世間とズレちゃうのはしょうがない

  • PHP研究所
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感想 : 62
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569843186

作品紹介・あらすじ

世間からはじき出されないことを願う理論派・伊集院光と、世間からはみ出している養老孟司が、世間との付き合い方、抜け出し方を語る。

感想・レビュー・書評

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  • 養老孟司先生と、伊集院光さんの対談集。

    養老先生はご自分を最初から「世間」からズレていると分析し、伊集院さんは「世間」からはじかれると怖い、とおっしゃる。

    印象に残ったエピソードを。

    養老先生が解剖を終えてお骨を持って遺族に返しに行ったときのこと。
    白木の箱に収めた骨壺の中からガタガタガタッと音がした。
    それで先生はまず「このお骨は泣いているのかな、笑っているのかな」と思ったそう。
    「解剖学をやりながら「このお骨は笑ってる」という感覚って同居できるんですか?」と、伊集院さんがつっこむと、
    「そこにはもうひとつ解釈があって、お骨が共振するということなんですね。音叉の論理ですよ。(略)大型トラックがそばの道路を通って、お骨が固有振動を起こした、と。」
    先生によると「お骨が笑ってる」という感覚と、「このお骨はカルシウムでできている物質」という事実は両立するようになったという。「おたがいが排除しあうわけじゃないですからね」と。

    私は、今まで、どっちかに決めなきゃいけない、と思い込んでいたフシがあったので、一気に肩の力が抜けたというか、腑に落ちたというか。

    あと、養老先生は虫好きで有名ですが、ジョロウグモやザトウムシのような形の虫は大嫌いなのだそうです。
    虫ならオールウェルカムかと思ってました。

  • 期待が大きかっただけに、肩透かしをくらったような読後感。
    世間とは何か、その中で生きる違和感は何か、そこでどうサバイバルするのか。
    以前読んだ鴻上尚史さんの本を思い出した。
    とにかく伊集院さんは考える人で、理屈を見つける人で、素直な人。養老先生のマイペースさも心地よい。
    遺骨が鳴って、これは悲しんでいるのかな、笑っているのかな、という話は面白かった。
    二人のファンには楽しめるのでは。

  • 2020.11.08

    メモをとりながら読んだ。
    日々の生活の中のちょっとした違和感、気づきをひたすら分解して考えてみる。
    人の意識と無意識、生と死、終戦を機にガラッと変わった、大人や生活様式、芸人の今昔
    古典芸能の恒久的な存在感、あらゆる境界の線の上から他方を見る。
    AIを称えるのに恐れてしまう意識のメカニズムなど、あー!考えればそうだよね!と思うこと多く。
    あと、対談形式なのでめちゃくちゃ読みやすい。母からのおすすめの本。


    以下、読みながら書いたメモ
    ・戦中戦後での先生と子、黒塗りの教科書
    ・わからない の提言
    ・死に対して「人」というモノ、物体←死体というモノになる。お清め、不浄、人とは、モノとは、の線引き
    ・死を扱う「えた・ひにん」の歴史
    ・都市意識、扱えないものは人ではなく「IT」
    ・速いマシンは受け入れられるのに、将棋AIが勝つと恐る、怒る、ここの線引き
    ・人の意識 無意識の境界 内と外
    ・自分の所属をリセットしたいなら、それは死しかない
    ・わがまま=ウーバーイーツやアマゾン
    昔の価値観がひっくり返った社会
    ・不便さが企画を生むように、無知が遊びを生む。

  • 解剖学者だからとか、芸人だからではない。二人の「世間との付き合い方」のズレが生み出すトークに熱中します。

    昨年発売日に購入して、久しぶりに再読した本です。
    バカの壁でベストセラー作家になった養老孟司さんと、毎週深夜ラジオでお世話になっている伊集院光さんの対談集。

    視点が絶妙な人と、話が面白い人が対話したら、、、とても面白いのではないか?と期待していましたが、思ったとおりでした。熱中できる楽しさです。


    この本になぜ熱中できたか。楽しさの理由は、作中の言葉を借りれば「世間の内と外」両方を意識した言い回しをしているからです。

    どういうことか。例えば、養老さんが解剖学について終始話していたら、それは面白くありません。私は医学生ではないし、解剖学のアカデミックな話を読みたいわけではないからです。

    話題の中心を私達が共感できること、例えば小学校時代の思い出とか、ラジオ番組とか、はたまた終戦直後の思想教育とか(これは年配者しかわらかないか)に据えている。これが世間の内側だとしたら、そのテーマを外側から観ている。

    解剖学者という知見と、御本人の「ちょっと世の中から一方引いた」生き方からみんなが知っている話題を語ってくれるからこそ面白いのです。


    伊集院さんはどうか。彼は本業ラジオパーソナリティーですね。かれのトークの面白さを考察すると、同じポイントがあることに気づきます。

    誰もが知っている話題、例えば今年でいえばオリンピック、パラリンピックですね、を冒頭に話し出す。それでいて、その1つの種目に着目して、意外な言葉を発してくる。

    それも、お昼の情報番組のように、是か非か、善か悪かの話題ではない。そもそも、その判断がさ・・・といったそもそも論を語りだします。
    深夜の下世話な番組のようでいて(ほとんどそうなのですが)、突然新書本のような考察を混ぜてくる。長年この面白さに魅了されています。この本の中でもそのトークの姿勢は崩れていません。それどころか、東大元教授の養老さんをして「君は本当に理屈っぽい」と言わしめる始末です。
    大学教授お墨付きの理屈芸人、素敵ですね。


    本の内容は、世間と自分とのズレは何なのか?どう付き合っていくべきか?といった話題。分野を問わず、共感するフレーズが多いと思います。

    学校、職場の人と、ちょっと話が合わないな、と思ったらクスリ代わりに一服することをオススメします。


    似たような本:友達幻想 嫌われる勇気 生の短さについて

  • ■動機
    自分も人も追い込むような仕事をしていた若い頃を振返り、柔軟にどう合わせて行けばよいのかグラついていた為。
    NHK「100分de名著」の伊集院光氏のアシスト振りが好きで、仕事でも参考にしたい為。

    ■要旨
    「『世間』から自分がズレるのが怖く軌道修正しながら生きてきた」伊集院光氏と、「(都市の脳化された)『世間』と(本来自然の生き物である)ヒト・自分はズレているものである」養老孟司氏の対談。(※結論や結論や具体的な解決方法の提示はない)

    ■気づき
    ・「積み上げていけば、右肩上がりになるものだとどこかで思う。積み上げたものが必ず100に到達すると信じていた。」(伊集院) 「そういう学者に出くわすと、『若いな』と思う。我々世代では、大きな『ガラガラポン』があった。『一億層玉砕・鬼畜米兵』と指導していた教員が『平和憲章・マッカーサー』と称賛する。連日皆で声を揃えて何度も読んだ箇所の墨塗り。もう理屈ではなく、肉体感覚」(養老)
    ・「田舎に行って自然に親しむ 一人で山を歩くと悩んでいる暇もない」「面白いだけじゃなくて気持ちいい 人間は本来座る格好で生きていない」(養老)
    ・「大丈夫。どうせ死ぬから。」(養老)
    ・全般的に、抽象的で断片的な養老孟司の話に対して、具体的に話を膨らます伊集院光の手腕が凄い。それだけ『世間とのズレ』に悩んだからなのか。

    ■取り組みたいこと
    本書では、具体的な問題の深堀や解決策を提示するものではなかったが、強いて上げると、
    「思いつめてしまったら、『肉体を使って疲れること』『猫など見て”ああしなきゃ”の強迫観念から解放すること』『都会⇔田舎の二つの軸を持つこと(参勤交代のように…できれば移住)』などがおススメ」とある。

    少し感染者数が落ち着いたら、伊豆高原の別荘地(の雑草の成長が著しく最近手入れに行けていない)に手入れに行こうと思う。落語(上野の鈴本演芸場、浅草ホール)などの「どうしようもない人々」を聞いて、気持ちを楽にしたい。

  • 社会生活をしている誰しもが一度は「自分はズレている」と思ったことがあるはず...

    「世間とのズレ」とどう付き合っていくかを考え直すきっかけになる本。

    本書は「世間とのズレ」を自覚している養老さんと伊集院さんの対談。お二人とも「ズレ」を個性と捉えて活躍されているから尊敬する。

    どちらかと言うと伊集院さんの「世間とのズレに怯えながら修正を試みるも、どうにもならず孤独に生きていた時期もある。今はなんとか調整しつつ生きている」と言う生き方に共感。

    伊集院さんのようにズレを調整しながら生きている人がほとんどだと思う。私自身も同じ生き方なので、共感しつつも個性を殺しすぎている気がして自己嫌悪。

    養老さんの「どこかで100%分かると思っている。全部分かるわけないのに。」という言葉に全てが詰まっている気がする。

    私は「100%思想」を持っているのだと思う。

    集団生活の中で生きるためには個性と世間とのズレをうまく隠しながら調整するしかないと思っていたし、努力すればズレは解消されて排斥されることもなくなる。だから個性を殺して生きていかないといけないと考えていた。

    著者であるお二人は個性を活かしながら上手く世間と付き合っている。養老さんはズレを開き直っているし、伊集院さんは排斥されないセーフゾーンを狙って歩んでいる。今まで学んできた「一般的」を無視して「個性」を活かしている人が社会では活躍しているようだ。本書を読んで「100%はない」ということに気づかされた。

    どんなに努力しても世間とのズレが100%解消されることはない。個性を排斥しようとする世間からも逃げられない。だったら「ズレはしょうがない。開き直って世間を冷静に見つめる」くらいに堂々と生きたい。

  • 「バカの壁」の著者である養老孟司と伊集院光による対談本。世間からズレていると自認しながら生きている二人が、どのように社会と折り合いを付けながら生活してきたのかそれぞれの観点で語られている。二人とも自分自身をメタ視点でよく分析できていると思った。

  • 面白かったです。
    伊集院さんて話合わせるの上手いな〜。
    これは面白いですよ、肩の力抜いて良いのですよ、と語りかけてくれる。

  • 思ったよりも短く、物足りなさが残った。もっぱら伊集院が話しかけ、養老が答える形だけど、養老はあまり乗っていないのか言葉数が少なく、その両者のやる気のアンバランスさが気になった。

  • 2人のおしゃべりしながらのポップな語り口で、自らの体験、考え方を語っています。
    中でも「100%は無理」という養老先生の言葉が刺さります。
    どこか高みを望み過ぎてしまう自分にはぴったりでした。

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著者プロフィール

【養老孟司】(ようろう たけし)

神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。1995年、東京大学医学部教授を退官し、同大学名誉教授に。1989年、『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞を受賞。 著書に、『唯脳論』(青土社・ちくま学芸文庫)、『バカの壁』『超バカの壁』『「自分」の壁』『遺言。』『ヒトの壁』(以上、新潮新書)、『日本のリアル』『文系の壁』『AIの壁』(以上、PHP新書)など多数。

「2022年 『科学のカタチ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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