きたきた捕物帖

著者 :
  • PHP研究所
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本棚登録 : 453
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569846941

作品紹介・あらすじ

宮部みゆき、久々の新シリーズ始動! 謎解き×怪異×人情が味わえて、著者が「生涯、書き続けたい」という捕物帖であり、宮部ワールドの要となるシリーズだ。
舞台は江戸深川。いまだ下っ端で、岡っ引きの見習いでしかない北一(16歳)は、亡くなった千吉親分の本業だった文庫売り(本や小間物を入れる箱を売る商売)で生計を立てている。やがて自前の文庫をつくり、売ることができる日を夢見て……。
本書は、ちょっと気弱な主人公・北一が、やがて相棒となる喜多次と出逢い、親分のおかみさんや周りの人たちの協力を得て、事件や不思議な出来事を解き明かしつつ、成長していく物語。
北一が住んでいるのは、『桜ほうさら』の主人公・笙之介が住んでいた富勘長屋。さらに『<完本>初ものがたり』に登場する謎の稲荷寿司屋の正体も明らかになるなど、宮部ファンにとってはたまらない仕掛けが散りばめられているのだ。
今の社会に漂う閉塞感を吹き飛ばしてくれる、痛快で読み応えのある時代ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 深川元町の岡っ引き、文庫屋の千吉親分が、急死。
    末の子分・北一は、貸家を追い出され……。

    未熟ながらも、千吉親分の精神を尊重し、なんとか誰かの助けになろうと頑張る、北一。
    その真っすぐさを応援する、まわりの温かい大人たち。

    人情味のある話ばかり。

    人の悪意、善意、心のうちに抱えているものをえがきながらも、テンポよく、程よい分量。
    時にコミカルなやり取りもあり、楽しい。

    まわりのキャラクターもよかった。

    北一のこれからの生業。
    捕物にかかわるための下地。
    そして頼れるもうひとりの〈きたさん〉。

    親分が亡くなった北一の、今後の設定が整っていく、まさに新シリーズスタートの巻。

  • 宮部みゆきさんの時代物最新シリーズ。装画はこれまた好みの三木謙次さん。このお二人の組み合わせが好きなんだよな。

    以前は宮部さんの推理ものを好んでいましたが、今は時代物の虜。

    三島屋シリーズ、ぼんくらシリーズ等ボリュームも相当ですが、外れなし。
    江戸時代の人々の暮らしや、人との関わり、心の動きに、今と何ら異なることのない本質のようなものを感じながら、心振るわせています笑。

    本作の主人公はちょっと頼りない16歳の文庫(ちょっとした箱を指す)売りである北一。

    親分である岡っ引きの千吉が亡くなるところから話が始まるので、あれ?と思いきや、進展とともに、その千吉の人となりが縁取られ、面白味を増していきます。

    宮部さんの作品らしく、長屋の登場人物たちが加わり、人それぞれの思う「正しさ」の行き違い、人の心に宿る「思い込み」の脆さ、利己による妬みや欺瞞の在り様、さらには思ってもみない傍にいる人々がここ一番味方になってくれる心強さ等々、なぞ解きにくわえて、彩を増します。

    もうだめだ、自分なんて、と視野が狭くなった時、意外なことに、今までは気づかなかった側にいる人が大きな力を発揮して、助けてくれる。
    自分だけで抱え込まないで、周りを見回し、頼ってみる。そんなヒントも満載です。


    きたきた捕物帖。二人の「きたさん」がこれからどんな姿を現すのか、愉しみ!

    三木さんの温かみのある画も、たまらなくよいです。

  • 何でも書いてますが、宮部みゆきは時代ものです!
    そして現代物でもそうですが、他の作品と少しずつ接点があるので世界観が広がります。
    深川周辺が舞台になることが多く、前は読み終わった後に深川に行ったりしました。
    冒頭2行でなくなってしまう十手持ちの親分。
    その親分に育てられた迷子か捨て子か分からない北一こと通称北さんが主人公です。
    帯に2人のきたさんと書いてあったので、もう1人の北さんは?と思っていたら出てきました。
    う~ん、謎めいている。身のこなしは忍者だけど隠密かもしれないし…
    2人のきたさんも、亡くなった親分の奥さんも、どうなるのか楽しみな作品です。

  • 買ったら直ぐ読んじゃうと思ってたけど、
    やっぱり直ぐ読んじゃった。
    明日いや今日仕事なのに。
    いやーあ楽しかったです。

  • 宮部みゆきの江戸物は絶対にスルーしない私。
    帯の「新シリーズ」という言葉ににワクワクしつつ、今までのシリーズも続けて欲しいと思いつつ、
    チラチラ出てくる他のシリーズのキャラクターに興奮しつつ、(なかなか忙しい)楽しく読了。

  • 20200701 シリーズ物の開始編なので登場人物の紹介をしながら話しの枠組みが、章を進む毎に拡がってきて、贔屓の人物の活躍に同化して、最後まで読み進んでしまう。え?もう終わり。という読後感は久しぶりだった。早く続きが読みたい。

  • 宮部さんらしくテンポがよいので、あっという間に読みました。
    ストーリーの大筋とは関係無さそうな登場人物が、宮部作品の登場人物の名前と同じだなと思っていましたが、最後のいなり寿司で確信しました。
    また、初ものがたりが読みたくなってきました。
    挿し絵とほのぼのしているので、北一のイラッとした内面描写が、幼さや未熟さから来るものだな…と、感じられました。

  • 初出 2018〜20年「文蔵」の4話

    迷子を拾って育ててくれた岡っ引きの千吉親分がふぐに当たって死んで、数えで16の北一は長屋に移り、副業の文庫(紙箱)売りを継いだ一の子分から卸してもらって振り売りで生計を立てる。
    小柄で風采が上がらず頼りない北一を案じて世話をやくのが長屋の差配の冨勘と、親分の未亡人で目が見えない「おかみさん」の松葉だ。北一はもう岡っ引きの手下ではないのだが、事件に関わらされていき、安楽椅子探偵のおかみさんの推理と指示で解決に至る。

    1話目の呪いの福笑いでは、おかみさんが直接出張って福笑いを正しい位置に置いて呪いを解いてしまって、北一の活躍はなし。不思議系の話はこれだけ。
    2話目の神隠しの双六では、子供の神隠し騒ぎが芝居だと見抜き、背後にある商家の家内問題を嗅ぎつけて真相にたどり着くが、ことを公にしない。
    3話目は、菓子屋の次男坊が不行跡を認めないのを、冨勘がたしなめて勘当になり、逆恨みで誘拐され金を要求される。これを解決したのは、行き倒れで風呂屋の釜番になった喜多次という北一と同じような年格好の男。北一が処理をさせられた白骨死体が父親と分かって恩義を感じ、監禁場所を探し当て、すごい早業で犯人を動けなくして人質を救い出した。「きたきた捕物帖」というのだから、今後この二人の活躍がシリーズになるんだろう。喜多次の正体も謎だが。
    最後は味噌問屋の死んだ嫁の生まれ変わりだという娘一家がが、味噌問屋の乗っ取りを謀り、祟りに見せかけて二人も死んだため、きたきたコンビが仕掛けをして、おかみさんが乗り込んで娘に白状させる。この騒動の中で北一は周囲の協力で文庫を自前で作って売ることになる。

    今までの宮部流謎解きの感動の要素はないけれど、ちょっとわくわくする新しい捕物帖の誕生。

  • 面白かったー。早く続きが読みたい。

  • てめぇが長屋暮らしの棒手振り、その日暮らしなのによぉ、おかみさんを花火見物に連れていってやりてぇたあ、泣かせるじゃねえかよぉ(涙) いい奴だ、北一。絶対に続編が出るな。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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