大阪府警 遠楓ハルカの捜査日報 (PHP文芸文庫)

  • PHP研究所 (2025年1月8日発売)
3.39
  • (5)
  • (7)
  • (17)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 163
感想 : 10
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784569904528

作品紹介・あらすじ

夫の存在が邪魔な落ち目の女優、盗作疑惑で契約破棄を迫られたデザイナー、頭脳明晰な警察官僚志望の大学生……。完全犯罪を企む彼らの前に現れたのは、若くして警部に抜擢された大阪府警の遠楓ハルカ。どんな些細なミスも見逃さないハルカが、「遠楓班は、ホシを追いつめる」と班員に号令をかけるとき、完璧に思えた犯人たちの計画は、終わりを告げる。
倒叙形式で描かれた警察ミステリの白眉。
文庫オリジナル。

みんなの感想まとめ

独特なキャラクターが魅力の倒叙ミステリーで、主人公の大阪府警の警部、遠楓ハルカが活躍します。美人で優秀ながらも、大阪のおばちゃんのような図太さを持つ彼女が、完全犯罪を企む容疑者たちを追い詰める姿が描か...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 美人で頭脳明晰な刑事だけど性格は大阪のおばちゃん?大阪が舞台の倒叙ミステリ #遠楓ハルカの捜査日報

    ■あらすじ
    大阪府警の刑事である遠楓ハルカ、捜査一課の班長であり階級は警部。小柄だが美人で頭脳明晰、部下への指導力も求心力もある優れた刑事である。しかし彼女は見た目からは想像できない図太さがあった、その姿はまさに大阪のおばちゃん。そんな遠楓ハルカが大阪で起きた様々な殺人事件の謎に挑んでゆく。

    ■きっと読みたくなるレビュー
    おもろいすね、安心して読める倒叙ミステリー、全四作で構成される連作短編集です。

    ・倒叙ミステリーとは
    最初に犯人と事件の過程やトリックが明かされ、探偵や警察がどうやって真相にたどり着くのかを楽しむ形式のミステリーです。探偵役がいかに犯行を見抜き、犯人を追い詰めていくか。そして犯人との心理戦が読みどころ。

    ・倒叙ミステリーの代表作
    刑事コロンボ、古畑任三郎あたりが有名ですかね。福家警部補、城塚翡翠invert、碓氷優佳シリーズなんかも倒叙ものです、最近は女性が探偵役の作品が多いかしら。もちろんどの作品も面白いので、時間がある方はぜひ。

    さて、まず本作で推したいのは登場人物ですね。捜査一課のバリバリの刑事たちが活躍して事件を解決していきます。

    主人公のハルカを筆頭に、若手でいじられキャラの佐藤、教育係の鶴見、ベテラン刑事の久喜と玄といった魅力的かつ重厚な面々たち。ハルカの頭脳を信じてキビキビ動く彼らがカッコイイんだよなー、チームワークも素晴らしいんです。

    また本作は大阪が舞台なんですが、情景描写がお上手なんすよ。JRがよく遅れるとか、官公庁街は六時を過ぎると寂しくって不思議とか、街で生活しないとわからない空気感を良く描いているんすよね。大阪都心や堺市の古墳群など旅情風味な書きっぷりも嬉しい、景色が目に浮かんでくるんすよね。

    そして重要な謎解きミステリーとしても、ちゃんと面白いです。犯行のほころびや嘘を見抜いていくハルカが切れ味鋭く、膝を打つことも多かったな~

    一番好きなのは第三話『呉越同舟』ですね。大学生の仲間たちが五人がキャンプに行くのですが、ちょっとした口論から物理的な行動に発展、ひとりが亡くなってしまう。彼らは事故に見せかける隠蔽工作をするのだが… といったお話。

    倒叙ミステリーとしての謎の出し具合が絶妙で、ハルカが嘘を見抜いていく過程や尋問シーン、犯人の行動原理などの情報がバランスよく構成されている。謎解きも深く読み応えがありました。

    久しぶりに倒叙ミステリー楽しませていただきました、面白かった!

    ■ぜっさん推しポイント
    第四話『be happy』犯人役の女性。彼女の仕事に対する姿勢、そして犯行の動機にめっちゃ共感できるんすよねー。

    ずっと道を歩いてきた人だからこそ持てる価値観、胸を張って言えるセリフ。プライドって奴ですよ。長年、ひとつのことに真剣に向き合ってきた人だからこそ持てるんです。

    だからと言って犯罪を犯しちゃいけないけどね。でも本気で取り組めてきたってのは、その人にとっては幸せなんだとは思いましたね。

  • 美人で切れ者だけど、中身は大阪のおばちゃん。そんな主人公で倒叙ミステリをやろうとしている作品です。倒叙なので犯人の犯行シーンが冒頭で描かれて、その後主人公たちが捜査に乗り出す。
    本書は4つの短編で構成されていますが、尺が短いこともあり主人公があっという間に犯人に目を付けて追い込みを始める。あっという間過ぎてちょっと物足りない感じはあります。キャラはいいので、次は長編でじっくり読みたい気もします。

  • いわゆる倒叙ミステリー。
    美人で優秀だが、気の強い大阪府警の遠楓ハルカの活躍するミステリー。

    最初に、完全犯罪を目論む容疑者の犯罪場面が描かれ、その後、刑事たちが一歩一歩、真実に迫る姿が描かれます。
    古畑任三郎や福家警部補のような流れでしょうか?
    最後のどんでん返しは、更に読者を欺くもので、さすがですね。

    今回は、
    ・道頓堀で別れて
    ・古い墓
    ・呉越同舟
    ・be happy
    の4篇。

    最後の『be happy』では、容疑者は、ハルカの先輩でベテランの婦人警官。果たして、ハルカは真実に迫れるのか?

  • 短編連作集。遠楓ハルカ年齢34歳。大阪府警捜査一課の課長。国立大出の才女、刑事として優秀。見た目はモデルかと思うような美女。そして中身は大阪生まれの大阪育ち、大阪のおばちゃんのような図太さがある。セクハラパワハラまがいの発言も多い。作品は大体が倒叙形式で書かれている。
    ・大阪のお笑い芸人の夫が邪魔なベテラン女優。
    ・堺市生まれ、堺市育ちで盗撮疑惑をかけられているデザイナー。堺市は古墳が多数あるんだな。世界遺産以外の墓も多い。
    ・みんなから嫌われ、みんなを脅迫し続ける同級生殺害した、大学生グループ
    ・遠楓が信頼を寄せる、女性警官。

     ストーリー自体はしっかりしていて、犯人のトリックも無理がないと思う。それでもやっぱり目立つのは遠楓のキャラ。大阪のおばちゃん。しかも図々しい、会話がリアル。犯人を追い詰めるシーンも大阪のおばちゃんなら言いそう。あとなぜかちょいちょい体調崩すというか、怪我もしている。第1話目、特に説明はなく、松葉杖だったのは何でだろう。他にエピソードがあるのかな?続編を期待。と、思ったら、2026年1月に続編が出るみたい。多分好評だったんだろう。

  • 【収録作品】
    Ⅰ 道頓堀で別れて
    Ⅱ 古い墓
    Ⅲ 呉越同舟
    Ⅳ be happy

    いわゆる倒叙もの。
    大阪府警捜査一課の美人女性警部が主役。
    キャラは立ってるし、ストーリーもひねりがきいている。
    なのになぜかそこまで面白いと思えなかったのは、好みの問題かな。

  • 大阪府警の遠楓ハルカ警部を主人公にした倒叙ミステリ。捜査一課で班長を務めるハルカの部下である班員たちも嫌味がなく、連作なのでサクサク読める。この形式のお話って「なんで最初からその人を犯人って思ったの?」っていう疑問がわくこともあるけれど、そういうのを感じなかったので良かった。

  •  文庫本の帯で“倒叙ミステリ!”とうたっているのだが、ちょっと違うんじゃないだろうか?

     捜査一課班長として強行犯係の刑事を率いる女性警部は、モデルのような美貌とスタイルの持ち主。でも性格はまるまる“大阪のオバチャン”。
     そんな人物が倒叙ミステリの主人公、ということで興味を持った。
     映像作品の刑事コロンボや古畑任三郎、これまで読んできた福家警部補や定塚翡翠もそうだけど、倒叙モノは探偵役の個性が重要なポイントとなることについては意見を違わないだろう。
     いったい一体どんなふうに犯人と対峙するんだろうか。

     ところが話を読んでみると、まず“倒叙ミステリ”と言うにはいろいろと腑に落ちない事が多かった。
     これまで自分が読んできた倒叙ミステリは、犯人視点で事件の詳細が描かれるとともに、犯人も読者も見落としていた証拠を探偵が見つけ出し突き付けることで犯人に犯行を認めさせるものだった。
     ところが、本作では全四話のすべてにおいて犯行は部分的にしか描写されていない。
     さらには、決定的な証拠も無いままに「自白」が決め手となっている事件すらあって……それはないんじゃない?
     現実での捜査でなら、状況証拠を積み重ねて厳しい取調べの中で犯人を“落とす”ことはあるかもしれない。だからといって小説でそれをやってしまっては、それはもはやミステリとは言えないでしょ。
     元・警察官、元・白バイ隊員の経歴を持ち「女副署長」シリーズで注目されたという著者だから、リアリティにあふれる描写が可能かと思ったんだけど、期待したのはそういう意味のリアリティじゃないんよ。

     また、“大阪のオバチャン”部分についても、いまいちクドさが足りないように思えた。
     もしかすると自分の中の“大阪のオバチャン”イメージが偏っているのかもしれないが、もう少し図々しさというか対人距離の近さといったものが不足しているように感じたのだ。
     できれば、そんな“大阪のオバチャン”キャラを利用して犯人の懐に入り込み混乱させて尻尾を掴む、もしくは罠に掛ける、といったエピソードが欲しかったような気もする。
     美人であることを本人も十二分に自覚しており、それを褒めそやされることを喜んでしまうクセ強なキャラはなかなか面白いのだが、外見イメージに引っ張られたせいかまだまだお上品な範疇にあり、少々物足りなく感じてしまった。

     まあ、この一冊だけで判断するのはさすがに早計だろうから、機会があれば前記の「女副署長」や近作の「流警」シリーズなど読んでみたいとは思っている。

  • 大森署の美貌の女性署長の藍本小百合を思い出します。

  • キャラが良くて楽しめた。最後の短編だけは、ちょっと疑問に思うけど…。
    読みやすかったので、他の作品も読んでみたい。もう少し深みが欲しいなぁ。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

大阪府出身。元警察官、女性白バイ隊員。退職後小説を書き始め、2005年に北日本文学賞、06年に織田作之助賞を受賞。17年、『虚の聖域 梓凪子の調査報告書』で島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。著書に『三星京香、警察辞めました』「女副署長」シリーズ他。本作は前作を上回るバイクアクションと、様々な立場の警察官が織りなす人間ドラマが魅力のシリーズ第2弾。

「2022年 『黒バイ捜査隊 巡査部長・野路明良』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松嶋智左の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×