優しい音楽

著者 :
  • 双葉社
3.57
  • (174)
  • (379)
  • (594)
  • (37)
  • (7)
本棚登録 : 1948
レビュー : 385
  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575235203

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「えっ、それいいの?」
    ということを、割合あっさり受け止めてしまう3編のお話。

    表題作「優しい音楽」
    駅で自分の顔をじっと見つめてきた妙な女の子、千波。
    毎朝話をするようになり、付き合うようになり、そして訪ねて行った千波の家で、自分は亡くなった千波の兄に似ているのだということを知る。

    これはちょっと複雑な気分だろうなぁ…。

    “「僕は千波さんのお兄さんとは違う。お兄さんと似ていることを光栄にも思うし、悲しくも思う。ただ、僕は千波さんが好きだし、お父さんやお母さんがうれしそうな顔をされるのを見るのは嬉しい」”

    こう言えるタケルくんは、とてもいい男だと思う。
    優しい音楽、表題そのままに、本当に優しさ温かさの伝わるお話。

    「タイムラグ」
    不倫相手平太の子どもを預かることになった深雪。
    娘のサナに頼まれて、平太の父のところに、平太と妻サツキの結婚の承諾をもらいに行く。

    平太がどうしようもなくアホで身勝手だと思った。
    損で間抜けな役回りだけれど、これを機に、こんなアホな男との不倫なんてやめて、真っ当な恋愛をしてほしいところ。

    「ガラクタ効果」
    同性相手のはな子が、公園から佐々木さんを拾ってきた。
    佐々木さんは、大学を解雇され、財産を全部とられた挙句に妻に離婚を言い渡され、公園でホームレスをしていたのだ。

    公園からおじさんを連れてきてしまうはな子のぶっとび具合と、混乱しながら、何となく受け止めてしまう章太郎の懐の広さがすごい(笑)
    奇妙な三人の共同生活だけれど、なぜか自然な感じもしてしまうのは瀬尾さん効果?

    さっくり読めて面白かった。

  • 瀬尾まいこさんの小説は、スルスルと読めるのに、読んだ後気持ちが少し優しくなって心に残るものがある。
    ほっとしたいとき必ず手にとる作家さんだ。

    3つおさめられていた小説どれもよかったが、一番好きだったのは「タイムラグ」。
    深雪さんと、不倫相手の子ども佐菜ちゃんの会話が面白い。特に天使イザベラのくだり。
    佐菜ちゃんと過ごすうちに、思いがけない行動をとってしまう深雪さん。男にとって都合のいい女だけれど、なんだか素敵な女性。幸せになって欲しい。

  • 休日の午後読むのにとっておきの本。のんびりゆるりとした時間を、たっぷり楽しめます。そして明日からの活力をじんわり養える。大好きな低空飛行系の小説。でも、あんまりじとっとしないのは、瀬尾さんの書き方が素晴らしいからなんだろうなぁ、と思います。この方、優しい言葉をピリリとした味付けで表現してくれるので、なんとなく冷静に受け入れられるのです。

  • 3つの短編集。今回もはずれなし。

    やさしい気持ちになります。

    瀬尾さんのお話って登場人物が少ないからこそ、小さな小さな心温まるお話になってるんかな。

  • 3つのお話が入ってるんやけど、表題作もいいし、他のもいい。甲乙つけがたい。

    瀬尾さんらしく、ふんわりしてあったかい気持ちになれる優しいお話たち。

    いいな~。買い揃えようかな~。

  • これまた素敵なお話だった。
    特に最後のお話の終わり方が。

    p28 『男の人って…』確かにそうかもしれないな、と思った。
    40いい風景
    42違う環境で育った人と…
    56こういうショックを与えるんだな…と
    95同感できる所も。うっすら思ったことがあるから。
    160
    167頭の隅に…
    192ダメな部分は…

  • 瀬尾さんの書く言葉は、いつも私の心にスッと心地よく入ってくる。読み終わった後に、心が温かくなる。
    大抵、短編小説を読むと、これは好きだけどこれはあんまり好きじゃないというのがあるけど、この本に入っている作品は、どれも好き。
    表題作の『優しい音楽』は、最後にホロッとくるし、『タイムラグ』は、不倫相手の子供とスイートポテト作って食べちゃうし、『がらくた効果』は、元教授で現ホームレスの佐々木さんがマンネリカップルの家に転がり込んできたことで起こる何気ないアレコレに心がホンワカする。
    家族、恋人たちの温かなつながりが心にまっすぐ届いて、じんとしみわたる。

  • 3話の短編。
    どの話も先が読めなかった。
    意外性はあるけど激しくなく穏やかな感じ。

  • 登場人物の底抜けの人の良さと現実世界にギリギリありそうでありえない設定とを組み合わせた3つの短編が収録されている。読み終わったあと、実際はこんな優しさだけで上手くいくことなんて有るわけないと思いつつも、少しだけ人に優しくしようかなと思えた。

  • 登場人物が、ことごとく優しい。
    博愛主義とか、自己犠牲とか、そんな仰々しい性質じゃなくて、ただゆるゆると優しい。そして、人間への愛に満ち溢れている。
    他者を肩肘張らずに受け入れると、化学反応が起こり、自分の世界は更に深みを増す。そう、ハーモニーだ。
    「音楽」そのものを取り扱っているのは短編3つのうち最初の1つだけだが、あとの2つも、出会うはずのない思わぬ他者との交流により人生が味わいのある「音楽」を奏でるという所は共通している。
    読了後、ちょっとだけ自分の生きている世界が好きになる。瀬尾まいこらしい小説だった。

全385件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

瀬尾まいこ(せお まいこ)
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2011年の退職までは、中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行っていた。2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。これまでに映画化された作品に、代表作『幸福な食卓』、『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』。『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位、「キノベス2019」1位に選出、さらに2019年本屋大賞を受賞。2019年6月13日、『優しい音楽』(新装版)を刊行。

優しい音楽のその他の作品

優しい音楽 (双葉文庫) Kindle版 優しい音楽 (双葉文庫) 瀬尾まいこ

瀬尾まいこの作品

優しい音楽を本棚に登録しているひと

ツイートする