弓と禅

  • 福村出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784571300271

感想・レビュー・書評

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  • ドイツの哲学者オイゲン・ヘリゲルが弓道を通じてその極意を体認していく記録。
    若い頃、神秘主義に傾倒した著者が、日本に教授として赴任する事が決まり、禅に取り組みたいものの日本人からその困難さを指摘され、変わりに弓道に取り組む事となる。果たして当代一流の弓道家である阿波研造氏より手ほどきを受け、その境地に至る。

    哲学者らしくロジックで弓道を分析しようとする著者に、言語を絶する弓道奥義に至る道を提示する阿波研造氏。なかなかうまくかみ合わず、師に匙を投げかけられるものの、ついにオイゲン・ヘリゲル氏が体認していくあたりは感動もの。

    呼吸・立禅・無我・・・これほどまでに中身の濃い悟りのプロセスを表現されたものはそうない。

    最終章:諸芸の名人境では不動智神妙録や葉隠を挙げつつ、武士道の根底に流れる禅的な「無心」「無我」の姿をまとめている。

  • 日本の弓術よりやや詳しく書いてある。
    ヘリゲル先生の歩みが良くわかります。

  • 言葉遣いが難しく、内容がわかりづらいが、禅の思想に関する部分、無我の境地に触れられる。気がする。

  • 深い。
    一度では、理解不能。
    是非、何度も読み返してみたい。

  • 中島敦の名人伝じゃんと読み始めた。悟りを実録してあり面白い。禅の思想に入門できたかんじ、むすびの師範がまた弟子になるということにも今ならなんだか納得できてしまうな

  • まさに弓道は禅である。呼吸を調え、自己から離れ、矢と一体となり、無心の境地で放つ。私が的を射るのではなく、それが射る。そこに力みはない。これこそ禅の境地であり、弓道のみならず武道の境地である。


    <目次>
    序言
    1 精神的な弓道、その師範との出会い
    2 弟子入り
    3 呼吸法
    4 放れ
    5 自己自身からの離脱
    6 師と弟子
    7 有心と無心
    8 暗中の的
    9 段級審査
    10 諸芸の名人境
    むすびー日々是好日、空の空
    訳者注
    ヘリゲル博士追想
     ヘリゲル夫人の回章
     ヘリゲル君の墓に詣でて
     ヘリゲル先生の想い出

  • 再読中の「茶道を深める/岡本浩一」の参考文献。あと三回くらいは読まないと真髄はわからなさそう。。。

  • オイゲン・ヘリゲルさんはドイツの哲学者で、大正から昭和にかけて仙台に滞在し6年間東北帝國大学で教鞭をとられたそうです。
    私はダンス系サイトからこの本を知ったのですが、最近ブームらしい。
    スティーブ・ジョブズさんの愛読書だったとか、この9月に武田鉄矢さんがラジオで紹介していたりとか。
    私は読み終わってから検索してそれらの事実を知ったのですが、実際に本を読むより武田鉄矢さんの解説を読んだ方がわかりやすいかも。
    https://www.youtube.com/watch?v=jWAEsF95vmwhttps://www.youtube.com/watch?v=0CCGEuF2Y6U
    ぜんぶで1時間ぐらいです。

    昭和55年に出版された本でありながら、古い字で書かれています。
    私は旧字大好きなので、それは楽しいのですが、表外読みや難しい単語も多々あり、辞書を片手に読みました。
    クリスマスイヴだっていうのに、なんでこんなことを…。

    でもそうまでして読みたい、とても面白い本でした。
    ヘリゲルさんは日本に来る前から哲学博士で、帰国してからも大学教授をされたのですが、若い頃から神秘説を研究していました。
    しかし文書ではどうしても外面からしか立ち向かうことができず、「次第に幻滅を感じ勇氣がくじけて、只眞に出離した者のみが、”出離”ということの意味を理解することが出來、又自己自身を完全に離れて空しくなつた蝉脱者のみが”神以上の神”と”一體になる事”の準備が出來ているのであろうという洞察に達したのである。即ち私は神秘説への道は、自分自ら經驗して悩み抜く事以外になく、又有り得ない事を、そして若しこの前提がないならば、神秘説についてのあらゆる言説は単なるあげつらいに過ぎない事を洞察したのであつた。」ところに、日本の大学講師の話がきて、それによって佛教と同時にまたその沈潜の實践と神秘説とに交渉を持ち始める見込が立った故に大變よろこんで迎えました。

    彼は禪を学ぶために、日本の武道を学ぶのがよいであろう、ということで阿波研造師範に弓道を習います。
    この本はその体験談が中心になっています。
    それがすごく面白い!

    まあ、私は今のところそういった日本の藝道を学ぶ余裕はないので(すごく憧れるのですが)、習い事としては非常に参考になりました。
    まずこの本を読むこと自体、上に書いたように苦労したのですが、呼吸のしかたとか、出来不出来で感情をふりまわされないこと、力をぬくことなど、自分の習い事に共通しています。
    そして次のことが大事。
    「(剣の)達人は再び初心者の如く捉われない。彼は、稽古のはじめに當つて喪つた無頓着状態を、その終りにおいて不壊の特性として再獲得したのである。初心者と違つて併し彼は、慎み深く、落ちついており、謙遜であつて、勿體振る氣は毛頭ない。初心位と名人位との兩段階の間には、撓まぬ練磨の全く長い多事多端の歳月が在る。禪の影響を受けてその技倆は精神的となつて了つている。そしてその修行者自身は、内面的克服の段階を次々に通つて行く中に、次第に自由となり、すつかり變つて了うのである。」

    とういわけで、切磋琢磨。

  • 外国の人の目で観て感じた日本の本質的な部分、基調。思考の外枠が西洋化している現代日本人にとってヘリゲルの視点はむしろ自然なものかもしれない。でも、日本人はきっとこうは書かない。理論的に、禅的なものへのアプローチをした軌跡。でも、それ以上のもっと大切なものを読んでいて感じた。エンデのインタビューからたどり着いた本だったけど、すごくいい本。きっと後々折にふれて読み返すと思う。

  • 全ての道は禅に通ず。弓道を通して東洋の神秘を学ぼうとした学者の伝記。非常に難解な文章で書かれている伝記。

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著者プロフィール

1884年、ドイツ生まれ。哲学者。1924年に東北帝国大学講師として来日し、哲学史を教えるかたわら阿波研造に入門。弓道五段の免許を得る。帰国後は日本思想を講じ、1948年に『弓と禅』を著した。1955年没。

「2015年 『新訳 弓と禅 付・「武士道的な弓道」講演録 ビギナーズ 日本の思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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