源氏将軍断絶 なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか (PHP新書)

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  • PHP研究所
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感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569848280

作品紹介・あらすじ

なぜ源氏将軍は3代で終わったのか。鎌倉幕府開闢から最後の将軍実朝の殺害まで、源氏3代の骨肉の争いを、第一人者が詳細に描く。

感想・レビュー・書評

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  • 源頼朝・頼家・実朝の三代で途絶えてしまった「源氏将軍」の悲劇の歴史を辿る一冊。

    明年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の余波で生まれた本ではあるのだろう(著者は『鎌倉殿の13人』の時代考証を担当する歴史学者)。
    が、「大河ドラマ便乗本」にありがちな粗製濫造感は皆無で、さすがの濃密さである。

    通り一遍の入門書の域を超え、歴史マニアも唸らせる内容(私はマニアではないが)。
    中世史研究の最先端の知見を随所に盛り込み、源氏将軍三代についての誤った常識が次々と正されていく。

    『吾妻鏡』を重要な史料として用いつつ、幕府の公式史書であるがゆえの偏り・潤色・曲筆について、バシバシ指摘していくところが痛快だ。

    この著者の著作を読むのはこれで3冊目だが、この人は文章がうまい。学者の文章にありがちなわかりにくさがなく、キビキビとした歯切れ良いリズムを持った明晰な文体。

    とくに、合戦について記述するところなどは、抜群の映像喚起力でグイグイ読ませる。それでいて、俗に流れることはけっしてなく、格調高い文章なのだ。

    「誅殺」という古めかしい言葉が、随所に登場する。何とも血なまぐさい時代だったのだなァと、改めて思う。

  • 鎌倉幕府において、創設者で初代将軍の頼朝の血統は、
    三代で断絶した。その三代の将軍についてと、権力闘争、
    その後の将軍継承をも含め、史料を基に詳細に解き明かす。
    はじめに・・・「吾妻鏡」の意図とその他の史料について。
    第一章 源氏将軍の誕生
    第二章 源氏将軍の継承
    第三章 源氏将軍の確立
    第四章 源氏将軍の試練と成長
    第五章 源氏将軍断絶
    終章 源氏将軍のその後
    関係略年表、主要参考文献有り。
    鎌倉幕府の初代将軍の頼朝から実朝までと、その後の将軍継承。
    それぞれの政治と権力闘争の流れを史料を基に解明していく。
    根本史料である「吾妻鏡」から潤色・曲筆をそぎ落とし、
    「愚管抄」や「明月記」、様々な日記や書簡、発給文書等の
    著作物や史料を調べて当時の状況を考察し、
    他の研究者の説をも検証する様子が分かり易く、
    まるで推理小説や戦記を読むような感じで楽しめました。
    頼朝の、奥州合戦の状況や戦時から平時への体制の変化、
    朝廷との関係、網の目の如くの婚姻関係。
    頼家の、治世と宿老たちとの関係。
    実朝の、「善政」と幕府首脳部との協調で安定した幕政運営。
    親王将軍推戴への、実朝、後鳥羽、北条氏のヴィジョン。
    だが、頼朝の急死や頼家の急病、実朝の暗殺の、想定外の
    出来事が、政権に混乱や対立を招いた。
    特に、対立による乱の有り様は凄まじい。
    比企の乱、謀叛の疑いで滅亡した畠山氏、和田合戦の凄惨なこと。
    また、実朝暗殺当日の状況を「吾妻鏡」と「愚管抄」で比較し、
    事件や黒幕を検証し、考察していくのも、ドキュメンタリーの
    如くの分かり易さで、興味深く読めました。

  • 鎌倉幕府が続いていたのは知っているけれど、実朝が倒れた後の将軍が誰なのかは正直よく知らなった。
    ならば何故源氏将軍は三代で断絶してしまったのか。
    吾妻鏡をベースに愚管抄やその他の資料から読み解く源氏三代の歴史。頼家と実朝の治世も改めて振り返る。

    20歳前後で後継を決める時代、後鳥羽上皇の従妹である御台所との間に子供が恵まれず、幕府は後鳥羽の息子を将軍として迎える打診をする。
    実朝と後鳥羽の信頼関係。北条との格の違い。
    親王将軍候補はどちらも20歳前後。
    至高の血統となれば源氏に戻すことなどありえず、事実上の源氏将軍断絶。それは実朝も承知のことだった、というのが驚きだった。
    もし親王を迎えた後に御台所との間に子供を授かったらどうするつもりだったのだろう。
    後世の人間が知っている歴史も、当事者たちには未知の未来なのである。

  • 実朝と後鳥羽のビジョンおよび実績が示されている。
    別史料に照らし合わせて吾妻鏡を裏読みしていくプロセスも面白い

  • ドラマ鑑賞の参考に読む。この時代を舞台に書かれたものを読んだのは太宰の『右大臣実朝』だけ。
    背景に馴染みがなく、読み続けるのに苦労した。とりあえず実朝のイメージが真逆に提示しているのだけはわかった。実朝は公暁に暗殺されて死ぬことになるのだが、このご時世であの場面をドラマ化できるのか。別の方に興味が湧いてきた。

  • この時代の歴史研究は、やはりというべきか残存史料が後世に比べて少ないので、その解釈のやり方、あるいは新史料の有無とその扱い方で、どう描かれるかだいぶ違ってくるのだな…と感じた一冊。坂井先生は割と大胆な方という印象。

  • 三代に終わった鎌倉幕府の源氏将軍について、頼朝による将軍家の成立とその指向性、頼家による継承と実朝による源氏将軍の確立とその消滅にいたる流れを紐解く内容。吾妻鏡の曲筆の検証を通じて行われる頼家・実朝の再評価が興味深い。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50225560

  • #英語 だと Extinction of Genji Shogun でしょうか?

    著者は #鎌倉殿の13人 時代考証者
    「新解釈」でドラマ化されるのでしょうか?とても楽しみにしています!

  • なぜ源氏将軍は三代で途絶えてしまったのか。その謎に迫る本。

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著者プロフィール

1958年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。博士(文学)。現在、創価大学文学部教授。専門は日本中世史。平安末期・鎌倉初期の政治史・文化史、室町期の芸能史を主な研究テーマとする。著書に『鎌倉殿と執権北条氏――義時はいかに朝廷を乗り越えたか』(小社刊)、『承久の乱――真の「武者の世」を告げる大乱』(中公新書)、『源実朝――「東国の王権」を夢見た将軍』(講談社選書メチエ)、『源氏将軍断絶――なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか』(PHP新書)、『源頼朝と鎌倉』『曽我物語の史的研究』『曽我物語の史実と虚構』(以上、吉川弘文館)など。

「2022年 『考証 鎌倉殿をめぐる人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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