ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略 世界はどう変わるのか (PHP新書)
- PHP研究所 (2022年4月19日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569852324
作品紹介・あらすじ
習近平はプーチンのウクライナ軍事侵攻には反対だ。なぜなら攻撃の口実がウクライナにいる少数民族(ロシア人)の虐待で、その独立を認めたからだ。
これは中国のウイグルなどの少数民族の独立を認めることに相当し賛同できない。
しかしアメリカから制裁を受けている国同士として経済的には協力していく。これを筆者は【軍冷経熱】という言葉で表している。ロシアが豊富なエネルギー資源を持っていることも【経熱】の理由だ。ロシアがSWIFT制裁を受けていることをチャンスと捉え、習近平は人民元による脱ドル経済圏を形成しようとしている。中国はEUともウクライナとも仲良くしていたい。
一方、ウクライナは本来、中立を目指していた。それを崩したのは2009年当時のバイデン副大統領だ。「ウクライナがNATOに加盟すれば、アメリカは強くウクライナを支持する」と甘い罠をしかけ、一方では狂気のプーチンに「ウクライナが戦争になっても米軍は介入しない」と告げて、軍事攻撃に誘い込んだ。第二次世界大戦以降のアメリカの戦争ビジネスの正体を正視しない限り、人類は永遠に戦争から逃れることはできない。
感想・レビュー・書評
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ロシア、中国、ウクライナ、アメリカの4国の関係性をエビデンスを持って独自の観点で解説した著書。
個人的に中国とウクライナの関係、アメリカの陰謀についての件が刺さった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中国ロシアの関係とインド、パキスタンも含めた関係性についてはとても興味深く読ませていただきました。この本が出た時からインドのスタンスなどは徐々に変わっていますが、過去の分析や情報、関係性について学ぶところが多かったです。
個人的にはアメリカ、特にバイデンに対して憎さが余って印象的ですが、それが中国感情の逆転移なのか、日本の中で醸成された感情なのかは興味深いです。アメリカはああいう国なので、色々と疑惑は絶えないですが、現状少なくとも現時点でそんなに得してるのかと言われると疑問ですし、何よりウクライナの反攻勢をサポートするあおきな力になってますよね。何よりウクライナにとって良い方向に向かって欲しいものです。
日本も台湾のように必死で存在価値出さないと、すぐ見捨てられそうな気はします。 -
●アメリカが日本に原爆を投下すると、一刻も早く参戦して戦後の領土陣取り合戦を有利にしようと、ソ連は1945年8月9日になって突如、日本に対して宣戦布告し、やがて長春の街におそいかかってきた。
● 1947年に日本人のほとんどが引き上げていなくなると、水が出なくなりガスも途絶えた。毛沢東率いる中国共産党軍によって、長春は食糧封鎖されたのだ。餓死者が続出し、1948年9月20日に脱出する前の日に、1番下の弟が餓死した。
●中国とロシア。アメリカからいじめられている陣営として支えていくことに変わりは無い。しかし中国はウクライナと仲睦まじく交流してきた。またNATOとも対立したくない。ゆえにプーチンのウクライナ軍事侵攻には賛同の側には立ちたくない。
●バイデンは2009年副大統領の時に、ウクライナに入り浸り、NATO加盟を推し進めた。なのに2021年12月、プーチンと電話会談をして、ウクライナで紛争が起きてもアメリカは派兵しないと伝えた。「戦争への誘い」
●インドの存在が不気味。インドはプーチンとも習近平とも仲が良い。
●習近平は2022年の党大会が控えている。それまでの間台湾に侵攻する理由は無い。
●中欧投資協定頓挫の理由。トランプ政権最後の日に、ポンペオ国務長官が、ウイグル政策に対し、ジェノサイドという言葉を使ったから。
●2013年、中国は核を放棄したウクライナに対して、核の侵略を受けた場合は安全保障を提供すると約束している。もしプーチンが核を使った場合は… -
ウクライナはアメリカのNATO加盟という甘い罠な嵌められてロシアを刺激し、ロシア侵攻を招いた。その背景には戦争ビジネス、エネルギービジネスで利益を得る為のバイデン大統領の策略あり。中国は自国でウイグル問題を抱えている為にロシアのウクライナ侵攻を是認できない立場であるが安価なロシア原油、LNGを手に入れ、経済的には友好関係を築いている。中国による台湾併合は台湾が独立を宣言しない限り、アメリカよりも経済的、軍事的に勝るようになると言われている2035年まで発生しない(負ける戦いは絶対しない習近平の方針)、ロシア制裁を他山の石にSWIFTを介在しない、基軸通貨をドルに頼らず人民元とした仕組みを築こうとしているのが中国の戦略であるとしているのが本著。
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事実を確認していないので本書に書かれていることのどれだけが本当かはわからないが、かなり衝撃的で面白い。
とにかくアメリカは自国の利益を重視していて、そのためには戦争が起きることも厭わない。特にバイデンは副大統領時代に中立を目指していたウクライナをNATO加盟に誘い、侵攻直前にプーチンにはアメリカが部隊を派遣しないというシグナルを出していた。これがウクライナ戦争の直接的なきっかけになっている。本書のタイトルから離れているが、著者が一番力を入れて記述しているのはここのように見える。
中国とウクライナが長い友好関係にあること、中欧投資協定がポンペオのジェノサイド発言でポシャったこと、中ロの軍冷経熱な関係、中国が台湾に侵攻しない理由、ウイグル自治区の太陽光発電とテスラとの協働などにも触れている。 -
web上で著者の記事を見て、気になって読んでみた。なるほどと思わされる視点。ただ、感情的な文が唐突に現れることがあり、読みづらい。それから、著者の思想自体には共感できなかった。国際情勢を見る視点としては、とても参考になった。
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去年の秋買ってきた中国関係の本のうちの一冊。春節旅行のプールサイドで読了。
ウクライナ戦争が勃発した2022年春時点での地政学を日本からみた中国の視点でまとめた本。ウクライナ、ロシア、中国というキーワードながらも、それにかかわる国々の状況についても。
まあ、1年経ってしまいそうですが、背景から、それぞれの国の思惑やらを整理して理解するのには役立ちました。
ちょっと、バイデン(アメリカ)陰謀説が強い気もしますが。 -
最近流行りの地政学的な観点からもう少し学びが必要だと感じた
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ウクライナ戦争はなぜ起こったのか?もちろん、ロシアがウクライナに侵攻したからであるが、それは原因ではない。ウクライナはなぜNATO加盟を欲したのか、プーチンの怒りを買うことが明らかであったにもかかわらず。このような戦争勃発の背景には何があったのか。そして中国の側から見た場合にこの戦争はどのように見えるのか。台湾有事は近いのか。国際情勢の混乱の中でこのような疑問を持っているなら、この本は必読の本だと思う。
大国であることを誇示するロシア。国際的なプレゼンスと経済的利益のために動くアメリカ。経済力と国際的な優位を獲得する中国。大国の綱引きの間で苦しむのは誰なのであろうか。
著者プロフィール
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