「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか
- PHPエディターズ・グループ (2018年12月22日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569842172
作品紹介・あらすじ
米中貿易戦争や米中ハイテク戦争の根幹には「中国製造2025」がある。トランプが怖れているのは、「中国製造2025」により中国がアメリカを追い抜くことである。
中国は2015年5月に「中国製造(メイド・イン・チャイナ)2025」という国家戦略を発布し、2025年までにハイテク製品のキー・パーツ(半導体など)の70%を「メイド・イン・チャイナ」にして自給自足すると宣言。同時に有人宇宙飛行や月面探査プロジェクトなどの推進を盛り込んだ。また「暗号を制する者が世界を制する」と言われるように、「量子暗号」に力を注いでいる。中国は半導体と宇宙開発によって世界制覇を目指しているのだ。
この現実を直視しなければ、米中関係も日中関係も見えてこない。中国国家戦略の正体とは何か。習近平の真の狙いとは何か。中国研究の第一人者が、人材と半導体および宇宙に焦点を当てながら分析し、中国の実態と野望を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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中国製造2025は2015年5月に中国が発布した国家戦略で、ハイテク製品のコア技術を獲得するとともに、宇宙開発等も推進しようというもの。この背景には、2012年の尖閣問題で、日本製品不買運動が持ち上がったときに、結局スマホなどメイドインチャイナのハイテク製品に日本製のキーパーツが使われており、それが反政府運動に繋がりかねなかったという状況があった。
新常態という概念も中国製造2025と関連づけられたものであり、成長率が多少低下したことはハイテクへの投資が優先されているから、と考えるべき。
中国の半導体メーカーは世界トップに登り詰めており、その原動力になっている人材を精華大学など世界トップクラスの大学から国内で賄えるようになっている。また、量子コンピュータ、量子暗号の分野では中国が先駆けて墨子号を実用化させている。
中国はアフリカ諸国との連携を深めており、米中関係で困った時の日本カードを使ってくるなど外交もしたたかに展開している。
簡単に一帯一路一空一天を実現させていいのかという筆者の問題意識には強く共感する。コロナ後の世界の動きを踏まえてどう中国関連の情勢を筆者が分析するかは気になる。 -
世界情勢は、毎年どころか日々刻々と変わる。
この本も2019年1月の上梓なのだが、既に若干の既視感が見える。一帯一路、中国製造2025が最高にパワーのあった当時としては、かなり深い分析のなされた良書と思う。 -
● 2012年の尖閣諸島国有化がきっかけの反日デモ。日本製品の不買運動を行ったものの、メイドインチャイナと書いてあるその中身は日本製品のパーツが詰まっていた事に気づいた。最後は不満の矛先を政府に向けることとなる。
●大学生。一流は金融、二流はIT、三流は工学
●iPhoneの利益構成。アップル80ドル、部品の日本が20ドル、組立中国は数ドル。
●かつて低賃金で働いていた農民が、日本のGDPを抜きはじめた2010年頃から仕事を選びはじめ、工場はベトナムやタイに移るようになる。そこで農村を都市化して職場を捻出する計画を立てる。
●独裁国家を統治する党に軍が直属していると言う構築の中で、民主主義国家が対抗するのは至難の業である。
●ハイシリコン総裁は49歳女性。エンジニア。
●SCOBAスコバ。中国人シリコンバレーの頭脳集団。企業を渡り歩く。
●量子暗号、どちらかの状況に変化が起きると、もう片方にもすぐさま同じ影響が及ぶ。そのため、こっそり盗聴やハッキングができなくなるという効果がある。その量子暗号通信に2018年、世界で初めて成功した。次は量子コンピュータ。
●次世代の宇宙ステーションを狙う
●アフリカ53国、まるで新しい国連
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会社で回覧。
中国の中国製造2025の成り立ちを解説。
反日デモは反政府デモの表の姿でもある。
国家戦略の一端を知ることができた。
脅威に感じると共に、日本の国家戦略はどうなのか知りたい。 -
製造強国を目指すべく2015年に発表された「中国製造2025」について、半導体、量子通信衛星などの分野から詳述。今後、特に量子通信技術など一部の分野において世界を中国がリードすることで世界の覇権を握ろうとしている。
書評で気になり購入。よく理解していなかった中国製造2025の中身について、イメージを掴むことができたのはプラス。一方で時折話が脱線する点、加えて内容がかなり中国寄りな点が気になる。特に半導体については実際に記述通りなのか気になる部分があり、関連書籍を複数読み比べて自分なりに解を探る必要があるのではないか。 -
ブログで断片は読んでいたが、1冊の本としてまとまったものを読んでみると、著者の主張の説得力が増すように思う。
やはり中国人ネットワークは人材の宝庫だし、そこに強い決意と、豊富な資金とアサインメントが加わると、結果はついてくる。
幕末の我が国の拡大スケール版のようだ。
共産中国の下で進行しているのが、甚だ残念なのだが。
著者の推す対応策において、我が国がどう関与したらよいとしているのかが、今一つ見えてこない。
中共を助ける真似はするな、というのはわかるが、どうすれば...? -
出張者のお土産。米中貿易摩擦でトーンダウンしているように見える「中国製造2025」。それがなぜ必要とされ、それがなぜ米国に恐れられるのか。
これを考えた習近平すごいし、それに気づいたトランプもすごいな。
果たして、「一帯一路一空一天」となるかどうか。 -
遠藤先生が、テレビの経済番組で中国を語る時の勢いや情熱が好きで、本書を手に取りました。
実はあまり時間がなく、本書は目次だけメモを使用かと思っていました。目次だけとはいえ、興味のあるページは本文を参照するわけですが、遠藤先生の語り口調と同じく筆の勢いも魅力的で、結局全部を一気に読んでしまいました。
中国事情に精通している方にとっては、目新しい情報ではないのかもしれませんが、日本国内で限られた情報のみで「中国」を見ている者にとっては、大変参考になりました。
量子暗号、量子コンピュータ、一対一路、BRICs+などについて書かれています。強い口調で中国を批判するかに見える遠藤先生ですが、「ホァーウェイ」にこだわるあたり、やはり中国愛が根っこにあるのかな、と思いました。 -
明日、新しい時代である「令和」を迎えるにあたり、部屋の片隅に読みかけとして置かれていた本を一斉に整理することにしました。恐らく読み終えたら、面白いポイントが多く見つかると思いますが、現在読んでいる本も多くある中で、このような決断を致しました。
星一つとしているのは、私が読了できなかったという目印であり、内容とは関係ないことをお断りしておきます。令和のどこかで再会できることを祈念しつつ、この本を登録させていただきます。
平成31年4月30日(平成大晦日)作成
著者プロフィール
遠藤誉の作品





