ロング・ロング・ホリディ

著者 :
  • PHP研究所
3.19
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感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569827469

作品紹介・あらすじ

1981年、札幌。大学2年生の幸平が、バイト先の喫茶店に集う人々との交流を通じて“大人”へと成長していく様を描く青春群像劇。

感想・レビュー・書評

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  • 素直に面白かった。味のあるいいメンバーたちと心を合わせて働くのは楽しいだろうな!こういう仲間は本当に宝だと思う。小路幸也さんの作品を読むと元気が出る。さあ、明日からまた仕事頑張ろう‼️

  • ★3.5

    でも僕らは探していたんだ。見えない未来を。この場所でー。
    80年代の札幌を舞台に、喫茶店でアルバイトする大学生とそこに集う若者達の苦悩と成長…。


    1981年札幌。大学2年生の幸平は、喫茶店〝D〟でアルバイトをしている。
    そんな彼の元に東京で働いている姉・美枝が「しばらく泊めて」と、訪ねてくる。
    姉は東京への大学進学以来、帰省もせず会うのは何と7年振りだった。
    何か訳ありようだが、理由も聞けないまま姉との暮らしを始める…。
    一方〝D〟では、オーナーと店長が「金と女」の事で衝突してしまう。
    そんな二人を見て幸平たちは、ある行動に出る。
    それは一人の女性を守るためだったが、姉の心にも影響を与える…。

    喫茶店でアルバイトをするコウヘイ達大学生の姿が、とっても生き生きと
    楽しそうに描かれていた。
    このお店は、働くという事をきちんと教えてくれる。
    タイプの全く違う大学生達だが、それぞれがそれぞれの長所や短所を認め合い
    関係がとっても温かい。
    何かが起こった時の、一致団結や行動力も素晴らしかった。
    働く楽しさや社会とは何かを学び成長していってる。

    とっても明るく爽やかで、ほのぼのしました。ほっこりしました。
    こんな喫茶店あったら良いなぁって思った。
    ここで過ごした彼らのその先が知りたいなぁ。
    旭川出身の文章を書くのが得意な幸平…は、著者幸也かな…?
    タイトルは大学の4年間を指してるのかな…?

  • 良い話だったと思った。まとまっているといえば良いか。

    この話とであったのは図書館で新しい検索をしたから。
    『PHP』で検索したら65ページ分ヒット。
    高速で「次へ」を押していてなんとなく目に留まったので手に取ってみることにした。



    あり得る話だけど実際にはなかった。
    皆さんの感想を読んで、年代も関係しているのかなと思う。きっとどこかにまだこんな学生はいるかもしれない。
    けど、飲んだくれて仲間で集まってという建前は一緒でも、たとえば仲間のために集まって親に抗議しに行く、だとか、家を飛び出して、だとかこんなに仲間のことを熟知していていざ行動に出したり、そんなバイト仲間や任せられて自分たちで運営していく〈D〉の環境というのはそうそうない。
    SNSの時代、仲間で集まってそれを載せて、キラキラしている自分を投影する。
    投影、や他に他人に見せること抜きに本当につながりの強い「仲間」はいるんだろうか。ある意味青春だし少し前の本当のつながりのある関係性。

    アナーキーという言葉は、ニュアンスでなんとなく分かったけれど、
    新明解で改めて検索してみると、無政府主義者だそう。

    人畜無害に見えてアナーキーなこうへい。ちゃっかりお店のバレンタインチョコもらったランキング3位には君臨している。

    いざというときの決断と行動力。

    美枝(こうへいの姉)とナオキさんがくっつく続編も見てみたい。

  • 2022.1204

  • ★ここでバイトしてるからなんだ。(p.233)

    【感想】
    ・理想のバイト先を考えてみたらこうなった?
    ・いつものようにうまくいきすぎる展開。それでいいのだ。

    【内容】
    ・小路幸也さんの小説にはだいたいなんらかのミッションが設定される。この作品でのミッションは(1)ヒロコの独立をてつだう。(2)快適なバイト先である「D」を内部のゴタゴタから守ろう。(3)姉さんが札幌に来たのはなんらかの逃避と思われるがそれは解決可能なのか?

    【一行目】「コウヘイ!」

    ▼「D」についての簡単なメモ

    【飯倉徳子/いいくら・のりこ】コウヘイの小学生の頃の同級生。ご近所だが疎遠になっていた。高校で自殺した。最後にたまたまではあったが会った知人がコウヘイだったかもしれなかった。
    【インディアン】「D」の裏メニュー。カレースパゲティだがカレーピラフのスパゲティ版でミートソースをかけると旨いが単価が高くなるので均一価格のスパゲティでは正規にできず社員とバイト用の裏メニュー。
    【ウィリー・ネルソン】「STARDUST」がコウヘイが眠る前に聴く曲。『花歌は歌う』でも父親がリクエストしています。著者が好きなのでしょう。ぼくもずっと以前に買ったまま忘れていたDVDに最近気がついてようやく聴いたばかりです。
    【エアーズ】「D」から歩いて三分のバー。マスターのフミヤが好きなのでバーボンの品揃えがいい。
    【エド】江戸川進(えどがわ・すすむ)。「D」のバイト。よく女の子に間違われるくらいかわいい。ミュージシャン志望。父親は自衛隊の人。
    【岡本】「D」の店長。いつも優しくて気が利く人物だが榊と対等に話せる。
    【梶本】ヒロコのボディガード。
    【カナ】「D」の常連。いまはミッキーと付き合っている。
    【カンジ】「D」のバイト。
    【恭子】「D」の常連であり大学の先輩。あいさつ代わりにつむじのあたりをたたく。背が高い。コウヘイとは一度やっちゃった。コウヘイの姉と似ているところがある。
    【交際】常連とバイトが付き合うことはよくあるが「別れるときはきれいに」が合言葉。お客さんを減らさないように。
    【コウヘイ】主人公。早河幸平(はやかわ・こうへい)。大学生。「D」でバイトしてるのが楽しい。小説を書いて小さい賞を取ったことがある。《お前はなコウヘイ。自分じゃ気づいていないだろうが、ここのアルバイトの中でいちばんアナーキーな奴だ。》p.195
    【コウヘイの姉】美枝(よしえ)。家を出て独立している。二十六歳。東京の商社で働いていたはずだがなぜかコウヘイの部屋に転がり込んできた。字が上手い。中学、高校では生徒会長だった。音楽が好きだった。中学高校では吹奏楽部だったとp.73では書かれているがp.30では部活やったことがないと書かれている。で、生徒会長だった(p.282)? 書き間違い? それとも姉が二、三人いる?
    【コンタ】今田昭(こんた・あきら)。S大三年生。「D」のバイトの中で最も背が高い。野球部のエースとして甲子園直前まで行った。
    【榊】「D」の社長。四つの喫茶店を経営している。「ドール」「ロード」「M」。圧が強い。人をみる目がある。
    【サファイア】「D」と同じビルにある喫茶店。客層はかなり異なりおじさんおばさんが多い。場外馬券場の客もたくさん来ている。
    【仕事】《誰にでもできる仕事をきちんとこなす人がいてこそ、とくべつな人たちがちゃんとできるって面があるのよ》p.243
    【進藤可南子/しんどう・かなこ】「D」の事務員。二十二歳の女性。社長の遠い親戚。滝川の商業高校を出てからなので四年目。
    【ソフト】「D」のカウンターでソフトドリンク全部と洗い物をする係。
    【厨房】その名の通り「D」の厨房で料理を作る。ホールからはほとんど見えない。
    【鶴貴/つるき】行きつけの蕎麦屋。
    【D】喫茶店。コウヘイのバイト先。スペインのレストラン風なんだとか。メンバーは全員ホールも料理も大丈夫なように鍛えられるのは店長の方針。そして長続きさせる。今は八人でシフトを組んでいる。客層は高校生も含む若者たち。ここで働いているとモテるようになる。ナオキさんはバレンタインデーにチョコを九十八個もらっていた。コウヘイも一年目で十五個もらった。全員で二百個以上になるからチョコケーキなどを作ってお客さんにサービスする。
    【ナオキ】「D」のバイトのエース。イタリアの俳優みたいなルックスでモテる。話術も上手くどんどん人の心の中に入ってきてしかも不快に感じさせない。M大四年生。ただし三回留年しており二十五歳。卒業して稚内の実家「宮下商店」を継ぐことを決めた。《俺に惚れない女なんていない。》p.231
    【ヒロコ】三上博子。高校三年生。手足が長く瞳が大きく姿勢がいい。ずっとバレエしてたらしい。ナオキとは恋人? 大邸宅にほぼ一人で暮らしている。橋本巌原作の『パール・パール・パール』の映画化オーディションに挑戦したい。《たぶんヒロコちゃんは、はみ出したがっているんだよ》p.72
    【ブチョウ】島村久司。「D」のバイト。M大三年生。中年のおじさんに見える。真面目で怒らせると怖い。《皆と一緒に仕事して、毎日過ごして、いろんなことに気づいて自分ってものはなんかちょっとわかった。》p.233
    【帽子の親父】要注意客のひとり。店に来ている若い女性客の後を尾ける。特になにもしないのだが、ただ尾ける。
    【冬美/ふゆみ】岡本の妻。榊との浮気が噂されてる。
    【ミッキー】「D」のバイト。
    【みよしの】行きつけの店。ギョウザ専門店? コウヘイはいつもギョウザカレーを食べる。「D」OBの西が働いている。

  • なんとも、穏やかに進んで・・・
    バタバタしている風だけど
    何も変わっていない
    思った通りの展開でした

  • 札幌のとある喫茶店でアルバイトをする大学生達と若者たちの話。それぞれ将来を考えて大人になっていく。少し前の大学生はこんな感じだったのだろうな。

  • 喫茶店でアルバイトしている大学生と店に集う若者達の成長と苦悩をえがく。小路幸也さんの小説は、やはり安定していて素晴らしい。一気読みしました。
    前のめりで突っ走っていけるというのは若者の特権なんだが、今の世の中、どうなんだろうと思います。

  • 札幌の‘D’という喫茶店でバイトをしている大学生のコウヘイと、その仲間たちの日々。小路幸也さんの小説には なんか物分かりが良い優しい人が多い。そんなとこが好き。

  • 読みやすかった。



    使途不明金はホントに使途不明金…。(伏線かと思ってたのに。)

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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