本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784569904436
作品紹介・あらすじ
シリーズ累計50万部突破!
体面、しきたり、出世争い、厳しい姑……
武家のさだめに生きる者たちの悲哀と喜びの物語
「花散らせる風に」あさのあつこ
小舞藩の筆頭家老は、なぜ新田作りのための開墾地に、農に適さない土地を選んだのか……三十年前の悲恋と約束に縛られた男の生き様を描く。
「ふところ」中島 要
貧乏御徒の家に嫁いだ栄津。いつも厳しく叱ってきた姑が亡くなり、せいせいするかと思いきや、閉まりきらない戸の隙間から風が吹き込んでくるような気持ちを抱いていた。そんな栄津のもとに、幼馴染の男が訪ねてきて……。
「小普請組」梶よう子
瀬戸物屋の五男坊から、小普請組の御家人・野依家の養子となった駿平。わずか一年で当主になることが決まり、養母から出世を目指すよう命じられ……。
「最後の団子」佐藤 雫
大身旗本の娘である綾は、甘味好きの父がなぜか団子だけは口にしないことが気になっていた。父に仕える茂七に尋ねると、そこには若き日の淡い恋が秘められていて……。
「落猿」朝井まかて
八作藩の江戸留守居役・奥村理兵衛は、藩士の無礼討ちを無難に解決しながら、補佐役・野口直哉の成長を見守っていたが……。武士の本髄とは何かを鋭く活写した短編小説。
武家のしきたりに振り回されながらも、懸命に生きる人々の姿に心打たれる名作アンソロジー。
感想・レビュー・書評
-
アンソロジーを初めて読んだかも?
気になっていた作家さんや、知らなかった作家さんの作品が読めてなかなか良かった。
印象的だったのは、中島要さんの「ふところ」。
格下武士の御徒のもとに嫁いだ栄津が、姑が亡くなったあとで少しずつ姑の有り難みに気付いていく話で、しみじみと心に沁みるものがあった。
中島要さんの他の作品も読んでみたい。
一番良かったのは、佐藤雫さんの「最後の団子」。
登場人物の心情が深く伝わる文章で特に好みの作家さん。本作も切なく素敵な物語で、ラストは温かい気持ちになった。
一方、朝井まかてさんの文章はわかりにくい単語が多くてわりと読みにくいのかもと、5篇のラストなので比較されて気づいてしまった。
どの話も「武士」がテーマになっていて、立派で華やかなイメージが覆される。
貧しい生活を強いられていた武士の厳しい現実を知り驚いた。
例えば梶よう子さんの「小普請組」は、徳川家の家臣で無役無勤の者たちが、まずは御徒を目指すために小普請支配の屋敷にいき挨拶をするというなんとも現実的な話。
また、「最後の団子」では旗本の家に生まれても、次男以下は才能に恵まれるか、養子になるしか出世の選択肢がないことが書かれている。
朝井まかてさんの「落猿」では江戸留守居役の理兵衛の苦労が描かれていて、誰を信じ誰の裏を掻くのか出世をしてもやはり厳しい。
現代人と同様に悩み奮闘する武士の人間らしさ、戦のない時代の武士の日常が垣間見れる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
5人の作家が描くさむらい
「さむらい」と言えど別々の五人が現れる
それぞれの個性の色が違って面白い
お気に入りは栄津さんかな…… -
2025.02.02
女性作家の時代小説アンソロジー
ワタシは54歳男性という属性から「落猿」のように厳しい武士のものがたりが好み。 -
真のさむらいと呼べる人はどれくらいの割合だったのかなぁ
-
秀作揃い。
今も昔も仕事は変わらず...
『最後の団子』は良かった。 -
武士のリアルな生活感が感じられる短編集。今の社会にも通じるものがある。最後の『落猿』の終わり方は、一読者としては武士道を貫いたと考えたが、生き続けるのも人生だと心が揺れた。どんな結論に至ったのだろうか。
アンソロジーの作品
本棚登録 :
感想 :
