自閉症は津軽弁を話さない リターンズ コミュニケーションを育む情報の獲得・共有のメカニズム
- 福村出版 (2020年6月17日発売)


- 本 ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784571420764
作品紹介・あらすじ
前書から3年。様々な反響に向き合っている所へ方言を話すようになった自閉症児者の情報が寄せられた。再び調査開始。そこから見えてきた社会的スキルの獲得と関係性の変化を探る。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
asdの方の言語の使い方から、asdを理解できる内容になっている。専門用語も多く、勉強になる。
-
前著からの差分として、
・1. 方言習得の困難さに関する原因とされる説の深堀り
・2. 方言を話すようになった事例における、コミュニケーション能力の向上との相関
が書かれている。
2. については事例の少なさもあり、因果関係までは言及されていないが、それでも大変興味深い相関関係であった。
この分野の大規模な調査により、方言習得との因果関係がある事象が明らかになること、そして、自閉症児の療育への適用が成されることを願っている。 -
「リターンズ」が出ているということで読んでみた。
認知についての話が多く、言語に興味がある私としては、ちょっとわかりにくかった。
しかし、最初に出てきた絶対音感の話は突出しておもしろかった。言語音を絶対音感と相対音感で理解するのは、音声学と音韻論に相当するように思う。
もしこの点を掘り下げた続編が出たら、ぜひ読んでみたい。 -
楽しみにしていた続編。
18ページ目できなりテンプル・グランディン博士が出てきてテンションが上がる。オリバー・サックス博士の著作の中でも私が一番大好きな「火星の人類学者」に出てくる女性。彼女自身の著作も良かったし、一方的に親しみを持っている。
読了。面白かった。最後に出てきた、家族が日本語話者なのに英語で話すようになったASD(インターナショナルスクールに通っている)の話とかは掘り下げて聞きたい感じだった。
あとドミニカ国のごっこ遊びの話は面白かった。子供には英語話者になってほしいと思い子供に話しかける時には英語のみを使っているのに、子供たちがごっこ遊びをする時には役割に応じてどこかで覚えてきたパトワ語を使うというもの。(これは定型発達の話。)
サザエさんでもこういう話があったなと。うろ覚えだけれど、たしかワカメとタラちゃんが波平を子供役にしておままごとをしていて、子供(波平)を寝かしつけた後に「ふーやれやれ、お茶が入りましたよ」とかやっている話。(好き。) -
“違い”が分かりすぎて社会性を獲得するのが困難な方々の、世の中を認知するしくみが分かる本。それを基に、“普通”に暮らせている側からの歩み寄り方も理解できる。
著者の専門である心理学をはじめ、言語学、脳科学、情報工学などの知見が「ふとした疑問」を解消するために総動員される有様は、「知的な探求とは、このことか!」という一言に尽きる。
コロナ禍により、一気に普及したオンラインコミュニケーションは、“普通”の人々にも、意図を読むことにずれを生じさせている。
それを補正するための方策をも、この本で読み取ることができるのではないか、と私は感じている。
著者プロフィール
松本敏治の作品





