アマゾン、ニトリ、ZARA…… すごい物流戦略 (PHPビジネス新書)
- PHP研究所 (2018年7月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569840956
作品紹介・あらすじ
「物流」が企業の競争力を大きく左右する時代。日米の物流の最新事情に精通する著者が「身近なあの企業」の知られざる物流戦略を紹介。
感想・レビュー・書評
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物流の専門家でありコンサルタントでもある著者による、世界の一流企業の物流戦略を紹介した本。アマゾン、ニトリ、アイリスオーヤマ、ZARA、DHLなど製造、販売を含めた小売などのサービス業者でありながら、その配送等の物流戦略がいかに大切かがよくわかった。成功している大企業のそれぞれ違った物流戦略を詳細に調べ上げ、簡潔によく纏めていると思う。わかりやすく参考になった。
「アマゾンの売上げ(2017)は1778億6600万ドル。その内訳は、9割が小売事業で、残りの1割がクラウドコンピューティングのAWSで、営業利益の大半をAWSが稼ぎ出している」p30
「(アマゾンの目的)「顧客の買い物利便性を究極まで高めること」であり、アマゾンには、この目的に向かって、目先の採算を顧みることなくR&D投資を続けていくという強い意志を感じることができ、その企業姿勢には一切のブレがありません」p54
「アパレルとグローサリーは、ECには不向きと言われていた」p60
「ニトリは、2018年2月期決算で、31期連続の増収増益を達成し、更なる成長が見込まれている」p75
「本部に5年もいると、現場で目の当たりにするお客様の立場ではなく、本部の立場、ニトリの立場でしかものを考えられなくなってしまいます。それではどんなに優秀な人でも化石になって動けなくなってしまう。5年一昔と言いますから、5年もすれば企業も成長しているはずだし、事務機器もコンピュータも新しいものに変わっていますよね。だからいったん現場に戻って、もう一回、勉強し直してもらわないといけないのです(似鳥会長)」p84
「ニトリの品質管理が大きく改善したのは、2004年に元広州ホンダ技術総監の杉山清氏が参画してからです。杉山氏は自動車生産の品質管理手法を取り入れ、不良品クレーム率を3.5%から0.2%まで大きく改善させました」p103
「(アイリスオーヤマ)「大手企業の下請けでやっている限りは、いくら仕事が増えても、自分たちの儲けにはなかなかならない。自分たちの強みで勝負できる自社製品の開発にチャレンジしたい」」p134
「大山社長はことあるごとに、企業が成長し、長く存続していくためには企業理念の共有が大切だと述べています」p139
「(マーケット調査はしない)マスを対象にリサーチしてもだいたいニーズは同じものになり、そこからは潜在需要はわからない」p143
「(マーケットイン)技術力に優れたメーカーにときどき見受けられることですが、作り手の自己満足で、「今の技術があればこれだけのことができます」というような商品を開発することがあります(プロダクトアウト)。それに対してマーケットインの発想というのは、単純に生活者からの発想、どんな利便性があるのか、どんなに便利になるのか、というシンプルな視点から商品開発につなげるという発想です」p143
「日本で照明といえば東芝と長く言われ続けてきましたが、今やアイリスオーヤマが東芝にとって代わっているのです」p148
「(アイリスオーヤマ)社内でできることはすべて自分たちで対応するという自前主義が浸透している」p158
「世界的ブランドのZARAでは、初期段階では当初計画の1/4しか生産しないと言われています。同社もアイリスオーヤマ同様、販売予測がはずれて在庫を抱えることになった場合のコストがいかにムダなものかを理解しているのでしょう」p162
「(ZARAのSpeed Logistics)できあがった商品はできるだけ早く売場に届け、ムダなく在庫を使って販売機会のロスをなくし、売上げ、利益を拡大させる」p172
「(プロパー販売率(発売時の店頭価格で売り切る割合))通常のアパレル製品の場合、プロパー販売率は60%あればかなり効率的と言われていますが、ZARAは90%にもなるそうです。ムダの少ない販売で定評のあるユニクロでも75%程度ですから、同社のプロパー販売率の高さが尋常でないことがよくわかります」p187詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ニトリさん訪問前に読んだもの。各社の物流戦略が簡潔にまとまっていて参考になった。
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仕事でも物流部門とやり取りを多くしているが、現場対応に終始している物流部門に対して、どのように改善提案していけば良いのか見えなくなって手に取った本。
内容としてはロジスティック勝者?でもある小売り企業を中心とした戦略と取り組みの紹介
各社の戦略がそれぞれ独自性もあり、リサーチされている内容は興味深い。また、各企業のトップや責任者の言葉も流石というか納得させられるものばかりであった。
一方で、(冒頭に書かれていた言葉を借用すると)
「ロジスティクスは最後の暗黒大陸である」というドラッカーの言葉に対して、その暗黒大陸をどう見極めて、見えるようにしていくべきなのかの説明がほぼなく、尻切れトンボ感が否めず。
物流戦略の4Cという新しいフレームワークを…と謳いながら、数ページの章でしか記載されておらず、付け加え感が残念… -
2018年の本で少し古いが、本書で書かれている物流での視点は古くない。アマゾン、ニトリ、アイリスオーヤマなどの実企業を例に、物流クライシスへの対応や在庫回転数の工夫や商品開発による継続性の改善などの物流戦略が説明されていた。
企業や扱う商品ごとに適切な物流戦略を決めることが重要だと感じた。 -
物流の重要性はEC市場の活性とともに日に日に高まっている。つまり、経営に戦略が重要なように、物流にも戦略が重要になってくる。
本書では、物流の戦略として、Amazon・ニトリ・アイリスオーヤマ・ZARA・DHLの企業を事例に上げている。DHLはドイツの国際輸送物流会社。日本でいうヤマトホールディングスの世界版。この会社は、まさに物流を事業にしている(BtoB)企業だが、それ以外は物流を戦略上の競争優位性にしているBtoC(小売)企業。AmazonはBtoBもだな。
消費者の「便利性」の要求レベルがますます高まっているなかで、物流に戦略がなければ、顧客に提供できる価値が低くなってしまう。あるいは価格競争に負けてしまう。
物流にを重要視し、戦略をつくっている企業が業績を伸ばしている。それがAmazon・ニトリ・アイリスオーヤマなどだ。そこから学べる要素はたくさんある。
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秀逸な本だとは思いますが、
この手の本はB toCに偏重し過ぎてて、
エンジニア的には食い足りない。
もうこの種の本を読むのはやめにしようかな。。。 -
convenience 利便性、価値提供
constraint of time リードタイム、制限時間
combination of method 手段の組み合わせ
cost コスト、予算 -
物流戦略を企業事例を示しながら説明。
実際の事例なので、とっつきにくさはなく、読みやすい。
アマゾン、ニトリなど大企業の物流について詳しく書いてある。 -
各章ごとに一つの企業を取り上げ、詳しく説明しているからわかりやすい。最終章はそれまでの章の復習とともに取り上げられていない企業も簡単に説明されている。「物流」について初心者にもわかりやすく書かれている。私も就活で業界研究のためにこの本を読んだが理解できた。