ハーバードでいちばん人気の国・日本 なぜ世界最高の知性はこの国に魅了されるのか (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
3.55
  • (22)
  • (80)
  • (62)
  • (12)
  • (6)
本棚登録 : 700
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569827278

作品紹介・あらすじ

世界最高学府はいま日本のことをどうみているのか。ハーバード教授陣へのインタビューを通してみえてくる日本の強みとこれからの戦略。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本や日本人の良さを外国から教わる、といった本。

    アメリカのハーバード大学は、国の大統領や会社のCEO、役員などに将来なる人達がリーダーシップを学ぶために集まる。
    その授業は、日本のような講義形式ではなく議論形式である。授業で扱われる教材を「ケース」と呼び、卒業までの2年間で500本のケースを学ぶ。そのうち日本のケースは6本だそうだ(2014年現在)。

    トヨタ、ホンダ(アメリカでスーパーカブ販売)、SONY、福島第二原発でのリーダーシップ、新幹線清掃のテッセイなどのケースが挙げられており、どれも興味深い。

    日本人の強みは日本人であること。学力の高さ、勤勉さ、利益も大切だが公益も求めること、清潔性、仕事にやりがいを持つこと等々。

    一方、弱味は変化に消極的なこと。海外から何かを学んで取り入れようとする考え(グローバル化)が進まないこと。これは日本が快適過ぎるから。日本が快適なのは、戦後の日本人の努力があったからで、今の若者は頭はいいのに勤労意欲が低い。わざわざ不快な国へ行って学ぼうとは思わない。このジレンマは簡単に解決できるものではない。

  • ケースについてはもっと深掘りして、議論をして学んでみたいなと思った。
    なぜ日本なのか、それについては最後の章を読めばいいかな。
    2016年に発刊された本だが、2019年の今日本はハーバードでどう取り上げられているんだろうか?先は見えないけど、ケースとしてはまだ使えそう、みたいな感じなんだろうか?

  • 留学経験のある著者が、ハーバードの教授陣に取材し、日本の企業等に関する講義について書かれたもの。教材として数は少ないものの、教授陣にも学生にも人気の授業が多く、なぜ日本に関する講義が人気があるのかを説明している。とても参考になった。
    「日本は「平和で安定した国家を作る」という偉業に成功した国なのです」p37
    「日本が経済成長を遂げたのは、清廉で謙虚なリーダーがいて、彼らが正しい価値観で、社員を正しく導いたからだと思います」p44
    「リーダーシップの授業で教えていることと、日本の武士道とは驚くほど共通点が多い。たしかにどの国よりも歴史の古い日本は、自国にとって最もよいものを残してきたのだから、欧米よりも先進的であるのも、当然といえば当然かもしれない」p47
    「(トヨタ方式を採用したインド靴工場の失敗)「トヨタがハーバードの教員である私に、つつみ隠さず生産過程を見せてくれたことに、私は驚きを隠せませんでした。しかもビデオで撮影してもいいと言うのです。「私がこの工場を見学したいのは、ハーバードの教材を書くためであることをご存知ですか。トヨタの生産方式の秘密の全てを書いてしまいますよ。そうなれば他のメーカーも真似しますよ」すると彼はこう言いました。「外側を真似できても、マインドはなかなか真似できません。トヨタの社員と同じマインドを持たなければ、同じような結果は出せないのです。」作業服、体操、作業用の音楽、アンドンコードなどの表面的なことを模倣するだけではダメだったのです」p70
    「たとえば私がトヨタの組立ラインで働く従業員で、私の仕事は右側の前輪を設置することだったとしましょう。トヨタのマネージャーは「前輪をつけるだけがあなたの仕事ではありません。どうしたらもっと迅速にミスなく前輪をつけられるか考えるのもあなたの仕事です」と言って、従業員の仕事に意味を与えるのです。単純作業ではなく、会社に役立つための改善案を考えるのが自分の仕事だとわかれば、誰でもやる気になりますよね」p74
    「(採用されたマネージャーがいかにうまくいっているかのプレゼン)「ジムさん。私たちはあなたが素晴らしいマネージャーであることをすでに存じ上げています。そうでなければ、採用しませんでしたから。だからここでは、あなたが抱えている問題を教えていただけませんか。そうすればここにいる皆で力を合わせて解決することができます」ワイズマン氏は、その一言に雷に打たれたような衝撃を受けた。なぜなら彼がこれまで働いてきたアメリカの社会では、失敗を会議で報告することなど、とんでもないことだったからである」p77
    「(MBA学生の思考)30歳までに何かを成し遂げて金持ちになっていないと、人生終わりだ」p103
    「「変化はチャンスだ」「変化を自ら起こすリーダーたれ」」p108
    「(日本人の高い識字率)1870年頃には、各年齢層の男子の40〜45%、女子の15%が日本語の読み書き算数を一応こなし、自国の歴史、地理を多少わきまえていた」p112
    「強い影響力を持ちながらも、日本の官僚が腐敗しなかったのはなぜか。ラインハート教授は、資本を配分する側=官僚の倫理観が高かったからだ、という。私益よりも公益を優先するのは、日本人の官僚にとっては当然のことであった」p129
    「デフレよりもインフレが怖いのは、アメリカも同じ」p133
    「日本企業から「社員を人間として大切にする企業文化」を学ぶべき」p226
    「(日本人の内向き思考)それは、日本が非常に快適な社会だからです。日本には安くて美味しいレストランがいくらでもある。電車は遅れないし、犯罪も少ない。英語を話さなくても何の不自由もない。こうした快適な社会は、日本の強みであると同時に、弱点でもあるのです」p236

  • ハーバード大学といえば文系実学最高峰のイメージを元々持っていたのだが、そこで今日本関連ネタ教材が流行っているという。プロジェクトXばりの仕事成功例の紹介が主で、トヨタ、ホンダからテッセイの新幹線清掃、かと思えばヒロシマの原爆、福島第二原発まで色々。仕事のあり方を考えさせられるし、我々を鼓舞してくれる話が多く、サラッと触れて次々行ってしまうのが惜しい位面白い話が続いていった。

  • ハーバード経営大学院において、授業の教材にこれ程多くの日本の事例が扱われており、しかも人気が高い事に驚かされた。

    外国人が日本から学べることが多いと知り、日本人として誇らしいと思った。

  • 日本にいると気づけない日本の良さに気づくことができました。

  • 良い本だ。日本人は日本の良さを案外理解していない。
    「7分間の奇跡」は、本当に日本人にしか絶対に成しえない事例だろう。
    むしろハーバードの授業を、日本に逆輸入した方がいいのではないだろうか?
    日本が日本の良さを理解できないのは、それがあまりにも当たり前だからだ。
    まさに「日本の常識」となっている点が、日本のイノベーションを停滞させてしまっている要因と説く。
    それもすごく納得。
    教材「7分間の奇跡」のポイントは、JRから天下りの取締役としてやってきた矢部部長のマネジメントに光が当たっている点だ。
    矢部氏は、まさにリーダーシップを大きく発揮し、テッセイを劇的に変えていく。
    結果はそうだが、ハーバードは将来の経営者や政治家というリーダーを育てる大学。
    タネ明かしする前に、学生たちに「君がテッセイのリーダーになったら、どう行動するか?」を考えさせる点が面白い。
    日本ではこの視点が足りてないと思うのだ。
    「君がもしリーダーだったら、どう解決する?」
    この日本に住んでいる限り、そんな質問を人生でされることがあるだろうか?
    日本でリーダーが育たない理由は明確だ。
    そもそも育てようとしてないことが最大の原因なんだ。
    ハーバードの授業は、一貫して「リーダーとはどう行動するか」に終始しているように思う。
    上司の好き嫌いでリーダーを選ぶのはもう止めた方がいい。
    資質を持つ人を、きちんと育て上げないといけないと思う。
    過去の経験だけでは未来は絶対に勝てない。
    これだけ変化が激しく、複雑な社会の中で生き抜くには、常に「どうすれば?」を考えることだ。
    そして、その中で自分が最適と考える解決策を迷わずに行動に移せる人。
    矢部部長は「この会社を改革する」とは一言も言わなかったそうだ。
    こういう謙虚な姿勢は、本当に日本人リーダーの素晴らしい点だ。
    何度も繰り返し、テッセイの仕事の定義を社員に説いたという。
    この矢部さんの仕事の再定義は確かに秀逸だ。
    「失礼だがみなさんは、社会の川上から流れ着いて今、テッセイという川下にいる。
     でも、川下と卑下しないでほしい。
     みなさんがお掃除をしないと新幹線は動けないのです。
     だから、みなさんは、お掃除のおばちゃん、おじちゃんじゃない。
     世界最高の技術を誇るJR東日本の新幹線のメンテナンスを、清掃という面から支える技術者なんだ。」
    確かにしびれるね。
    社員は本当に冷静に「この新しい上司は、仲間なのか?敵なのか?」を見ている。
    言うだけでなく、ここから行動を起こしたからこそ、社員の信頼を積み重ねられた。
    この捨て身の行動がなかったら絶対に改革は進まなかったはずなのだ。
    日本人が知らない日本のよさが世界最高の教材にされている。
    それはそれで確かに誇らしいが、これもある意味「技術流出」とも言えるのだろう。
    もっと我々世代が頑張らないといけない。
    自分を鼓舞していかなければいけないと感じた。
    (2020/2/2)

  • 森ビルはただの場所貸しではなく、トータルプロデュースしているプラットフォーマー。パイレーツオブカリビアンの公演中は、全ショップをパイレーツ風にデコレーションする。屋上の一番賃料が高い場所に美術館を作るなど。トータルコーディネート

  • ハーバードの学生、教授陣共に日本に興味があることは読んでいく中でよくわかる。成功事例、失敗事例含め、日本は世界の問題、課題を先取り?して対応せざるを得ない状況が、特に戦後多く発生しているからだと思う。すべて解決出来たわけではないが、もがき苦しんでいるが、国として崩壊しない素晴らしさを世界は興味深く見ている。

全53件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。
ディレクターとして報道番組、音楽番組などを制作。2001年コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。
ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家・コンサルタントとして独立。
『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)など著書多数。

「2020年 『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤智恵の作品

ハーバードでいちばん人気の国・日本 なぜ世界最高の知性はこの国に魅了されるのか (PHP新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×