桜風堂ものがたり

著者 :
  • PHP研究所
3.94
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本棚登録 : 2012
レビュー : 305
  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569831084

作品紹介・あらすじ

万引き事件がきっかけで長年勤めた書店を辞めることになった一整。しかしある町で訪れた書店で彼に奇跡のような出会いが起こり……。

感想・レビュー・書評

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  • 『もっと時間があれば、といつも思っていた。本を売るために、したいこともできることもあると思っていた』

    この場で本というものの素晴らしさを語る必要はないでしょう。本が好きで、本が何よりも好きで、本がたまらなく好きでブクログ に集う皆さん。そして、『言葉を愛する者は、言葉を綴らずにはいられない』とこの瞬間にも書かれる素晴らしいレビューの数々。しかし、広く世の中を見渡すと、全年代併せて一ヶ月に本を全く読まないと回答した人が約半数にのぼるという現実。そんな中、『その本の内容に惚れ込み、この本を売りたい』と奔走されるのが本屋の書店員の皆さんです。『自分がしている仕事は、砂金を探すひとに似ている』というその仕事。『読み手にささやかな気分転換をさせることだけが本の力ではない』という本が持つ力。『生きていることが辛いときも、さみしくて死んでしまいたいと思う日々が続いているときも、読みかけの物語の続きが読みたいからと、明日まで、また次の日までと命をつないでいける』という本の力を多くの人たちに伝えるために全力を傾けていく、そんな書店員の皆さんの仕事の舞台裏を描くこの作品。

    さて、あなたはそこにどんな物語を読むことができるのでしょうか?

    『その朝、月原一整は目覚めが悪かった』と『布団の上に身を起こした』のは主人公の一整(いっせい)。『ずっと昔に亡くなった母親譲りでからだが弱く、小学校を休んで家にこもりがち』という姉のためにベランダに花を咲かせる父、そんな『子どもの頃の夢を見た』という一整。『いまは三月。まだ春休みで、勤め先の書店で小さい子たちが駆け回ったりしているのを見ることが多かったからかも知れない』とその理由を考えます。『古い百貨店の本館六階にある』銀河堂書店で文庫担当として働く一整は昨日の『目に余った』出来事を思い出します。隣の児童書の書棚の前で『床にころがって絵本を積み木代わりに』遊ぶ子供たち。『こちらのお子様たちの保護者のお客様は、どちらにおいでですか?』と呼びかける一整。『謝りながら駆けてきた』子供の親。 そして『赤く目を潤ませて、小さな声で一整に、ありがとうございます』と言う児童書担当の卯佐美苑絵。『涙もろいのは、正直困るんだけどなあ』と思う一整。一方で『ありがと』とつぶやきながら担当の文芸書の持ち場へと戻る文芸担当の三神渚砂。同期の二人を比べて『苑絵と渚砂、雰囲気はずいぶん違う』と感じている一整。『内気でうつむきがちな苑絵と違って、渚砂はいわゆる「カリスマ書店員」』と言う対照的な二人。しかし『仕事以外のことでは、店で誰かと特に会話することもない』という一整。『進んで人付き合いをするタイプでもない』と周囲から見られている一整。『そもそも書店員、それも文庫の担当はそんな暇も無いほどに忙しい』という一整は『時間さえあれば文庫の棚に向かい合い、平台に向かって身を屈めている』と書店員の仕事に邁進します。そんな一整は『これだから春休みは』とため息をつきます。『早く学校が始まってほしいと思う』理由は『学校が休みの時期は、万引きが増える』というもの。先日も『やられた。棚にあったシリーズ物、まとめて二シリーズ、計二十冊盗られました』とコミック担当があげた悲鳴を聞いた一整。『児童書の卯佐美苑絵が、気になる中学生を見た、といっていた』と耳にします。『全国の書店の万引きの被害額が合計で年間二百億円ほどにもなる』という現実。そんなある日、『違和感のあるものが映った』と『遠目にもわかるような緊張した様子』で『おどおどと辺りを見回す』大きなスポーツバッグを持った少年を目にします。そして、この後に少年が取る行動、そしてその結果が一整の人生、そして生き方を大きく変えていきます。

    『序章』、そして二つの『幕間』を挟みつつ全八話で構成されるこの作品。読者は『序章』の『とある県の山間に、時の流れから取り残されたような、美しく小さな町がある』という冒頭から一気に作品世界の独特な雰囲気の中に連れて行かれます。しかし同時に、その『序章』は『美しく小さな町』の描写が延々と続き、物語のとっかかりを掴もうとする読者を戸惑わせます。そんな中『朝になったことを知り、ひとり目覚めた「誰か」』とようやく主人公の登場を匂わせる表現が登場します。しかし、それに続くのは『青い目を開け』?『扉を小さな前足で押して』?となんとも思わせぶりな記述。そう、そこに登場するのは『幾分汚れた毛なみの三毛の子猫』というまさかの猫の登場でした。『いちばん好きな言葉は「アリス」。自分の名前』というその子猫。『自分はもうあの家に帰ることはないのだと、アリスにはわかっていた』とまさかの猫視点で進む物語に引き続き戸惑いを覚える読者。村山さんは、そんなふわふわとした猫視点の『序章』で、『小さな町』の風景と子猫の日常を淡々と描いていきます。そして、ようやく第一話となり、前述の『その朝、月原一整は目覚めが悪かった』という普通の物語が始まって安堵するという絶妙な構成。あくまで本編への誘導が目的で置かれるのが『序章』ですが、この作品の『序章』は、作品の雰囲気作りにとても重要な役割を果たしているように思いました。『あとがき』で村山さんが書かれているとおり、この作品は『ファンタジー要素はほぼない物語』なのだと思いますが、一方でこの『序章』はファンタジーとしか思えない内容です。それがこの作品の色を強烈に決定づけてしまうこともあって、本編を読み進めてもその印象が変わることはありません。しかしそのことがリアルだったら少し許容し難い内容であっても、極めて自然にまったく違和感なく読み進められるという絶妙な効果を発揮しているように思いました。

    そして、この作品では、最初から最後までうっとりとするような美しい言葉、情景描写がこれでもかと登場します。これが、ファンタジーの雰囲気をさらに盛り上げていきます。そんな美しい描写を一箇所ご紹介します。『桜風堂書店』を一整が初めて訪れる場面です。『橋を渡るにつれ、その小さな書店は、少しずつ近づいてきた』と読者に期待を持たせる導入。『桜風堂、という名の通り、店は大小の桜の木々に囲まれている』とイメージ通りの安心感をまず与えた上で、周囲の情景を『昼下がりの空には、柔らかな雲がたなびいている。雲の合間から、静かに金銀の光が射して、桜風堂と木々に降りそそいだ』と神々しささえ感じさせる表現で桜風堂の特別感を演出していきます。さらに『花びらが、まるで水晶の欠片を振りまいたように、幾十も幾百も、光りながら風に舞っていた』とさらに雰囲気を盛り上げます。それが『異世界への入り口であるような、そんな場所に見えた』という言葉に説得力を与えることに繋がります。そして、そんな店の前に立ち、古い看板を見上げる一整は『はじめて訪れたはずの店なのに、帰ってきたような気持ちになったのはなぜだろう。どうしてこんなに、懐かしさに胸が痛くなるのだろう』という思いに囚われていきます。「桜風堂ものがたり」と書名に登場し、ある意味でいちばんの主役でもある『桜風堂書店』の登場シーンは、村山さんの絶妙な文章に彩られ、まさに真打登場!と言った最高の演出をもって描かれる感動的なシーンでした。これを作品の三分の二ほどのところに持ってきた村山さん。これからこの作品を読まれる皆さんは是非この『桜風堂書店』の登場シーンの全容を楽しみにしていただければと思います。

    『いつもそうだ。どの本を推そうと思うかは、天啓のようなひらめきによるものが多い』という抜群の選書センスで『宝探しの月原』と呼ばれる書店員・一整の物語。普段、本屋を利用してもそこで働く書店員の皆さんを意識することはまずありません。しかし、『一整が選び並べた本でないと、お客様に出会う機会が無い』という、その書店員さんの仕事によって我々は本を手にしていることに気づきます。『棚や平台のどこにどう並べるかによって、本と読み手との出会いの運命は変わる』という本との出会い。例えば今日本屋に行って、偶然にも素晴らしい本に巡り合えたという結果も、実は『お客様が一冊の本と出会う運命も、本がお客様に選ばれる運命も、一整が司っているのだ』という書店員さんの見えない仕事の存在なくしては語れないという事実。それは『その本を必要とするひとのところに、本が届いてくれるように』という書店員さんの願いでもありました。『それぞれの場所で、元気に戦っている書店員さんは、全国にたくさん在るのです』という村山さんが描く『本屋さんたちに捧げるために書いた物語』でもあるこの作品。

    春風にふかれながら、桜の花びら舞い散るファンタジーの世界に迷い込んだような気分に包まれた読書。何も悲しいことはないはずなのに、寄せては返す波のように何度も涙が溢れるあったかい気持ちに包まれた読書。そして、『生きることをあきらめるな。幸せになることを。前に進むことをあきらめたら、人間その場で腐っていくだけだ』という力強い言葉に勇気をもらった読書。

    読書中何度もこみ上げてきたあたたかいもの。
    そして、なんとも言えない幸福感に包まれた読後。「桜風堂ものがたり」、それは『涙は流れるかも知れない。けれど悲しい涙ではありません』という意味をしみじみと感じた、村山さんの描く絶品でした。

    村山さん、こんなにも深い感動をありがとうございました!!

  • とても幸せな時間を過ごせました。
    あまりに美しい景色や、純粋できらきらとした何かに触れた時、
    なぜか泣きたくなるようなあの感じ…

    一整・透・苑絵・渚砂・純也、子猫のアリスちゃん、オウムの船長さん、
    心温かな人々、可愛い動物たち。
    紡がれる言葉の一つ一つが、すごく心地良くて。

    オウムに寄りかかって寝てしまう子猫のアリスが、可愛くてね。
    アリスが語る章がとても好きです。

    一整の見た夢、空飛ぶ鯨の背に乗った姉は、何とささやいたのだろう…
    また会えるから…
    いつも見ているから…

    暖かな光と桜色をした花びらの舞い散る、やさしいやさしい物語。
    まさに、表紙そのものの世界でした。


    ただ、ほんの少し気になったのは、百貨店の大掛かりな販促の場面。
    それが「四月の魚」には似つかわしくないような気がして…

    すべてのものに訪れる命の終わり、かけがえのないものとの別離、耐え難い悲しみ、
    それでも、悲しみの底から立ち直り、前に進む後押しをしてくれる。
    幾つになっても、夢は見続けていいんだと思わせてくれる。

    世の中には、まだまだ自分の知らない素敵な本がたくさん眠っているはず。
    そんな本に出逢うために、これからも本を読み続けたいです。

    • 杜のうさこさん
      tsukiyomi777さん、はじめまして(^^♪
      コメントありがとうございます♪
      こちらこそフォローと、いつもたくさんの♥をありがとう...
      tsukiyomi777さん、はじめまして(^^♪
      コメントありがとうございます♪
      こちらこそフォローと、いつもたくさんの♥をありがとうございます!

      私のレビューがきっかけで読んで下さったとのこと、ありがとうございます!
      こんなに嬉しいことはありません。

      この本、最高に良かったですよね!
      大好きな村山早紀さんの作品の中でも特に好きな作品です。
      今も思い出すとあの桜色の美しい光景が目に浮かびます。
      私もフレーズ欄が一杯になっていますよ。
      アリスちゃんも可愛かったですよね♪
      なんと!二巻めですか!
      嬉しい情報、ありがとうございます!
      ワクワクしますね~^^

      あと、もしかしてお気づきかもしれませんが、私の本棚で行列しているネコちゃん本の何冊かは、tsukiyomi777さんの本棚からトコトコしてきてもらいました(^^♪

      可愛い本と、素敵なレビューと、
      あとは何といってもアイコンの♥マークのネコちゃんに会えるのを楽しみにお邪魔しています♪
      これからもよろしくお願いいたします(*^-^*)
      2018/04/22
    • tsukiyomi777さん
      杜のうさこさん、こんばんは!
      お返事ありがとうございます(*^^*)

      はい、最高です(^^*)
      いまだに毎日、感動したページを寝る...
      杜のうさこさん、こんばんは!
      お返事ありがとうございます(*^^*)

      はい、最高です(^^*)
      いまだに毎日、感動したページを寝る前に読み返しています笑
      杜のうさこさんがレビューを書かれてから一年近く経っていますが、それでも感動が色あせない本なのですね~!素敵ですね(*^^*)

      村山早紀さんの本は今回初めてでしたが、すっかりファンになりました(^.^)
      今ルリユールを読み始めましたが、次に何を読もうか今からわくわくしています。
      また、杜のうさこさんの本棚を参考にさせて下さい(*^^*)

      〉私の本棚で行列しているネコちゃん本の何冊かは、tsukiyomi777さんの本棚からトコトコ

      そうでしたか~!
      杜のうさこさんもねこお好きなんですね(^^*)
      私の本棚のねこ本も、他の方の本棚からトコトコ組が多いです。
      好きな本で繋がれるってこんなに幸せなんですね、ブクログを始めてよかったなぁと改めて思いましたよ(*^^*)

      こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします(^^)
      2018/04/24
    • 杜のうさこさん
      tsukiyomi777さん、こんばんは~♪

      再訪して下さり、ありがとうございます(^^♪
      うわっ、もう一年になるんですね、信じられ...
      tsukiyomi777さん、こんばんは~♪

      再訪して下さり、ありがとうございます(^^♪
      うわっ、もう一年になるんですね、信じられません。
      読みたい本ばかりで、追われるように読んでいると、あっという間ですね。
      >それでも感動が色あせない本なのですね~!
      本当にそう思います。
      この本は今、家の本棚に表紙を前にして飾ってある一冊なのです。
      この季節にピッタリの本ですよね^^。

      村山早紀さん、初めましてだったんですね~。
      他の作品だと、『コンビニたそがれ堂』シリーズもすごく良かったです♪
      可愛いネコちゃんもよく登場してくれますよ(^^)

      そうですね、好きな本で繋がれるって本当にシアワセですよね~
      これからも、たくさんのトコトコ組にめぐりあえますように(^^♪

      では、では~(^^)/
      2018/04/25
  • 村山さんの作品をはじめて読みました。悲しいわけではないのに涙が止まらなくて...読み終わってしまうのがもったいないくらいでした。他のシリーズも是非読んでみたいです!

  • 百貨店内の大きな書店で働いていた青年が、思わぬ事故で辞めることになり‥?
    優しい気持ちにさせてくれる物語です。

    風早町の古い百貨店本館にある銀河堂書店。
    月原一整は、隠れた名作を見出す才能があると店長に認められていました。
    才能ある店員が揃っている職場ですが、毎日の重労働に加えて、勧めたい本のポップを作ったり、本の並べ方を工夫したり。
    決して楽な仕事ではありません。
    地道な取材を感じさせる描写で、ネット販売が主流になっていく時代に、町の書店への応援歌となっていますね。

    えてして軽い気持ちで行われる万引きも、実は書店に大きなダメージを与える問題。
    思わぬ事件の顛末で書店の評判が落ち、一整が責任を取る形で辞めることになります。
    これほど立派な人達が揃っている店なのに、なすすべもなく‥

    傷心の一整は旅に出て、以前から交流のあった桜風堂の主人と出会います。
    時の流れに取り残されたような山間の小さな町・桜野町で、たった一つの書店が閉店しそうになっていた‥
    子猫やオウム、桜風堂の孫の少年らとの暮らし。
    そこで出会った作品を巡って、銀河堂の仲間たちと再び‥?
    過去にあったことで孤独がちだった一整が、居場所を見つけていく。

    この作者ならではの清潔感のある文章の、柔らかな描写が心地よい。
    モチーフはやや少女っぽく感じられるかもしれませんが、丁寧な描写でさすが読ませる力がありますね。
    夢のある展開で、盛り上がります!
    桜野町に行ってみたい。
    この表紙の窓辺へ‥

  • 本屋大賞にノミネートされただけあって、これは本屋さんが絶対読んで欲しい本でしょうって内容でした。

    出てくる人がみんな優しいよね。優しくないのは現実を知らないのに噂に踊らされてギャーギャー喚く人たち。

    悲しい過去をもつ少年は優しい大人になったのだよ。
    縁あって長閑な町の書店を手伝うようになるし、元いた書店で売ろうと思った本を、他の書店員たちが意思を引き継いでみんなで盛り上げていく。

    それぞれの思いも交差しあって、相手を思いあって、いいお話でした。あとがきもとっても良かったです。

  • 古い百貨店の中にある、創業当時からのテナント書店「銀河堂書店」
    そこには、素晴らしい書店員が沢山いる。
    主人公の月原一整は、勤続10年で文庫本コーナーを担当している。
    過去の不幸にとらわれて、人と深く関わり合わない物静かな青年だが、
    埋もれていた名作を見つけ出して光を当てるケースが多く、
    店長から「宝探しの月原」と呼ばれ、信頼されていた。
    一整は着目した一冊の新刊の文庫があった。
    しかしある日、店内で起こった万引き事件が原因で店を辞めざるをえなくなる。
    傷心を抱えた一整は、以前よりネット上で親しくしていた田舎町の温泉保養地である
    桜野町に桜風堂書店を構える老店主を訪ねる旅に出る。
    そこで思いがけない出会いが一整を待ち受けていたーー。

    幼い頃に愛する家族と居場所をなくした彼が居場所をまた失うが、
    本に導かれて別の場所で再生し、居場所見つけた物語。
    表紙のイラスト通りの優しい雰囲気の物語でした。
    でもそれだけじゃなくって、大型書店と昔ながらの地方の書店の現状など、
    苦しい様子が所々に散りばめられていて、その中にあっても様々な工夫をしながら、
    書店を盛り上げていこうとする書店員の姿がとても魅力的で、
    熱い思いがさりげなく伝わってくる。
    本を愛する人にはたまんない一冊でした。

    情景描写が綺麗で優しかった。
    場面ごとに色彩が浮かんでくるような色鮮やかで、花や草の匂いさえ漂ってくる感じがしました。
    一整がみつけた宝物の様な一冊を巡り元同僚達が一緒になって奇跡を起こす。
    登場人物が皆優しくて良い人で一生懸命で良かったです。
    時々挟まれる猫のアリス目線が良かったなぁ~ほんわかしました。
    帯の通りに温かい涙がウルウルしました。

  • あぁ~、好きだ!と感じる本。
    心に響く、心にしみわたる。
    ほっこりする、ほんわかする。
    考えさせられる、目をそむけたくなるのに目が離せない。
    意表をつかれる、想像していたものと違う結末。
    胸を鷲掴みにされる…
    いろんな”好き”があるけれど…

    この本は、”今”の私にピタッと寄り添ってくれるような本でした。

  • 釈迦は法華経。
    キリストは聖書。
    ムハンマドはコーランを残した。

    人々を救うために紡がれた優れた教えも、優れた物語にした弟子達が活字に残すことによって、未来に受け継がれてきた。

    学生時代の恩師が教えてくれた。
    「大学で一番偉いのは誰か? 教授でも、学長でも、総長でも、創立者でもない。管理人さんだよ」
    「例えば、新聞ならどうか。記者でも、カメラマンでも、社長でもない。配達の方々だよ」

    この小説は、現場で身体と智慧をフルに毎日使い切る書店員さんたちの物語。

    現場で汗を流し、知恵を絞り、本への愛情を注ぎ込んでくれることで、活字文化は継承されてきた。


    「宝探しの月原」の異名を持つ、銀河堂書店の月原一整は、ある不幸な事件に巻き込まれ、天職とも言える書店員の職を辞してしまう。

    心も身体も病みかけた一整は、ブログでのやり取りを続けていた桜風堂書店への小旅行に出かける。

    小さな奇跡が織り成す、美しくて、優しくて、力強い物語。

    本を愛する全ての人に、読んでもらいたい物語。

    そして、その感想を語り尽くし会いたい物語。

  • 初読み作家。
    歴史のある百貨店内の書店に勤める月原一整は、物静かな青年ではあるが店長や同僚から信頼されている書店員だった。しかしながら、万引き事件をきっかけに店を辞めてしまう。傷が癒えぬままネット上で知り合った小さな町にある書店、桜風堂の店主に会に行く一整。入院中の店主に頼まれ、店を任されることに。
    ゆったりとした暖かさで、心温まる物語。猫のくだりはファンタジーのようになってしまい、あまり共感ができなかった。温かい人間に囲まれて、少しずつの想いが大きな結果を生む。予定調和では合ったが、面白く読めた。

  • 作者の暖かい文章と、本と言葉を心から大事にしている一整のおかげで、前よりも本屋さんに行く回数が増えました。僕は京都に住んでるので、個性的な本屋さんをいくつか見かけますが、そのたびに一整を思い出し、つい店内に入ってしまいます。

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著者プロフィール

作家

「2020年 『星をつなぐ手 桜風堂ものがたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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