なぜ疑似科学が社会を動かすのか (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
3.10
  • (1)
  • (7)
  • (16)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 122
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569829951

作品紹介・あらすじ

企業の採用で使われる性格診断、放射能除染ができると信じられたEM菌……なぜあやしい科学が社会を動かす? 進化生物学で考える。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 序章の人がなぜ疑似科学を信じる「ようになったか」が面白い。また、科学報道と記者のあり方についても一理あるなと。

  • 面白かった。けど、このタイトルに対する答えってあったっけ?「人間は論理的思考が苦手だから」?それとも「最近進展した心理学の知見が示す通り」?そのへん、僕の読解力の問題とは思うがすっきりしない。

    書きぶりが実にフェアで僕としてはほとんど異論はないんだけど、でも「オカルト派」からすると「いや別に科学は目指してないですし。科学の語彙と文法で矛盾を指摘されても、そもそも霊は科学の世界を超越したところにいるので、その批判には何の効力もありませんよ」といった意見になるんじゃなかろうかと思う。
    まあここまでは極端だとしても、筆者の解くような科学的な思考を拒否する人たちとどういったコミュニケーションを取ればいいのか、なんか指南書はないものだろうか。

  • 人間は生まれながらの疑似科学信奉者
    信じる者は救われる
    掟に使われる聖霊や悪魔
    科学と疑似科学のあいだ
    賢いシニアこそだまされる
    科学的成果との向き合い方
    第1部 個人的体験の落とし穴―疑似科学のはじまり
    金縛りの正体
    パワーストーンとオーラの探究
    なぜお守りを信じるのか
    第2部 体験を知識に格上げする―いかにして科学となるか
    天文学もオカルトに由来する
    見せかけの先端科学にご用心
    封印された超能力の科学
    第3部 知識を社会で共有する―科学を使う
    科学は未来を予測する
    秘伝の技と科学技術
    メディア・政府・科学者
    第4部 蔓延する疑似科学―誤解をただす
    サプリメント商売の買わせる策略
    水ビジネスー疑似科学の温床
    原発事故と放射線被害
    疑似科学がはびこる性格判断
    疑似科学を見分ける

  • ●疑似科学とは、科学の装いを持った現実描写の物語である。科学の装いによって信憑性を上げている巧妙な物語なのである。しかしだからといって信じていけないわけではない。意義があるのならば信じておくのも良い。ただそうした物語を「科学である」と誤解して信奉してしまう面は問題がある。疑似科学を信奉することで、科学まで誤解しかねないからである。
    ●賢いシニアはこそ騙される。コラーゲンを食べても消化吸収されず、肌には届けられない公算が大きいにもかかわらず。
    ●現代の天文学によれば、数十億年後の太陽は地球を飲み込むと考えられている。しかし科学を誤っているかもしれないのだ。地球は太陽に飲み込まれずに済むかもしれない。数十億年後にそれは判明するだろう。
    ●金縛り。生き延びるための姿勢が、妖怪や幽霊を目撃しやすい心理状態に誘導している。暗闇に幽霊が見えたら「本当の敵でなくてよかったなぁ」と安心しても良い。
    ●幽体離脱は、非常時のための脳活動。
    ●社会に役に立っているかどうかと言う判断が科学の指標の1つ。心霊現象は今のところ、私たちに不安と気休めしか与えていない。
    ●オーラが見えると言う人に対する実験。頭の周りに物理的に存在しているのではなく、顔の印象に従って心理的に作り出していると言うことになる。
    ●認知的不協和の解消。高い商品を買ったと言う行動と、商品の価値が十分でないと言う結果が、気持ちの上で不協和になるので、それを解消しようと、無意識のうちに様々な対策をとる。自分が買った商品の広告を閲覧し、良い商品だったと再認識を重ねたがる。
    ●星占い。現代のように夜の照明がなかった時代には、夜空を見上げる時間も、星星について考える時間も十分にあった。
    ●自然を破壊する科学と言う誤り。いかに今の文明的生活が、科学によって支えられているかを考えるべきだ。環境破壊を抑えられているのは科学の力。
    ●サプリメントは薬品ではなく食品。現在取り上げられている範囲で、多少なりとも科学性が認められるのは「dha ・ EPA」のみである。
    ●ビタミン剤>特保>機能性表示食品
    ●乾燥した熟成ニンニクが、赤ワインの10倍のポリフェノールと宣伝されていた。しかし10倍量の赤ワインの方が明らかに安く買える上、飲みやすかったりする。
    ●宅配水ビジネスは、現在の水道水よりも安心な水を宅配すると主張しているが、その安心が本当に保障されているのかをよく考えてみるべき。現代の水道水はかなり改善されている。
    ●年間で1000ミリシーベルトの被曝で発癌リスクが60%、200ミリシーベルトでは12%、100ミリシーベルト以下でははっきりとしたデータが得られていない。平常時の年間被曝の上限目安は1ミリシーベルトだったが、それが20シーベルトに引き上げられ基準となった。これはもともと非常時の国際的対策基準に則った措置であった。ではこれが安全レベルと言えるかどうかと言うところが問題点。
    ●年間20ミリシーベルトが累積し続け、50年で1000ミリシーベルトに達し、発癌リスクが1.6倍となる。喫煙者や大量飲酒の者も1.6倍。放射線のリスクを避けるよりも、人によっては禁酒禁煙の方が効果的なわけだ。また平均余命が50年以上残ってない年齢の人にとってはさらにそう考えられる。
    ●資格取得が必要な仕事のほとんどにおいて、資格取得はほんの入門段階に過ぎない。にもかかわらず、仕事を目指すのではなく、資格を目指す人々がいる。それにつけ込むのが資格ビジネスである。
    ●マイナスイオン。地面が負に帯電している理由は、地球上のどこかで常時落雷が起きているから。物理学的に言って、山歩きで体が負に帯電したり、滝の下や森林浴でいわゆるマイナスイオンを吸入したりする事は間違いない。しかしそれが体に良いと言うデータは得られていない。
    ●静電気による集塵効果や、臭気分子の分解を早める脱臭効果が認められる。

  • 要は、人間が不確定な自然を生き抜いてくる中で役に立った能力ってことだね。
    トライアル&エラーだ。
    各々あげている事例は大したことはない。既視感いっぱい。

    しかし、この著者は、超心理学とかは、信じたい人なんだ。

    ま、敢えて読むほどの本ではない。

  • 図書館で借りて読みました。
    なかなか面白かった。

  • 2018/4/16

  • 序章の総論はとても良い。ある程度のリテラシーで辿り着ける「疑似科学はインチキ」という認識の先。なぜ、ここまではびこっているのか。それは、俺以外全員バカだから、ではない。
    ただし、各論となるともう少し深く斬り込んでほしかったり、若干首をかしげるような記述も散見される。この一冊だけでなく、類書や、分野を絞って斬り込んだ啓蒙書も出来るだけ読むのが良い。

  • 科学的な方法から言えばそうなんだろうという本

  • <目次>
    序章   人間は生まれながらの疑似科学信奉者
    第1部  個人的体験の落とし穴~疑似科学のはじまり
     第1章  金縛りの正体
     第2章  パワーストーンとオーラの探求
     第3章  なぜお守りを信じるのか
    第2部  体験を知識に格上げする~いかに科学となるか
     第4章  天文学もオカルトに由来する
     第5章  見せかけの先端科学にご用心
     第6章  封印された超能力の科学
    第3部  知識を社会で共有する~科学を使う
     第7章  科学は未来を予測する
     第8章  「秘伝の技」と科学技術
     第9章  メディア・政府・科学者
    第4部  蔓延する疑似科学~誤解をただす
     第10章  サプリメント商売の買わせる策略
     第11章  水ビジネス~疑似科学の温床
     第12章  原発事故と放射線被害
     第13章  疑似科学がはびこる「性格判断」
    終章   疑似科学を見分ける

    <内容>
    疑似科学という、オカルト・超能力から、サプリや水ビジネスなどを一刀両断する解説書。著者的にはもっとぶった切りたいようだが、大人しく丁寧に解説をしてくれる。一方で、心理学的には人間は、あたかも論理的に見えるものに騙されやすかったり、自分は正しいと誤認識したりするので、こうした分野はなくならないんだろうな…  

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1959年東京生まれ。明治大学情報コミュニケーション学部教授。東京工業大学理学部応用物理学科(生物物理学)卒。同大学院物理情報工学専攻、企業の研究所や政府系シンクタンクをへて、1997年に明治大学に赴任。人工知能技術を遺伝子情報処理に応用する研究で博士(工学)を取得。専門は認知科学で、生物学と脳科学と心理学の学際領域研究を長年手がけている。著書に、『生きづらさはどこから来るか』(ちくまプリマ―新書)、『人間とはどういう生物か』(ちくま新書)、『ざんねんな職場図鑑』(技術評論社)、『なぜ疑似科学が社会を動かすのか』(PHP新書)、『だまされ上手が生き残る』(光文社新書)ほか多数。

「2022年 『だからフェイクにだまされる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石川幹人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×