森に眠る魚

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 1674
レビュー : 375
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236491

作品紹介・あらすじ

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。-あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎあい、壊れた日々の亀裂へと追いつめられてゆく。

感想・レビュー・書評

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  • 小学校の受験に対して、否定的な見解を持った母親四人が
    意気投合し仲良くなるが、やがてそれぞれに受験にたいする気持ちが変化してゆく。
    それにつれて、お互いの気持ちがかみ合わなくなり、だんだんと相手のことが疎ましくなってゆく。
    あれほど、いい友達と思っていたのに、近くなればなるほど
    お互いの欠点や違いが見えてきていやになってゆく。
    人と人との距離って難しいと思う。
    そして、誰もが自分のあり方に不安なんだなと思う。
    誰かに肯定してもらわないと、不安なんだと思う。

    魚は森には住めない。

    いつしか自分の居場所を見失ってゆく。
    そういう話なんだね。

  • 読んでいて色んな事をめまぐるしく考えてしまうお話でした。
    人にはそれぞれ自分に合った場所があるのだとか。
    大人のつき合いの距離感とか。
    人と比べるのが不幸なのか。
    不幸だから人と比べるのか・・・。
    なんて事。
    その感情とか思いを忘れない内にレビューを書いてます。

    良い関係を築いていたはずのママ友の4人。
    所が、いわゆる一人のカリスマ主婦の出現により、4人の関係に少しずつ溝が生まれ、やがてそれは大きな亀裂となっていく-。

    いつも顔を合わせていても実はお互いの事をあまりよく知らない。
    そんな関係から生まれたちょっとした誤解や感情の行き違い。
    それが雪だるま式に大きくなってしまった・・・。
    だからと言って、いい歳した大人が子どもや学生の頃のように、お互いの事を100%知って、受け入れてなんて関係でいるのもおかしい。
    そんな関係はとても息苦しいし、自然じゃないと思う。
    だから程よい距離感を保って人とつきあわなう事が求められる。
    まるでそれはギリギリのところでバランスをとる綱渡りにも似ている・・・。

    これを読んでいる時、ふと以前妹が言った一言を思い出しました。
    当時仲良くしていた友達が隠し事をしているのを知って「許せない」と言う、30代で子供もいる妹。
    それに対しては、何か言っても何も聞かない相手だから何も言わなかったけど・・・。
    ここに書いたような事を感じたのを思い出しました。

    そんな風に心の奥底に眠っていたものを思い出させるような、心をざわつかせるような本です。
    個人的には、読みごたえがあり、面白いと思いました。

  • 読んでいて苦しいです。
    母親の嫉妬、焦り、依存、理想、差別、比較…といった心の内を活字にされると、目を背けていたかったことを再確認されるようで辛かったです。

  • それぞれ生活レベルや考え方も異なるママ友たちが最初は仲良く、徐々に不穏な関係になっていくお話。

    「お受験」したものの失敗した身としては確かにあの頃母もしんどかったのだろうと振り返る。後から聞けば地元の公立の評判を聞いて不安になってという理由も分かるし、色々あった結果中学からずっと気心知れた友達に恵まれたと今感謝しているけど、千花やえりかの子供が押し潰されてしまったことも他人事ではないし、結局子育てや家庭づくりに何が正解かなんて分からないだけに、ここに登場するえりか、千花、容子、瞳、繭子それぞれの心中がリアルすぎて本当に怖かった。

    比べ合わなければもう少し楽に生きられるのだろうけど、他者がいる限り比べ合ってしまうのは人間の性かな…
    いつか私が母になったとき、子供を潰さず最善の道を選んであげられるよう心から願う。

  • 1999年のお受験事件 を題材にしているみたいで、登場するママたちの個々性格や家庭環境、子供の接し方などかなりリアルに話が進行していく。
    名前のない章はさすが角田作品でした。
    登場人物の名前や関係が複雑なので把握するのに50ページぐらいはメモをとりながら読むことを奨めます。

  • 2017.12.20読了

    小学校受験に対するママ友4人の話。
    初めは小学校受験に否定的だったのに、いつの間にか真逆の選択をしていて少し面白かった。

    後半少しずつ四人の関係が崩れていく様がリアルだなぁーと思った。

  • 読み終わるまで知らなかったが15年ほど前に実際に起こった幼女殺人事件がモチーフとなっていることは疑いようもなかった。この作者らしく人物の輪郭を丹念にというかねっとりじっとりなぞっていく過程には本当に引き寄せられる。
    後半部分、主語があいまいな章がいくつかあるがぞっとするくらいに誰にでも当てはまるような気になり、どんどん追い詰められていく様子にすごい描写力だなと思った。

  • やはり女性は人の幸せをねたみ、不幸を喜ぶものなのかなと思う。

    こういう本を読むといつも思う。表面的には何事もうまくいってると思える人でも何かしら問題を抱えているんだなということ。これは小説だから必ずしもそうではないかもしれないけれど、そういうことが本になるくらいだから共感する人も多いのだろう。

    これから子供を産んで、どう育てていくか、周りの人とどう付き合って、自分の中でどう折り合いをつけていくのか。
    嫉妬や羨ましさでいっぱいになったりするんだろうけど、結局のところ、自分も含めて家族が健康で暮らしているというのが、何よりも幸せなことなんだと思う。

    どんなに絶望的で世界が終わるんじゃないかと思うような出来事があったとしても、世界は終わらないし明日は来る。
    生きているだけでありがたいのだ。

    久しぶりの読書。とても共感できる面白い本だった。
    数年後、子供をもったときにまた読んだらもっと共感できるのだろうか。

  • すごい。読んでいてとても苦しかった。角田さんの本は本当にこういった暗い部分がうまく書き出されている。リアル。なんだよな。心をえぐるような本でした。

  • ちょこちょこと、ずいぶん時間をかけて読み終わる。


    あぁぁ・・・、後半になるにつれ、どんどん気持ちがふさがる思い。
    だけど、やめられない感じ。


    結局、受験して小学校に入ることがゴールなんかじゃないだろうし、
    子供と共に過ごすことに、ここまで、と線が引かれることもなく、
    それを考えると、途方もないことのように思えたり・・・

    後で知ったけど、実際にあった事件がモチーフになっているとのこと。

    親が子供の支配者になってはいけない。
    あるがままの子供を受け入れる。


    なんとも苦しい話でしたが、

    おもしろいっっっっ!!!

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著者プロフィール

角田光代(かくた みつよ)
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
1990年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。受賞歴として、1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞を皮切りに、2005年『対岸の彼女』で第132回直木三十五賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞、同年『かなたの子』で第40回泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で第2回河合隼雄物語賞をそれぞれ受賞している。
現在、小説現代長編新人賞、すばる文学賞、山本周五郎賞、川端康成文学賞、松本清張賞の選考委員を務める。
代表作に『キッドナップ・ツアー』、『対岸の彼女』、『八日目の蝉』、『紙の月』がある。メディア化作も数多い。西原理恵子の自宅で生まれた猫、「トト」との日記ブログ、「トトほほ日記」が人気。

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