた。アメリカの、というより、トルーマン大統領とバーンズ国務長官のしでかした原爆投下に関しては弁解しようがないだろう。アメリカ兵士100万人の命を守るために2個の原爆を落とすしかなかったという理由は後付けであったようだ。日本がポツダム宣言を受託したのはソ連の参戦が大きな理由だった。トルーマン大統領はなんとしても2個の原爆を市街地に落とし、威力を確認する必要があった。30万人の民間人死者、さらには各地の空襲により、100万の民間人が命を落としている。アメリカは一貫して謝罪はしないし、今後もしないだろうが、事実は知っておくべきだろう。

  • レビュー省略

  • 誰もが一度は疑問に思ったテーマだと思うし、論証なくても心裏にそう思ってることを、資料をもとに論証してくれたストレス解放の清涼感がある。同論を繰り返す癖があるのは相変わらずだが、竹田ならではの、御皇室周辺の資料の提示は、他の追随を許さない「なるほど」と言わされる感。そして、少し短絡的でありながら解りやすい結論。読みごたえある一冊。

  • 原爆投下の目的が戦争終結を早めるためだった、という言説はどこまで正しいのか?

    よく語られてる内容なのかなと思って読んでみたが
    なかなか詳しく書かれてるので読んで良かった。

  • 日本を追い込んだのはアメリカで、解体したのもアメリカだ。
    原爆辺りは当然そうだと考えてはいたが、ソ連参戦やポツダムの変は考えたことなかった。
    ソ連の強かさってのは相変わらずだと感じたが、本当、アメリカという国とその思想は稚拙だ。

    ただ、あの国の良いところとして、きっとあと何十年、本当に歴史として考えることができる時期に、それなり評価は変わっていくのだろう。

    某覇権国家が世界を蹂躙していなければ。

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著者プロフィール

昭和50 年(1975)、旧皇族・竹田家に生まれる。明治天皇の玄孫に当たる。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。専門は憲法学・史学。作家。
平成18 年(2006)に著書『語られなかった皇族たちの真実』(小学館)で第15 回山本七平賞を受賞。
著書はほかに『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』『日本人はなぜ日本のことを知らないのか』『日本人はいつ日本が好きになったのか』『日本人が一生使える勉強法』『アメリカの戦争責任』『天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか』『日本の民主主義はなぜ世界一長く続いているのか』(以上、PHP新書)、『現代語古事記』(学研プラス)など多数ある。

「2020年 『天皇の国史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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