傍聞き

著者 :
  • 双葉社
3.25
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236361

感想・レビュー・書評

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  • 2022-7【図書館本】

    短編でサクサク読めたし、面白かった。一気に読んでしまった。
    伏線を回収していくギミックが個人的には好きだった。いちばん上手いなーと感じたのは表題作。

    ただ、どの話も登場人物に(ん?)って思うところがあって、そこだけは気になったかな。

  • 更生保護施設長(女)
    消防士(男)
    刑事(女)
    消防士(救急)(男)

    の話。

    1話目の施設長さん、碓井の行動は「施設長出演のテレビ番組を観たかった」ってことに気付こうよ。
    私は気付いたよ。

  • 短編4話。3話目の「傍聞き」は窃盗犯が留置所で羽角啓子刑事に面会を要望して、取り調べの情報を留置管理の巡査に漏れ聞きさせた狙いは?そして、啓子の娘の葉月が刑事である母親への訴えを書いた葉書を同姓の老女に誤配させた理由?葉書を介した傍聞き。直接聴く情報より第三者、あるいは媒体などを通じて漏れ聞く話を信じやすい、心理的題材の話だった。第4話目の「迷走」。救急車が患者を乗しサイレンを鳴らしたまま、病院の回りを走り回る。救急車の行方にドキドキしたが、寡黙な隊長の思惑に唸った。「迷い箱」「899」も良かった。

  • とても読みやすいです。他の方のレビューにもありますか、人間が一面ではなく見えない部分があるんだと表現されています。何かが心に強く残るという物語ではありませんが、心地よく読めました。

  • 日本推理作家協会賞短編部門賞受賞作。これもまた続編が出たので、遡って読んだが、続編が出たのに、短編集で驚いた。「傍聞き(かたえぎき)」の意味を知らなかったので、勉強になった。表題作はタイトルの意味を丁寧に描いていたし、一遍一遍、きちんとした作品だったと思う。人を思い込みではなく、その人の感情の裏を思いやるということが、全編を通して、読みとれた一冊。

  • 標題作の傍聞き、ホロッときた。迷走もびっくりな展開!

  • 傍聞き
    友達にお勧めして貰った1冊。独立した4篇の短編集。
    それぞれ更生保護事業、消防、警察、救急隊の話。

    迷い箱
    刑務所から出てきた加害者に寄り添い、彼らが仕事を見るけるまでの更生保護事業を運営する主人公。
    寮を出ていく男は不注意によって子供を殺してしまい、被害者遺族から「娘のように苦しんで死ね」と手紙を受け取っていた。
    自ら命を絶とうと既に未遂も起こしているだけに、不安を覚える。

    捨てるか迷うものは「迷い箱」を作ってその中に入れておき、毎日眺めて捨てるかどうか決める。
    その話を聞いて、死ぬには主人公にお世話になり迷っていた男が、TVに出ていた主人公をTVで毎日眺めることで悩む。
    加害者に寄り添う主人公は、裏切られたり傷つくたびに辞表を書き上げていた。
    そうしてとうとう完成した辞表を、自殺未遂を起こした男をキッカケに出そうとするが、自分の届いていないと思った声はちゃんと届いているんだという事を知り思い留まる、というような話。
    なんだろう、なんも感想が出ない。主人公が鈍いな、とだけ思った。

    899
    消防士の主人公は、息子を亡くした同僚を元気付けようと、自分が好意を抱いていた女性の火災現場で、子供を助け出す任務を与える。
    しかしいるはずの場所に子供はおらず、慌てて探し回るが見つけられず…

    899は要救助者という消防用語らしい。
    虐待の跡が見られる子供を、数分発見を遅らせることで母親に子供の大切さを気付かせようとする、って話。
    片親で仕事もこなしながらで育児ノイローゼになっている母親には、そんな生死の最中に罰を与えるんじゃなく、適切な手助けが必要なのでは?
    消防士の職場でよく物をなくす部下にお灸を据えるためになくしたレンチを隠した行為と同一に出来る問題じゃないと思うけど…。
    間違ったことをしてるのに、自分だけは同僚の味方でいようとか思ってるのもうすら寒い。

    傍聞き
    同じ警察官の夫はお礼参りで殺され、娘と暮らしている主人公。
    近所で物取りが現れ、その容疑者として確保されたのが以前自分が捕まえたストーカーの男だった。
    その頃、娘は何が気に入らないのか口を利かず、ハガキで不満を訴えてくる日々で…。

    本のタイトルでもあるお話。
    カタエギギってなんぞや、と思ったら、Aさんに直接話すのではなく、Bさんと話してるのを聞かせることでAさんに話の信ぴょう性を持たせたり、揺さぶりをかけたりする事だそう。なるほど。
    それ自体は面白かったけどー…娘とのやり取りはモヤる。
    怒った時に口を利かなくなる娘は、怒りを書き出すといいよと教えた父の教えの通り、紙に書くようになる。
    主人公はなんで怒っているのか分からない(ハガキに書いたものはポストに投函される)からイライラするんだけど、うまく言葉で言えないor(主人公みたいに)怒りを表現しちゃうくらいなら紙で書いて伝えるっていうのはめっちゃ良いアンガーマネジメントだよ。(投函の必要はないけど、そこは別の意図があったので置いとく)
    仕事で切羽詰まって娘に当たらないように、主人公も娘を見習った方がいいよーって思ってしまった。

    迷走
    救命士である主人公が、義理の父となる上司と救急車に乗っていて新たな急患を迎えに行く。
    急患は因縁のある相手だったことが分かり、救急車は病院にもいかず何故か街を徘徊する。

    子供の飛び出しを避けようと車道に逃げた恋人が車にはねられ車いす生活を余儀なくさせる。
    その跳ねた加害者は持病があったはずなのに、不起訴となっていた。
    その不起訴にした相手が急患であり、加害者は医師である、という関係。
    義父が何も言わず病院に入らずに街を走らせ、最初は取引をしたという証拠を引き出そうとしていると思わせる。
    が、実際は加害者の医師が電話を受けた後倒れてしまい、その電話から聞こえる救急車のサイレンを頼りに場所を探りあてる、というオチ。
    最後に運転してた同僚がなんでもかんでも自分で責任を取るために話さないなんて、カッコつけた事しないでくださいって言うけど、本当にそれな!!である。
    なんか周りに説明せず従わせ、責任は自分が背負いこむ、俺、カッコイイ。みたい意識を感じてしまうー。

  • 第61回(2008年)日本推理作家協会賞短編部門受賞作「傍聞き」をはじめとする4つの短編作。

    ・迷い箱
    ・899
    ・傍聞き
    ・迷走

    更生保護施設の施設長の苦悩や、消防士から母親へのメッセージを込めた救出。

    表題の「傍聞き」は聞き漏れ効果をテーマにして、事件の解決をみるストーリーで、ちょっと細工あり。

    最後は制服職の誇りと信念を表した作品で、4つとも色の違うもの。

    流れるような文体で読みやすいが、もう少し読み応えがあると☆4つ。

  • 正面からしか見えなかったもの事が、裏返ってみえるときの物語。
    裏からみることはあっても、裏返してまではみないあたりをついてくる短編。
    なるほど……と思う。

  • 2016.4.9 読了

    初の作者さん!

    何の気なしに借りたんですが、
    思いの外 よかった!

    4編からなる 短編集でした。

    どの話も 独立してて、
    描き方が この作者さんのやり方なんでしょうね、
    なにか 事が起こって どうなる??て時に
    パッと場面が変わる。

    どうなった??と思いつつ、読み進めてたら
    また パッと場面が変わる。

    最後に ドーーンと つながる、みたいな。


    なかなか 面白かった!

    タイトルにもなってる「傍聞き」は
    スパーンと 決まったーーー!感じ。

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著者プロフィール

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車」で小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』でデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』は「週刊文春ミステリーベスト10」の1位、「本屋大賞」6位などベストセラーとなった。他の著書に『線の波紋』『波形の声』『群青のタンデム』がある。

「2022年 『殺人者の白い檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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