本屋を守れ 読書とは国力 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569846651

作品紹介・あらすじ

15歳の読解力はOECDの調査で過去最低。駅前からは書店が消えていく。これで日本人の文化と教養が守れるのか! 怒りの国防文化論。

感想・レビュー・書評

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  • 「電子書籍では、本に染み付いた思い出が甦らない」と著者は言う。確かにそうだ。
    スマートフォンは「眼に見えないもの」を大切にすること、「この世界にはまだまだ自分の知らないことがある」という謙虚さ、紙のにおい、質感、重量、字体の微妙な違い、行間の間、次の句までの一拍などは一切省かれてしまう。知らないうちに。
    とりあえず、スマートフォンの使用目的を「時間管理」「連絡」とに絞りこみ、snsアプリ、オンラインストアアプリ、ゲームアプリは削除することにした。またインストールしてしまうだろうけれど…。

  • 『国家の品格』『遥かなるケンブリッジ』以来、久しぶりの藤原さんの著書。歯切れがいい語り口で読書の意義を力説していて、町の本屋を守ることは国を守ることだと語りかける。私も出張や旅行で訪れる場所で、本屋を探してついつい覗いてみている。扱う書籍も本屋それぞれ個性的で、気に入った本屋もいくつかあり、今度訪れたときに再訪をしたいと思っている。そんな本屋が再訪時に無くなっていたらやっぱり悲しい気持ちになる。
    今日から、新型コロナウィルス感染症対策の一環で緊急事態宣言下の生活が始まる。5月6日まで、臨時休業する本屋もあるのでしょう。この困難を乗り切ってまた多くの読書家を楽しませてほしいなぁ。

  • 読書の大切さについて説かれていて、強く共感した。論理的な思考には優れているとされる理系であっても、その多くが読書量が足りないがために大局観に欠け、国の指導者としては不向きである、といったことや、移民政策がいかに国を危うくするかということまで、藤原氏らしく分かりやすく説明されていた。多くの人に読んでもらいたいと思う一冊だ。

  • 対話形式。論理的思考のみでは大局を見通せない。広い視野で物事を考えられるようにするなら、ICT教育や英語教育より、読書で文化や教養を身につけるほうが先でしょう、という考えに頷いてしまう。歯切れのよい語り口で、紙の活字本派に響く内容だった。本屋を守る方策に関しては、サラッとしか触れていないので、そのあたりは別の本を読んだほうがよい。本屋の存在を意識しつつ、日本がどうあるべきかを考える一冊。

  • 小学校の時には「読み」が大事
    読み:書き:話す:聞くの割合は
    20:5:1:1でいい(笑)

    小さいころに「読み」を徹底して、先人の利絵に学び、個人では経験できないさまざまな観桜に涙を流す。これなくして教養は育たない。

    教養がないと大局観が得られない。教養とは、分化とか歴史とか思想・芸術とか。実利とは縁遠い役に立たないような精神性の総体


    人間の判断力は自分の経験を通じて形成されるけれど、いかんせん一人の人間の経験は限られている。そういう中で、唯一時空を超えさせてくれるのが読書なのだ。


    大切なのは、好きな本を読むこと。


    スマホ最大の罪は「孤独になる時間」

    人間の深い情緒は、孤独な時間から生まれる。


    人間は思考の結果を語彙で表しているばかりではない。語彙を用いて思考している。

    好きと嫌いしかなかったら、ケダモノのような恋しかできない。語彙がない=思考も情緒もない。

    黙って本を読む、ただそれだけのことが大人も子供もできなくなっている。

    教養がないと大局観が生まれない。
    理系出身のリーダー・大統領は教養がない。読書量が足りない。論理的に考えられても大局観に欠ける。そうなると対処療法しかできない。

    日本が植民地にならなかったのは町人が本屋で立ち読みしているのを見かけて震撼したから。幕末には江戸に800軒、京都に200軒もの本屋があったそう。

    江戸末期の識字率が9割を越えるというのはヨーロッパ人の想像を超えていた。

    みんなが本を読むというのは、それほどの防衛力になる。つまり、読書とは国防である。



    人間は本を読むことで初めて孤立した情報が組織化され知識となり、体験や情緒によって知識が組織化され教養となる。この階梯は、インターネットの画面を何百時間眺めていても踏むことはできません。


    AIに毎分1億句の俳句をつくる能力はあったとしで、そのなかで1番優れた句を選ぶことはできない。

    無限=0、無限とは空である。
    適正に選択されない情報はいくらあっても無価値

    詩や俳句を選択するには、その良し悪しを判断する「情緒」が必要。


    デジタル本と活字本の違い
    「自然に目に入ってくるかどうか」

    デジタル本はクリックしなければ内容を見れない。しかし、本棚にある本は何もせずとも自然に表紙のタイトルが目に入ってくる。

    「視界に入るか否か」が人間の記憶や情緒と深く関わっている。

    昔は写真もアルバムにして見返していたが、ケータイに入れるようになって見返す機会が減った。


    人間の想像力や創造力の源となるのは「孤独」
    たった1人で自分自身と向き合い、本と向き合うことは他の行為では替えが効かない


    ロシアの劇作家 アントン・チェーホフ
    「書物の新しい一頁、一頁読むごとに、私はより豊かに、より強く、より高くなっていく」







  •  読書は、習慣だと思う。歯を磨かないと気持ち悪いように、本を読まないと1日が終わらないように習慣づけて仕舞えば良い。
    文科省は、教科書デジタル化などとつまらないことを提案するより、小学校から大学まで、読書の時間を必修にすべき。
     8章、移民政策は、大変考えさせられた。私も藤原先生と同じく安易な移民政策は反対です。

  • 納得できる主張と、やや先入観で語られる主張が半々。聞きにくい程ではないが、時代やテクノロジーは変化するものであり、そこから新たな価値観を生んでいく事の必要性を懐古主義で否定しまっている事が特に残念。本屋で得られるものは、インターネットでは本当に得られないのだろうか。いつまでも対面商売、生産物に不必要な労働を付加して金銭交換するスタイルが正しいのだろうか。もっと柔軟に語って欲しいものだ。

  • 話の内容に論理性や理知性がない。スマホゲームに熱中してたり、本や新聞を読まなくなったから、日本人が原来から持っていた大局観や品格、教養がを失われたと叙述されている。勿論、藤原の認識は正しくない。だいたいスマホゲームに熱中することの何が悪いのか。ゲームばかりしていないで読書や新聞を読めと命ずることによって、その人のとんでもないゲームの素質を潰すことになるかもしれない。今やネットゲームにのめり込めば、オリンピックに出ることも、億の収入を得ることも、決して夢物語ではない。なのに、教養が育たないと言った短絡的な理由で、その人の才能の萌芽を潰滅させるのは如何なものか。
    こう言った了見の狭い、偏向な左翼の人はナンセンス極まりない

  • 現在、TUTAYAが次々と閉店していく中、私は寂しさを感じながらも、
    読書を試みました。

    この本の内容は、「本を読もう!」というメッセージでした。
    著者は、小学生に対して「英語の勉強もいいけれど、本を読もう!」と
    訴えています。

    今の世の中はグローバル化が進んでいますが、私は日本が素晴らしい国であり、
    日本人が素晴らしい民族だと思います。
    本を通じて、日本人らしさ(教養があり、思慮深く、謙虚であること)を
    深めたいと感じました。

    また、買い物は選択であり、自分の好きなものにお金を使うことが
    大切だと思いました。

  • やっぱ本です。紙の本です。
    私個人は戦争アレルギーだ。科学を学ぶこと。科学と社会との関わりを学者として引き受けること。これもノブレスオブリージュと感じる。
    本を自分で手に取る人間。私はおかげさまでそんな人間になれた。私の父も本代は無限にくれた。貧乏など自覚すらさせてもらっていなかった。今ならわかる。今でしかわからない。そんな体験を、娘や息子、あるいは全ての次世代に残す番だ。
    小学生の頃。町の本屋で立ち読み。間違えてそのまま読みながら本屋を出てしまい、家に着く頃に「うわっ!しまった!!」と気づき、もう真っ青になって本屋に戻りながら、途中で警察に捕まるんじゃないかとか、ちゃんと謝って返したらかえって許してもらえないじゃないかとか、こっそり返したらわざとしたと思われるんじゃないかとか、で結局、誠実でないのは卑怯だと心を強く持って、入り口のレジで謝る勇気を振り絞ったこととかを、ぶわ~っと思い出しました。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2020年 『本屋を守れ 読書とは国力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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