コミンテルンの謀略と日本の敗戦 (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569836546

作品紹介・あらすじ

レーニンがつくった世界革命組織・コミンテルン。日本はなぜ彼らの策動に乗り、自滅してしまったか。隠された歴史の真実を抉り出す刮目の書。

感想・レビュー・書評

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  • いろいろ知らない事実があった。
    コミンテルンという旧ソ連発のスパイが、各国の内部に深く入り込み、分断を仕掛けている事実。
    第二次世界大戦は、彼らの工作に日本も欧米ものせられてしまった結果だと。
    その工作は今も続いているとあり、各国のコロナ対策による人権侵害や、ウクライナとロシアの戦いによる新たな冷戦突入は、全てこの共産主義インターナショナル(コミンテルン)の策略なのかと肝が冷える。

    日本はどう立ち回れば良いのか。

    本文の中で右派も保守自由主義と右翼全体主義とに分かれている、と指摘されているが、今の国のコロナ対応を見ていると、全体主義が優勢にも感じる。

    自由主義であり国の権力を厳しく監視する現憲法を護るにも、国防の話にすり替えられ、改憲派が優勢にも見える。
    真に国益を護る政治家がいてくれるかだが、国民ももメディアに煽りに感情的にならず、冷静に判断していかないとと思わされた。

  • 日本の敗戦の陰にコミンテルンのスパイが跳梁跋扈していたと。
    まあ今でも共産主義革命を目指すコミンテルンのDNAは残ってますからね。

    沖縄を見るまでもなく平和主義を訴える人ほどなぜ暴力的なんでしょうね。
    自己の思想と合致しない表現には徹底的に攻撃を加えて言論を封じる。
    それはコミンテルンが共産主義革命のためには資本主義を暴力で滅ぼさなければならないと言っているDNAと変わらないような気がします。

    コミンテルンの情報戦に「日常の宣伝と扇動」があります。
    これは論点を逸らして本当に大事なものから目をそらせる役目を果たします。
    今の政権与党を倒すだけが目的の報道機関がどのような行動をしているかコミンテルンの行動原理と照らし合わせるとよくわかるようです。

    これは戦前の話だけではなく、いまも連綿と続く「平和主義=暴力革命」をつなぐコミンテルンという組織を知るための良本だと思います。
    そういった勢力が戦前だけでなく戦後の今も日本で暗躍してるかと思うとゾッとしますね。

  • 2022年68冊目。414ページ、累計18,541ページ。満足度★★★☆☆

    旧ソ連は「コミンテルン」という世界の共産主義者ネットワークを構築し、世界「共産」革命を目指して、各国に対する工作活動を仕掛けた。つまり、スパイを送り込み、秘密裏にその国の世論に影響を与え、対象国の政治を操ろうとした。このソ連・コミンテルンの対外工作によって世界各地に「共産党」が創設され・・・。

    欧米では国際政治学、外交史の一分野として、この「スパイ」「工作員」による秘密工作について論じる学問が立派に確立されている。

    本書は、日本の敗戦にも深く影与えたコミンテルンの実態について、当時の文書から豊富な引用も行いながら浮き彫りにするもの

    新書ながら400ページを超える分量に、正直、後半は読み飛ばしたが、特に前半は読んで損がないと言えるだろう

    ただし、後半は前半に比べて少々退屈する内容なので、分量が半分でちょうど良かった。そのため、星は減点

  • 戦前の国内、国外の政治背景や思想の根底を理解していなかったので読むことに苦労した。
    人物の相関図をイメージしながら読むことで理解がより深まると思う。

  • 目からウロコが出る内容です。コミンテルン(共産主義インターナショナル)、右翼、左翼、共産主義、社会主義、ソ連、保守自由主義、大東亜戦争。これらの繋がり、過去の事実が明確に理解できるとともに、なにより現代の政治、世界情勢が見えるようになります。
    江崎先生の著書はすばらしい。

  • 2017年に出版ですから、今から(2020年)3年前の本となります。

    帯の中西輝政さん推薦とにひかれて購入も、
    その当時は特に理由はなく流し読みだったのですが、、

    今まさに、この時期に読んでおきたい一冊です。

    事象としては、日本が普遍的価値観を共有できている、
    ないしはできそうな国々で、同時多発的に、、

     一方では綺麗事を唱え、一方では戦争を煽り、
     戦争を起こさせ、それを終わらぬようにする。

     金持ちへの嫉みや不信を煽り立てることで「自由」の基盤となる
     議会や自由主義経済を否定し、全体主義的な統制への道を切り拓く。

     社会を分断し、混乱させ、人々の不信感と憎悪を高める-。
     このようなコミンテルン的手法は、あまりに悪魔的といえる。

    との現象が勃発しているのが見て取れるからです、不思議と、
    日本国内のオールドメディアはあまり伝えてくれませんが、。

    またここ最近、右も左も極点まで行くとどうしてこうも「全体主義化」するのか、と、
    都知事選候補者(2020年7月投票)の方々の在り様等からも、疑問だったのですが、、

     「右翼全体主義者」と「左翼全体主義者」が結びついて、
     大政翼賛会などをつくり、大日本帝国憲法体制を破壊した

    なんてことからも、戦前との類似性が出てきているのかな、と、
    歴史は繰り返す、その面差しを変えて、なんて風にも感じてしまいますね。

     戦前の日本のあり方は、本来、帝国憲法体制であり、
     美濃部達吉が天皇機関説で説明していた立憲君主制であって、
     自由主義に基づく体制であった。

     だが、左右の全体主義たちによって帝国憲法そのものが骨抜きにされ、
     選挙によって示された民意を重んじる憲法習律も否定されていった

    戦後、WGIPからの公職追放などで漁夫の利的に引き上げられた、
    「左翼(敗戦利得者)」によって「右翼全体主義」ばかりに、

    戦前日本の舵取りの誤りの責任を負わされてしまっていますが、、
    戦前での「全体主義」とのくくりには「右翼も左翼」も同じ枠に入るかな、と。

    そういった意味では、、

     明治天皇のもと、欧米の文化を必死で導入し、
     近代産業国家を構築しようとした明治の人々の奮闘も、

     五箇条の御誓文に基づいて自由民権運動を起こし、
     貧富の格差などを解決しようとした大正デモクラシー

    との感覚と、その上での、

     左右の全体主義たちによって帝国憲法そのものが骨抜きにされ、
     選挙によって示された民意を重んじる憲法習律も否定されていった

    とは、一応、大学で近代史に触れていた一人としても、肚落ちします。
    そして、このような経緯を歴史として学んでいくのであれば、

     憲法改正によって取り戻すべきは「保守自由主義」であって、
     「右翼全体主義」でも「左翼全体主義」でもないと
     明確に答えることができるようになっておくべき

    と思いますし、また、敵を知り己を知れば、との視座に立てば、

     報道に対する国民のリテラシーを高めることであって、
     自分が気に入らない新聞の「廃刊」を叫ぶことではない

    も、その通りと思います、自分の軸がしっかりしていれば、
    知識としては知っておくべきなのでしょう。

    あらためて、知識に裏付けされた自分の言葉をもって、
    必要に応じて表現していくことを意識したいな、と。

    3年前の本ですが、先読みのごとくにいろいろと示唆に富んでいて、
    過去の歴史的事実を、自分の言葉で理解することの大切さを感じました。

  • めっちゃ面白かった。レーニンがコミンテルンを作った経緯とか、敗戦革命を目指す理由や、どうして日本がコミンテルンにいいように操られてしまったのかがとてもよく分かった。大切なのは保守自由主義、日本の伝統を守ることと、自分の意見が違うからといって弾圧してはいけないということ。

  • コミンテルンとは共産主義インターナショナル
    ●第二次世界大戦前、アメリカの世論を反日親中に誘導した在米のロビー団体、運動団体の多くが、コミンテルンの工作員たちによって操られていた。日本に対し経済制裁を主張し、対米開戦のきっかけとなった「ハルノート」の原案を作成したのも、それに北方領土等を明け渡すことを決定した「ヤルタ会談」に関与したのも、ルーズベルト民主党政権内部にいた、コミンテルンの工作員だったのだ。
    ●明治以降の日本のエリートは3つのグループに細分化していた。①資本主義はもうダメだと、社会主義にのめり込んだ左翼全体主義のグループ。②資本主義と議会制民主主義を批判し、内心では社会主義に共感しながらも国体を守ることを信じた右翼全体主義のグループ。③皇室のもとで秩序ある自由を守ろうとした保守自由主義のグループ。小田村寅二郎。
    ●大正時代都市部の労働人口が急増した。貧困問題労働問題が拡大し、新興宗教団体が次々と生まれたのもこのような時代背景があった。主に社会主義者とキリスト教徒が解決策を提示しようと活動した。
    ●昭和7年の515事件の時に撒かれた檄文を見ると、当時の軍エリートたちの頭の中が、どれだけ社会主義の語彙と論理に席巻されていたかがよくわかる。
    ●昭和11年の226事件。陸軍の青年将校に影響与えたのか北一輝であった。彼は、政党政治の腐敗、財閥による富の独占と国民の困窮を解決するためには、第二の明治維新を起こすべきだと主張していた。また、皇室を嫌悪していた。
    ●戦前の日本の構図は左翼全体主義、右翼全体主義、保守自由主義。そして右翼と左翼の全体主義が結びついて大政翼賛会を作り、大日本帝国憲法体制を破壊した。
    ●昭和研究会の三木清らが主張した、アジアの植民地や中国の解放は、確かに明治以来の日本のアジア主義と一見通底するのだが、その意図はアジアの共産化であって、自由と独立のアジアを願った大アジア主義とは似て非なるものであることに気づかないといけない。
    ●ゾルゲがソ連に独ソ戦勝利をもたらした。
    ●戦前の政府が、上杉の天皇主権説が正しいとみなして、美濃部達吉や吉野作造のような自由主義者たちへの弾圧を正当化するような愚行に走ったこと。これが過ち。

  • 共産主義の、コミンテルンの、謀略の凄まじさ。
    日本においては明治維新からのタイミング、エリートと庶民の分断から、極めてこの路線に乗りやすい土壌が生まれていた。

    んで、今でもそうだよな、きっと。

    それに、政権というか、社会の安定にどれくらい経済ってのが大事かってことも判る。

    こういう話をする、研究をすること自体ができない状況にしている勢力が、何かあると、言論統制だとか、弾圧だと吠える国の滑稽さ。

  •  明治末期、大正、昭和初期の経済状況やマルクス主義の台頭から日本でもエリートを中心に社会主義思想が広がり、コミンテルンの工作をとてもやりやすい環境を作っていった。この大前提を押さえておかないとこの時代は全然理解できないなと感じさせられた。
     そして右か左かではなく、「左翼全体主義者」「右翼全体主義者」「保守自由主義者」と3つに分類するだけでも、相当なパラダイムの変化が起こる。
     社会主義・全体主義思想が蔓延っていた時代に、十七条憲法や五箇条の御誓文の意義を正確に捉えて、保守自由主義を主張した、吉野作造・美濃部達吉・小田村寅二郎や山本勝市には敬意を表するとともに、もっと調べてみたい。

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著者プロフィール

江崎道朗(えざき みちお)
評論家・情報史学研究家、麗澤大学客員教授。1962(昭和37)年東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集、団体職員、国会議員政策スタッフを務めたのち、現職。安全保障、インテリジェンス、近現代史などに幅広い知見を有する。2019年第20回正論新風賞受賞。オンラインサロン「江崎塾」主宰。
著書に、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』(以上PHP新書)、『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ、第1回アパ日本再興大賞受賞)、編訳書に『米国共産党調書』(育鵬社)など多数。

「2023年 『ルーズヴェルト政権の米国を蝕んだソ連のスパイ工作-ー「米国共産党調書」を読み解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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