未来を読む AIと格差は世界を滅ぼす(「世界の知性」シリーズ) (PHP新書)

  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569841069

作品紹介・あらすじ

リンダ・グラットン、ジャレド・ダイアモンドら世界の知の巨人は今何を考えているのか。AIから国際情勢、人生戦略まで、未来を見通す一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 8人の知の巨人が、怒涛の変化を続ける21世紀について未来を推測する
    前段は、高齢化、AI 後段は、技術、格差、そして現在のUSA
    気になったのは、次です。
    ①ジャレット・ダイアモンド
    ・日本は最高齢社会なのに、定年退職制がのこっているのはおかしい
    ・経済性多様性、人間の多様性ともに少ない日本にはイノベーションが起きにくい
    ②ユヴァル・ノア・ハラリ
    ・社会の急激な変化のため、21世紀にあった政治システムは現れていない
    ・AIが生み出す「役立たず階級」が多量に発生する
    ③リンダ・グラットン
    ・人生100年時代は、労働問題の解決(定年の廃止)と、生涯学習が必要
    ⑦ジョーン・C・ウィリアムズ
    ・米白人で親の代より稼いでいる人は半分以下で、アメリカンドリームから乖離
    ・アメリカのエリートは、生まれたときには、すでに三塁にいた
    ・トランプは、つよい白人の象徴
    ⑧ネル・アーヴィン・ペインター
    ・米白人は、自分たちを犠牲者としてみている
    ・トランプが勝てたのは、白人の怒りの結果
    ・新世代のフェミニストは、ヒラリーに我慢できない。なぜなら母を思い出すから

  • やっと読了σ^_^;
    オムニバス形式でインタビューが続きます。

    ハラリさんの
    近い将来、「役立たず階級」が大量発生する
    という章はなかなかショッキングでしたね。
    AIが人の代替をした後の世界は今の教育では救えない。
    いや掬えない。

    それこそ学校教育ができてからは社会に出た後の実学を教えることができたと思います。
    でもAI後の未来は今誰も見通せないんですよね。

    ここに挙げられた「知の巨人」でもデストピアとユートピアが甲論乙駁するんですから。

    息子にAI好きやなあと言われます。
    でもこれからはAIがわかってないと生きていけない時代が来るでしょう。
    さあどうする…

  • リンダ・グラットン、ジャレド・ダイアモンドら世界の知の巨人は今何を考えているのか。AIから国際情勢、人生戦略まで、未来を見通す一冊。(出版社HPより)

    ★☆工学分館の所蔵はこちら→
    https://opac.library.tohoku.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=TT22114965

  • 別にれいわ新選組の支持者でも無いのだが、山本太郎が言っていた発言で共感したのは「生産性で人間をはからせない」というセリフだ。子供達がスマホに夢中になる事をネガティブに捉え、スポーツや勉学に励む事を善とする価値観がある。学校で教わるような道徳的価値観であり、これは生産的な人間か否かが物差しとなる。現実問題、資本主義でその指標を用いない事は不可能に近いが、いずれ、こうした尺度で人間は測られず、人間に求められる生活スタイルがどうなるかも不確かな時代が訪れる。

    AIが台頭してくる事で我々は「役立たず階級」になるとユヴァル。経済成長には、人間とテクノロジーの融合が必要であり、人間性を明確化する必要性をダニエル・コーエンが。ジャレド・ダイアモンドもリンダ・グラットンも、日本社会は定年制を廃止すべきだと。テクノロジーにより人間が超寿命化するかも知れないが、人間そのものが生産性に貢献する社会ではなくなりつつある中で、AIと一線を画した新たな役割が求められる事になる。生産性という意味では役立たずだが、別の次元で相互に存在価値を認め合う社会へ。経済や生産性のための人間ではなく、人間のための人間へ。

    この本に、北朝鮮の核開発、ミサイル問題を語るクリントン政権時代の国防長官、ウィリアム・J・ペリーが混ざっているのが、異様である。しかし、これはAI論に対して、ページ合わせで挿入されたものでは無く、示唆的なものだ。どういう事か。対抗核、防衛ミサイルのボタンを押すか否か、先手の攻撃を捕らえて即座に反応しなければならないが、反撃のボタンを押すのは、人間の作業である。バグ、エラー、レーダのミスにより、誤って攻撃と判断し、反撃をしてしまうと核戦争だ。人間が判断し、止めている。AIやハッカーに誤認、ミスリードされるリスクは常にある。最後、これを抑止するのも人間なのだ。核戦争を防いだソ連のスタニスラフ・ペトロフの話は有名だ。

    人間が人間のために存在する、当たり前の社会へ。悪意を実装されたAIに、誤った他国からの攻撃をレーダ感知擬装され、反撃に至らぬように。

  • 知の巨匠たちによる、将来の予測のきっかけになる本。コロナ前に書かれたものだが、コロナ禍でも通じる考え方(感情ではなくデータを重視する、人々の分断)もあり非常に参考になる。
    また、ネル・アーヴィン・ペインターの、アメリカの分極化の話は面白かった。白人の中流階級の人たちが差別をされていると感じているとは思っていなかったので、目から鱗だった。

  • ●アメリカの多様性。アメリカの50の州はそれぞれ独自の権限を持っている。政府が行う政策の50通の実験場といってもいい。
    ●アメリカのノーベル賞受賞者は、人口比と不釣り合いなほどに移民が多い。彼らは科学的クリエイティビティーが突出しているのです。
    ●アメリカの対外援助は利他的な理由。新興感染症やテロリズム、移住を減少させる面において。
    ●伝統的社会で、例えば自分が飼っている豚が行方不明になったとします。その豚を持っている人が見つかったら、まず使者を送ります。伝統的社会では死ぬまでその人を相手にしなければならないため、完全な「敵」にしないように対処すると言う知恵が働くのです。とりあえず感情面をクリアにすることが最優先となります。紛争解決の素晴らしい側面だと思います。
    ●現実か虚構なのかを区別する方法。「対象とするものが、苦痛を味わうだろうか」と考えること。例えば国は苦痛を感じません。
    ●イスラエルと言えば戦争やテロのニュースを耳にするが、統計では戦争やテロ、犯罪で亡くなった人の数よりも自殺する人の方が多いのです。「人間は豊かになった、しかし幸せとは限らない」
    ●トランプが気候変動の問題を無視し、テクノロジーやAIについて全く話さなかったり否定的な態度を取ったりするのは、国家のレベルではこうしたグローバルな問題に対する答えがないことを理解しているからです。
    ●中東で戦争が行われるのは、石油を獲得すると言う「モノ」の奪い合い。一方先進国は知識経済だ。戦争をしても得るものが小さく、失うものが大きい。これが戦争に発展しない正当な理由。
    ● AIが代替えできない「第3の能力」は存在するのか?まだわかっていません。30年後の労働市場で何のスキルが必要なのかわからないので、何を教えるべきかがわからない。
    ●ベーシックインカムが成功したとしても、単に食料と住居を提供すれば良いのではなく、何らかの「人生の意味」も提供しなければなりません。
    ●今、臨床医の仕事の90%は診断が占めていますが、これはAIにとって変わられるでしょう。
    ●「結婚が良い取引ではない」と言う意識。男性にかかるプレッシャーが原因。一生自分が養わないといけないと言うプレッシャーは相当なものです。女性が働いていないと言うことで、最大の損失を被るのは男性なのです。
    ●カーツワイルの予測の間違い。人間がコンピューターに勝つためにコンピューターそのものになることではない。
    ●新しい医学は、早く死にすぎないようにするのが目的であって200歳まで生きることが目的ではない。
    ● 20世紀においてWASPは確かに自分たちの優越性を当然だと思っていた。しかし興味深い事に、2016年くらいから白人の間に「自分たちが犠牲者である」と言う意識が広がっていた。特に共和党の支持者が大半の人が「自分たちが差別されている」と思っている。

  • グローバルでベストセラーの著者たちがAIが押し寄せる中わたしたちに未来を忠告し、そこからどう解決していくのか、SDGs的な内容で読みやすいです。

  • 「苦痛はこの世でもっともリアルなものです。しかし国は苦痛を感じません。」ハラリ氏の金言

    国や企業はたまたイデオロギーごときに、人間が苦痛をうける馬鹿らしさ。

  • 2年前のインタビュー集だが、ジャレドは既に特定感染症への警告を発していたのが印象的だった。最後の論客が、アメリカは白人のほうが差別されている社会だ、との視点は目から鱗が落ちた。

  • ジャレド・ ダイヤモンド、ユヴァル・ノア・ハラリ氏などの著名人へのインタビューをまとめたもの。

    タイトルとの繋がりでいうと、AIによって格差が広がり、そこから新興感染症、テロリズム、移住問題などが起こるとのこと。格差は、貧しい国から裕福な国への移動を誘発して、それが感染症の拡散やテロの問題につながりかねない、ということらしい。(この辺り、何が原因で何が結果なのか、しっかり考えないといけないところ。)

    一方、野心を持った「他国民」の移民のおかげで、多様性を維持しているような気もするし、移民問題と言うのは複雑そうでまだまだ奥が深い。他の先進国は、移民があちこちから入ってくることで社会を変化させてきた一方、日本は移民が決定的な欠如しているのが際立った違い。

    だからこそ、国際協力による格差の是正は、自国のためにも必要と言うのは理解ができる。

    テクノロジーが社会を変えるのはある程度必然性があっても、それがどのように社会を変えるかは分からない。だからこそ、自分たちがどのように変えるか、というのを意思を持って進めていかねばならないのだろう。「未来は不確実であるが故に、実際に未来を形作っていくのは、未来への思考であり、思考から生まれる意思そのものである。」

    歴史的観点から見れば、テロリズムよりも気候変動の方が、人類の繁栄や生き残りにとってはるかに大きな課題、という部分は大局観を持たねばと考えさせられる。

    変化の時代、1つの分野に閉じこもらず、他の分野で何が起きているかを把握する、学問横断的なアプローチと、自分自身を環境に適応させる「変化への対応力」(変身資産)がこれからは一番重要。なるほど!変化ができる人とできない人との間で格差が広がる。なるほど。私は極端に環境の変化のない人生を歩んできたので…意識して変えねば、です。

    そして、世界がどんなに変わっても、変わらないことの1つが、女性が子供を産める年齢!

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著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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