亜智一郎の恐慌

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 29
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575233223

感想・レビュー・書評

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  •  まず表紙をめくりますと、表紙の「模様作成」の担当者は泡坂妻夫とある。泡坂さんの『家紋の話』を読んだ私としては、そのこだわりは「わかりますよ!」と声をかけたい気持ちになる。
     そして続く目次の先頭タイトルは「雲見番拝命」。さすがあい様(亜愛一郎)のご先祖様!
     というふうに本編に入る前から既にニヤニヤだが、さらに読んでいくと、さきほども触れた『家紋の話』や『大江戸奇術考』といった他の著書で感じられた、泡坂さんの江戸文化に対する敬愛の念が、登場人物の職業や趣味にもろに反映されていることがわかる。敢えて俗っぽく言えば「江戸オタク全開」で楽しそうだなあ、と。

     さて、舞台は幕末の江戸。話の運びや雰囲気はさすがにこれまでの亜愛一郎シリーズとはあまり似ていなく、歴史上の有名な出来事に沿いながらその陰に隠れた人々の生活の悲喜交々を描く、そしてもちろん謎解きもあるという、歴史小説風ミステリー。肝心の亜智一郎さんは、お侍さんであるせいか、子孫の愛一郎さんよりはもう少しちゃんとしている印象だった。雲見番を拝命する四名のメンバーたちもそれぞれ個性があり魅力的で、お互い望んでチームになったわけではないがまあそれなりに認め合って仲間としてうまくやってる感が、サラリーマンらしくて共感できた。
     亜愛一郎シリーズ以外の登場人物のご先祖様と思われる人物もちらほら登場し、何人わかるかでアワツママニア度チェックができそう。私は三〜四人ほど気がついたけれど、なんとなくもうちょっと仕込んであるように思う。わからないから根拠はないが。

    • たださん
      akikobbさん、111108さん、こんにちは。

      江戸オタクの歴史小説風ミステリー、ちょっと難しそうに感じましたが、泡坂さんらしい、人間...
      akikobbさん、111108さん、こんにちは。

      江戸オタクの歴史小説風ミステリー、ちょっと難しそうに感じましたが、泡坂さんらしい、人間ドラマも描かれていそうで、読んでみたいと思いましたし、子孫が推測できそうな、キャラクターも気になります(性格とか言い回し?)。

      本書調べてみたら、1997年発行のオリジナルらしいですね。
      そして、泡坂さん作成の模様と、こだわりを感じさせる表紙にも、作品への意気込みや自信めいたものがあるようで、いいですね(^^)
      2023/01/31
    • akikobbさん
      たださん、こんばんは。コメントありがとうございます。

      私としては、ここ最近のマニアックな読書が生きて良かったです笑。とはいえ、亜愛一郎シリ...
      たださん、こんばんは。コメントありがとうございます。

      私としては、ここ最近のマニアックな読書が生きて良かったです笑。とはいえ、亜愛一郎シリーズ他泡坂作品ファンなら、「おや、この人は!」と楽しめる本だと思います。
      そこへ、過去にちらっと見た大河ドラマなども思い出したりするような楽しみも加わり、また新たなアワツマ体験でした!
      2023/01/31
    • 111108さん
      みなさん、こんばんは。

      akikobbさんのアワツマ道はどんどん奥深くなってきてますね!
      ご先祖様探し楽しそう!
      図書館にあるのはいつもの...
      みなさん、こんばんは。

      akikobbさんのアワツマ道はどんどん奥深くなってきてますね!
      ご先祖様探し楽しそう!
      図書館にあるのはいつもの創元推理文庫版だったと思いますが、検索してこちらの方があったら取り寄せて家紋をじっくり見たいと思います♪
      2023/01/31
  • 雲見番を隠れ蓑に隠密としても活動していた亜智一郎の物語。亜愛一郎のご先祖さまだと思って見てみると、智一郎のほうが「知略」って言葉が似合うかなという気もします(笑) 随所に挟まれた小ネタにもにやり。

  • 愛一郎の先祖である
    智一郎が出てくる時代小説+ミステリー。
    先祖のほうがドジではなくて
    結構頭の冴える人です。

    でも、やっぱりいじられるのは変わりがないですがね。
    回文のネタにされてますし。

    幕末にかけておきる
    数々の怪事件。
    中にはなんてことのないものに
    大掛かりな陰謀が絡むものもあったりします。
    そう、地震予測装置に見えて実は
    …だったりとか。

    智一郎のほかの3人が
    なかなか面白い人物なので
    飽きませんでした。
    特に忍者の猛蔵が。

  • ブクログで知った本。亜愛一郎の先祖という設定らしい。尊王攘夷で揺れる江戸時代後期。推理も入ってるんだけど、時代小説が前面に出てて、最初読みにくいからやめようかとも思ったけど、だんだん面白くなってきて完読。続きがあるような終わり方だったけど、特に出ていないようだ。智一郎が主役というより、緋熊重太郎の方がメインでかかれてる。隠密の使命ももった雲見番の4人。激動の時代というのが分かる。推理云々より、時代小説として面白かった。

  • 亜愛一郎のご先祖?智一郎の事件簿。時代ものです。
    「雲見番拝命」「補陀楽往生」「地震時計」「女の方胸」「ばら印籠」「薩摩の尼僧」「大奥の曝頭」の7編で、江戸末期、家定から家茂のころのお話。

    雲見番であった亜智一郎が将軍直属の隠密となり、総身に普賢菩薩を刻む小普請方・古山奈津之助、遠祖役小角の奥義を極める甲賀忍者・藻湖猛蔵、安政の大地震に片腕を持っていかれた優男・緋熊重太郎などとともに直々の下知をうけ東奔西走します。
    智一郎は愛一郎そのまんま。
    見た目は長裃の似合う美丈夫で知恵はまわりますが情けなく、逃げ足だけは速いという。
    彼らだけではなく、他の愛一郎シリーズのご先祖と思われる人々も登場します。

    ミステリというよりはやっぱり時代物、といった感で、普通に面白かったです。
    安政の大獄、桜田門外の変や和宮降嫁問題などもさらりと出てきていました。
    この中では「補陀楽往生」が一番好みだったかな。

    シリーズを読んでいなくてもこれだけでも楽しめると思いました。

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著者プロフィール

泡坂妻夫(あわさか つまお)
1933~2009年。小説家・奇術師。代表作に「亜愛一郎シリーズ」など。『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞。『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞。『蔭桔梗』で第103回直木賞。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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