- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569827810
作品紹介・あらすじ
道を誤った男、一途に信じすぎた女――江戸深川を舞台に松本清張賞作家が書き下ろす、男と女、親と子の葛藤が渦巻く長編時代小説。
感想・レビュー・書評
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おせいは、鳶が鷹を産んだような、出来過ぎの息子・真吉の出世が、ただ一つの生き甲斐だった。
真吉は、西本芳齋という、江戸随一と謳われる蘭法医に見込まれて、助手となり、蘭方医学の勉強を続ける傍ら、患者の診療にも当たっている。
見栄えは、歌舞伎役者も逃げて行く程の美形。
当然、仲間から、嫉妬、妬みを買い、何かと難癖をつけられていた。
ある日、その内の一人が殺され、真吉が人殺しの罪で捕縛されてしまう。
途中から、真吉の出来過ぎ感が、妙に、気味が悪く、ハハーンとなった。
そして、題名から、結末は想像できた。
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内容(ブックデータベースより)
早くに夫を亡くしたおせいの生き甲斐は、“鳶が鷹を生んだような"息子の真吉。
将来を嘱望される蘭学医の卵で、母親思いの孝行息子だ。
黒船来航に続いて他事騒乱、風雲急を告げる安政年間。折しも連続する幼女殺人事件が江戸中を震撼させる中、真吉は人殺しの罪で捕縛されてしまう。
息子の無実を信じるおせいと、真吉を慕う女たちは――。
江戸を舞台に松本清張賞作家が書き下ろす、男と女、親と子の葛藤が渦巻く一気読み必至の長編時代小説。
令和5年4月19日~22日 -
この作者はサイコパスを書くのが恐ろしく上手い……!
展開も犯人も途中で何となく想像はついたけれど、結末に至るまでの人間性の描き方が巧妙で、最後に近付くにつれてドキドキが止まらなくなった。すごく面白かった! -
早くに夫を亡くしたおせいの生き甲斐は、
将来を嘱望される蘭学医の卵で、母親思いの
息子、真吉。折しも連続する幼女殺人事件が
江戸中を震撼させる中、真吉は人殺しの罪で
捕縛されてしまい…。 -
江戸の町、おせいのひとり息子真吉は優秀なだけでなく、眉目秀麗、誰にも優しく、自慢の息子だった。
時代物。
タイトルから、誰と誰がを想像しながら読みました。
途中いきなり彼が変貌したように見えた口づけのシーン、思わず、やっぱりとうなづいてましました。
いつの世にも起こる酷い事件。
今なら、DNA鑑定ですぐに犯人は分かりそうですが、この時代それは岡っ引きの勘だのみだったのかも。
自慢の大切な息子の告白、母の気持ちを思うとやるせないです。
このような結果にしかなり得なかったのか、母の愛は深いと思わずにはいられませんでした。 -
久しぶりの時代小説。とても読みやすかった。
恋愛のもつれからの心中ものと思っていたが、最後にきてタイトルの意味を理解した。6月のことを水無月の他に風待月ともいうらしい。自らの手で決着をつけた母の思いが哀れで悲しい。