ウイルス学者の責任 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569851587

作品紹介・あらすじ

ウイルス学の専門家として、世に伝えるべきことがある。日本の自粛要請は過剰であり、スポーツイベントやコンサートの中止は不要だった。ルールを決めれば、飲食店を休業にしなくてもよかった。そして、子供がワクチンを打つことについては強く疑義を呈したい――。
SNSでいち早く新型コロナ対策を呼びかけて話題になった研究者が、批判覚悟でCOVID-19から学ぶべき教訓を語り、警鐘を鳴らす。また、米国の試薬会社の重大なミスを発見した「ウイルスRNA混入事件」、獣医学者として被告人の弁護側鑑定を請け負った「今市事件」を回顧。科学研究についての持論も述べる。

感想・レビュー・書評

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  •  ウイルスに関して間違った情報が氾濫していたことがよく分かった。日本の学者達は自分の責任を回避するために勇気ある直言はしない。
     ウイルスに対する免疫力は地域によって異なるはずなのに、欧米諸国と全く同じ対応をする。年少者や妊婦にもワクチンを投与する必要性とリスクについて日本の独自の対応をしようとしない。手洗いを石鹸で30秒なんて過剰過ぎることがキチンと話されない。専門家が勇気ある発言をしないのなら、何のために研究しているのだろう。

  • 不可解で過剰なコロナ対策、ワクチンへの拭い切れない疑問…ウイルス学者として訴えるべきことがある!独特の「研究者論」も語る。
    「PHP新書」内容紹介より

    人体には、人体だけでなくさまざまな生物でまだまだ解明されていないことがたくさんあることを実感した一冊.
    すべての研究に言えることだけれど、さまざまな因子が複雑に絡み合って起こっている現象を、こうだと決めつける姿勢に自分も疑問をもっていたので、そうだよなぁというのが素直な感想.
    なにが正しいことか、専門家でも難しいことを素人の自分が判断するのはもっと難しいことだと思うけれど、こういった専門家の発信するさまざまなことを、自分の頭で考えることはやめないでおきたいと強く思った一冊だった.
    途中の鑑識への協力や研究者としてのキャリアなど、人となりを知ることのできる部分も面白かった.
    もうこういう自由な研究はできない世界になってしまっていることが残念でならない.

  •  コロナ禍の最初の時点で、大規模な自粛要請や学校休校等の措置は不要だったと訴えておられた。基本的なマスク・手洗い・うがいで事足り、飲食店などでは黙食もしくはマスク着用の上での必要最低限の静かな会話で十分だったらしい。mRNAワクチンの効果や今後どんな影響が出るかわからない点など勉強になることが多かった。
     中盤からの著者がウイルス学に携わるきっかけ等の部分は専門的で難しい箇所も多く流し読みしつつも、この部分で著者の誠実さと熱量が伝わってきたので、必読ではないが著者への信頼度が増す。

  • テレビに出て語るごく一部の医者や専門家の意見が連日大々的に報道され、それを見た私たち一般市民はそれが正しい道だと思い行動する…。
    「ワクチンを打てばコロナは終息する!ワクチンを打て打て!」と勧めておきながら、2022年8月現在、国民の8割以上がワクチンを打ち終わった状況なのに、第7波で最大の感染者数。

    元々ワクチンの安全性には疑問を持っていたが、有効性も微妙やないか?と強く思っていたところに著者の本に巡り合った。

    コロナワクチンについて論じるというより、著者の経験を交えたウイルス学全般について説明された本。
    ウイルスやワクチンって奥が深くて、テレビで説明されているような単純なものではなく、未だ分からないことが多いんだな〜と感じた。
    特に、製薬会社やワクチン製造会社の隠蔽(?)的な部分も事実としてあると知っておくべきだなと。

    著者のようなその道のプロ(ウイルス学者)の意見はとても貴重だと思う。
    今月、著者の最新刊「コロナワクチン失敗の本質」が発売されたので、それも目を通してみる予定。

  • GWの読書でAmazonが5冊買うと割引だったことと、何かの紹介で見てひっかかっていたのでちょっと読んでみようかと思いポチっと購入して読んでみた。

    感染症の医者でもウィルスのことは案外精通していないということは驚きの事実だった。そして
    そのウィルスに詳しい専門家が農学部/獣医畜産学科の領域だというのは言われてみると、あぁそうか!となるのだけど今まで全く気づかかなった。獣医師資格なんてペットのお医者さんでしょ、という感じで獣医さんが(いや、正確には獣医畜産学の分野が、ですね)ウィルスのエキスパートだなんて思いもしなかったのである。

    コロナの過剰な意識について社会的問題は確かに筆者の話の通りで、もう少し要領よくやる方法があるのではないかとも思う。ただ、私のような「知らない素人」は家族やかかったリスクを考えるとどうしても保守的な反応をしてしまう。筆者の説明によると、ウィルスが一定数まで増殖しないと発症して健康上の悪影響を顕在化させないのだそうだ。そしてウィルスと細菌の違いについても初めて知った。最近は微量でも問題を起こすようだ。この特徴から手洗い、うがいを徹底してウィルスの量を100分の1に減らせるのであれば問題はまず発生しないというのが筆者の主張だ。問題は、なぜこのことが公にならないのかである。

    政府が都合のいいようにエビデンスを重視したりしなかったりしてしまう点は、コロナ対策だけではないと思う。少子化も同様なことが起こっていて不都合な事実をもみ消されているのかもしれない。科学や技術のリテラシーを本質的な意味で持たないとなぁと改めて思わせてくれた。

    筆者の関西人的な感覚もなかなか興味深い。イグノーベル賞を狙う気質!?(笑)のようなおもしろい話や命に係わる科学だからこその倫理観を求められる話もある。メディアになかなか出てこない著者ではあるが興味深く拝読した。

    比較的ページ数も多すぎず、読みやすかったし新たな教養を学べた感じがしてよかったな。

  • 宮沢孝幸先生の説明は、常に腑に落ちる。
    素直に事実を見て、判断すれば良いのだと教えられた。
    昔から、風邪っぽい時におばあちゃんに言われてすることは当たっているのだ。
    100分の1作戦や目玉焼き理論が浸透すれば良かったのにと思う。
    私も先生の話を信じて、シンプルにマスク手洗い換気を実践して、そっと旅に行ったりしていたが、結果、家族の中で私だけコロナに感染することなく、ここまで来た気がする。
    この本は、後半先生の自伝的様相なので、それを理解して読めば、読み物としてとても面白かった。

  • 良書。
    ウィルス学者の苦労、やりがい、現状がわかった。
    人と反対のことを考える。社会に出たら、人間関係が大事。日本ではが政治的、経済的に問題が多いことが分かった。
    生物学は物理学と違って、試験、継続、手足を動かすことが大事。同じ理学でも大分違うことに驚いた。

  • 宮沢孝幸さんは、2022年6月4日「オドレら正気か?関西LIVE」というイベントに出演した際に、イベントの共演者らに罵声を浴びせるなど反社会的な言動をしました。
    宮沢孝幸さんのこのような言動は、これがはじめてではありません。何度も繰り返しています。
    驚きました。このように平気で他人を傷つける人は信用できません。

  • 著者は京都大学ウイルス・再生医療研究所准教授の宮沢孝幸氏。

    つまり、本書はウイルスの専門家による書であるが、私は新型コロナウイルスについて知りたいと思い、本書を手にした。

    ただ、本書で新型コロナウイルスについて触れられるのは第1章と第2章だけで、残りは著者の半生やウイルス学者として対峙した訴訟などについての話しであったため、第3章の途中で読むのを止めた。

    よって、このレビューは専ら、新型コロナウイルスについての部分のみであることをお断りしておく。

    まず、新型コロナウイルスの日本の対応について、著者は基本的に否定的な立場である。
    それは、第1章が「国の過ち」とされていることからも明らかだ。

    では、どこが具体的に間違えていたのか?
    それは、主に下記の点であると著者は指摘する。

    ①PCR陽性者の対応
    陽性者を一律に隔離したが、陽性の中にも程度の軽重があり、軽い症状の陽性者は隔離する必要はなかった

    ②ソーシャルディスタンス
    人と人との間隔を2メートル以上空けるソーシャル・ディスタンスはマスクをすることが習慣化されていない国で推奨されていた行動様式であり、日本のようにマスクをつけることが一般化している国では必要がない

    ③一律の緊急事態宣言
    コロナに感染する可能性は職業や生活スタイルなどによって変わるのであり、感染確率の高い職業についてる人(ホストなど)にのみ行動自粛や隔離などの措置をすべきでそれ以外の人たちは極力普通の生活をさせるべきであった(「目玉焼きモデル」)

    ④過剰であったコロナ対策
    ・日本における新型コロナウイルスの感染者総数は、
    2022年年2月14日までで399万人程度。
    これに対しインフルエンザの場合、流行すると1週間で100万人くらいの人が感染することがあり、2016/17シーズンでは患者数は1,046万人、2017/18シーズンでは1,458万人と推計されており、桁違いである

    ・コロナウイルスとは、つまるところ、基本的には
    呼吸器疾患や消化器疾患を引き起こすウイルスで多くは季節性の風邪を引き起こす。
     つまり、ごく一般的な「風邪の予防策プラスα」程度の対策を採るべきであった


    続いて第2章ではワクチン接種の是非。

    著者はワクチン接種については基本的に懐疑的な立場。

    確かに、今までの日本のワクチンや新薬が承認されるまでの期間や手続きに比べて、あまりに拙速になされた感は否めない。

    また著者は、日本の場合、感染者も死者も欧米より割合が低く、この点からワクチン接種の必要性は相対的に低かった、逆に、ワクチンの副反応については、欧米人よりも日本人の方が重篤化しやすい可能性も否定できない、という。

    つまり、ワクチンの必要性や摂取した場合の効果などについては人種差があるのであり、安易に海外のワクチンを輸入して日本人に摂取したことに疑問を呈しているのだ。

    また、理屈は難しいので省略するが、ワクチン接種により体内に入った抗体がかえって感染を助長する(これを「ADE(抗体依存性増強)」という)こともあるという。

    このほか、ワクチンにどの程度効果があったかが不明、逆にワクチン摂取が原因で死亡した人の数も不明、と未解明の点が多いことなどを指摘している。

    さらに著者は、妊婦や子どもにワクチンを打つことには慎重であるべきという。

    妊婦がコロナに罹ると2倍重症化しやすいというデータはあるが、それとワクチンを接種したことにより胎児がスパイクタンパク質によるダメージを受けるなど流産を含めたワクチンによるデメリットを比較考量すべきという。

    また子どもに摂取をすすめない理由は、コロナに罹って重症化するのは高齢者または基礎疾患のある人が大半であり、子どもが仮にコロナに罹っても重症化リスクが小さく、ワクチン接種によるリスクの方が懸念されるべきだからである。

    新型コロナウイルスに関する著者の見解の大意は以上である。

    確かに言っていることはそれなりに説得力があるのだが、ワクチンの仕組みなど専門的な話になると、著者の記述は難解でわかりにくいところが多々ある。

    この点、もう少し工夫が必要だと思った。

  • ウイルス学者の宮沢孝幸先生の新刊で、2022年3月時点での、宮沢先生による新型コロナ騒動と新型コロナワクチンの総括といった感じ。新型コロナ騒動中に先生が提唱していた「100分の1作戦」や「目玉焼きモデル」などの概要が語られ、コロナワクチンに関しては副反応や、子どもにワクチンを打つか打たないかの見解等が解説され、今後別のパンデミックが起こった際の指針になるような内容だった。いろいろしっくりくることが多く、ウイルスに関してはウイルス学者から学ぶのが一番だと思った。

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著者プロフィール

同研究所 細胞性物学研究部門 准教授

「2024年 『ウイルス共進化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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