- PHPエディターズ・グループ (2018年2月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (302ページ) / ISBN・EAN: 9784569837673
作品紹介・あらすじ
福岡市が地方最強都市と言われるのはなぜか。著者の徹底取材によって明らかとなる、福岡市の都市競争力と地方が生き残るためのヒント!
感想・レビュー・書評
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このたび九州旅行に行くことになり、フェリーの中で予習を兼ねて読んだ。
福岡には3回訪問したことがある。それぞれ新幹線と飛行機でアクセスしたが、コンパクトに交通機関が纏まっていて驚いた。ちなみに、私は会社で新潟支社にいたことがあるが、新潟から最も近い支社は、東京ではなく九州支社だった。その理由も納得できる。
今でこそ九州の中心都市、アジアに近い世界都市として、福岡は揺るぎ無い地位にあるが、戦前は長崎や熊本よりも人口が少なく、重要拠点ではなかったことを知って驚いた。
行政手動ではなく、強い信念を持つ個人(民間)達が、型破りな戦術を次々と実行して、福岡市を発展させてきたことを知った。当時、他の都市に劣る制限要素をチャンスに変えてきたことは素晴らしいと思う。
他人に嫌われてでも、目先の「出来ること」ではなく「やるべきこと」に、福岡発展の立役者達は強い気持ちで向き合い続けたのである。
それに対して、地域活性化を建前としながら、国から補助金をもらうことが目的化しているような政治活動は意味をなさないことを痛感した。
補助金を貰ったところで、その使い方には何かと制限がかかるのだろう。公務員主導で、スピード感と情熱を伴う意思決定と予算執行は難しいと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
民間主導の都市開発も含め、制約をうまく生かし逆張り戦略でいまの地位まで上り詰める福岡市の経緯を見るには読み物として面白い書籍でした。よく福岡市が取り上げられる理由を知るには良い本です。
ただ当初のフレーミングによるものだと思いますが、最強の地方都市かどうかはよくわからないのが正直なところ。
都市開発を民間主導で行い発展したという木下さんの自前の論に当てはまりが最も良い大都市は確かに福岡市だと思います。一方現在も競争力を有する製造業種が豊かな浜松や静岡、広島などは都市圏単位での一人あたり生産額は相当高く、京都市などは一人あたりの雇用者所得も高い水準にあります。このあたりは最強かどうかを見るには基礎データですが全く触れられていないので、福岡市ありきで議論を始めている限界かもしれません。木下さんはマーケティングがうまいのでわかって書いてらっしゃるのだとは思いますが。
あとはオガールは補助金が入っているので「補助金に頼らない」が何を意味するのか気になりました。 -
全体を俯瞰すると、民間主導での都市開発が概ね結果を出したケースについて、当然にそうであろうという内容であった。特にサプライズはない。福岡市の発展要素が整理されていることは参考になるものの、他の都市との比較における位置付けに関する見解が弱い。福岡市なのか福岡都市圏なのか、この議論はもっと整えたほうがよいと感じる。
福岡市が神戸市を上回ったことは殊更に強調しているが、神戸市は関西圏の中で位置付けられるのであって、単独の存在ではなく、足下、関西圏内で劣勢であることは間違いないが、国内最高レベルの医療開発産業都市として新たな役割を持ちつつあることから、福岡市と同列の比較にはならない。例えば、こういった点の議論は上手く整理されていない。 -
福岡で育って、愛すべき故郷を想う身として、
この本を読んだ人が
福岡のことを鼻につかないことを祈る。
最新の状況でまたアップデートしてほしいです! -
民主導で発展してきた都市。官が目立ち始めている今は終わりの始まりか。
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以前は「転勤するなら福岡」だったが、今や「移住するなら福岡」。職住近接のコンパクトシティ代表格。その福岡市の強さの源泉を木下斉氏が分析・解説。九州といえば維新の雄である薩摩藩の鹿児島県、鎮西鎮台を有した背景から第五高等学校を構えた熊本県が廃藩置県後の主役であった。その後工業化の波に合わせた国策である官営八幡製鉄所の北九州市と比べて、福岡市は目立たぬ地味な自治体であった。流れが一変したのはアジアの貿易・交通の要(朝鮮戦争含む)として、その地理的優位性が注目され時代の要請に応じた民間主導のコンパクトシティを作り上げたことにあろう。高度経済成長期やバブル期での右倣えの没個性的なまちづくりに走ることなく、産官学一丸となって「地方都市としての役割・機能」の指針を見失わずに先人たちが愚直に邁進した結果がいまの福岡市の飛躍的な成長と類を見ない成果に繋がったといえる。
本書では著者が歴史的な背景を紐解き、制約や弱さをクリエイティブな強みに変えていった経緯を学べる。難点としては後付け的にほか自治体比較での優れた点を網羅・列挙しすぎて、コアな部分・概括的にはどうかが読み取れないところか。読んでいて「結局どういうことだろう?」と思う部分があり、もう少ポイントが絞られていると良いかもしれない。 -
木下斉コーチの著書。
都市経営の視点から福岡市を分析した一冊。 -
過去にこういう人がいたり、こういう歴史の偶然があったから、福岡市が成功したよ、という……タイトル通りの本です。
自分の地元をなんとかしたい、参考にならないだろうか、と思いこの本をとる人も多いかと思いますが、そういう人の参考になる本ではありませんでした。
都市計画は20年、50年で結果が見える
他の成功例を真似しても駄目。1番目しか成功しない。
行政ではなく民間が主導しないと成功しない。
など、理屈はわかるのですが、これから他の地域の再生や都市計画をする際に、そこから何を学ぶのか、というとなかなか難しいところです。 -
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「やれること」でなく「やるべきこと」に取り組む
流行りを無視して、逆を狙う
工場団地を作ったら土地が余る、リゾート開発したら客がこない
量を求めず、利益にこだわる
変人に寛容で変化を恐れない
福岡 日本五大都市
ニュージャージー州 ウエストフィールド 教育から街を再生
全国のコンパクトシティ化は失敗
富山市はコンパクトシティすすめたが、周辺の市町村が開発をすすめたので、広域で見るとコンパクトでない
軍港 横須賀、舞鶴、呉、佐世保 かつて発展
福岡市 明治維新の直前 福岡藩の役人が偽札問題
キャナルシティ 元カネボウの工場跡地
岩手県紫波町のオガールプロジェクト バレーボール専用コート
都市経営において「撤退戦略」は極めて重要
空港移転が裏目にでた広島空港
渇水問題が福岡市の意識を変えた
渡辺興八郎 帝大誘致、博多電気軌道鉄道 渡辺通り
松永安左エ門 電力
四島一二三 福岡無尽株式会社
川原俊夫 明太子 ふくや 製造法、通販のノウハウを公開
進藤一馬
制約はできない理由でなく、新たな戦略を考えるチャンス
都市コストが最適化されるのは12−18万の都市 川﨑一泰
内需はできるだけ地元資本でまわす
宮崎 青島ビーチパーク サーフィン -
人口増加、教育、コンパクトシティ、産業等の点で優れたパフォーマンスを発揮している福岡市について、その発展のポイントを、都市経営的な視点から解き明かしている。
民間主導が大切であること、周りと同じことをしないということ、「撤退」するという戦略もアリだということなど、地域活性化やまちづくりに当たっての有益なヒントが多かった。 -
201812/
他都市と同じ産業分野で出し抜こうとするより、むしろ、活発な産業を周りの都市に譲り、そこで得たお金を福岡市で消費してもらうという流れをつくったのです。/
紫波町は人口約33300人で財政も厳しく、自治体単位で見ると恵まれた状況ではありません。一方、半径30kmのエリア単位で見ると、盛岡市、花巻市もカバーするので、他都市から高速道路を利用して訪れる客を見込むことができ、約60万人を超える規模まで取り込めるようになります。/
オガールの敷地内には、民営の体育館があります。この体育館はなんと、日本初の「バレーボール専用施設」なのです。なぜサッカーや野球ではなく、バレーボール専用なのか。それは、ライバルの少ないスポーツを狙うことで、体育館の高い稼働率を維持するためです。しかも、施設の設置は補助金に頼らず、あくまで銀行の融資によって建設し、運営にも民間ビジネスのノウハウがぞんぶんに生かされています。/
都市経営において「撤退戦略」は極めて重要です。大きな過ちが発生するのは大抵、失敗した時ではありません。失敗しているにもかかわらず、撤退の意思決定をしないことで発生するのです。/
もし仮に、工場誘致に失敗した際、知恵を出さずにしつこく工業化路線を追い求めていたらどうなるか。工業地域に特化させるために、内陸部と臨海部の交通は分散され管理中枢都市にはなれなかったでしょう。/
川原氏はなんと、魚卵の仕入れ元から仕込み方法など、明太子の製法をすべて無料で公開したのです(調味料の配合は企業秘密とした)。/
独占するのではなく、多くの人に参入させて産業そのものを大きく育て、それでも自分の店が一番うまいものをつくり続ければ、必ず商売は半畳する。そして独占しなかったその姿勢が、今日の明太子とその関連商品市場を生み出したのです。/
地方都市において、歴史的行事、特に「神事」は極めて重要な機能を果たします。
1つは、人々の結束量を高める効果です。行事の準備から開催まで、長い時間を地域の仲間とともに過ごすことになります。すると町会単位での活動によって対他町会の意識が芽生えて、地域単位の結束力を強めます。また、互いの信用・理解といった社会的資本の整理・蓄積が行われて、地域の問題解決を促したり、無用な衝突を防ぐなどの効果もあります。実際にまちづくりの取り組みでも伝統行事がきっかけとなって様々な物事が進展することがあります。
もう一つは経済循環としての機能です。祭事は基本的に「やってあげるもの」ではなく、「やらせていただくもの」という理念の上で取り組まれます。つまり、すべて参加者の「持出し」によって成立するのです。しかも祭事には、様々なルールもあったり、町会単位で立派さを競う地域もあります。そのために必要な資材をそろえるには、応分の財力が必要になるのです。財を持つ者は、応分の負担をすることが基本となり、商都では一部に偏った財を地域内で広く分配していくという、再分配的機能を持っているのです。/
苦しい状況でも、政治、行政、民間の人々が諦めず、「自治体にお金がないなら、民間側が自発的に出し合う!」「工業都市化ができないなら、サービス産業で独自路線を伸ばす!」「市域拡大が無理なら、他都市とのネットワークをつくって成長する!」というように、”常に諦めない姿勢”を貫いています。これはどんな困難も、前向きで力強く打開策を見出す「ネアカ」な心構えが大切であると感じました。/ -
図書館で借りた本。地元だが地方最強なのかは分からない。物価は安く食事処の満足度が高いのは間違いないかな。男子は東京に行く人が多いから女子余り現象は昔から。若い層の人口増加は九州から集まってくる学生が多いのもあり、そのまま就職のパターンが形式化されているのもあるだろう。本書では天神や博多の商業や福岡市の行政、発展させた偉人たちの話の繰り返しだったので、ほどよく田舎を感じられる福岡市近郊の市や町の事なども掘り下げてみたら良かったのかも。福岡は観光資源が弱いが交通ターミナルの重要位置にいるのは地理的有利ではある。空港から10分以内で博多駅に着く利便性も利点。糸島や新宮など郊外に移住したがる若年層やシルバー世代、医療環境の充実もあり、市内まで交通機関の良さも相成って人口増加に繋がっているのかも。
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真面目に分析するとそういうことになるんだろうけど、まぁ結果論であり、成長経済・経済効率化のベースからは考えが抜け出ていない。
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まちづくりや商店街振興の分野で著名な著者による、福岡市のこれまでの歴史などをたどりながら解説した一冊。
著者のこれまでの著書と異なり、1つの都市をテーマにしたものは初めて読み、新鮮な感じを持ちつつ、著者らしい鋭くも分かりやすい指摘が満載。
これをただの福岡市を褒め称えているだけと思うのではなく、何が応用できるのか考えていかなければならない。
▼まちづくりの「思い込み」
・人口が増加すれば、地方が抱えている問題が解決する
・他都市の成功事例を、そのまま実践すればうまくいく
・まちづくりは、自治体が主体になって取り組むべき
・国から予算をもらうために最善を尽くす
・自分のまちは不便だから、発展するわけがない
・市民ワークショップを開催すれば、間違いのないまちづくりができる
都市を発展させてきたところは、これらの「思い込み=常識」を打ち破り、独自の路線を突き進んでいる。その1つが福岡市
<この本から得られた気づきとアクション>
・福岡市は政令指定都市であり、一定以上の規模や産業集積を持つだけでなく、歴史もあり、現在も繁栄していて当然、と思考停止してしまえば、本質は見えない。
・「常識を疑う」が本書のテーマの1つ。今の都市の発展を阻害する「制約」は何か。それを強みに変えるには何が必要か、それを考えなければならない。
<目次>
第1章 まちづくりは「常識」を疑え!
第2章 福岡市は「ここ」がすごい!
第3章 福岡市5つの「常識破り」
第4章 福岡市を変えた10の「覚悟」
第5章 経営視点で見える「福岡メソッド」
第6章 福岡市の「制約」と「未来」 -
そうなんだよ。福岡市は最強なんだよ。
著者プロフィール
木下斉の作品
