誰も教えてくれない 真実の世界史講義 古代編

著者 :
  • PHP研究所
3.88
  • (5)
  • (7)
  • (4)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 91
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569834825

作品紹介・あらすじ

世界最古の文明は日本だった!? ヨーロッパ人が憧れたオリエントの繁栄を、独自の視点でたどりなおす倉山世界史第一弾!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ちょうど中世のヨーロッパの歴史の本を続けて読んでいた最中に、この続編である「中世編」を先に読みました。これでもかと西ヨーロッパといわゆる「中国」の中間にあたる(今までの世界史では空白とも言える)地域の歴史を本来の(少なくとも偏見のない意味での)(あるいは世界の先端地域の)世界史として説明されます。

    それが面白かったので、古代編も読みました。

    最近、ヴァイキングから初めて、アングロサクソンのイギリスやそこから古代ローマ帝国、フランク王国を経て神聖ローマ帝国などの一般向け歴史書を読んでいたところだったので、それが「世界史だ」とまでは思っていなかったとはいえ、頭の中では古代ローマを起点に西欧の歴史年表を思い描いていました。

    それが面白いようにこの本で覆される、というか思いっきりズームアウトされて古代ローマ帝国など痛くもかゆくもないような大帝国がその後ろに控えていたとか未開の果ての西欧とかが描写されててスリリングな読書感を味わいました。

    オリエントの歴史に始まり、ギリシャローマや中国の歴史を長々と読んでいくと、日本のことなど忘れていたあたりでやっと卑弥呼が登場。。。愕然とします。

    いつもの倉山氏の通り、歴史をめぐる認識やら理解やら現状への苦言が時々混ざりながら、これでもかとトリビアも混ぜ込んだ、平たいというか日常語で語られる歴史です。

    貢物をする関係を「カツアゲされてた」とか表現されてるのはわかりやすくてつい笑いがこみ上げます。歴史や政治といえども、人間普段やってることの積み重ねですとか誰かが言っていたのを思い出した。(私がやってるという意味ではないですよ)。

  •  中国史のパターンを
    1.新しい王朝の成立
    2.王が家臣を殺す
    3.対外侵略戦争を仕掛けて、自陣営を減らす。
    4.漢字の改変や、歴史書を作り直す
    5.官僚や側近がやりたい放題する
    6.全国に秘密結社ができ、農民反乱が全国で起こる
    7.地方軍閥が首都に乱入し、王朝を倒す
    で分析するのが面白かった。古代からずっと今に至るまで、このパターンを繰り返しているという。
     古代の世界史の動きを、中東に主軸に置いて、ヨーロッパや中国中心になりがちな世界史を否定する本だが、面白くて一気に読んだ。著者が楽しんで書いている感があるからか。
    「煬帝」という読み方からして、プロパガンダに加担しているとしたり、歴史のさりげない、無意識にまで入り込んでくる歴史政治について言及している。そういう無意識にまで入り込んでくる歴史政治に対して、例えば中国を「パターン」で見たり、「ヨーロッパ人が古代ギリシアを起源としたがるのはなぜか」から、「オリエントの大帝国ペルシャに戦争ではじめて勝った」がその理由とか、そのヨーロッパにおける「中東へのコンプレックス」で分析するとか。イラン、サウジアラビア、エジプトといったあの当たりへの意識が古代から今につながっていることがよくわかる。
     古代オリエントからのあの地域の流れをわからないと、ヨーロッパや世界史がぜんぜんわからないぞと教えてくれる本でした。

  • 本の「はじめに」で、なぜ歴史を学ぶのか、ということで
    5つの事柄が挙げられています。
    1、正しい事実がわかる
    2、現在の自分の立ち位置がわかる
    3、未来に何をすべきか見えてくる
    4、他人の嘘を見抜けるようになる
    5、頭がよくなる
    そして、われわれ日本人は不完全な東洋史と不完全な西洋史の野合にすぎない世界史に騙されてきたということだが、倉山満のパースペクティブに基づき、真実の世界史古代編を著したものである。
    第1章 文明の発祥――どこが文明の先進地域だったか
     第1節 圧倒的な文明先進地域
     第2節 「四大文明」にヨーロッパは入っていない
     第3節 エジプト文明
     第4節 メソポタミア文明
     第5節 インダス文明
     第6節 黄河文明とチャイナ
     第7節 ギリシャ文明
     第8節 日本の文明
    第2章 紀元前の世界
     第1節 例外中の例外!アレキサンダー大王で
         世界史を語るな
     第2節 本当は怖すぎる韓非子と始皇帝の中国
     第3節 地中海のライバル、カルタゴとローマが
         戦ったポエニ戦争
     第4節 漢帝国の実情
     第5節 カエサルとオクタビアヌスのローマ帝国
    第3章 消された真の先進地域
     第1節 ユダヤ人の悲惨な宿命とユダヤ教
     第2節 「怖い人たち」アッシリア
     第3節 ヨーロッパが憧れたアケメネス朝ペルシャ
     第4節 ヘレニズム文化の担い手は誰か―
         アレキサンダー死後の興亡
     第5節 安息の国パルティア―シルクロードの国
    第4章 ほんとうは怖いキリスト教の誕生
     第1節 キリスト教の正体
     第2節 王莽の中国
     第3節 五賢帝のローマ
     第4節 後漢から三国志の時代へ
     第5節 三国志の終焉
     第6節 ローマの落日
    第5章 暗黒の世紀の始まりと東西の明暗
     第1節 コンスタンチヌス帝とキリスト教の呪い
     第2節 和の国と朝鮮出兵
     第3節 西ローマ帝国の滅亡とキリスト教の異端
     第4節 聖帝!仁徳天皇と「民のかまど」伝説
     第5節 ユスティニヌス帝とビザンチン帝国の栄光
     第6節 聖徳太子の素敵なラブレター♡
    第6章 世界の大激動と東西衝突
     第1節 イスラム教の登場
     第2節 白村江の戦いと国民国家・日本の誕生
     第3節 中央ユーラシアの“関ヶ原”タラス河畔の戦い
     第4節 辺境の雑魚、フランク王国
    となっています。
    学校で習った個別的、断片的歴史学習では知り得なかったユーラシア大陸を中心とした全体の動き・流れがつながり、また、日本の古代の歴史も解りやすく説明されていた。
    日本人として自信をもって世界史に接するための入門書と思えばいいのかも。
    少し軽いノリもアクセントがついて大変読みやすい本であります(笑)。

  • 著者のやや偏った考えがチラチラの目につきますが、ヨーロッパと中国に偏りがちな世界史を中央アジア(イスラム教)を中心に述べている点では新たな視点を与えてくれる本であった。
    古代編とはいえ、8世紀くらいまでの世界史を扱っており、古代では中央アジアのメソポタミア文明が中心であり、そこを源流にして歴史が切り開かれていったことが理解できる。
    中東への見方を変えてくれる本である。

  • 嘘だらけの歴史シリーズ(日米・日英・日中等)や、昨年(2016)から興味を持ち始めた「地政学」に関する解説本を何冊となく書いている、倉山氏によって書かれた、古代における世界史を解説した本です。

    私にとって、世界史の授業では、ほとんどが欧州に関するもので、古代の時代になると、東洋や中国に関する内容があり、それとは別の時代のように「四大文明」を習った記憶があります。四大文明で栄えたエリアはどうなったのだろう、と疑問に思うのもつかのま、ほかの時代の学習へ進んでいったのを覚えています。

    この本では、古代・中世と言われている時代において、各エリアでどのような文明が栄えていたのかが述べられています。この本を読んで、いままで時代毎にエリアを学習していて、断続的であったのが、一つに繋がったような気がしました。

    エジプトやアジア等、いわゆる「東」が栄えていたことがよくわかりました。また日本は本当に外乱に巻き込まれることなく国が発展していった幸せな国であることもわかりました。

    以下は気になったポイントです。

    ・歴史を学んで得られること、1)正しい事実がわかる、2)現在の自分の立ち位置がわかる、3)未来に何をすべきか見えてくる、4)他人のウソを見抜けるようになる、5)頭がよくなる(p4)

    ・日本では最古の土器(1.6-1.8万年前)、最古の磨製石器(3万年以上前)が発見されている(p19)
    ・エジプトは、それまで1日20時間だったのを、24時間とした。ヒエログリフ(絵・スタンプ)のような象形文字を使用していた(p27)

    ・ハムラビ法典の「目には目を歯には歯を」とは、同じ身分の者同士の場合は、対等な刑罰まででやめておけ、身分が違う場合はこの限りではない、という意味(p31)

    ・チャイナの範囲は、黄河・揚子江(長江の下流部分)、そして西の方にある西安の三か所に囲まれる部分、満州・モンゴル・新疆・チベットを足して中国と言い出したのは毛沢東(p36)

    ・紀元前660年に日本が建国された、歴代天皇の在位年数を足して西暦換算するとそうなる、伝説の部分(p70)

    ・日本では殺し合いによって人口が減少したのは、弥生時代と南北朝時代のみ、日本には平和な時代が長い(p71)

    ・共和政ローマは、カルタゴ(ポエニと呼ばれていた)と西地中海の覇権を争って、足掛け118年(3回)戦った、当時は地中海アフリカが先進地域、次が地中海ヨーロッパ(p95)

    ・カエサルは膨大な借金までして3つのことをした、1)手下を養うための宴会、2)本、3)女性への贈り物(p110)

    ・ヘブライ王国は、ソロモン王が死去したのちに分裂(前922)してしまう、北部のイスラエル王国と、南部のユダ王国、ユダヤとイスラエルは宿敵である(p124)

    ・ユダ王国は、新バビロニアがエジプトに勝つと新バビロニアに朝貢し、エジプトが勝つと新バビロニアに反旗を翻す、なので、新バビロニアが派遣した懲罰軍によりイェルサレムの街は破壊され滅亡、属州となり、多くの民が新バビロニアに連れていかれた(バビロン捕囚)(p124)

    ・アッシリアは最初の世界帝国と言われた、帝国とは異民族を含み、複数の民族が存在する国家である、皇帝が治めるから帝国ではない(p136)

    ・紀元前612に、アッシリアを滅亡させ、新バビロニア(イラク)・メディア(イラン:高貴なる者という意味)・エジプト・リディア(トルコ)の4つの国に分かれた(p137、145)

    ・ペルシアの異民族統治方法は、アッシリアや新バビロニアとは異なっていた、軍役・貢納と引き換えに、宗教・風習を容認した。ローマ帝国もこれをお手本にした(p143)

    ・アケメネス朝ペルシアは、アレキサンダー大王により滅ぼされた後に分裂し、セレウコス朝シリア(後に、パルティア=イランが独立)、プトレマイオス朝エジプト、アンティゴノス朝マケドニア(ギリシア)の3つに分裂した(p146、153)

    ・遣唐使は四隻で行く、生存率が50%なので(p153)

    ・イエスが始めた宗派はユダヤ教の改革派である、当時のユダヤ教の二大宗派は、ファリサイ派とサドカイ派であった(p160)

    ・ハドリアヌス帝は、イングランドとスコットランドの間に「ハドリアヌスの壁」を作ろうとしたが完成しない、石が足りないので、造ってあるところから持ってきては積んでいたから(p183)

    ・大帝国とは滅びる原因が内部要因であり、外敵からの攻撃によって消耗するのではなく、自ら崩壊していく(p184)

    ・魏は高句麗とも対立していて、邪馬台国と仲良くしておいたほうが得なので、親魏倭王という称号と金印がもらえた、印鑑をもらえたということは、手下になることを意味した(p197)

    ・アタナシウス派は、イエスはヨセフの子ではなく、処女マリアから生まれた神、神と精霊とキリストは三位一体であるとするもの、アウリス派は、父である神と子であるイエスは一体ではない、イエスは人間であると考える。コンスタンツ帝の開いたニケーア公会議(325)により、三位一体のアタナシウス派が正統、アリウス派は異端となった(p214)

    ・キリスト教では、すべての教えは聖書にあるとし、知識・技術をどんどん軽視していった、その結果、下水がだめになり不潔になった(p215)

    ・ギリシアを征服してもオリンピックは行われていたが、392年にテオドシウス帝がキリスト教をローマ帝国の国教にしてから、異教の神々を祀るので禁止した、古代オリンピックは393年の第293回大会を最後に1200年の幕を下ろした、近代オリンピックとして蘇る1894(開催は1896)まで1500年も待った(p219)

    ・エフェソスで行われた公会議(431)で、三位一体説がさらに確認され、ネストリウス派が異端となった、ローマ帝国を出て、ササン朝ペルシアから唐に伝わって、景教と呼ばれて奈良時代には日本へも伝わった(p234、243)

    ・ローマ帝国でキリスト教が国教になってから5つの管区に分けられた、ローマ教会・コンスタンチノープル教会・アレキサンドリア・イェルサレム・アンティオキアである、後の3つはイスラム化したので、ローマ教会とコンスタンチノープル教会で首位権を争った、最終的に、ローマカトリック教会と、東方正教会に分かれて今に至る(p235)

    ・西ローマ帝国は476年ほろんだ、分裂した中からフランク王国(メロヴィング朝)がのち(800)に建国される(p238)

    ・昭和天皇が防空壕から出て、新造された吹上御所に移られたのは、昭和36年(終戦16年後)のことである(p252)

    ・写実画が禁止されていたのは、神の目を人間が持ってしまうことになるので許されなかった(p261)

    ・隋の煬帝は聖徳太子の国書の内容に激怒したが、翌年、小野妹子が帰国するときに、裴世清(隋の官吏)を返礼の使者として同行させている、これは隋の煬帝が「和国」を対等の国であると認めたことになる(p269)

    ・ユダヤ教、キリスト教、イスラム教で神の使いである天使は共通している、三大天使とは、ガブリエル(マリアにイエスの降誕を知らせた)・ミカエル・ラファエルである(p276)

    ・ムハンマドがメッカを離れた日を紀元(622年)とした、メディナに移り、アッラーの言葉を伝えていった(p278)

    ・イスラム勢力は、ビザンチン帝国から、イェルサレム(638)、シリア(640)、エジプト(642)を奪い、ペルシアからはイラク(637)を奪った、シリア・エジプトは大穀倉地帯でもあったので、ビザンチン帝国はローマ帝国以来続いていた小麦の供給が停止となった(p284)

    2017年5月1日作成

  • 文字通り、通説とは違う世界史を説いた一冊。

    従来であればヨーロッパや中国が中心の世界史を、そうではなく近世までは中東やアラブ世界が文明の先進国であること説いている点が新鮮だった。

    古代史以降の中世史と近現代史も早く読んでみたい。

  • メソポタミア 川と川の間  チグリス、ユーフラテス イラクのほぼ中央

    アリストテレス 民主制が最悪と考えていた
     アリストテレスすごろく 民主政、衆愚政、一人の独裁者にまかせる君主制

    自分で考えることを放棄した多数の者が政治に参加すれば、デマゴギーが勢いをもってしまい、誰にも止められなくなり、挙句の果てにはソフィストと呼ばれる、人々の耳に心地よく聞こえることばかりを言う連中が大衆に支持されるようになり、そうした輩が跳梁跋扈する釈迦になる

    第二次ポエニ戦争でローマの心胆を寒からしめたのが、カルタゴの若き名将、ハンニバル

    劉邦の愛人の戚婦人を人豚の刑にした

    スペード ダヴィデ王 キング アレキサンダー大王 クイーン カエサル
    ハートのキングがカール大帝

    アッシリア 戦車 chariotを使う

    アッシュールハニバル 大図書館(ニネヴェ図書館)

    イラン人 自分たちの国をアーリア人の国なのでイランと呼ぶ

    325 ニケーア公会議 三位一体を唱えたアタナシウス派が正統とあれ、否定したアリウス派は異端とされた

    五本山 ローマ教会、コンスタンチノープル教会、アレクサンドリア、イェサレム、アンティオキア 後ろ3つはイスラム化したので、はじめの2つが対立

    奈良時代につたわったキリスト教は異端といわれたネストリウス派 それを認めないのはカトリックとプロテスタント

    ムハマンド メッカの大商人の家にうまれた サウジがイスラム教の盟主のごとく振る舞う理由の一つが開祖の生まれた国だから

    第3代のウスマルのときコーラン
    第4代カリフ アリ― 暗殺
    その後主導権を握ったのがウマイヤ家のムアーウィア その後カリフはイスラム教団から選べれるのでなく、世襲されていく ウマイヤ朝

    ムアーウィアがなくなると対立激化 カルバラーの戦い 680 アリーの後継者であるフサインがシーア派の後押しもあって、ウマイヤ朝に対して反乱おこす 殺害される

    中央アジアの関が原 751 タラス河畔の戦い アッバース朝イスラム帝国と唐の戦い アッバース朝の圧勝

    アッバース朝に捉えられた唐の捕虜の中に、製紙の技術をもつものがいた。それがサマルカンドに伝えられた

    フランク大国 ゲルマン人の一派 ハートのキングのモデルのカール大帝 シャルルマーニュ

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

憲政史家

「2023年 『これからの時代に生き残るための経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉山満の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×