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本 ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784569903569
作品紹介・あらすじ
紫式部が支えた国母の一代記!
七代の天皇を見守り、“望月の栄華”を成し遂げた藤原彰子の波瀾の生涯
わずか十二歳で入内した、藤原道長の娘・彰子。父に言われるがままに宮中に入った彼女を、夫である一条天皇は優しく受け入れるが、彼が真に愛した女性・定子の存在は、つねに彰子に付きまとう。しかし、一人の幼子を抱きしめた日から、彰子の人生は動き始める。父や夫に照らされる“月”でしかなかった彰子が、やがて「国母」として自ら光を放ち出すまで――平安王朝をドラマチックに描く著者渾身の傑作長編。
感想・レビュー・書評
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一条天皇と藤原道長を巡る本が続々と出ている今日この頃。藤原彰子の物語はやっぱり欠かせません。12歳の若さで一条天皇のもとに入内、后になり、皇子を二人産み、国母として道長の栄華の時代を生き抜いた女性です。上巻は、彰子の初めての出産直前までを語ります。
真面目で、自分の立場や役割をしっかり心得て、后として成長しようとする人柄。亡き皇后・定子のような華麗なるサロンの主でも悲劇のヒロインでもなく、詮子のような怨念の塊でもないので、ストーリーは地味ですが、この時代の表と裏をどちらも見据えようとするところ、もっと評価されていいと思うのです。 -
平安時代を描いた小説にあまり馴染みがないので、名前の読み方とか色々難しくて最初読み進むのが遅かったけど、なんとか慣れてきて、人物の相関図もだいたいわかってきた。
12歳で入内してまだ幼かった彰子が、だんだんと成長して、一条天皇を支えたいと一途な想いで頼もしくなっていく様が健気で胸が熱くなる。
それにしてもこの時代の女の身分の低さ、親から物のように出世の道具にされる様は腹立たしい。親族間なのに争いが絶えず、怨霊とか怨念が信じられてて、それによる病や火災の多さにびっくりする。
身分が高くても、心安らかになる時がない大変な時代だったんだな。
紫式部が出てきて面白くなってきたので、下巻でさらに彰子が成長していくのが楽しみ。
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丁度大河ドラマのタイミングで読み始め、彰子様が入内される所から始まるので、スルスルと読めた
一条天皇に想いが伝わらないもどかしさ
紫式部が出てくるのが後半で早く助けてあげてって言いたくなった -
「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の
欠けたることも なしと思へば」
の句でおなじみの藤原道長。その娘で、一条天皇の中宮となった藤原彰子の物語。
一条天皇のきさきとなったが、なかなか子に恵まれず(そりゃ12歳で入内しても)、そのうち中宮定子の子、敦康の養母となる。
それを始めに国母として70余年、藤原家の後ろ盾として、そして朝廷の安定に大きな影響を及ぼし続けた女性の一代記。
上巻は彰子が国母として独り立ちしていき、そして女房として彰子に仕えた紫式部が登場するまでがメイン。
彰子は国母としてのモットーとして「人を決して恨んではならない」ということを強く掲げる。そしてそのきっかけになったのが、夫である一条天皇の母、藤原詮子の体験を本人から聞かされたからなのだが、これが長い。とにかく長い。
上巻の三分の一くらいを占めるのではないかというくらいの、詮子のモノローグ。
この部分は大切なのはわかる。ここを理解しておかないと、彰子の行動規範に説得力がなくなるから。わかるんだけど、長い。
しかも、会話としての体はとっているものの、とにかく説明に次ぐ説明なので、途中で「あれ、おれ、新書読んでるのかな」っていう気になってくる。しかもご存知の通り、平安の朝廷なんて、血縁同士の結婚があたりまえだから、誰が誰だかわからなくなってきてモノローグの最後の方は白目をむく。
でも、この本をこれから手に取る人に言いたい。この部分を乗り切って、紫式部が出てきたらこの物語は俄然面白くなってくる。
なんなら詮子のモノローグ、斜め読みでも構わない。「あー、詮子、めちゃくちゃむかついてたんね」くらいのことがわかれば大丈夫。 -
中宮での闘い、、、一条天皇への敬愛。父道長の権力。
いろいろ背負って彰子。 -
(大河ドラマにあわせた娘からのおすすめ本おあずかり、中宮彰子を主人公としたお話らしい)
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途中まで彰子の視点でただ史実を語る感じなのかと思いきや、彰子が変わると本も変わって、文章も変わったので面白かった。
ただやっぱりどうしても史実が列挙されるだけのゾーンがあって没入してたとこから少し引き戻される感じがする -
彰子が描かれた小説って、そんなに多くない気がする。
まして主人公というのは、私にとっては本作が初めて。
寛仁二年、藤原威子が後一条天皇の中宮に立った、有名な宴の場面が描かれた後、物語はすぐに二十年ほど前の、彰子自身の入内の頃から語り起こしていく。
重圧の中で、夫の一条天皇にもすぐには心を解くことができないさまなど、なるほどなあ、と思いながら読み進める。
定子皇后が崩御して、三人の遺児を育てることとなったこと、そして一条の母でもある皇太后詮子との対話などを通して、次第に宮中での自分の役割に目覚めていく。
一条天皇の理想とするところを理解しようと、自ら紫式部に漢籍の進講を求め、紫式部の忠義を勝ち得ていく。
そんな彰子の成長が書かれている巻だった。
その母后の詮子を彰子が訪ねる場面が約70ページにわたって続く。
怨みに苛まれる半生を語り続けるという、恐ろしい場面である。
彰子はこの伯母であり、姑を反面教師として乗り越え、後宮でどうふるまうべきか考えるようになる。
本書での彰子は聡明で、決断力のある人物である。
立派な人物、偉人と言ってもいい。
当時の十代は、現代よりずっと大人だったということも考えにいれても、ご立派。
ただ、それが魅力的か、と言われたら、自分にとってはちょっと違うかも。
前に読んだ冲方さんの『はなとゆめ』の定子も、まるで教師のようだったりして、何かちょっと感情移入できなかったのを思い出した。
著者プロフィール
冲方丁の作品





