ルポ 父親たちの葛藤 仕事と家庭の両立は夢なのか (PHPビジネス新書)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569830681

作品紹介・あらすじ

「男性も育児を!」の大合唱の中、仕事と家庭の板挟みで悩む父親が急増中。サイト「パパの悩み相談横丁」の管理人がその打開策を提案。

感想・レビュー・書評

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  • 国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→
    https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11355913

  • 終始育児する父親には厳しいことが書かれているが
    子供を持つ前に一度読んでおくといいと思った。
    大切なのはこういう例がたくさんあるということを知ること。

    ■一番良いと思った言葉
    「海外のホテルはシャワーの温度が不安定
    ちょっと加減で暑すぎたり寒すぎたり
    よくなったと思ったら誰かの使用で
    水圧が変わり、また調節の繰り返し

    仕事と家庭の両立もそんなもんで、
    ピタッと適温になることなんてない
    常に調整し続ける、でも実はそれこそが面白い

    かっこつけず、がまんせず、ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返す。
    ちょっとダメな夫、ちょっとダメな父親として、
    家族から笑われくらいがちょうどいい


    ・・・以下メモ・・・
    どちらが悪いわけでもなく、どちらもキャパオーバー
    →★ほんとそう

    ■察してほしい、ではうまくいかない

    ■家事分担、ではなく、家事シェア
    家事分担だとめんどくさい、嫌なことを押し付けあうイメージになる
    「家事とは家族をチームとして回すために必要な営み」と考え、本来家族全員がやらなければならないことだという意識を持つことで、やってくれた人に対する感謝の気持ちが芽生えたり、できるだけ自分もやろうという前向きな気持ちになったりする
    →★仕事も同じ

    シェアしたい部分が曖昧なのはいけない
    委ねたなら委ねるべき、文句言わない
    →★これも仕事と同じ。気を付けたい。

    ■育休が増えるとダイバーシティが生まれる
    ダイバーシティについてついて考えることは、自分とは違う立場にいる人に対する思いやりを持つこと

    人にはそれぞれの事情がある
    だからと言って自分の事情ばかりを他人に押し付けることはできない
    お互いの事情を斟酌(しんしゃく)しながら、全体としてうまくいくようにフォローし合うことを考えなければいけません

    ■ジレンマから抜け出す8つの心得

    「思い込みが悩みを作る」
    →★出来事が作るのではない
    →★これは体調が悪くなった時も同じだな、、悪いことばかり考えるがそれは思い込み。思い込みをやめるか、思い込みの原因をつぶす

    ジャグリングの要領で動的にバランスを取る
    →★シーソーのように静的にバランスを取るのはむずい

    夫婦喧嘩を回避しない
    バグを見つけたら言った方がいい
    →★★★コツは、無理に結論を出さないこと
    →無意識の歩み寄りに委ねる
    ★仕事でも白黒つけたり、徹底的に詰めたりすると絶対うまくいかない

    社会のせいにしすぎない
    →自分で解決できないというのは無力感を生む
    →人間を惨めに、卑屈にする

    ■簡単に答えを出さない
    人生は、「動的な問い」の連続
    →★問いを問いとして抱え続ける力が大事

    海外のホテル
    シャワーの温度が不安定
    ちょっと加減で暑すぎたり寒すぎたり
    よくなったと思ったら誰かの使用で
    水圧が変わり、また調節の繰り返し

    →仕事と家庭の両立もそんなもん
    ピタッと適温になることなんてない
    常に調整し続ける
    でも実はそれこそが面白い

    かっこつけず、がまんせず、ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返す。
    ちょっとダメな夫、ちょっとダメな父親として、家族から笑われくらいがちょうどいい"

  • 育児休業に取り組んだ父親達の体験レポが面白い。
    1年中顔を付き合わせるより適度に空白があるほうが「戦友」としてうまくやっていけるのだろう。
    女性からの本音で言えば金を稼いで家事も全てやってくれるATM家政婦型旦那を望んでいると思われる。

  • 私も日本に住んでいるので、男性の役割が年々増えていることを実感している。そして、父親になって以降、「仕事も家庭も両立させなければならない」という変な義務感から頑張っていたのも事実だ。幸い私はたいした仕事をしていなかったので、育児優先のキャリアダウンは全く苦ではなかったが、業績を維持しながらの子育てなんて、想像するだけでもゾッとする。
    本書同様、世代交代と共に価値観が変わることを望む。

  • 新しい知見は広がらなかった。
    解決策さえなかった。
    それでもよかった。
    それは励ましの書だと感じたから。
    満足だ。

    P5の「奇跡的なくらいに恵まれた状況にいる男性でないと口にできない超贅沢なセリフ」というのは、当事者にとってはそんなことさえ霞むくらいにつらい、そんな「恵まれた状況」が見えないくらい厳しい、のだが、端々にあるエールに勇気づけられたり、本書に出てくる旦那さんよりは夫人に恵まれていると感じたり、この旦那さんよりはがんばっているから俺は偉いと励みになったり、とにかく救われる気持ちになる。

    P44「イクボスは『業績も向上するということを実証』しなければいけないのだ」あたりは度し難い。生産性の文脈に限定してイクメン、イクボスという語を軽々しく使うからつらいのだ。使い方がわざとらしいのだ。どうせなら仕事以外に関することは全部禁止だけど給料が異常に高い、いろいろフリーだけど給料はそこそことか、潔く宣言しておいてほしい。

    P74「30代、40代という出世競争の真っ最中に育児が重なってしまいます。それが問題を大きくしています。育児・家事と出世はトレードオフの関係になってしまいます」とある。本書が案内するように短期的には成果を落とす覚悟を持っても、この時期の数年はとても痛い。私の経験を思い返すと、同僚や後輩の出世が目前で行われ、ただ指をくわえて見ているのはつらい。めまいがしそうだった。5年たっても、取り返すどころか、その差が縮んでもいない。ただの能力不足だってこともじゅうぶんありうるけれど。

    それでもP200からの「成果を落とす覚悟をもつ」という項目はよかった。成果が落ちても、冷遇されても、勇気づけられる。バランスをとって、よく働き、よく家族と過ごし、生活していくためには、一つ一つ課題に取り組み、処理能力とメンタルを鍛えながら、それを楽しむ価値観を見出していくことが大事だった。

    P201の引用。「既存事業の業績悪化を最低限に抑えるために最も有効なのは、さっさと新規事業を軌道に乗せることである。そのために人員や予算配備も新規事業に集中させるべきであろう。」これはよいたとえ話だ。ストレスをコントロールできる。たとえうまく回らなくても前進しているかもしれないという予感があれば、大いなる救いとなる。

    以上、読んでよかったと感じる理由を並べてみた。

  • 参考になった。
    グラフが多くて面白い

  • 「育児をしない男を、父とは呼ばない。」のスローガンが1999年。「イクメン」が流行語大賞になったのは2010年。

    日本の男性の家事時間は1日に62分。世界的に最低水準だが、一方で労働時間の長さが最高水準であり、過酷なのだ、と著者は指摘している。

    「現代の『イクメン』は、個人の甲斐性と能力頼みだ」という指摘は、ジャーナリストで大学教授の竹信三恵子氏。そして、「ワークライフ・バランスは、働き手が自分の工夫で効率よく働き、自主的に労働時間を短くする、ただの生産性向上運動に転化しつつある」と言っている。

    大企業から改革を進めることで、世の中の雰囲気を変えていくべきだろうと、著者は以前は考えていたというが、今は千差万別の多様な働き方が同時多発的に実現されることで、じわりじわりと変化が訪れ、それに制度を合わせればと考えている。社会の考え方、常識、多数が変わらないままに、そのような多様な働きかたを始めるのは、当事者は相当なハードルを感じるのでは、と疑問。

    「成果を落とすこと」、は仕事、家庭どちらにおいても、覚悟すべき点なのか。「理想を描きすぎない」以上に、苦しいと感じるがどうか。

    最後の「簡単に答えを出さない」には納得。無数の軌道修正を繰返し、何事も良くなって行くものだと。

  • 育児と仕事に関する様々な夫婦の事情をつづったルポルタージュ
    母親にとって何が不満か、父親は何を考えているかなど、新たな視点が得られ面白い。
    Naoki・菜穂子夫妻も第2章に梶原夫妻(仮名)として登場。夫婦の役割分担の成功例として描かれている。

  • イクメンという言葉はもう止めようという風潮も強まる昨今、父親の育児参加の実態はどうなっているのか。あまり増えてないし、他国と比べても日本の父親は育児をしていないというデータが示される。またデータ上は労働時間の長さが主原因でありその中で苦労し疲弊している父親。本書は父親、妻、会社の立場から男性の育児参加の実態をルポ。仕事の効率化を進めることもさることながら両立させるためには何かを捨てることも必要という当たり前を説く。少なくとも、自分自身と影響を及ぼせる範囲の自分の周囲はバランスさせるよう出来ることはしよう。

  • もっと頑張ることではなく、何かを手放す勇気が必要

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著者プロフィール

おおたとしまさ:教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。リクルートで雑誌編集に携わり、2005年に独立後、数々の育児・教育誌のデスク・監修・企画・編集を務め、現在は教育に関する書籍執筆および新聞・雑誌・webメディアへの寄稿を行う。テレビ・ラジオなどへの出演や講演も多数。心理カウンセラーとしての活動経験、中高の教員免許、私立小学校での教員経験もある。著書は『ルポ名門校』(ちくま新書)、『勇者たちの中学受験』(大和書房)、『不登校でも学べる』(集英社新書)など80冊以上。オフィシャルサイト:http://toshimasaota.jp


「2024年 『学校に染まるな!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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