- 本 ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569849348
作品紹介・あらすじ
新型コロナウイルスの「次」に来る、動物由来のウイルスは何? 本書では批判を恐れない提言で注目されるウイルス学者が、ペットのイヌやネコが媒介するウイルス、計50頭のニホンザルが血を流してばたばた死んだ原因となったサルレトロウイルス4型など、変異すれば人間社会を脅かす可能性があるウイルスを紹介します。
しかし実は、病原性のウイルスは全体のごく一部。病気を起こすどころか、1億年以上前に哺乳類の進化を促したウイルスもあります。すなわち、宿主のDNAを書き換える力を持ち、哺乳類の胎盤の形成に関与したといわれているレトロウイルスです。本書ではレトロウイルスの驚くべき力についても解説します。
さらに、「そもそもウイルスとは何か?」、「新型コロナウイルスのワクチン」などのテーマも解説。「多次元」のウイルス学を提唱している著者が京都大学で行なっている、1回生(全学部)向けや医学部2回生向けの授業などの内容を収録した、著者初の単著です。高校生でも十分理解できるよう、わかりやすい解説を目指しました。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
・一回通読。なんとなーくで分かった気になってたウィルスのことを、正しく理解しなおすためには最適な本
・驚いた点、面白かった点の主なところは下記
・ヒトに対して病原性のあるウィルスは、ウィルス全体からみると氷山の一角であること。ウィルスの構造も多岐に渡っていて、インフルエンザなんかRNAが7、8個の分節になっていること。ヒトのゲノムの内訳として、体組織の形成に関わる部分はほんの僅かで、内在性レトロウィルスの方が割合が大きいし、よく分かってない部分の割合が半分も占めていること。 -
タイトルからズレた感があったが、面白い内容だった。いずれは人類も消えてなくなるんだろうと思う。なんかそれが想定されている気がする。DNAとRNAの関係がわかった。
-
目の前のおかしな空気に左右されるんじゃなくて、科学を・・・歴史を・・・生物学として丁寧に説明された良書です。
ぜひ、空間と時間を俯瞰できる力をつけるきっかけにしてほしい。 -
ウイルスが必ずしも人間にとって害になるとは限らないことを知れたのが大収穫。生き物の進化にウイルスがとても大きな役割を果たしていることは、まさにおどろきでした。
-
私にとってはこのウイルスの捉え方は未知であり、知らない専門用語とかも出てくるから、初心者の私は何度も振り返って読む必要があったし、章によっては完全に理解はできていない。
しかしそうやって頑張って読んだ結果、行き着く後編の章、ウイルスと人類の歴史とその未来に関する話には非常にワクワクさせられた。このワクワク感は何も代え難いものであった。特にレトロウイルスの話には全くウイルスに関する価値観を変えられたように思う。 -
コロナだけでなく、幅広くウィウルスについて取り扱う。レトロウィルスの話とか、一筋縄でいかない専門的な話をわかりやすく書いてあって面白い。
でも一番面白いのは、とにかく俺たちの研究に金回してくれよ、という叫びを素直に書いてるとこかな。そこまで言って委員会で、本当に叫んでらっしゃったのを思い出す。
最近辛そうなので、立ち直ってほしいな。 -
生物の進化に貢献してきたウィルス、
哺乳類の胎盤形成にウィルスが関係していることに驚き!
「ウィルスは決して悪者ではない」のね。
抗体には良い抗体と悪い抗体があり、悪い抗体ができてしまうと逆効果となり、かえって感染を促進する。
ワクチンを打ったがために、変異株に感染したときに重篤化してしまうリスクは排除できない。
「長期的にはよくわからない」というのが正直なところだと。
読み、考え、視野を広げることができました。 -
ウイルスって、面白いなあ。というのが本書を終えての第一の感想である。
ウイルスというのも色々あり、人類の進化に貢献してきたものもある、というのが面白かった。 -
最終章を読むと、微細なウィルスから宇宙に話が広がり突拍子がないように思われるが、よく腑に落ちる。環境問題もそうだが、地球の歴史を思うと人間の活動による環境破壊なぞはけし粒ほどのことだと思うし、今般のウィルス騒動もそのけし粒の一部でしかない。
嫌気性の生物しかいなかった地球を想像すれば、環境問題において何が正解なのか倒錯した気分になる。
人間が地球を支配していると言うのは幻想に過ぎないよ。
著者プロフィール
宮沢孝幸の作品





