国が崩壊しても平気な中国人・会社がヤバいだけで真っ青な日本人

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569827865

作品紹介・あらすじ

中国人はたとえ国が崩壊しても平気である。一方、日本人は会社がつぶれたら……。ますます不安定化する世界の中で日本人が持つべきしたたかさを、北京在住15年の作家が説く。

感想・レビュー・書評

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  • なかなか刺激的なタイトルだが、内容は現代中国人とはどのような行動原理を持っているかというところでしょうか。同著者の他の作品と同じく、さくさくと読めてしまった。中国も時代ごとに社会が劇的に変化するため、世代ごとに価値観の断絶がありそうだが、今の彼らの経験が形成する性格が今後変わっていくのか、変わらないのか、時間が立たないとわからないが、興味深い。

    P.45
    中世に活躍した瀬戸内海の村上海賊たちいわく、
    「船に乗るな、潮に乗れ」
    船に乗るというのは、いつ沈むかわからない「場」である。潮というのは、目に見えない時代の流れだろう。
    そしてこういうことが、一番うまいのが中国人たちである。幾千万もの屍の上にきづかれた彼らのノウハウを学ばない手はない。

    P.60
    日本のサラリーマンよ。
    業務の選択肢ー自分で人生で何をするかを、奪われるな。この不確実性の時代、仕事で当てたら、金はそのときにもらえ。経費が使えるなんていうおもちゃでごまかされるな。いつかポストがある、かもしれないなどという、不渡り手形をもらうな。で、フリじゃなくて、本当に当てようと努力せよ。

    P.67
    『世界一愚かなお金持ち、日本人』(マダム・ホー、ディスカバー推書)によると、どこの国でも一番確実に、簡単にお金を稼ぐ方法は、その国の政府がやっている金儲けと同じことをするそうである。不動産と株・・・。中国でもまさにドンピシャであった。

    P.122
    民間企業も、頭角を現すと、政府に(!)乗っ取られてしまう。私が中国に来てからでも、大中電気などの家電チェーン店、中国のアパホテルともいえる如家などのビジネスホテルチェーン、我愛我家などの不動産購買チェーン、それぞれ庶民のニーズに合わせた企業が急成長してきた。企業家はみな、一般庶民出身で、卓越した経営能力を見せる。
    しかしある時期になると、サービスがふっと極端に低下する。成長が止まる。
    どう考えてもヘンな出店をしたり、ホテルなら黒社会が入り込んで売春の巣になったりする。上層部に政府幹部やそれがらみの黒社会が入り込んで、資金をむさぼるのである。企業トップが言うことを聞かないと、大中電気のように、小さな理由をつけてトップを逮捕してしまう。一度統率が取れなくなると、上から下まで真っ黒になるのは早い。

    P.179
    中国人の政府にたいする気持ちは、本音は、まあ仕方ないさぁ・・・、が多く、話を聞いているうちにヒートアップして許せん!の人も少なくない。自由や身の安全や財産の保証をおびやかされて心の底には抑圧した怒りを抱えているのが当たり前だが、中には限りなく共産党支持の人もいる。
    中国は大きいし、分裂を狙う国はあるし、民族が大石、中国人はなんでもやるから強権もしかたないよなぁ、でもやりすぎだという理性的(?)な意見とは違い、100%理想化しているその話ぶりは、ちょっと病的なことが多い。
    私はこういう人は、中国共産党に対するストックホルム症候群だと思ってみている。

    P.191(清朝末、李宗吾著の厚黒学について)
    求官六字真言(官になるための、六つのマントラ)
    空ーヒマでいろ。どんな仕事もするな、田も耕すな。学問もするな、商売もするな、ただただ官になることだけを願って、活動せよ。
    貢ー官への道に、蟻の穴でもあれば、もぐりこめ。なければ、蟻の穴でもあけよ。
    冲ーほらを吹け。大風呂敷を広げろ。口でも文章でも。
    棒ーおだてろ。ゴマをすれ。
    恐ー脅せ。脅迫しろ。弱みのない官はいない。そこをつけ。「棒」と併用して、おだての中に威をしこませ、威の中におだてをすりこむ。
    送ー人事権や権力を持ち、自分の役に立つ者に賄賂を遅れ。

    做官六字真言(官をやるための、六つのマントラ)
    空ー気骨と中身がないようにせよ。何でも迅速にこなすが、自分の利に合わせて臨機応変、常に逃げ道を残しておく。
    恭ー上には卑屈にうやうやしくふるまえ。上司に面と向かってでもいいし、彼の家族や友達に向かって媚びてもいい。
    綳ー下には居丈高に、エラそうににふるまえ。下でも自分の利があるものには丁寧にせよ。
    凶ー目的のためなら、他人が死のうが生きようが、子供を売ろうが、春をひさごうが、気にも留めるな。しかしこれは、仁義、道徳のオブラートで包め。
    聾ー見ざる、言わざる、聞かざる。自分に何を言われても気にするな。
    弄ー賄賂は受け取れ。官になるためのすさまじい努力、なってからの気の使いよう、ストレス、これまでの11文字は全てこのためだけにある。

  • 2016.03.18 HONZより

  • 評価の難しい本という印象。

    なぜ中国人が自分の利益ばかりを求めるかというのは、国の崩壊を何度も経験しているから。一方、日本人は国を信じすぎ(=貨幣を信用しすぎ)、報道を信じすぎ。

    タイトルからは、したたかな中国人に比べてボンボンな日本人、頑張れよ、という本かと思ったが、中身はひたすら中国が如何にダメかという事例が満載。ほとんどが筆者の体験談なので、逆にデータの裏付けをもった分析はない。私のように元から筆者の考えに近い人は筆者の「体験談」にやっぱりと共感するだろうが、それ以外の人への訴求は小さいのでは。

    いずれにせよ読後感は、「うわー中国には住みたくない、中国とのビジネスは信用できない」というもの…

  •  なんで、中国ではあることないこと日本の悪口言うんだろう、なんでそんな人(他国)に迷惑をかけるようなことをするんだろう、、、と中国及び中国人のメンタリティは日本人から見たら、疑問がいっぱいです。が、これを読めば、どうしてそういう行動になるのか、わかります。(超現実的、合理的、拝金主義、厚黒学、子供の教育にも)とはいえ、隣人。仲良しまでは行かなくても、お互いにそこそこ繁栄するのが望ましいですね。
     以下、備忘録。
    1.中国企業のホームページやパンフレットの数字は信じないこと。自分たちで調査を。
    2.社長室に、要人との写真が飾ってあるのもダメ。
     →商品を流すだけの企業だったり、実態がない可能性あり。
     役人に知り合いがいる、とかも信用不可。
    3.社長が契約で、「好、好」(OK,OK)しか言わないなら要注意。契約だけであとで難癖つけてお金をむしりとるかも。いろいろと突っ込んでくるくらいがちょうどいい。美人秘書がいる、接待過剰もだめ。
    4.社内の平均年齢が若いか。人件費に響いてくるので。若いほうがいい。
    5.口で言ったことは守らないので、必ず契約書に書かせる。

  • いや~本当にすごい。現地のいる人の言葉は真実味がある。まさにストリートスマートですな。基本的にサバイバル能力が違う。もちろん日本人らしさも大事だと思うが、彼らの生き方から学ぶこともあるな。

  • 日本との貿易商社から始め、15 年中国で暮した経験に基づく意識比較には、説得力がある。
    日本からの駐在員として中国に住んだことがあるだけの人の言説が、色褪せて見える。

  • あー面白いと思いながらあっという間に完読。谷崎氏は、読者を楽しませる文章を書く人だとつくづく実感。
    毎日が騙し騙されの連続なのはすごい。人間の生活とは何か、と人間の根源についても考えたくなった。
    国際社会が一丸となって取り組むべき課題など、各国政府や市民社会が世界に貢献するというのが当たり前だと思っていた自分にとって、環境汚染しかり、食品の安全問題しかり、気にも留めず、全然違うベクトルに向いている人が何億人もいるというのは驚きだった。

  • この本に出てくるような中国人に勝てる気がしない。そこまでのタフさは自分にはないない。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=7377

  • 見習うべきところが多くあるなと思ったよ。

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著者プロフィール

作家

「2016年 『国が崩壊しても平気な中国人・会社がヤバいだけで真っ青な日本人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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