転職の魔王様

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569848525

作品紹介・あらすじ

この会社で、この仕事で、この生き方でいいんだろうか――。注目の若手作家が、未来が見えないと悩む全ての人に送る〝最旬″お仕事小説!

感想・レビュー・書評

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  • 転職エージェントのお話です。
    このお話の中の転職希望者は、心身共に壊れる寸前まで自分を犠牲にして働いている人ばかり。
    仕事とは何か?何のために働くのか?他人に評価してもらうために働くのか?誰かに必要としてもらいたいから働くのか?

    個人的な話になりますが、体調を崩して2週間程仕事を休んだことがあります。でもどうしても締切日までにやらなけれないけない仕事があり、薬で症状を抑えつつ出勤した日に、夫に『仕事の代わりなんていくらでもいるんだよ。でも家族にとってのお前の代わりは誰もいないんだよ』とめっちゃ怒られました。その時のことを思い出しながらの読書になりました。実は言われた時は『私しか分からない仕事なんだよ!誰も代わってくれないんだよ!』なんて、ちょっとムッとしたりもしてたのですが、本書を読んで、あの時の夫の言葉はめちゃくちゃ真実だなぁと今更ながら実感してます。夫よ、なかなかいいこと言うじゃないか、と思ったのでした。ちょっとタイムラグはありましたが、気付かせてくれた「転職の魔王様」に感謝w

    • こっとんさん
      Manideさん、こんばんは♪
      今日は暑かったですねー(@_@)
      ホントにホントに色々あって大変ですよね。
      でも、楽しく毎日過ごしたい!
      そ...
      Manideさん、こんばんは♪
      今日は暑かったですねー(@_@)
      ホントにホントに色々あって大変ですよね。
      でも、楽しく毎日過ごしたい!
      そのためにも自分の時間は大切にしたいものです。
      このブクログの場で皆さんとお話できるのが、私にとってはとても貴重な時間です。
      これからも色々お話できると嬉しいです。
      よろしくお願いします!
      2023/07/17
    • しずくさん
      >『仕事の代わりなんていくらでもいるんだよ。でも家族にとってのお前の代わりは誰もいないんだよ』

      若い頃に私も言われたなぁと思い出しなが...
      >『仕事の代わりなんていくらでもいるんだよ。でも家族にとってのお前の代わりは誰もいないんだよ』

      若い頃に私も言われたなぁと思い出しながらレビューを拝読(笑)
      云われた時は激しく言い返しましたよ。
      こっとんさんは2週間程仕事を休んで回復され本当に良かったです!
      私は2人目を妊娠中で大変な病気でした。入院して寛解するまでに10年間を要した経験があります。結局、仕事も辞めるしかなく・・・でした。
      2023/07/19
    • こっとんさん
      しずくさん、こんばんは♪
      激しく言い返したのですね!
      しずくさんのこの言葉を読んでものすごーく嬉しくなってしまいました!
      いいこと言ってもら...
      しずくさん、こんばんは♪
      激しく言い返したのですね!
      しずくさんのこの言葉を読んでものすごーく嬉しくなってしまいました!
      いいこと言ってもらってるのにムッとしてしまった私って‥‥だからいっつもケンカになるんだよ‥‥と思ってたので笑
      ここに理解者がいる!と嬉しくなってしまいました♪
      しずくさん、大変な病気をされたのですね。寛解されるのに10年とは。本当に大変でしたね。ご主人とっても心配されたのだろうな、と想像します。
      私たち、言い返しちゃったりはするけれど、優しい伴侶がいて良かったですね♪フフフ♪
      2023/07/19
  • 転職エージェントのキャリアアドバイザーとして働く来栖嵐は、魔王様と呼ばれている。
    ------が、最後までこの「魔王様」がしっくりこなかったーっ!笑
    そんなに魔王感あったかな???!

    次はどんな転職希望者が来るのかな?と期待できて、内容は面白かった。
    特に最後の松戸さんの話はよかったな。

    でも、最後に進むにつれて来栖さんの人間味が強く出てくるから、さらに魔王感が消えたな…(笑)

    タイトル&本の装丁と中身の印象が違うため、いい意味でギャップがある本でした。

  • 転職エージェントという、私の知らないお仕事の話だったが、なかなか良かった。

    表紙の絵と、どぎついピンク色は、内容の良さに反していて、この表紙にしたことにより、ちょっと損しているように思うのは私だけかもしれないが、私はそのように思った。

    読書をしない娘に小説に書かれていた何かを話すと、「それ(所詮)小説でしょ?」と冷たく返されることが多いのだが、ビジネス書や自己啓発本だけではなく小説からも教えられるもの得られるもの考えさせられるものは沢山あると私は思っている。
    いや、むしろ小説の方がよっぽど…と思っているフシがある。
    もし子らが転職したいと思うと言ってきた時には、本書の文庫版を購入して渡そうと思う。

    本書は良かったんだけど、ちょっと嫌だなと思った点は、来栖嵐が求職者の氏名を呼び捨てにするところ。
    よく警察物の小説で「容疑者じゃないうちは呼び捨てするな」と先輩刑事が後輩を嗜めるシーンが私は好きなので。
    やっぱりこの場合は「さん」を付けて欲しい。

    また、交通事故に関しては(当事者になったことはないが)、本書のケース(被害者側に何の落ち度もない)においてこのような解釈は、私は抵抗があるな。

    本書では「総務部」があまり良くない部署のように受け取れる箇所が2ヶ所ほどあり、総務部で働いている方が読むと、良い気はしないだろうなと思ったが、私は本書より後に執筆された同著者の『弊社は買収されました!』を先に読んでいたお陰で、著者が総務部を下に見ているわけではないと知っているため、その点に嫌悪感を持たずに済んだ。

    関係ないけど、某警察物のドラマで、やたらと「交番勤務に戻りたいかっ!」っていうセリフも私は嫌いなのだが、あれも原作にはそんな風には書いていなかったはず。

    ちなみに本書も既にドラマ化されていたらしいが、私は観ていないし、知らなかった。

    脱字あり
    「戸松さんを必要(と)する会社」(268ページ)
    第1版第1刷発行

  • 転職エージェントを舞台にしたお仕事小説。
    まだまだ転職回数が少ない方が有利と言われる日本社会。
    「転職しようかなぁ」
    と軽い気持ちで思った時に、この作品に出会った。
    広告代理店の激務で退職を余儀なくされた未谷千晴は、叔母が経営する転職エージェント「シェパード・キャリア」に登録し、新しい職場を探そうとするが、担当した「魔王様」こと来栖嵐に痛いところをグサグサ指摘され、とりあえず転職せずに、来栖の元で見習として1年間キャリアアドバイザーをすることに。
    章ごとに転職を望む登場人物と、千晴のパートで描かれるので、転職したい人の気持ちとエージェント側の裏話、両方から読めるのが面白い。
    単独した短編かと思いきや、各章ごとの伏線が最後に回収されるのも気持ちがいい。
    千晴の叔母が、左足を怪我して、これまで通り働けなくなった来栖をスカウトした時の言葉がまたいい。
    迷える羊を救えるのは、迷える羊だけ。
    最近は転職エージェントが乱立していると思える中で、「シェパード・キャリア」のように求職者の未来に寄り添ってくれる会社がどれだけあるのか?
    同じ業界にいた身としては、いろいろ考えさせられる内容だった。
    是非、続編を!

  • ドラマ化向けな作品だった。
    人生に悩む主人公が「魔王様」に振り回されつつ、自分の進路を決める。魔王には謎が多くて気になる。助けてくれる同僚や、社長である叔母。そして魔王の過去を知る元カノが現れる。…TBSっぽい。火曜10時枠。笑
    来栖さんは菅田将暉さんあたりかな、それとももうちょい年上の俳優かな…と思いながら読んだ。

    転職エージェントの話。
    私も、激務な企業やホワイトな企業などいろいろ経験したから、ブラック企業で体を崩す人や転職に迷う人たちの気持ちはすごく共感した。

    「周りの人が転職しだしたから」「3年は働いたから」「自分を正当に認めてくれる会社に勤めたくて」。
    いろんな理由を、「魔王様」の来栖は一蹴する。
    会社に合わせるんじゃなくて、自分がどうしたいかがすべて。誰かに必要とされるから働くのではなく、「この仕事、好きだな」と思えるから働く。転職は自分の人生の優先順位を見極めること。確かにその通りだなと思った。

    転職について少しでも考えたことのある人、あるいは就職活動中で、どんな会社がいいのかわからない人に
    この本は響くのではないかと思う。

  •  未谷千晴(ひつじたに ちはる)は,叔母が社長を務める<シェパード・キャリア>という人材紹介会社にやってきた。
     大卒で,業界最大手の広告代理店に就職したけれど,パワハラが横行する会社で体調を崩し三年経たずに休職,その後退職している。
     千晴を担当したキャリアアドバイザー,来栖嵐(くるす あらし)は,別名「転職の魔王様」。
     千晴は高望みせずに,あまり間を空けずに再就職できればいと考えていた。でも,自分が頑張ればそれでいいという社畜体質を来栖に見破られ,ぐうの音も出ないほど言い負かされる。
     就職するとは,自分の望んでいる仕事とは……。
     アルバイト扱いで<シェパード・キャリア>の来栖のもとで,キャリアアドバイザー見習いとして働きながら,千晴は自分自身の生き方を考え始める……。

       ☆

     誰しも,就職するにあたって,妥協したり,優先事項は何かと考えたり,何をしたいかと考えると思います。
     やりたいと思っていた仕事が,現実を見た途端に愕然とすることや,主人公の千晴のように上司にいいようにこき使われて,体や心を病んでそのまま退職ということも少なくはないと思います。

     自分自身も,新卒で働いた仕事がある意味そんなところもありました。
     千晴のように頑張ってきて,でも出来ないことが多くて(この仕事,向いていないな)(自分には無理だな)と感じるようになってしまいました。

     誠実に働くということ,でも仕事についてやらなくていいことというのはたくさんあって,それをどこまで自分が言えるのか。
     もっと早くにこの本に出会えていたら,もしかしたら自分の働き方を俯瞰で見られていたかなあ,もう少し楽な気持ちでいられたかなあ,なんてことを考えます。どっちにしろ辞めていたんじゃないかなとも思ってますが。

     主人公の羊谷千晴や,ほかの転職希望者たち,「転職の魔王様」来栖嵐の話を通じて,転職するとは,働くとは何かを考えさせられました。

  • 〈この魔王様は、とてもとても慈悲深いのだ。自分のもとにやって来た迷える羊が自ら変わるチャンスを掴めますようにと、今よりもっと幸福な毎日が送れる場所へ行けますようにと、この人はずっと祈っている。〉 額賀さん読了、2冊目。うぅーん、なんて素晴らしい読書時間!『自分の価値くらい、自分の価値観で測ったらどうです?』 迷えるひつじ。未谷千晴ちゃんと、嫌なヤツかと思いきやとってもとっても、とっーーーーってもいい人な〈魔王〉こと、来栖嵐。二人が読了と共に、私にもそっと『頑張りなさい』と寄り添ってくれていた。仕事していた頃が懐かしくなった!!最高のお仕事小説でした!

  • 仕事を生涯1つの場所で全うする人もいれば、
    いろんな理由で転職する人も。きっとこちらの方が多いのかな。
    1人で事を進めるよりは、転職のプロにお願いした方が断然いいですね。
    主人公の未谷さんも広告代理店からの転職希望者で、このまま転職エージェントで1年間見習い。
    担当が転職の魔王様といわれる謎の先輩。
    未谷さんと魔王来栖、そしていろんな転職希望者達。
    自分に合った仕事を見つけるのも、やり続けるのも本人の思い次第、でもないこのご時世。
    なかなか考えさせられました。
    社畜って言葉初めて知りました。
    広告代理店ってホント過酷なお仕事なんですね・・・

  • 必要とされているところで働きたい。よくやったと言われたい。本当に人間は承認欲求というものを強く持っているものなのだろう。認められたい、褒められたい。この欲求を満たすために、就職し働く。就職していないと承認を得るために働けない。社会プロセスの中に入れない。そんな気持ちがどこかにあるのだろうか?私も職業人だから同じような欲求の中に棲んでいる。無意識な中でそんな気持ちと折り合いをつけてきたのだろう。本作に登場する転職希望者たちは、その気持ちに真正面からぶつかりいろいろな決断をしていく。客観的な正解はない。きっと、自分の中で正解と思えれば正解なのだろう。こういう作品は読んでいると暖かな気持ちになるとともに元気になる。「迷える羊を導けるのは、迷える羊だった人」というのは良い言葉だ。まさに至言である。

  • 広告代理店での激務に心身を壊し休職した主人公羊谷が、転職エージェントでキャリアアドバイザー「魔王様」こと来栖と出会い、来栖のもとでキャリアアドバイザー見習いをするお話。

    主人公の広告代理店での上司が、◯通で過労自殺した東大卒の女性に起こった出来事の引用が多くてね(広告代理店って時点で少し予想はついたけどさ)。
    仕事は死んでも離すな!とか、オリジナルで言える人間がそう何人もいてはたまらない。
    なので、この本、最初の印象は良くなかった…。
    人によってはフラッシュバックするようなセリフを、そのまま引用しちゃうの…?って。私も、あの件を思い出して苦しくなっちゃったし。

    でも、読み進めたらなかなか良いなって思うような、転職というより「学生シューカツ」の真理だなと思えるような、共感できる記述が結構あった。

    体育会系の爽やかでやる気のある若者を演じて就職した会社では、そのキャラを演じ続けるのがつらくない。
    一箇所に3年も勤められない人間はどこでも通用しないという言葉の呪い。
    じゃあ3年勤めたらその先どーなるの。
    これらは、若者仕事あるあるなんじゃなかろうか??

    シューカツ面接ではなくても、面接で取り繕ってしまった過去は誰しもあるだろう。わたしもある。
    そういう人には、響くものがあると思う。

    来栖さんの過去にさほど興味をもてなかった私は、後半2作はちょっと蛇足が多く感じてしまったけどな。

    装画はおかざきまりさん。
    表紙は多分、主人公羊谷。
    で、裏表紙の白髪のセクシーイケメンは、魔王様こと来栖?
    来栖さんはこんなセクシーイケメンですか?!
    読んでる限り、もうちょいクールで神経質なところのある人なのかな?と思ったんだけど。
    裏表紙見るたびになんとなく恥ずかしくなってしまう…そんな裏表紙。

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著者プロフィール

1990年、茨城県生まれ。日本大学芸術学部卒業。2015年、「ウインドノーツ」(刊行時に『屋上のウインドノーツ』と改題)で第22回松本清張賞、同年、『ヒトリコ』で第16回小学館文庫小説賞を受賞する。著書に、『ラベンダーとソプラノ』『モノクロの夏に帰る』『弊社は買収されました!』『世界の美しさを思い知れ』『風は山から吹いている』『沖晴くんの涙を殺して』、「タスキメシ」シリーズなど。

「2023年 『転職の魔王様』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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