「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問 (PHPビジネス新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569845999

作品紹介・あらすじ

「具体」と「抽象」を往復することで、発想が豊かになり、コミュニケーション・ギャップも解消! そんな思考法をクイズとともに紹介。

感想・レビュー・書評

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  • 物事を考える時具体→抽象→具体の順番で考えていく。具体だけだと表面的な問題解決になり、抽象だけだと机上の空論になってしまう。この流れで考えていくことが大事

  • 【感想】
    「抽象的<具体的」という考えを捨てよう!
    普段、「抽象的」というフレーズはえてして揶揄されるフレーズとして用いられる事が多いが、本書を読んでみて「具体と抽象」の両立がとても大切であるということだけは分かった。
    両立できなくては、どちらかに偏った考えや意見しかできないという事もすごく納得できた。
    考えの中に「抽象⇒具体⇒抽象」というサイクルを用いて、より明確化することの大切さが本書を通して理解できた気がする。

    ただ、文面が全体的に学術的で、少々読んでいて頭に入りにくかった・・・
    筆者の言葉を借りるのであれば、本書の内容はやや抽象的だったのかもしれない(笑)

    何とか理解はできたが、「具体と抽象」という軸を実践ベースで落とし込めるかどうかは、訓練が必要な気がする。
    読み応えのある1冊でした!


    【内容まとめ】
    1.そもそも抽象化とは?
    ごく少数の言葉や図形で森羅万象を説明すること。
    なるべくシンプルで、かつ多くのものを「一つの図で説明する」こと。

    2.具体的であることはわかりやすい反面、実は本当に大事なことを表現できない場面が往々にしてあります。
    「具体的はわかりやすく、抽象はわかりにくい」という一面的な見方だけを持つのはやめましょう。

    3.具体と抽象の行き来による問題解決
    「具体→抽象→具体」という抽象化と具体化を組み合わせた「根本的な問題解決」
    まずは現実の事象を具体的に捉え、それを一度抽象化して根本的課題を追求したのちに、その解決策を実践に導くために再度具体化をする。

    4.抽象化は「why」、具体化は「how」
    手段(具体の代表)と目的(抽象の代表)の関係を考えると、手段から目的を考えるのがwhyで、目的から手段を考えるのがhowです。



    【引用】
    p6
    ・そもそも抽象化とは?
    ごく少数の言葉や図形で森羅万象を説明すること。
    なるべくシンプルで、かつ多くのものを「一つの図で説明する」こと。


    p25
    ・「抽象的でわからない」は本当か?
    「具体と抽象」と言った時に誤解されているのが、抽象という言葉に対するイメージでしょう。
    ピカソやクレーといった画家の描く「抽象画」や、日常でよく聞くような「あの人の言っていることは抽象的すぎてわからない」など。
    いずれの場面でも共通するのは、「理解できない」ことの代名詞に「抽象」という言葉がなっていることです。
    確かに具体的であるものは、目に見えたり形になったりしているので、誰にも分かりやすいことは明らかです。

    ただ、本当にそれだけで良いのでしょうか?
    具体的であることはわかりやすい反面、実は本当に大事なことを表現できない場面が往々にしてあります。

    「具体的はわかりやすく、抽象はわかりにくい」という一面的な見方だけを持つのはやめましょう。


    p34★
    ・「具体→抽象→具体」という抽象化と具体化を組み合わせた「根本的な問題解決」
    具体と抽象の行き来による問題解決。
    まずは現実の事象を具体的に捉え、それを一度抽象化して根本的課題を追求したのちに、その解決策を実践に導くために再度具体化をする。


    p54
    知識社会自体が終わりを告げる可能性が出てきています。
    大きな影響を与えているのが、AIをはじめとするテクノロジーの飛躍的な発展です。
    言うまでもなく、単なる知識を詰め込み、情報量で勝負する世界であれば、人間より機械の方が勝っていることは明白です。

    「単に大量の事象を知っていること」の付加価値は急速に下落しており、人間の知的能力のあるべき姿について大きな問題提起がなされているのです。


    p121
    ・抽象化は「why」、具体化は「how」
    手段(具体の代表)と目的(抽象の代表)の関係を考えると、手段から目的を考えるのがwhyで、目的から手段を考えるのがhowです。


    p266
    本書で強調したいのは、「具体と抽象」という軸を私たちの考え方に組み込むと言うこと。
    コミュニケーションギャップが生じる原因は、「具体化や抽象化ができるかどうか」ではなく、そもそも「具体と抽象という視点を持てるかどうか」、そして「その中で今行われていることがどこなのか、その軸上にマッピングできるかどうか」ということ。

  • 抽象化と具体化の繰り返しを自由自在に自身でコントロールできるようになりたい。人と話が噛み合っていないな、と感じる時に思う願望でした。これまで生きてきた中で何とか誤魔化しが効いてやり過ごしてきました。しかしこれからの時代、多様性と混沌が入り混じる中で物事の本質を捉え、これまで生きてきた経験というスパイスを織り交ぜて、具体化、実践していくための手掛かりとなった一冊でした。繰り返し、繰り返し、自分の中にしっかりと腹落ちして消化、栄養が行き渡るまで読み返してみたいです。

  • 「自分の頭で考える」って何?と聞かれたら、何と答えますか?

    私は、どこかで聞いた情報をただ鵜呑みにするのではなく、自分で調べて意見を持つこと、くらいの粒度でしか理解していませんでした。

    しかし本書を読んで、具体→抽象と考えた後に自分に当てはめて具体を考えることで、幅広い選択肢から自分の意見を構成できるようになることだと思うようになりました。

    抽象と具体を繰り返して考えることで、一つの事象に対して、さまざまな角度から見ることができるのだと思います。

    また、アナロジーを考えることに苦手意識を感じていたのですが、これも抽象化能力であることに気づき、ハウトゥーを知れたのはとても良かったです。

    すぐにできる気はしませんが、
    ・議論では抽象レベルが揃っているかを意識する
    ・具体の次に抽象で捉えることで、似た具体がないかを考えて転用する(=アナロジー)
    ・抽象には正解がなく切り取り方次第なので、正解を意識しすぎない
    この辺りを意識するだけですごく仕事がしやすくなりそうです。

    今日から実践してみます。

  • ワタシが敬愛する“書評家”楠木建が『戦略読書日記』や『室内生活』で繰り返し強調する「具体と抽象の往復」の意味するところが、実はいまひとつピンときていなかった。そこへ、そのものズバリのタイトルを持った本。書店で見かけて即買い。で、腹落ち。そして、これは本から本への正しいリレーの好例ではないかと独りごちた。

    独りよがりの前置きはさておき、やはり本書でも出てきた「試験問題には正解があるが、現実の問題には正解がないことがほとんど」という指摘。これは先日読んだ『答えより問いを探して』でも出てきた問題提起で、昨今では「AIにはできないこと」という文脈で多く取り上げられている点。本書でもイントロの部分で触れられている。
    AIとの生存競争を煽るようなビジネス本の惹句はいかがなものかと思うけれど、結果としていろいろな思考法に触れて自分の引き出しを充実させることができるのなら、この惹句に乗っかってみるのも悪くないかもしれない。

  • この本を一行で言うと、

    「具体と抽象の軸を持ち自分の頭で考えること」


    なぜこの本を読もうと思ったのか?

    1.著者の「具体と抽象」を読んだが、この本で問いに答えることで「具体と抽象」の思考力をさらに深めるトレーニングができるのではないかと思った。

    2.自分の頭で考えているつもりでも、具体化と抽象化の軸が定まらず、自分が今考えていることの抽象レベルもあやふやな現状があったので、この本でしっかり「具体と抽象」の考え方を身につけようと思った。

    3.インターネット・スマホ・SNSによる知的能力の「扁平化」によって、AIによって知的活動分野が乗っ取られないためにも、「具体と抽象」を軸とした考え方が必要だと思ったので。


    この本で何を学んだか?

    1.時代の安定期には、具体的な知識力の量がものを言っていたが、現在のような変革期には、抽象化能力が必要となっている。

    2.具体的なものしか見えていない人と、抽象化してメタレベルで見えている人との間には断絶があり、コミュニケーションの行き違いの原因となっている。

    3.「抽象化」とは「Whyを問うこと」で「具体化」とは「Howを問うこと」である。


    この本の読んで今後自分はどうするか?

    1.人より多い知識量がよしとされていた価値観に自分もそまっているため、ついネットで必要以上に情報を集めたり、より多く本を読もうとしてきたが、大事なのは知識量ではない。「人より知っていること」自体にはすでに価値がなく、いずれAI取ってかわられる。
    それよりも、抽象化していかに自分の頭で考えられることが大事だという認識ができた。
    多くの情報や本を求めるより、自分がどれだけ抽象化して考えられるか意識して知的活動をしていきたい。

    2.情報を得たり、人とコミュニケーションするとき自分と相手がどの抽象レベルにいるか常に意識することで、誤解や行き違いを避けて行こうと思う。

    3.「具体と抽象」の往復で自分なりの発想でアウトプットしていく。
    また、情報をインプットするときも「具体と抽象」のレベルを意識していく。

      

  • 具体レベルと抽象レベル、人によって議論の階層がそもそも異なる可能性を認識した。だから、会社であの人とは全然話が合わなかったのか。。。多分、私は具体レベルでしか物事を考えていなかった。

    あらゆる課題解決に向けた取り組みは、「①具体レベル(現状分析やブレスト)→②抽象レベル(本質的な問題と原因究明)→③具体レベル(対応策の絞り混み)」という流れが望ましいことに気づいた。
    ところが、具体レベルでしか物事を考えられないと、思考回路は①→③であり、誤った解決策に陥り勝ち。忙しさを理由に②の思考プロセスをすっ飛ばしているのではなく、必要性を感じていなかったからだ。これは大いに反省したい。

    そして読書の目的も、沢山読んで具体的知識を詰め込むのではない。具体⇔抽象を行き来する訓練を重ねながら、想像力を働かせ、問いを立てていきたい。一冊前の自分より更に成長した自分になれたらいいなぁ。。

  • 具体というものは細かく、抽象というものは自由度が高い。
    そしてその段階、抽象から具体におろす際の段差の話は響いた。抽象の次の具体に対してどれだけ丁寧にその間を読んで託せるか。ここが私の勘所だろう。

  • 読んでいる間ずっと耳が痛い、見えてないこと/できてないことに気付かされる、そんな本でした。
    当方30歳技術系社会人ですが、特に今20代以下の方に強くお勧めしたい一冊です。

    ■読んだ理由
    職場上司からのオススメ 
    ※あなたは論理的思考力が甘い、との苦言を添えて

    ■概要
    具体的・抽象的とは何か、なぜ大切か
    具体⇄抽象を行き来する方法、それぞれの違い
    活用例

    ■読んでみて感想
    具体を横方向の広がり、抽象を縦方向の広がり、
    と一貫して表現することで、問題発見〜解決の
    流れを示しており、非常に分かりやすく理解できた。

    特に、上司の依頼(=抽象の世界が見えている)
    に対し、実務者(=具体的作業で見ている)との間
    にある思考のギャップ、および互いの思考の
    前提のずれ、によってコミュニケーションエラーが
    起きているという筆者指摘について、
    過去に思い当たる節が多く、耳(目?)が痛くなった。
    具体→抽象へ変換するには能動的思考が必要、
    という点が、普段の仕事で意識していきたいところ。

    個人的に感じたのは、この思考プロセスは
    特に若い人(自分含め20代以下、z世代)が苦手
    のように思う。
    その要因は日本の教育や、すぐに答え(=具体の世界)
    に辿り着ける(情報過多な)現状、等、
    世の中の在り方が背景にあるため、
    意識しないと流されて、思考力格差は広がり、
    当事者は無意識のうちに困る、と思いました。
    若い人に伝われば良いなと思います。
    (筆者も指摘されてる通り、です)


    ■おすすめしたい人
    ・仕事を始めて1〜6年程度の方
    ・技術系・文系問わず、幅広く

  • 素晴らしい一冊。
    思考には具体と抽象があり、抽象度が高いほど大きな影響力を持ち得たり高い生産性を発揮出来たりするということについては、過去に苫米地英人氏の著作で何度も触れてきた。
    マコなり社長の推薦にも含まれていたため興味がありつつも未読だったものを、妻からも強い勧めがありこの度読了。
    自分の至らない部分の原因であったり、他者とのコミュニケーションギャップの原因についての明快な解説が得られる。

    本書の凄さはなんといっても、人間の思考活動における重要な構造である具体と抽象という関係性を解像度高く提示している点にある。

    確認したところ具体と抽象というテーマでは既に過去作があるが、本書では「トレーニング」と銘打っている通り、読み進めながら「具体」と「抽象」それぞれの特徴、そしてその往還が重要であることをしっかりと理解していくことができる。応用問題も(少量ではあるが)載っているため思考のトレーニングになる。

    妻が勧めてくれたのには意味があり、妻が極度の抽象型の性質を持つ一方で私が具体に強く囚われていることがはっきりと浮き彫りになったからである。
    彼女は私の具体過ぎる言動が我慢ならないようだ。

    過去を思い出す。

    私は学生時代に魔法文化について研究していたり、社会に出てからはバンド活動の中でオンタイムの時間ベクトルにおけるパフォーマンスとも称せる体験をしていたり、経営に携わって会社の運営と現場を両立させたりと抽象を活用する機会が多かった。

    それが30代以降からITエンジニアに転職し、「完璧に正確であること」「全てにおいて根拠を持つこと」といった強い具体思考を持つ必要性に迫られた。

    抽象性、一般論、主観といった要素を極力排除する思考と行動を徹底的に磨いた結果、エンジニアとしてのスキルは上がったが、知らず知らずのうちに抽象的思考をどこかに落としてきてしまっていた。

    本書を読んで改めて、抽象度を上げた思考を取り戻し、より脳をフルに活用させていこうと決意した。さもなくば英知は授かられん。

    本書の中で最も刺さった点は、「抽象とは、捨てることである」という特徴だ。
    自分は興味関心が広く、優先順位付けが下手であったり、話が長かったり、知識や経験をすべて得ようとするクセがある。
    これらはすべて具体病の一貫と言えよう。

    目標設定には具体性が必要だが、そのゴール設定は抽象からの流れの下流におけるマイルストーンで行えばよい。
    目指す地点を絞り込み、余剰を捨てなければ限りある時間の中で到達することが出来ない。
    この真理を強く認識できたことが、本書の読書体験の中での最大の宝だ。

    「具体と抽象」はあらゆるカテゴリー、フェーズで適用可能な概念であるから、自らのテーマと掛け合わせて深堀するのが楽しい。
    願わくば残りの自分の人生を好転させる良き分岐点とならんことを。

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著者プロフィール

細谷功(ほそや・いさお):1964年生まれ。ビジネスコンサルタント、著述家。問題発見・解決や思考力に関する講演や研修を国内外で実施。『仕事に生かす地頭力』(ちくま文庫)、『地頭力を鍛える』『アナロジー思考』(共に東洋経済新報社)、『具体と抽象』(dZERO)、『思考力の地図』(KADOKAWA)等著書多数。

「2023年 『やわらかい頭の作り方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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