- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784573022324
作品紹介・あらすじ
高峰秀子が、愛する夫、松山善三のために作り続けた、酒の肴、惣菜、ごはん。珠玉のエッセイとともに、57レシピをビジュアル化。作って、食べて、泣いてください。30年の時を経て甦る「物語のあるレシピ」。
感想・レビュー・書評
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高峰秀子さんの書く文章が好き。幼少期の思い出、夫との日常、旅先での食にまつわるエピソードを交えながら各食材、各調味料等のついての短編集になっていた台所のオーケストラにレシピと写真を加えたのがこの本で、ちょっと作ってみようかなという気になる。
度々読み返すであろう本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
故・高峰秀子のエッセイ『台所のオーケストラ』の文章を再掲しつつ、紹介されている料理のレシピに沿って再現した本。和風、中国風、洋風の3部に分かれている。各部ともなぜか、同じ見開きでエッセイとレシピを紹介しているものと、していないものとがある。この違いはなぜ?
養女になった斎藤明美さんが巻末に寄せている文章によれば、高峰さんは偏食家の夫・松山善三のために、限られた材料でいろいろ工夫をしたし、台所づかいもとてもきれいだったとか。そもそも、斎藤さんを養女にしたのも自分亡き後の夫の食事を心配してというのもあるような、「夫・ドッコイ」「わが戦友」をそれはそれは大事に思いながら心を尽くして食卓を整えていたらしい。
旧弊な言い方かもしれないけれど、誰かのために手間をかけていねいに料理をつくる、食事を整えるというのはいいことだ。以前「午後の遺言状」という映画で、乙羽信子が台所に立つシーンの、その流れるような動きを美しく感じたことがある。現代は、レンチンしたり、袋を開ければ刻み野菜が出てくる時代で、食事の用意に手間をかけずに家族と過ごす時間を多くすればいいという論にも一理を感じるのけれど、ゆるされるものなら、手間をかけ愛情込めて料理をつくり、ゆっくりと味わいながら食べたいもの。
そして、誰のためにつくるか、誰と一緒に分け合うかということも大切な要素。斎藤さんによれば、高峰さんは夫がいなければ紙皿で食べるだろうと言ったことがあるとか。 -
切れ味のよい文章に思いやりとセンスのレシピ。全部作ってみたいー!
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愛読書「台所のオーケストラ」の写真付きレシピ、と聞いても最初はあまり心が動かなかった。高峰さんの文章は明快で繊細で、写真が無くても料理に支障が無かったし、安野光雅さんの装丁も全て込みで「台所のオーケストラ」だと思っていたから。けれど、斎藤明美さんのあとがきを読み、その想いを充分感じ取ることができたので購入しました。高峰秀子さんご本人のように、さっぱりとして美しく暖かい本です。
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おちゃめな文。大雑把な日常も垣間見れ。でも作る惣菜はエレガント!
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高峰さんの本を、初めて読みました。歯切れのよい言葉、めんどくさいことキライ、と言いそうで手抜きのない普段のごはん、周囲の人にも食べ物にもあふれる愛情。これは愛されるはずだなぁと思ったのでした。
一気に読み上げる、というよりも手元に置いて時折パラパラと眺めたり読んだりしたくなる本。