大量生産品のデザイン論 経済と文化を分けない思考 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
3.63
  • (6)
  • (10)
  • (6)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 141
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569837390

作品紹介・あらすじ

ロッテのガム、明治おいしい牛乳など、身近な商品デザインを手掛けてきた著者のデザイン成立までの思考プロセスを明らかにする一冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タイトルの通りだが、大量生産品のデザインについての本。リアルな社会と密接につながっているデザイン。

    メモ
    ・デザインの最適化をうむ判断指標
    価値を伝える、印象を表す、知覚を誘う
    ・商品の持続可能化を支える骨格づくりのデザイン開発の視点が大量生産品のデザインには必要不可欠になる。
    ・デザインに向かうため共有できる言語化がポイントとなる。無味乾燥なものでなく、多くの人のイメージを触発するクリエイティブなコアになるもの。
    ・距離に応じた見え方を設計する。遠く、近くから何がどう見えて、どう感じるものか。

  • ●デザインを作ることと育てること。プロはその後の展開まで含めて責任を持って作っている。
    ●佐藤卓…ロッテキシリトールガム、明治おいしい牛乳、NHKにほんごであそぼ。など。

  • 無名のデザイン
    自分の作品ではない
    価値はすでにそこにある

  • 「価値はすでにそこにある。」
     デザインという営為はナニモノカを指し示すことにある。
     そこに内在している魅力をピックアップして生かす。

    「デザインが消える瞬間を探す。」
     デザインと思われないようなデザイン。

    デザインを「モノ」に語らせる。

    デザインの役割
     眠っている感性を蘇生、覚醒させること。
     

  •  商品の持続可能化を支える骨格づくりのデザイン開発の視点が大量生産品のデザインにはまず必要不可欠になる。流行に依ったり、目立つことだけを優先するデザインでは商品の持続可能化を支えるパッケージの骨格には不適。それは時間に耐えきれない。(p.26)

     その商品の価値は、すでにそこに存在しているのです。私の役割は「見つけて」「引き出して」
    「つなぐ」こと。まだ誰も発見していなかった、そこに内在されている魅力を見つけて、引き出して、デザインのスキルでつないでいく。もっとはっきり言うならば、デザインは決して「付加価値」をつけるものではないのです。「価値はすでにそこにある」のですから、その価値をピックアップして生かすのがデザインであって、デザインによってそのものの価値を上げようなどとは思っていません。(p.44)

     パッケージにしても、企業のCI(Corporate Identity)やVI(Visual Identity)をつくるにしても、それはデザイナーの作品ではなく、企業の作品です。デザイナーの仕事は。彼らがもっているポテンシャルをいかに引き出すことができるのか、まだ見えていないものを抽出して、見える化をしていくことにあります。そのためには、企業サイドがどういう歴史をもっていて、そこで働いている人たちー営業もいれば、商品開発、研究開発、工場で製造にあたる人まで、さまざまな立場の人たちがいますがーの意見や考え方を十分に把握しておかなければならない。(pp.51-52)

     私のように、とくに美術大学に進学しているような人間は、何かをつくり出す、自分を表現するということに憧れてその道に進むわけです。ところが一番大切なことは、それを「どう伝えるか」ということだったのです。しかも、伝えるためには、きちんと相手の話を聞くことが何より重要だった。(p.118)

    「デザインの解剖」には、解剖される商品をつくっている企業の社内啓発的な役割もある。デザインのメスで解剖されることによって、まず、自分たちのやっている仕事も「デザイン」という領域に含まれているという理解が生じる。このことは、佐藤が懸念するデザインの誤解、つまり、狭い意味での@「デザイン」(オシャレでカッコいいものがデザインである)という概念を打ち破る。(p.160)

     デザインは「気を遣う」ことです。先々のことを想像して、今、何をしておけばいいのかを考え、実行する。それはつまり、道徳を学ぶことに近しい。つまり「デザイン」という授業があれば、美術や工芸的な知識に加え、道徳を学ぶこともできるわけです。あるいはそこに、コミュニケーションという視点を入れてもいい。人の話をよく聞き、自分の考えもきちんと伝える。これもまた、デザインの基本です。「デザイン」という授業があれば、それはきっと国語・算数・理科・社会といった他の授業の理解を深めることにも役立つに違いありません。(p.213)

     デザイナーが「デザイン」に責任をもつということは、デザインを扱う者の規範だ。デザインを扱う裡で、何を責任の対象にするのかは、当のデザイナーのデザインに対する立ち位置から必然化される。作家性に依拠する場合、無名性に依拠する場合、それぞれのそれが、デザインの批評性につながることを私は期待したい。(p.213)

  • 東2法経図・開架 674.3A/Sa85t//K

  • ロッテの「クールミントガム」、明治の「おいしい牛乳」など大量生産品のデザインにかかわってきた著者によるデザイン論

      「デザイン=特別なもの」ではない
      価値はデザインが与えるものではなく引き出すもの
      自分を表現することよりもそれを「どう伝えるか」が大切
      作家性でなく無名性に軸足を置く
      デザインとは「気を遣う」こと

    クライアントといっしょに商品の魅力を引き出していくデザイナーの現場が追体験できる一書

    《その思考とプロセスは、モノづくりにかかわるすべての人に共感をもって読まれるに違いない。》──カバー内容紹介

全8件中 1 - 8件を表示

著者プロフィール

デザイナー

「2017年 『大量生産品のデザイン論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤卓の作品

大量生産品のデザイン論 経済と文化を分けない思考 (PHP新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×