家族

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 90
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236583

作品紹介・あらすじ

留守番をしていた認知症の老女が絞殺された。難航した捜査は、ひとりのホームレスへと行きつく。逮捕された男は罪を認め、やがて裁判が始まった。凶器にも自白にも問題のない、単純な事件かと誰もが思っていた。しかし、ひとりの裁判員の大胆な推理で、裁判は思いもかけぬ方向へと向かっていったのだった。不朽不滅の家族愛を謳う法廷ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 久々のレビュー。
    小杉健治の法廷ミステリーに最近ハマってます。
    一度読んで気に入ると続けて他の作品も読み漁りがちです。

    裁判員裁判制度が始まった頃。
    留守中の認知症の老女が絞殺され、最初は息子が犯人ではないかと疑われたが
    事件の捜査によりホームレスの男の犯行とわかり逮捕される。
    このホームレスの男の裁判を、選ばれし国民に加わるのだけど
    みんなそれぞれ事情があって、主人公らしき主人公がいないので主観が
    コロコロ変わるのが感情移入しにくく、説明節になりがちでもったいない気が。
    認知症の母親をもつ女性と、裁判員に選ばれたことにより会社を休まざるを得なくなったことで
    大事な会議から外されてしまった会社員の男性が、この裁判の軌道を大きく変えるという
    思いがけない展開に引き込まれました。

    ホームレスの男は罪を認めているけど動機が違うのではないか。
    本当は、なぜ殺したのか。
    それを突き詰めていくストーリーの中で、親と子、家族の在り方、
    この部分を織り交ぜていくことによって物語の厚みと奥行きが増して感慨深い作品となっている。
    これだから、小杉作品は次々と読みたくなる。

    ちなみに今まで読んだ中では水木弁護士シリーズが一番好きです。

  • 103この作家らしい情のある作品でした。制度上の欠陥も踏まえた上で、本当の弱者救済が現実になったらいいなあと思いました。

  • 裁判員制度の話。
    ある事件の裁判員になった人たちの思いが伝わってくる。
    面白かった。

  • 裁判員制度をテーマとした法廷ミステリー。

    留守番をしていた認知症の老女が殺され、難航した捜査の末に一人のホームレスの男性が逮捕される。

    犯人は自白し、罪を認め、証拠にも問題はない。

    しかし、裁判が始まり、被告の自白に不自然さを覚えた一人の裁判員の発言によって、自白の裏に隠された真実が浮かび上がり、裁く側、裁かれる側ともに苦悩する。

    裁判員制度の説明もあり、とても勉強になりました。

    また、裁判にまつわる人間模様が垣間見えたし、人を裁く難しさも痛感しました。

  • 裁判員裁判の問題点が浮き彫りに。

  • 2月-9。3.5点。
    裁判員裁判の物語。
    認知症の老婆が殺害される。当初は被害者の同居息子が
    疑われるが、ホームレスの強盗殺人だと判明する。
    ホームレスに対する裁判員裁判。
    真相が思わぬ方向に。

    面白いんだけど、結構ご都合主義的な。
    2時間ドラマ向きな感じ。

  • 大筋のストーリーは面白かった。しかし、主人公の女性を含む裁判員制度で選ばれた裁判員と現実の内容やその思考内容が私とは余りにもかけ離れているように感じた。テーマとしては確かにシビアな現実だと思うが…

  • なんだかすっきりしない。どこか気持ち悪い。
    裁判員制度が完全な制度ではないのは分かる。「国民の声を反映する」と言いながら、裁判官が評決をリードするのも分かる。
    ただ女性裁判員がスーパーウーマン過ぎる。母親の介護に追われ、「あと五年は生きるな」と発言する碌でもない男に結婚の望みを託して婚活に失敗する。それと裁判中の状況がえらく違う。まるで別人。他の裁判員も彼女に感化され過ぎ。ミスリードされているように感じる。
    家族に迷惑をかけたくないから、嘱託殺人を依頼する老婆。アルツハイマー病の兆候があって今更家族のもとに戻れないからと、強盗殺人で刑務所に入ってそこで介護してもらうホームレス。どちらもある意味自分勝手ではないのか。
    小説だから変な言い回しだが、登場人物たちが「芝居がかっている」のが、より気持ち悪い。演出家に同じ思考を強制されているよう。強制的に予定調和に向かわされて、多くの疑問と後味の悪さがあった。

  • 家族問題もさることながらその頃開始された裁判員制度については、なかなか興味深い視点からの話。他人事とは思えない。

  • あーまんまと心打たれた。感動してしまった。裁判員裁判としてはかなり型破りな法廷劇だけど、筋立てがかなり巧妙で一気に読んだ。家族ってタイトルも読後しっくり。所謂社会問題も多分に散りばめられてる。もう小杉健治さんを裁判員に呼んであげて欲しい位です。

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著者プロフィール

一九四七年、東京都生まれ。八三年「原島弁護士の処置」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。八八年「絆」で日本推理作家協会賞、九〇年「土俵を走る殺意」で吉川英治文学新人賞を受賞。他に「仇討ち東海道」「遠山金四郎」「風烈廻り与力・青柳剣一郎」「栄次郎江戸暦」「蘭方医・宇津木新吾」「親子十手捕物帳」「八丁堀赤鬼忠孝譚」「義賊・神田小僧」シリーズなど著書多数。

「2023年 『剣の約束 はぐれ武士・松永九郎兵衛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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