- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575236583
感想・レビュー・書評
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久々のレビュー。
小杉健治の法廷ミステリーに最近ハマってます。
一度読んで気に入ると続けて他の作品も読み漁りがちです。
裁判員裁判制度が始まった頃。
留守中の認知症の老女が絞殺され、最初は息子が犯人ではないかと疑われたが
事件の捜査によりホームレスの男の犯行とわかり逮捕される。
このホームレスの男の裁判を、選ばれし国民に加わるのだけど
みんなそれぞれ事情があって、主人公らしき主人公がいないので主観が
コロコロ変わるのが感情移入しにくく、説明節になりがちでもったいない気が。
認知症の母親をもつ女性と、裁判員に選ばれたことにより会社を休まざるを得なくなったことで
大事な会議から外されてしまった会社員の男性が、この裁判の軌道を大きく変えるという
思いがけない展開に引き込まれました。
ホームレスの男は罪を認めているけど動機が違うのではないか。
本当は、なぜ殺したのか。
それを突き詰めていくストーリーの中で、親と子、家族の在り方、
この部分を織り交ぜていくことによって物語の厚みと奥行きが増して感慨深い作品となっている。
これだから、小杉作品は次々と読みたくなる。
ちなみに今まで読んだ中では水木弁護士シリーズが一番好きです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
裁判員裁判の問題点が浮き彫りに。
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2月-9。3.5点。
裁判員裁判の物語。
認知症の老婆が殺害される。当初は被害者の同居息子が
疑われるが、ホームレスの強盗殺人だと判明する。
ホームレスに対する裁判員裁判。
真相が思わぬ方向に。
面白いんだけど、結構ご都合主義的な。
2時間ドラマ向きな感じ。 -
留守番をしていた認知症の老女が絞殺された。難航した捜査は、ひとりのホームレスへと行きつく。逮捕された男は罪を認め、やがて裁判が始まった。凶器にも自白にも問題のない、単純な事件かと誰もが思っていた。しかし、ひとりの裁判員の大胆な推理で、裁判は思いもかけぬ方向へと向かっていったのだった。不朽不滅の家族愛を謳う法廷ミステリー。 (「Book」データベースより)
お初の作家さんですが、小杉さんの「父からの手紙」を文庫で持っているのですが・・・まだ読めていません。
そんな中図書館で目にして思わず借りちゃった本です。大塚寧々さんでドラマ化されているのでしょうか?
淡々とした書き方で裁判員制度で裁判を受けることになった事件の背景画家が書かれていきます。認知症の老女がなぜ死んだのか?捕まったホームレスの自白によって、簡単に済むはずの裁判だった。
しかし、一人の裁判員の発言によって、どんどん違うほうに進んでいく裁判。
裁判員制度の怖さと難しさが書かれていると思います。一般人だから違う見方ができる・・・・そう思います。
でも・・・・・でも・・・・・もっと上手を行く犯人だったら???
裁判員だからとか、一般人だからとか、裁判自体の仕組みとか、そういったものは良くわからないんだけど、それ以前に人が人を裁くこと、表面に見えている真実と本当の真実。
いやいや本当ってなんだろう?とか真実ってなんだろうとかって考え出したらドンドン考えちゃう。
そんなテーマだと思います。
読んでいていろんなことを考える内容でしたね。
ただ本当にちょっとだけ、この主人公の裁判員が気になりました。
正義とか自分の考えを自分の価値観で押し通すことってどうなんだろうって。
私は最初は共感してたんだけど・・・・終わりのほうはなんだか納得できなくなっていました。
ひねくれているのでしょうか?