韓国の徴兵制 (双葉新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575153675

作品紹介・あらすじ

朝鮮半島の緊張激化や韓流スターの兵役入りを契機に、日本でも韓国の徴兵制に興味を持つ人が増えている。徴兵制の仕組みや問題点を明らかにしながら、その制度によって変わっていく人間の本性に迫る-。

感想・レビュー・書評

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  • 今度好きなアーティストが入隊してしまうので、勉強の為に、思い切って本を買ってみました。表紙を見てビビッてたけど、サクサク。

    除隊した2人の男性の経験談と、著者が取材をしていく中で出会った男性たちの一言と、そして著者の取材内容が読めます。

    読み応えありました。 読んで良かった。
    韓国を知る機会にもなったし(まだまだ知らない事は多いけど)、日本を考えるきっかけにもなりました。

    膝の軟骨を取ったり、わざわざ白内障になる手術を受けたり…兵役逃れの実態だとか、人気俳優(具体例に挙げられていたのはイ・ジュンギ^^)でも主演ドラマを途中降板してまで行かなきゃいけない問答無用の制度だとか…韓国の男性の人生を大きく動かす事になる兵役という義務。

    世界大会で大きな功績を残したスポーツ選手は兵役免除になるとか。韓国の選手の気迫が並外れているのもこれで理解出来ますよね…。

    その一方で、北朝鮮からの砲撃で民間の方が亡くなったりだとか、やっぱり戦争はまだ終わってない状況で…軍事力を確保し続ける事を軽視する事も出来ないのが韓国の現状。

    でも、現役大学生の子が戦死したりだとか…一番良いのは、軍事力を持たなくても済むようになるのが一番良い事なんだけど…。


    ヨンスという人の話は長かったし面白かったです。
    どうも普通の人より勢いの良い人みたいなので私の好きな人の参考にはならないと思うけど(笑、軍隊がどういう所で、どういう人が居て…そういうのは読めました。
    訓練そのものが厳しいのは置いといて、やっぱり暴力は怖いなぁ><
    それがまかり通ってる所も…古いしきたりがそのまま残っている場所、という印象。

    もちろんたった2人の話を読んだだけで、韓国の軍隊を知った気にはなれないけれど。でも、何も知らないよりは良い。

    ヨンスが自殺を考えて大暴れする所。
    死のうとする瞬間、妹が思い浮かんだ所。
    もうなんだか、本当に胸が苦しくなった。

    ヨンスって凄く心も体も強い人。それなのに…それだからこそ? それ程追い詰められるだなんて…私には今後は一生降りかかって来ない瞬間だろうな…って。

    日本以上に家柄や学歴で厳しく差別されてしまう、韓国。もう一人、ソンウの印象的な言葉。彼はお父さんが障害者だった事で家に経済力が無く、大学へ進学出来なかったとか。

    韓国の人達にとって大学進学と卒業が、どれほどおおごとなのかは…最近じゃ日本でも報道されますよね。

    「除隊するとき、僕は自信満々でした。
     目の前には明るい道が広がっていると思えたのです。

     でも、それは錯覚にすぎませんでした。

     …

     軍隊では、金持ちも学歴も全然関係なかった。
     あるのは序列と力関係だけ。
     でも、僕のような者からすれば、
     軍隊の中こそが平等な社会でした。

     …

     軍隊を除けば、そんな社会はどこにもありません。

     といっても、また軍隊に戻りたいと思うわけじゃありません。
     そんなことを考えたら、今の僕があまりにみじめすぎます。
     軍隊がいいのではなく、
     今の韓国社会が悪すぎるんです。

     はたして、そこに僕が生きていく場所があるんでしょうか。」

    近くて似てる国だと思ってた韓国だけど、全然違うんだなぁってズドーンと来た言葉です。

    筆者の言葉の中で印象的だったのは
    「徴兵制がないのが普通なのではない。
     あるのが普通なのだ。」
    というくだり。

    んー、なんというか、考える事が多すぎて上手く言葉に出来ないけど、やっぱり自由っていうのは難しいなぁ…って。

    韓国の徴兵制が良いか悪いか。そんな簡単にどっち!って言える事じゃないし、勉強不足の私には何も言えないけど。

    日本の経済成長がなぜ成功したか。
    それは活力ある若者が頑張ったから。
    日本を豊かにするために、自分の生活を豊かにするために、皆凄く必死で日本を動かしてくれたから。

    では、韓国はどうだろう?

    20歳を過ぎた男子は原則30歳になる前に、 2年間の徴兵義務を果たさなきゃいけない。
    ひと1人の人生の中で、しかも20代の途中で、失われる2年間という時間は余りにも大きい。

    もちろんその間に色々鍛えられる部分もあるんだろうけど、その間経済活動に参加できないというのは、国にとってもある意味損失。

    例えば若者20人が2年間経済活動に参加しない。
    それは合計若者40年間分の経済活動が停滞すると言う事。
    100人だったら?
    1000人だったら?
    10000人だったら?

    そんなハンデのある状況下にも関らず、ここまで成長した韓国って、本当に強い国だとも思い知ったし、それだからこそ勿体ないなとも思った。

    隣の国を知るっていうのは、世界を平和にする為の第一歩だと思うんです。
    私ひとりがココで頑張っても仕方ないけど、これを皆がやったら?
    世界中でお隣同士仲良かったら、戦争起きないでしょ?

    もちろん自分の国を大事にするのが一番大事だけど、でも、人間関係と一緒で、自分よりもまず相手の事を考えてしまうように、国家間でもそれが出来れば良いのに、って…いつも思うんです。

    その中で韓国の徴兵制っていうのは、韓国を知るうえで凄く重要なポイントだなぁと理解出来たのが今回の収穫です。

    K-POPが好き、映画やドラマが好き、
    韓国料理が好き、コスメが好き…

    J-POPが好き、映画やドラマが好き、
    日本食が好き、コスメが好き…

    そういう所から、お互いの国への理解を深めて行ければいいなぁ。

    でもまずは自分の国よく分かってないからな…勉強しなきゃいけない事が尽きる事は無いですね。

  • 筆者の康熙奉さんは、
    韓国ドラマを通した歴史や韓国事情の解説本を多数執筆していらっしゃる、在日二世の韓国人です。
    筆者には韓国の徴兵制義務はありませんが、韓国籍です。
    韓国の徴兵制をどうルポして語るのか?そんな興味を持って読んでみました。

    お知り合いの方々やタクシー運転手さんなどであった人への、軍隊経験インタビューは非常に生々しい声の連続で、軍隊生活の厳しさ、暴力の応酬による理不尽さがよく伝わってくるものでした。

    徴兵制は、国力の低下を招いているという指摘があるそうですが、
    それも具体的にどう低下しているのか?そのルポがありません。
    「きつかった軍隊経験の追想録」収集の域を出ていないのが残念です。


    読者が日本人ということを前提としてか、日本(の若者)との比較記載が多かったのですが、それを通して何を言いたいのかわかりませんでした。
    日本の若者が甘い?

    それはそうでしょう。
    だったら日本の若者はどうあるべきか?
    平和ボケしているこの国の若者に、徴兵制の取材を経た
    筆者なりの提示がなく残念です。

    韓国軍の実態として「理不尽な暴力の連鎖」という点が印象に残りましたが、それは理不尽な徴兵制のせいなのでしょうか・・・。
    徴兵制のある他国と比べてどうなのでしょうか。

    全般的に浅いレポだなと思いますが、この著者の場合、韓国ドラマを入り口に韓国に興味を持った日本人向けの軽い読み物が担当領域なので、
    もっと本格的に知りたければ他の文献を当たるべきでしょうから、
    パイロット本としては読みやすいと思います。

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著者プロフィール

1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化・韓流や日韓関係を描いた著作が多い。特に、2004年4月に創刊された『愛してるっ!!韓国ドラマ』誌の編集長を10年間務め、韓国の俳優たちの記者会見に数多く出席し、スターの動向を報じてきた。主な著書に『韓流スターと兵役』『人生の大切なことは韓流ドラマが教えてくれた』『宿命の日韓二千年史』『韓国ドラマ&K‐POPがもっと楽しくなる!かんたん韓国語読本』『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物』『韓国ドラマ! 愛と知性の10大男優』など。

「2022年 『韓国ドラマ! 推しが見つかる究極100本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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