とっても不幸な幸運

著者 :
  • 双葉社
3.25
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感想 : 121
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575235197

作品紹介・あらすじ

ちょっとひねくれているけれど、料理自慢で世話好きな店長のいる酒場。クセモノ常連客たちが、今日もアノ「缶」を持ちこんだ…。缶の中にあるのは「災い」?それとも「幸せ」。

感想・レビュー・書評

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  •  100円ショップで売っている「とっても不幸な幸運」なる不思議な缶を開ける事から始まる連作短編。 
     どの話も軽妙な語り口ながらビターな後味を残すものが多く、酸いも甘いも噛み分けた大人(マスターと常連客)の家族的な連帯感も心地よい。
     しかし誰も缶の謎を追求しないのはちょっと腑に落ちないぞ。

  • 新宿の地下にある『酒場』で流行り出したのは
    百円ショップで売っている『とっても不幸な幸運』の缶。
    開けた人には不思議な光景が見え、それが変化のきっかけとなる。
    学校で脱法ドラッグが流通する「のり子は缶を買う」
    "不滅の恋人"の正体を探る「飯田はベートーベンを聴く」
    思い出せない過去を探る「健也は友の名を知る」
    『棺桶屋』を追いかける「花立は新宿を走る」
    夢を見つけた頃を思い出す「天野はマジックを見せる」
    末期がんの女の婚姻届を捜す「敬二郎は恋をする」
    装画:寺門孝之 装丁:重原隆

    特に第一章で視点が安定しないので話に入り込むのにかなり難航しました。
    設定も少し特殊なので最初くらいはもっとわかりやすく書いて欲しい。
    缶の名前も中身としっくりこないし…という感じです。
    缶が出てこない最後の話が一番好き。

  • 何年も前にしゃばけシリーズを何冊か読んで面白かったので、こちらの本も気になって借りてみました。
    ちょっと意味が分からなくて頭に入って来ず、挫折してしまいました(ToT)
    いつかまた挑戦してみたいです。

  • 灰汁の強い男たちの連作物語。

    新宿のどこかに、こんなところがあるのかも。

  • 自分の問題と正面から向き合うのは
    勇気がいるけれど、不思議な缶を開けることで
    そのきっかけになる。
    「酒場」の店長と常連客が一緒に問題解決してくれて面白かったです。
    過去の不幸な出来事も、幸せに繋がっていく要素があるのだと前向きな気持ちになれました。

  • 酒場の中で常連客たちが『とっても不幸な幸運』の缶をキッカケにそれぞれ自分と向き合い直す連作短編。
    ひとつのお店のそこの馴染みの客達が織り成す物語が好きな人におすすめの本、登場人物が魅力的でのり子ちゃんくらいの立場で参加したいなあと感じた。

  • こんな酒場があれば常連になってみたい。
    店長はじめ、皆んなクセが強すぎるけど。
    話の内容よりも、登場人物たちが魅力的だった

  • 敬二郎さんと洋介さんが親子になったのとか少し
    理解しずらかったけど家族って思える変わらぬ関係ってのはおじさんだろうがジジィだろうが心に刺さる。
    お酒はのめないけどチーズシチュー

  • 毎回面白いのに、今回、、、なんかパッとしなかった。

    時代ものを、面白おかしくほんわかしみじみなそんな心温まる内容の時代小説を書く人っていうイメージだったんだけど。これはなんか新しい感じに手を出したんだろうか?

    わからんが、時代ものの方が合ってるよなぁ、、、

    と。
    面白くなくはないけど、パッとしないしストーリー展開の無理加減がものすごくて、全体として歪な感じ。。読んでてサラサラとはいかない、ギーコギーコって感じわかるかなぁ。笑笑

    あ!無理矢理こここんなんしてつなげたなぁ、きっと苦戦したなここの下り。っていう作者の苦しみが行間から若干滲み出る無理さがある。笑笑

    いや、わからないけど、どんどん内容が頭に浮かんできて書いた!って感じじゃなくて、

    うーーーーん、うーーーーんって唸って、こんな感じで、、、ってつなげたくさい下りが多々あって、そういう意味では息詰まる展開。笑笑

    うん、時代ものの方がいい。この人

  • 「のり子は缶を買う」
    脅された友人から買い続けていた物。
    彼の言う通り最初から断っていれば何も起きなかっただろうが、その言葉を言うにはとても勇気がいるだろうし怪我の一つは覚悟の上になるかもしれないな。
    彼の行動力や顔の広さには流石バーを経営している者だなと思うが、ここまで広いと逆にお店に来ている人達の素顔が気になってしまうな。

    「飯田はベートーベンを聴く」
    最後まで信じてくれなかった彼女の正体。
    確かに自分の好きな人にそんな噂が有ると知ったら気になるだろうし、ましてやそれが自分だと言われても信用出来ない気持ちも分からなくもないな。
    彼女と共にもっと話を聞いて早い段階から話の真相を聞いていれば、彼は違う答えを出しただろうし彼女の誤解を解いてあげる事が出来たのかもしれないのにな…。

    「健也は友の名を知る」
    閉じ込めていた記憶に思い出した名前。
    虐待だけでなく精神的に限界を迎えた者が自分の中に他者を作り、本体が傷つかない様に守るというのは思っている以上に身近で起きているのかもしれない。
    忘れ去ってしまったり消してしまった者に寂しさや罪悪感を抱くかもしれないが、それは自分一人でも現実と向き合う強さを手に入れたからでもあるのだろうな。

    「花立は新宿を走る」
    逃げた爆弾魔と死神の二人を追いかけて。
    彼が関わった事件はどんな些細な事件であろうと死人が出てしまっていたら、誰しもが彼の事を死神の様に思ってしまうだろうな。
    小心者な癖して大きな事をやろうとし、失敗しそうになった瞬間に慌ててハチャメチャな行動を取るからこそ不必要な死人が出てしまうのではないだろうか。

    「天野はマジックを見せる」
    映し出された女性の姿に吐き気を催して。
    彼女の言い分もこれから先の事を考えれば無理もない話ではあるが、ただ自分が彼より優位な立ち位置にいると勝手に決め付け話を進めるのはおかしくないだろうか。
    興味本位といえばそれまでだが、彼女の犯した出来事は一歩間違えば色々な方面から訴えられる事も多数あるだろうし通報したら警察沙汰は間違いなかったろうな。

    「敬二郎は恋をする」
    探してみよ彼女の名前が書かれた婚姻届。
    いくら余命がほとんどない状況だったとしても、独り身だった彼女にとって家族という特別な繋がりがどうしても最後に欲しかったのかもしれないな。
    自分だけ疎開したおかげで命を取りとめたが他の家族の姿や遺骨、遺品は見つける事が出来なかった等よく有る話かもしれないが実際に体験するのはまた別だよな。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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