あなたの涙は蜜の味 イヤミス傑作選 (PHP文芸文庫)

  • PHP研究所 (2022年9月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784569902364

作品紹介・あらすじ

旬の女性ミステリー作家によるイヤミス・アンソロジー。見たくないと思いつつ、最後まで読まずにはいられなくなること請け合います。

感想・レビュー・書評

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  • 解説に嫌度数マックスの作品集とあるけど、それほどでもない。
    女性作家7人のイヤミス短編集。

    「パッとしない子」辻村深月
    私は、全くやらないけれどSNSの時代のイヤミス。自分の気持ちとはズレた言葉や記憶にもないような言葉が、ねじれ曲がり、広がっていった結末。この短編が、良すぎて、後の作品の記憶が薄くなってしまう。

    「福の神」宇佐美まこと
    ホラーイヤミス

    「コミュニティ」篠田節子
    いわゆる上級家族が、収入が落ち、寂れた公社住宅の一部屋に越してくる。それまでの都心の華やかな生活から距離が生まれる。最初は受け入れ難かった集合住宅の関係性に自ら染まっていく。
    ハッピーエンド型イヤミス。

    「ひとりでいいのに」降田天
    双子姉妹の嫉妬愛憎極まるイヤミス。

    「口封じ」乃南アサ
    正義と清廉のご婦人が、病に倒れる。その看護にあたる女性は、昔彼女からご丁寧なアドバイスを受けていた。どんな看護になるかねえ。
    これは嫁姑でもあり得るね。

    「北口の女」王谷晶

    「裏切らないで」宮部みゆき
    宮部さん優しいから、何処がイヤミスか?
    解説曰く、本質の部分にイヤミス成分を抱えているとのこと。

    • bmakiさん
      パッとしない子というタイトルに記憶があって、何だったかなぁ???と思い出していたのですが、『嚙みあわない会話と、ある過去について』という本の...
      パッとしない子というタイトルに記憶があって、何だったかなぁ???と思い出していたのですが、『嚙みあわない会話と、ある過去について』という本の中に短編で収録されていたような気がします。

      凄く衝撃的な話で、短編嫌いの私が超引き込まれて読んでいました。

      イヤミス傑作編なんて面白そうな本があるんですね。
      長編の傑作集だったら絶対読むのに。。。
      2024/03/09
    • おびのりさん
      bmakiさん、こんばんは。
      「パッとしない子」は、おおっ!てなりました。
      普段何気なく話している事が、相手に届いてしまった時、曲がりくねっ...
      bmakiさん、こんばんは。
      「パッとしない子」は、おおっ!てなりました。
      普段何気なく話している事が、相手に届いてしまった時、曲がりくねっている経験ってあるじゃないですか。本意ではなくても、確かに言っていたり。辻村深月すごいわってなりました。

      私は短編も好きですよ。(面白ければですね。)
      アンソロジーは、読んだ事のない作家さんに出会えたりするので、割と積極的に読みます。
      2024/03/09
  • イヤミスって何?って思いながら読んだ
    嫌な後味が残るミステリーってことらしい

    短編8作品

    パッとしない子 辻村深月
    主人公は教師で昔教え子に芸能人がいた
    密かに嬉しく思っていたが、パッとしない子だったと言いふらしたり、その子の弟、家族までを傷付けていた過去を知らなかったを自分は気付いてなかった
    芸能人となった佑タスクと話して、それを指摘され逆に傷付く…
    この、作家さんてこんな暗い話し書く人だったのか?と思った。

    福の神 宇佐美まこと
    自分の持ち物を渡すと福がやってくる…
    そんな神が身近にいるのか??
    密かにありそうで怖い

    コミュニティ 篠田節子
    団地に住んでる人たちのコミュニティ…
    家族として住んでても、その子どもは必ずしもその夫婦の子どもではない…
    恐怖感

    北口の女 王谷晶
    大麻取締法違反で捕まった演歌歌手の付き人が演歌歌手と共に歌手の故郷に戻り姉の弁当屋で付き人は働く何もやる気が起きない演歌歌手
    そんな中、付き人は優れた才能の持ち主を見つけ歌手に紹介
    演歌歌手は付き人を置いて、その人を連れ出て行く
    付き人は、実は娘…
    娘を置いて母は出て行ってしまった

    ひとりでいいのに 降田天
    仲のいい双子ばかりと思いきや、お互いを毛嫌いする双子
    お互いを殺したいほど憎む

    口封じ 乃南アサ
    一番嫌な話だった
    完全介護の病院で付添人として働く主人公
    患者が何もできないことをいいことに、やることが酷すぎる

    裏切らないで 宮部みゆき
    昔の自分を見ているようでいたたまれず、自殺と見せかけ殺しちゃう…
    それにしても、東京で一人暮らしをしてるOLが生活費は実家から給料は全部お小遣い…
    そんな人いるのかな?

  • イヤミスってたまに読みたくなる。
    短編集だから読みやすくて
    しっかりいや〜な気持ちになる、、。

  • イヤミスなだけあって、どのお話も心がざわついた。

  • どの話もとんでもなく嫌な感じ。ひとつ読み終わってもまた次の話もこれでもかととんでもない人がでてくる。
    凄く嫌なのに頁をめくる手が止まらず昨夜はすっかり寝不足だ

  • 2022年9月PHP文芸文庫刊。辻村深月:パッとしない子、宇佐美まこと:福の神 、篠田節子:コミュニティ、王谷晶:北口の女 、降田天:ひとりでいいのに、乃南アサ:口封じ 、宮部みゆき:裏切らないで、の7つのイヤミス。前巻のあなたの不幸は蜜の味よりも嫌度数を高めたと編者の細谷さんが言う通り、ホラー話とか、他も突き抜けたところがあり、前回よりも楽しめました。嫌気分も突き抜けると面白いです。宇佐美さんと降田さんは書き下ろしなんだそうで、豪華です。

  • イヤミス短編集。

    辻村深月さんの「パッとしない子」は、きっとよくある話。
    嫌な事言った方は全く覚えてなくて、むしろ美化していたり。
    言われた方は忘れられないし、それに合わせて生活にも弊害がある。
    もしかしたらもっと取り返しのつかない事になったかもしれない。

    他の作品もそれぞれ違うイヤミスで面白かったです。

    私はやっぱりイヤミス好きなんだな~と実感。


  • イヤミス・アンソロジー

    ・パッとしない子/辻村深月
    イヤミス度 4
    火傷をして傷が乾く間も反省や後悔の
    期間もなく、結局自分のことにしか
    興味がなかった主人公(教師)の図太さに
    胸焼けしました。

    ・福の神/宇佐美まこと
    イヤミス度 3
    人間の欲深さや身勝手さの心の隙間に入り込む、
    人なざるマ(間)(魔)にぞわぞわしました。

    ・コミュニティ/篠田節子
    イヤミス度 3
    反発心を抱きながらも薄気味悪い共同意識に
    飲み込まれる感じと、徐々にそこに馴染んで
    いってしまい、いつしか感覚が麻痺していく
    沼感が不気味でした。

    ・北口の女/王谷晶
    イヤミス度 2
    最後の一言で『うわっ、最悪』とイヤ感が
    増した、最後キメ型。

    ・ひとりでいいのに/降田天
    イヤミス度 3
    話の主になる人物が土地で入れ替わり、
    相互目線で妬みや嘲の負の感情が語られる
    二転三転する展開がイヤミスなのに小気味いい。
    最後のオチにやっぱり、と納得。

    ・口封じ/乃南アサ
    イヤミス度 4
    歪んだ感情と嫌らしさが、これでもかと
    明け透けに書かれているところが何とも
    言えなない後味の悪さあり。

    ・裏切らないで/宮部みゆき
    イヤミス度 0/5
    人の身勝手な捉え方から生まれた妬みが
    主軸なので、内容的にはイヤミスなのに
    終わりにスッキリとした後味が残るので
    イヤミスでありながら読後感の良いミステリー。

    イヤミスは心の体力を奪われるので
    元気じゃない時には読みづらいのですが、
    アンソロジーで嫌さの強弱と濃淡があって
    最後まで楽しめました。

  • 【収録作品】パッとしない子(辻村深月)/福の神(宇佐美まこと)/コミュニティ(篠田節子)/北口の女(王谷晶)/ひとりでいいのに(降田天)/口封じ(乃南アサ)/裏切らないで(宮部みゆき)

  • イヤミスの世界にどっぷりはまる短編集。
    好きな作者だけ読むと決めて読み始めたが、結局全部読んでしまった。
    まさに、見たくないと思いつつ、最後まで読まずにはいられなくなること請け合いですね。

    印象的だったのは、ホラー要素がある福の神、読み終わりタイトルに納得する口封じ、身近にありそうなパッとしない子。その他もそうくるかと。

    前作を読んでないので、そちらも読みたいと思う。
    はまる人には、堪らないのではないでしょうか?
    蜜の味を味わってみては。。

  • 女性作家によるイヤミスアンソロ「あなたの不幸は蜜の味」の続編。

    以下印象的だった作品
    辻村深月「パッとしない子」
    元教え子が超人気アイドルになり、母校訪問で再会することになった女性教師。今をときめくアイドルに名前を憶えてもらっていて、なおかつ2人で話す時間を設けてもらい、舞い上がる主人公だが……。
    人間知らず知らずのうちにとんでもない恨みを買ってしまうこともあるのだというイヤミス。

    宇佐美まこと「福の神」
    姑の友達だという謎の女。家に訪ねて来るたびに何かを持ち帰っていくが、その代わりに家族の抱える問題が解決していく。果たして彼女は福の神なのか。
    都市伝説ホラーみたいで面白かった。
    ところでなぜか私は宇佐美まことさんを男性だと思っていた。

    篠田真由美「コミュニティ」
    経済的な理由と息子の病気療養のため都会のマンションから郊外の団地へ越してきた一家が、徐々に団地のコミュニティに取り込まれていく話。
    団地ではすべてが共有資産。旦那までもが…これは怖い。闇が深い。

    降田天「ひとりでいいのに」
    双子の妹、里帆をずっと憎んでいた姉の真帆。姉妹で交通事故に巻き込まれ里帆が記憶喪失になったのをきっかけに里帆に成り代わる計画を立てる真帆だが…。
    これはイヤミスというより普通にミステリとして面白かった。

    乃南アサ「口封じ」
    一番イヤミスと言えばイヤミス。だが、ただ不快になっただけで蜜の味じゃなかった…主人公がクズ過ぎたからかな。さじ加減が難しい。

    このシリーズ好きなので続いてほしい。

  • コミュニティ
    100円ショップで買った300円の口紅


    怖い
    けどやめられない

  • 辻村深月さんの「パッとしない子」は既読。
    (噛みあわない会話と、ある過去についてに所収)
    どれも50ページほどの短編なので、とても読みやすい。
    イヤミスにも色々なバリエーションがあるんだなと楽しめた。

  • 面白かった。

    前述の通り、今はかなり仕事でくたびれてるから、こういう内容は読めないかな…、と、思ったけど、まぁ読める読める。笑

    え…待って…私、イヤなミステリーを求めてるの…笑

    と、思った。
    それはそれでちょっと凹んだけど、いやそうじゃない。
    きっと短編集が読みたかったんや…

    と、いうことで、結果的に貪り読んだ。

    前回読んだときに、イヤミスの意味もわかったので、サァ来い悪い後味来い、くらいのいきおいで読んだけど、まぁ想像以上に一編一編がすごい深かった、

    知ってる作家さんもいれば知らない作家さんもおいてはり、一編めの辻村美月氏は初読やったかな?
    結局長編を読んだかな?

    わからんけど、面白かった。
    まあしんどいかった。笑

    過去について、美穂が言うてはるのと佑くんが言うてはるのと結局どっちが正しかったのかがわからないところに嫌さ具合があるなぁとは思う。

    辻村さんの長編も読んでみようかな…。
    もうちょっと爽やかな雰囲気なら読んでみたいような、この嫌さが味のような

    2編めの宇佐美まこと氏は初読。
    普段はホラー小説を書いてるっていうのも納得の雰囲気。

    ホラーに寄りはったのが却って嫌さ加減が薄れた気もする。面白かった

    娘ちゃんについて彼女視点で書かれてたらもっとしんどかったやろな(わたしが)とも思った


    3つ目の篠田節子氏は、…お…おお…って感じの。

    わたしは貞操観念とか(?)こういった具合(?)の嫌さはあまり刺さらないので、これもしんどい話やなぁと思いながら淡々と読んだ。


    ここまで読んで、ふと、どの話も大概昭和みにあふれてるな…と、思った

    もしかして、

    後味が悪い=昭和

    というか、

    城=後味が悪い

    ものなのかな、と、思った

    確かに昭和のものって後味が悪(いものが多)かったかもしれん…

    わたしもバリバリの昭和産…

    なんちゅうか、後味の悪さについていけることこそ大人、みたいな風潮があった気がする。わからんけど…

    ハッピーエンドを望む事は子供っぽい、みたいな、そんな雰囲気があった気がする。

    でも、今はハッピーエンドはハッピーエンドとして市民権を得てるからいいなぁと思う。

    王谷晶氏も面白かった。

    最後の終わり方がきれいだけにしんどい。

    あと引く終わり方をしたなぁ、と、思ったけど、わたしは闇の人間ではないので、これはこれで、娘を地獄に行かせないって言う親心なのかなぁと思った。
    (イヤミスにそぐわないお花畑思考かもしれへんけど。笑)

    降田氏も初読。
    しかも後書きで、作家ユニットって見て、そうなんや〜、と。
    珍しいというか、久しぶりにユニット作家を見たな!

    で、内容は、なかなかにしんどい。

    普段はミステリーを書いてはるらしく、なるほどな。
    ギリギリわかりにくならないトリックが読みやすかった!
    オチもちょっとホラー風味やったね。
    こういうイヤミスは、嫌やなあと思うけど嫌悪感もなく、エンタメとして楽しめる気がする。

    で、乃南アサ氏。

    あーもうこれはしんどいわ。さすがの最高に悪い後味。笑

    解説でも書いてたけど、孝江さんの行動に小気味良さというか、胸がすく思いを抱かはる方もいてはるみたいで、えっ、そうなん。笑

    わたしはそういう闇を抱えてないんかもしれん。
    鬱陶しい人はいるけど、だからって仕返しネタとかは逆にわたしがしんどいす…笑

    仕返しをするより天罰がくだってほしい
    そっちのほうが胸がすく…(わたしのほうが性根が悪いか)

    で、大ラスの宮部みゆき氏。
    ミステリー色が強いでよそこまで嫌でもなかった。

    解説で書かれてた通り、最初と最後の終わりが、加賀美ご夫婦のお話でしめてたところに、良い感じの読了感があった。

    伏線もわかりやすいひ、宮部みゆき氏よミステリーってやっぱ面白いなぁと思った。
    落ち着いて読めるならほんとに読みたい長編がたくさんある。

    東京が幻だって言うくだりは面白かった。
    確かにそんな気がする。

    東京出身東京生まれの人は実は少ない、みたいな話よね。

    わたしは、関西、言うたら一番栄えてる(?)地方都市に住んでるんで、そこに昔から住んでる人もいれば、よそから来る人もいれば、という、いい感じにミックスされてるような気がするけど、東京って、(外国含む)よそから来たものを受け入れすぎて(悪口ではなく)東京本来の味はどんどん消えていったんやろなぁとは思う。

    でも、それでまたいい感じにミックスされて次の土壌ができていくんやろうけども。
    歴史は綿々と続くのよね。続いて…。

    東京タワーはどこから見ても背中を向けてるように見える、って加賀美さんが言わはったのがグッときた。

    東京を象徴するもの(?)が、東京に住んでる人たちから見ても自分たちを象徴してると思ってないかな? と、思って。

    さらにそんなことを言うた加賀美さんに対して、奥さんが、どっちにしろ東京タワーが見えるからいいじゃない、って返したところに、めちゃくちゃ綺麗なぁと思った。

    最後の最後に全然イヤミスではなく終わったな、と、思って、楽しかった。

    全体的にするすると読めていいなと思いました。

  • 女性ならではの話。ショートだけど丁度良い長さで読みやすい

  • 辻村深月さんの「パッとしない子」は何度か読んでいるのだけど、読むたびに肌寒くなる。主人公には決して悪気はなく、むしろ好意的でさえある。多少調子に乗った感はあるけれど、それくらい誰にでもあるだろう。それが受け取り方によってこうなってしまうのか。自分もそんなミスを犯してるのではないかと、怖くなる。

  • 衝撃の結末に心がざわつく!
    この表紙の言葉通り、ひとつひとつの物語に背中がゾワっとなった
    装丁の美しさとは対照的に毒っ気がある
    アンソロジー作品だから読むことをやめられない

  • 納得した話と納得出来ない話があった。短編集。
    ババヤガの夜を書いた作家さんの短編も載ってた。

  • イヤミスのアンソロジー。

    「イヤミス」とは、私自身は初めて耳にする言葉だが、どうやら嫌な気分になるミステリー小説のことのようだ。

    そうとは知らず手に取ってしまったので、最後まで読んでみた。

    この一冊には7つの話が書かれているが、


    (1)パッとしない子 辻村深月

    イヤミスだということを忘れて読み入ってしまったが、気が付くと確かに嫌な感じが後を引いた。どっちもどっちで嫌だったね(謎)


    (2)福の神 宇佐美まこと

    これは不気味な嫌さ+「こんなのは居る訳ないぞ」と突っ込みたくもなる嫌さ(笑)


    (3)コミュニティ 篠田節子

    ありそうでなかった発想。いや、触れたくないのかも。ほんと!嫌になる。


    (4)北口の人 王谷晶

    一番嫌度が低かった話。ミステリーとしても最後まで単調で落ちも弱いなと。


    (5)ひとりでいいのに 降田天

    これも嫌度は低め。普通にミステリーとして楽しめた。


    (6)口封じ 乃南アサ

    話の内容ではなく、主人公個人が嫌な奴だった(笑)


    (7)裏切らないで 宮部みゆき

    宮部さんの名前があったので、この本を選んだわけですが期待通りの面白さ。しかし、嫌度はかなり低め(笑)

  •  なぜ女性作家のみを集めたのだろう。前作も読んでいる記録があるが、簡単な感想しか書いていないのと、記憶がなかった。別に男女で違いがあるアンソロジーでもなさそう。前作で編者の解説とかあったのかな。今作品全体を通しての感想は、実力のある作家ばかりなので安定して読めた。イヤミスでも読後感は悪くなく、物語の展開や、ラストの落ちの上手さにうならせられることの方が多かった。普通の人間の醜いところや、暗いところを描くバランスが絶妙なんだろう。

    パッとしない子(辻村深月)・・・
     人気アイドルがかつての教え子だった教師。当時の印象は「ぱっとしない子。」本人が母校に来るので、楽しみにしていたが、アイドルから話された内容は厳しいものだった。
     一番印象が強かった。やっぱり辻村深月は上手いなー。普通の人間が無意識のうちに、他人を選んだり、順位をつけてしまうような薄い悪意を描くのが上手い。そしてそれを指摘してさらけだすタイミングも絶妙。

    福の神(宇佐美まこと)・・・義母が仲良くなった冴えない女性は福の神?家で使わない花瓶など、ちょっとしたものをあげると、なんとなく運が良くなる一家。イヤミスというよりホラーに片足入れている。

    コミュニティ(篠田節子)・・・やり手だった妻はリストラにあい、夫は不況で給料が下がったため、都会から郊外の団地に引っ越してきた一家。団地は転居が増えていたが、残った住人は中がよく、なれ合いで暮らしていた。

    北口の女(王谷晶)・・・一番意表を突かれた作品。作品自体も短く感じたな。大麻で引退を余儀なくされた女性演歌歌手と、40歳手前の付き人。歌手の姉が営む弁当屋で働くうち、付き人は新たな才能を見つけ出す・・・。
     解説にもあったけど、才能がある人と才能がない人の話。他者よりずば抜けて才能がある人にしかわからない道があるのだろう。そしてそれは平凡な人間にはついていくことはできないのだろう。どんなに長い年月一緒にいようとしても無理なんだろう・・・という、クールな内容だと思った。

    ひとりでいいのに(降田天)・・・お互い憎み合う双子姉妹の話。

    口封じ(乃南アサ)・・・これが一番イヤミスっぽい。誰もが幸せになっていない気がする。そもそもどの登場人物も微妙に好感度が低い。
     完全看護の病院で付添婦として働く主人公。看護は興味がない、若くして妊娠・結婚したが、子供は好きでなく、ネグレクト気味だ。患者にも子供にも当たりがきつく、評判は芳しくない。あるとき、子供の育て方で近所から苦情が来る・・・。

    裏切らないで(宮部みゆき)・・・都会で派手な生活を送る、若い女性が殺害される。多額の借金があったが、実家が補填してくれるので心配はなかった。働いてはいるが、熱心でもなく、着飾ること、豪華な暮らしをすることだけに興味があったようだ・・・。
     手堅い作品。イヤミスというより、ある女性達の生活を暮らしを切り取った作品。物語の時代は今より少し前みたいだけど、今でもありそう。華やかな暮らしに憧れる様子が。

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