2022年の次世代自動車産業 異業種戦争の攻防と日本の活路 (PHPビジネス新書)

著者 :
  • PHP研究所
3.63
  • (12)
  • (9)
  • (14)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 200
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569840598

作品紹介・あらすじ

自動運転、EV、ライドシェア……次世代自動車産業を巡る戦いは、まさに異業種間戦争。覇権を握るのはどこか? 日本の活路は!?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2018年と今から2年前の著作だが、ライドシェアの持つインパクトや意義、中国の動向、NVIDIAの動向など、現在起きている事象の趨勢を言い当てている。(アップルだけはまだ未定だが)。

    この2年での変化は、トヨタが街づくりの会社を興したことや、コロナ禍においてESGやSDGsといったエネルギー面での持続可能性を問う風潮が強くなったことがあると言える。

    また、本書中にあった「問題を設定してテクノロジーをぶつける」という手法はデザイン思考と近く、グランドデザインの細部までの凡事徹底はアート思考などと近いような点も取り上げられており、全体の動向をつかむことに加えて、現在のビジネスのヒントもすでに埋め込まれているように感じた

    トヨタの動向は注目したい。グーグルはいったん街づくりからは撤退している

  • 自動運転、EV、ライドシェア……次世代自動車産業を巡る戦いは、まさに異業種間戦争。覇権を握るのはどこか? 日本の活路は!?(出版社HPより)

    ◆◇工学分館の所蔵はこちら→
    https://opac.library.tohoku.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=TT22106480&opkey=B159963299364815&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0

  • 次世代自動車産業を巡る異業種競争における覇権争いの構図:①テクノロジー企業vs既存自動車会社の戦い、②米国、中国、独、日本の国の威信をかけた戦い、③全ての産業の秩序と領域を定義しなおす戦い。次世代自動車産業のキーワードは、クルマxITx電機・電子。
    テクノロジー企業の攻勢:メガテック企業、テスラ、シェアリング&サービスプレイヤー。ドイツ自動車関連企業の再整理(CASEシフト)。自動車強国を目論む中国:バイドゥを中心としたアポロ計画はもはや中米独企業の連合体。GMフォードの逆襲。電力エネルギーと通信とモビリティの三位一体。こういう大変革の時代に日本はどう対処すべきか?トヨタとてグループ企業の雇用維持が困難となる可能性。但し、トヨタ生産方式の優位性はそう簡単には揺らがず。ソフトバンクは各階層への全方位投資戦略にる重層的利益構造の仕組み作り。トヨタはモビリティカンパニーを標榜した以上、商品・サービス・コンテンツのレイヤーでIT企業と勝負しなければいけない。それには、国の支援のもとクルマxITx電機・電子のオールジャパン体制で臨む必要がある。
    日本の活路:今の日本は”社会問題の先進国” この課題の大きさはイノベーションチャンスに繋がる。最初から世界の舞台で勝負する事をデフォルトに。
    ・社会問題先進国の活路は生産性向上よりは価値の創造、・弱みの克服では無く強みを伸ばすへの転換:日本が世界をリードすべきなのは安全性の徹底やその要素技実。・失敗しても取り返しができる社会、失敗経験を高く評価する社会へ 
    日本企業の戦い方:(1)どのフィールドで戦うのか?
    ①OS・プラットフォーム・エコシステムを支配する②端末・ハードを提供する③重要部品で支配する④OEM・ODM・EMSプライヤーとなる⑤ミドルウェアで勝負する⑥OS上のアプリ&サービスでプラットフォーマーとなる⑦シェアリングやサブスクリプション等のサービスプロバイダーとなる⑧メンテナンス&サービス等のサービスプロバイダーとなる⑨P2P・C2Cといった違うゲームのルールでのプレイヤーとなる⑩特徴を持てず多数乱戦エリアでの1プライヤーで終わる
    トヨタは日本全体の利益のためには①は必ず獲得しなければならない、更にはトヨタが目指すはグーグルでは無くアップルのポジション。
    (2)大きな注意が必要なのは、OS・プラットフォーム・エコシステムを支配するプレイヤーがバリューチェーンとレイヤ構造の中で、どの部分を垂直統合してくるか?どの部分を自社以外の企業日委ねていくのかを競合に先行して予測していく事。
    (3)グランドデザインの重要性。自らのミッション・ビジョン・アイデンティティを構築する事。自分たちがどのようにありたいのか?自己実現上の目標。自分たちや周囲を鼓舞し大きな威力を発揮するものになる。

  • みさおさんリリース

  • 今後の自動車周辺の情勢は、垂直統合型な自動車メーカー同士のみの競争ではなく、AI、計算機、通信、エネルギー、シェアリングなどの新たなレイヤーが並列的に欠かせなくなってゆく。各レイヤのリーディングプレーヤーの現状の取り組みやビジョンが世界横断的にピックアップされていて、「登場人物」を網羅的に把握することにより、本産業周りの状況をキャッチアップすることができたのではないかと思う。
    また、日本の現状を「社会問題先進国」と表現されているのがキーワードとしてインパクトがあった。

  • ◾︎要約
    • 中国、アメリカ、ドイツなどの国単位で、あるいはアマゾンやグーグルなどのメガテック企業で、そしてトヨタやダイムラーなど既存自動車メーカー/サプライヤーらで、次世代自動車業界の覇権を握るため今まさに熾烈な戦いを行なっている。著者の特徴は、各社各者の戦略の根底にあるミッションやビジョンを明らかにしている点である。
    • 自動車産業の5F分析によれば、完成車メーカーの収益性は今後厳しくなると言わざるを得ない。その中での、日本の完成車メーカーの強みは、生産技術、量産技術、要素技術などのモノづくりのノウハウ。いかにモノづくりの要素を競争のルールに残していけるかが勝ち残りのポイント。

    ◾︎気づき
    • 次世代自動車産業における中国の脅威を感じた。国家ぐるみで、アメリカのメガテック企業に相当する国内企業を育成。また、アポロ計画と呼ばれる自動運転の技術をオープンソース化により、多様なパートナー事業者内外1700社が参加。実質的に、中、独、米の連合で日本にとって大きな脅威。トヨタが国内企業と仲間づくりを加速させているのも、中国のこれらの動きを想定してのものだと理解すればうなづける。
    • メガテック企業のミッションには共感できるものが多い。多様な価値観の同じ思いを持つ仲間を集めるためには、わかりやすく明確なミッションが必要ななのであろう。例えば、イーロンマスクのミッションは人類救済、など。現在の自動車業界においては、ビジョナリーなリーダーが求められている。
    • 筆者はUXが最重要概念になると考えている。機能だけで他社と差別化は困難。メルセデスのMBUXは、ダイムラー独自の音声認識のAI。自然言語による操作を可能にすることでUXの向上を図っている。バイドゥのアポロも同様に、音声AIシステム、デュアーOSのUXを追求。家に据え置かれたスマートスピーカーに話しかけるだけで、玄関に車寄せ、燃料の残量確認。車中エアコンオン操作可能。最終的には話しかけるだけで車中の操作を全て行うことまで想定。そういえば、QR決済でもLineはUXに気を遣っている気がする。メガテック企業はUXがサービスの決め手になることを気づいているのかもしれない。
    ⚫︎自動運転車が本当に社会実装されるべきなのは、過疎化に悩む地方。移動に困っているという明白なニーズと機会が存在さているから。社会問題先進国は、ニーズと機会の先進国




  • 自動車業界に携わる者として、未来に備えるために読了。

    理路整然としており色々学ぶことができたが、情報量が多すぎて、お腹いっぱいで苦しかった。

    ★気付き、学び
    1.自動運転における中国の躍進

    中国では世界の主要企業50社以上が参加し、世界最大最強の自動運転プラットフォームの構築を目論んでいるアポロ計画なるものが進んでいる。
    日本からはホンダが参画。

    アポロ計画を主導しているのは百度と言う、中国におけるGoogleのような企業。
    BATと呼ばれ、アリババ、テンセントと共に中国の注目企業である。

    自動運転の実現に向けて、Googleを含め多くの企業が尽力しているが、アポロ計画は間違いなくこの競争に食い込んでくる。

    そして、自動運転の前に実現する未来である電気自動車の普及に関しても中国はかなり進んでいる。

    電気自動車のメーカーの数や販売台数で中国は世界でも上位。

    電気自動車にしても、自動運転にしても中国企業が主導権を握ることは全く不思議ではない。


    2.テスラの目指す世界

    イーロン・マスクが目指すのは人類の救済であり、EVの開発は人類が地球から脱出するまでの時間稼ぎでしかないとのこと。

    そして、テスラが目指しているのはクリーンエネルギーを作り、蓄え、販売し、クリーンエネルギーのエコシステムを構築すること。

    イーロン・マスクにとっての電気自動車の販売は彼にとっての目標の通過点の1つに過ぎず、そのような壮大な夢を描くからこそ、彼の下には巨額のお金が集まるのだろう。


    3.トヨタの取り組み

    世界各国で電気自動車や自動運転、カーシェア等のプレーヤーが群雄割拠する中、日本はその戦いの中にどう食い込んでいるのか。

    トヨタは豊田章男社長が自社の危機感を感じ取り、しきりにその危機感を叫んでいるが、次世代自動車産業に食い込むに足るアクションは起こせていないのではないか。

    自動車のハード面が従来のガソリン車の延長にある限りは従来型の自動車産業のノウハウ、量産化のテクノロジーがモノを言うと思われるので、すぐさまトヨタが苦境に陥ることはないと思われるが、次の一手を打つことは必要不可欠。

    豊田章男社長が言った下記の言葉には激しく同意。
    「どの業態が未来のモビリティを生み出すのか、それは誰にも分からない。
    間違いなく言えるのは次のモビリティを担うものは世の中をもっと良くしたいと言う情熱に勝るもの。」

    この想いをトヨタ社内のあらゆる組織に拡げ、次世代自動車産業に存在感を発揮してほしい。

    そして、次世代自動車産業において完全に中国に遅れをとっている日本はトヨタだけでなく、パナソニック等の他の関連日本企業と協業しながら、オールジャパンでスマートホームからスマートカー、スマートシティに至るまで消費者の生活すべてを繋げることで、次世代自動車産業の覇者になる可能性を追求するべき。

  • ふーん

  • ダイムラーがCASE (Connected, Autonomous, Shared & Service, Electirc)というコンセプトを打ち出して以降、特に顕著になった自動車産業の変革気運。Google、Amazon、Teslaなど有力テックカンパニーが自動運転技術の開発を進め、ビジョンファンドを有するソフトバンクがUber、DiDi、Grabなどライドシェアの有力企業に次々と出資を決め、トヨタも100年に一度の変革と呼び、ソフトバンク含めた異業種とのパートナーシップに精力を傾ける。それだけ次世代の自動車産業は、大きな変化が待っているということを示している。車を作って売り、メンテナンスして買い替えサイクルを促し、中古流通を整え、ガソリンを売って、という偉大なエコシステムが変わることを意味している。時に、所有から利用へ、購入からサブスクリプションへという大きな世の中の流れがあり、それを後押しするだけのIT技術、AI技術の進展が見込まれる。EV車を考えると、エネルギー産業にもその影響が及ぶだろうと言われている。

    この本に書かれている通り、ガソリン車の製造・販売は日本の産業の柱でもあるが、EV車への流れ、自動運転への流れ、シェアリングへの流れ、はその大黒柱に大きな影響を与えるであろうことは想像に難くなく、家電産業と同じ道を辿ることのないよう舵取りが迫られている。

    もちろん、GMもフォードもトヨタも手をこまねいているわけではない。
    そう考えると今の日産・ルノーの状況が今後どういう影響を与えるのかは気がかりなところである。

    さらに気がかりなのは中国勢の動きで、本書の中でもBaiduが主導するアポロ計画(なぜアメリカを象徴するようなこの名前を付けたのか不思議)について詳しい。自国の市場規模を背景に国内自動車産業だけではなく外資系の自動車メーカー・部品メーカーも名を連ねている。「デュアーOS」というOSを押さえ、地図情報を押さえ、音声認識エンジンを始めAI技術を押さえようとしている。彼らは大胆に実験をすることができることが強みのひとつである。何となれば、深圳がそうであったように、自動運転車が走り回るスマートシティのひとつやふたつ作るのもわけがないのかもしれない。

    日本はどうするべきか。本書でも答えらしきものは書かれてはいるが、どうも説得力がない。他人の芝生は青く見えるものだが、メガテック企業の米国、ダイムラー・BMWやしたたかさの欧州、政府と物力の中国の方が優勢なようにも見える。その中でもやはり著者らもどうやらそうであるようにトヨタには期待を寄せてしまうのだ。

    MaaSということであれば、『MaaS』の方を読むべき。お話として読むのであれば、この本も情報が散りばめられて楽しい。一年後に読むとがらっと状況が変わっていそうで、ある意味ではワクワクする分野である。

  • 470ページを超える新書にしては厚い本でしたが、中身も実に熱い。
    「自動車」というものの在り方が大きく変化する真っただ中の現代から2022年を見据えて、従来の自動車メーカーの枠を飛び越えてIT、電気、通信、電力・エネルギーと多数の関連する領域について詳細に展望が述べられています。
    トヨタ自動車の豊田章男社長が「勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬか」とどこかのイベントで発言されたのは知っておりましたが、それが決して誇張ではないことが理解できたような気がいたします。
    さて、2022年。自動車はどのように代わっているのでしょうか?
    付箋は31枚付きました。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

立教大学ビジネススクール教授。「大学教授×上場企業取締役×経営コンサルタント」シカゴ大学経営大学院MBA。専門は企業戦略&マーケティング戦略及びミッション・マネジメント&リーダーシップ。三菱東京UFJ銀行投資銀行部門調査役、シティバンク資産証券部トランザクター(バイスプレジデント)など日米欧の金融機関において要職を歴任した後、現在は株式会社マージングポイント代表取締役社長。メディア・広告、小売り、流通、製造業、サービス業、医療・介護、金融、証券、保険、テクノロジーなど多業種に対するコンサルティング経験をもとに、TV・新聞・雑誌等各種メディアでも活動。公正取引委員会独占禁止懇話会メンバーなども兼務。主な著書に『「ミッション」は武器になる』(NHK出版新書)、『ソフトバンクで占う2025年の世界』『アマゾンが描く2022年の世界』(ともにPHPビジネス新書)、『GAFA×BATH 米中メガテックの競争戦略』(日本経済新聞出版社)がある。

「2020年 『2025年のデジタル資本主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田中道昭の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ジャレド・ダイア...
クリス・アンダー...
佐々木 圭一
リンダ グラット...
フィル・ナイト
伊賀 泰代
有効な右矢印 無効な右矢印

2022年の次世代自動車産業 異業種戦争の攻防と日本の活路 (PHPビジネス新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×