- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569840765
作品紹介・あらすじ
絵画のなかのあの美しいひとは……。美が招くのは幸運か破滅か。ベストセラー作家が、気になる名画の奥に潜む人間ドラマを読み解く。
感想・レビュー・書評
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美貌だけでは済まない
美貌に理由がある有名絵画
ダイアナ妃の祖先の伯爵夫人など
どの絵画も有名で 一度は見たことあるものも多く
また 絵にまつわる逸話も
とても興味深いものばかりです
ただ絵を純粋に楽しむよりも
絵の背景を知ることを
教えてくれたのが
中野先生の功績ですね
一つ一つの解説を
じっくり見てしまいがちな
日本人には ぴったりの
楽しみ方です詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
男女問わず描かれた24人の、その美貌に隠された光と影を探る。
第1章 古典のなかの美しいひと・・・7作品
第2章 憬れの貴人たち・・・6作品
第3章 才能と容姿に恵まれた芸術家・・・6作品
第4章 創作意欲をかきたてたミューズ・・・5作品
カラー画像は、表題作24作品と、比較できる作品や写真が0~3枚。
絵画に描かれた美貌のひとたち。
描かれた背景、描かれた時代、描かれた人物、そしてエピソード。
彼らの美貌がもたらす光と影を解き明かす。
自分を重ねるようなアルテミジアの絵の力強さに、感嘆。
若き美貌のパルミジャニーノは他にも自画像を残していますが、
文中にある死の年の自画像(画像は無い)は、まるで老人の如し。
ネットで探して観たときは驚愕しました。
上流画家として成功を得たヴァラドンと息子であるユトリロの葛藤。
実際にロシアで鑑賞した「忘れえぬ女」は印象的だったけど、
この本を読んでから観かったなぁ。でも、それは遥か過去だし。
周辺を惑わす、自らが惑う、降りかかる幸運と不運。
それはまるでドラマのような人生として、絵画に残るのですね。 -
ユーディトと侍女は、大学の美術史研究室に居た後輩が「色々なパターンがあるんですよ!」と見せてくれたことを思い出しました。確かにユーディトはカッコ良い、まさに敵将を討ち取った悪女的なものと、虫も殺さない淑女的なものがあるので「前に見たことあるなぁ…」となりました。そういった絵が多いので、美術が好きな方が読むには面白い本だと思います。
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どのお話も面白い。
パルミジャニーノの鏡面に映る美しい顔の肖像画は有名だけど、自画像だったんですね。
錬金術の虜になって、画業が疎かになったとは。
ルーベンスも蝶よ花よと持て囃された売れっ子美男画家。だが貴族と結婚はしなかった。
当時画家の地位はさほど高いものではなかった。
音楽家と同様である。
昔のヨーロッパの話を読むとつくづく階級社会である事がわかる。
音楽室にあったリストの肖像画は頬の痩けたお爺さんだったように思う。まさかこんなにモテる人だったとは。
ローランサンとかレンピッカ、わりと近代の人も紹介されている。 -
アルテミジアの「ユーディトと侍女」、めちゃめちゃに殺意が強くて好きだな…
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初中野京子さんでした。
美術展行くと説明文あるのですが
私それ読むの苦手なんです。。。
知識として知ってたら読む手間省けるし
海外の美術館で言語分からなくても
楽しめるなって思って買ったんだけど。
結果、他の本も気になり出してる -
チョイスが良い。単なるキレーな人の絵ではない。
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いつも楽しみにしてます。
でももっとartに踏み込んでいきたい。 -
その意味を知ることで絵画はいっそう面白くなる。中野先生の解説で、絵画のなかの美しいひとたちは、一層輝きを増す。とても勉強になったし、おもしろかった。
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人気の美術評論家の中野京子さんの新作。
有名な絵から美男美女のみを集め解説した本作だか、周りの小物や背景からその人物の出身や宗教的意味の解説があり、ご本人のおっしゃる通り、絵画鑑賞の際はその意味を知った上でみた方が俄然面白いと思わせてくれました。
あと意外と女性画家が多くそれも面白かったです -
どの章も面白かったけど、第2章「憧れの貴人たち」が印象深い。悪役令嬢ものの登場人物顔負けの盛り盛り設定にドラマティックな人生。あとがきの「我々の心のどこかに、美貌それ自体が驚異であるからには、人生もまたそれに釣り合う非凡さであってほしいとの、奇妙な期待がある」という一文はすごいしっくりくる。その期待は確かにある。波瀾万丈な人生は必ずしも幸せでは無いことも多いけど、平凡な容貌の我々は、美しい人を異質なものとして自分とは切り離し、時にエンタメとして消費し、時に羨望と妬みの入り混じった気持ちで彼らの平穏を祈らない。彼らにも自分達と同じ感情がある事に目を瞑り、時に不幸さえ願うこともある。しかも様々な差別の中で美形に対する逆差別は許容されているような空気がある。気がする。
それはそうと、中野京子さん、いつも語り口調はすごく面白いんだけど、ギリシャ神話の話題の時にローマ名を混ぜるのが毎回すごく気になってムズムズする。「ゼウスとレトの子、アポロンと双子のディアナ」とか書いてあるんだもん…統一してほしいマジで…
(Twitterより) -
私はアートに関心が薄く、彫刻はまだしも絵となるとからっきしわからないのだが、そんな人間にも、美人(美男)画がはらむドラマ性や、興味深い来歴を丁寧に伝えてくれる中野京子さんの文章の絶妙よ!
これで私もちいとは教養を身につけたいものである。続編も出たから読もうっと! -
絵画を見るときにその背景にどのような事情があるかを想像するのは凄く面白い。作家の背景や状況もそうだし、モデルの背景、どの様な人間関係かを考えると、また違った視点で絵が話しかけてくるような気がする。単純に色使いや構図、モデル自体の美しさは言うまでもないが、そのレベルで単に綺麗で終わらせるのとは奥深さが全く変わってくる。音楽もそうだし、芸術全般に言えることかもしれないが、作り手(クリエイターと呼ぶべきか)の心のうちを表現しているようで、自分に置き換えたら、心を覗かれているようで恥ずかしくなることさえある。因みに若い頃に作詞をした事があるが、明らかに当時の恋愛や友人との人間関係の悩みが詩にそのまま出ていたのを記憶している。
本書はタイトル「美貌のひと」にあるように、絵画の中の美しい人たちを24人取り上げている。画家の性格や育ちなどにも触れているから、概ねどの様な心持ちで描いていたか、読者と一緒に探しに行く様な内容だ。絵には単純にモデルを描くだけでなく、所々に謎めいた物品や背景を取り入れて、物語性を表現するものが多い。そうした謎解きに近い形で読み進められるのと主題である絵の組み合わせで、普通に1時間もあれば読めてしまうのだが、敢えて立ち止まって一緒に深く考えた方がより楽しめる。 -
絵画の中の美しい美貌の持ち主の 曰くが 次から次へと描かれていて、読みながら、又、その絵画を見直してしまう。
神様 仏様!では無いが、全て、良き想像人物(?)を描いていたけど、神話では、妬みそたみ、そして残酷な迄の仕打ち!
肖像画40枚に、焦点を当てて、作者 中野京子氏が、わかりやすく、そして、興味深く、執筆している。
古典の中の美しい女性も、生首を手にしていたりと、ちょっとおぞましい感じも…
憧れの貴婦人の中にマサイスの醜い公爵夫人が、選抜されているのにビックリ!
美女の定義から、説明されている。教訓画として需要があったとされているが、この絵画を飾りたいとは、私は思わない。
ブラックコメディと見るのか?才能と容姿の2つに恵まれた芸術家達も、リストのような美形な人であり、お金に執着せず寄付をして、そして独身であったと……
最後の「忘れえぬ女」イワン・クラムスコイ 表紙と同じ作品。
モデルが誰と、やはり、興味深い。
現実の女性でなく、小説の中の人物も説に入っている。
表紙で、美人さんばかりと、思っていたけど、読んでみて、眉目秀麗な人達もいて、その繋がりも楽しく読めた。
しかし、画家と言う者、手仕事の出来る者が、地位が低かったとは、今迄知らなかった。 -
723-N
閲覧新書 -
古本屋にあったので買ってきた本です(中野京子さん、作品数が多すぎてどれが手元にないのか判らなくなってます……)。いつものように1枚の絵を元にどんどんと話を膨らませて、その人やその時代の見えにくい一面を出していく、その手法が鮮やかだし、これだけ書くには膨大な蓄積があるのでしょうね。
しかしルノワールのモデルとユトリロの母は結びついてませんでしたわ。言われてみれば同時代でしたわ、確かに。 -
他の本で紹介されていた絵もあったけれど、面白くて多少の夜ふかししてしまいました。
この人の本、今一番頻繁に読んでいるかも。 -
クリヴェッリの描く妖しげな美しさ…好きです。
クラムスコイ『忘れえぬ女(ひと)』、まさに忘れえぬ印象を残します。 -
「美人」は時代によって違うんですよね~。
中野京子先生の本、たくさん読みたい -
まあ、美貌という定義は人それぞれ。
期待していたのとは、ちょっと違った。
もっとフツーに、美女を期待してしまった笑 -
おっと!よもや、マサイスの《醜い公爵夫人》と、こういう本で対面することになろうとは…思わなかったわ。中野さん、中々風流を解する方とみた(笑)
ところでエスコフィオンとエナンの違い、ググってみたけど結局はよく分からない。大勢に影響はないし何の役にも立ちそうにないけど、分からないと気になる…。 -
中野京子先生の本は、いつも魅力的。堪能。
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・だが美貌だから愛されて当然というのは思い込みにすぎない。恵まれた容姿は誰に対しても眼福を与え、多くの視線を集めるが、それだけだ。愛や恋はその先にある。美貌はチャンスを増やしても成功を約束しない。
・結婚は仕事、子作りは義務、義務を果たしたら遊んでも構わない。夫に男児をプレゼントしたさらに二年後、ジョージアナはグレイの子を産む。こちらは女児で、グレイ家に引き取られた。まもなくグレイは結婚し、妻にその子を育てさせる。ここまでくると、とうていこれら登場人物に共感や好意を持てといわれても無理だろう。どうぞご勝手に、と言うしかない。いや、すでに皆、勝手にやっているわけで。
・美女と魅力的な女性は違う。 -
「意味や物語を理解することーもともと意味や物語のある絵画作品は、その意味や
物語を知った上で鑑賞するのが作品や画家に対するリクペストではないか」作者のこの思想にはすごく共感、自分の感性だけに頼っても、その絵の面白さを堪能することはできない。だからこの著者の絵画解説書が私は好きだし、他の人にも人気なんだろう。ブージヴァルのダンスの特に気になったストーリーは、ヴァラドンとその息子ユトリロ。母と子の目線でいろいろ思いを馳せてしまう。美術館に行きたいなぁ -
肖像画の内容と裏側をわかりやすく説明してあって面白かった
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肖像画に描かれた美しいひとたちと、
それを描いた画家に関する逸話が紹介されています。
西洋絵画の中から選んだ24作品を中心に、
美術史では語られないお話が盛りだくさん。
ここで取り上げられているのは古典から近代まで幅広く、
絵画鑑賞のヒントにもなりますよ。
モデルとなった人たちはまさか数百年後、
自分の姿が世界中の多くの人に見られるとは
想像もしなかったでしょうね。
肖像画を観るといつも思うのは、
その時代、確かに絵の中のひとは生きていたということ。
画家の息遣いや、無常感、
そのほか諸々感じるものがあって、
なんだか複雑な心持になります。
見目麗しいということは、
アドバンテージになることもあるでしょうが、
姿かたちが美しいからといって
美貌の持ち主が皆、
幸福を手にするってことでもないようですね。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2 -
現代に残された絵画から、モデルになった人間や画家の人生、そして隠された想いを著者が解説。ヨーロッパの王室、貴族の生活、思想がわかって興味深かった。中世の頃?は画家の身分は低く見下される立場だったとは驚き。画家自身が美形で自画像で残っていたりして面白い。自画像ではないけど詩人バイロンと作曲家リストはイケメンだと思う。日本と違って昔の肖像画が写実的だからいい。後世に名を残した人間の顔が実物に近い形で知ることができるから。しかし絵にも色々ドラマがあるんですね。
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美貌のひとに選ばれたのは男女を問わず24名。
『吸血鬼ドラキュラ』を読んだ直後なので、バイロンの肖像画に感銘を受けた。ポリドリ『吸血鬼』ルスヴン卿のモデルがバイロンというのは定説である。
パルミジャニーノの自画像は澁澤龍彦のエッセイで先に知っていた。
リストの肖像画も印象深い。ピアニストからエクソシストに転職した時期があるはずだが、ご本人が悪魔だよ。
『忘れえぬ女』、カバーガールが同時に大トリをつとめている。レンピッカといい、中野京子はこうした意思的な顔つきがお気に入りなのだろう。