- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575236606
作品紹介・あらすじ
今この瞬間が、こうして過ごす毎日が、奇跡なのかもしれない。幸せのそばには、いつも「るり姉」がいた-。傑作『しずかな日々』(野間児童文芸賞&坪田譲治文学賞受賞)の感動が新たな魅力でふたたび!注目の著者が贈る、家族小説最新刊。
感想・レビュー・書評
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恋人でも、片想いの相手でも、家族でも、
親友でも、近所のおじさんやおばさんでも。
大好きなひとがいるって、とても幸せなこと。
『るり姉』というタイトルですが、るり姉の物語ではなくて
るり姉という太陽の周りを、離れがたくぐるぐる廻る惑星のような
姪っ子三姉妹と、実の姉と、夫の物語です。
無邪気で、天然で、感激屋のるり姉を、みんなが好きでたまらない。
でも、その「好き」の伝え方が、姪っ子三姉妹でいえば
しっかり者の長女は、るり姉好みの言葉をカードに綴って送ること。
天邪鬼な次女は、「腐った赤キャベツ色の髪」を「ばかだね」と叱ってもらうこと。
天真爛漫な三女は、るり姉にかかれば魚も空を飛ぶと信じ、ひたすら甘えること。
というふうに全く違っていて、
そこにひとりひとりの個性が透けて見えるのが、とてもいいのです。
精神科病院に勤め、患者の「茅ヶ崎ヒューヒュー」が仕掛ける意地悪と戦い
『花とゆめ』を読み、時々はこっそりアニメイトに寄り道することで疲れを癒す
三姉妹の母で、るり姉の実の姉であるけい子や
結婚した今でもるり姉にゾッコンで、彼女のためなら
大好きな龍や鷹の刺繍が目に眩しいヤンキー服も、涙ながらに捨てる
二度目の夫のカイカイも、駄目さ加減がかえっていとおしい。
そして、みんなの太陽だったるり姉が放つ光を、病魔が翳らせたとき
惑星のように光を受ける一方だった彼らが
プライドも拘りも、年頃の反抗心も、すべてかなぐり捨て
なんとか自分なりに輝いて、るり姉の希望の光となろうとする姿に胸が熱くなります。
その人に何か起こったとき、奇跡を起こしてでも助けたいと思う。
そんな誰かを心の支えにして、誰もが生きている。
大切だと思える人がいる幸せを忘れそうになったら、読み返したい本です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
椰月美智子さん、「しずかな日々」に続いて2冊目
これもまた不思議な魅力を持った本だった
るり姉を取りまく姪のさつき、みやこ、みのりの三姉妹
るりこの姉であり三姉妹の母親であるけいこ、るりこの夫のカイカイこと開人の五人の視点でそれぞれの章が語られる
第一章は姪のさつきから見たるり姉が語られる
自由奔放、天真爛漫、3人の姪たちのことを誰よりも分かってくれ、味方になってくれる素敵なおばさん
なのだがおばさんではない、るり姉なのだ
しかし、次第に不穏な胸がザワザワするような雰囲気が漂い始め、読者にも、もしかしてるり姉は・・・と不安を抱えたまま終わり
第二章はるり姉の姉けいこの視点、一章から少し時間を巻き戻し春
という具合に章を追うごとに時間は遡っていく
そして、第五章でいきなり四年後となり、第一章のもやもやが一気に解消されるという見事な構成
るり姉のことをかいているようでありながら、五人がみんな成長しているのである
読書をしていると、いろんな登場人物に出会うことができる
表面的にはすごく天真爛漫で明るいのに、どこかいつも寂しげな感じがして気になって仕方がないという人物に出会うことがある
るり姉もそんな感じがした 誰が見ても自由奔放、天真爛漫なんだけど、そんな言葉では語りきれない何か複雑なものを感じた
そこがるり姉の魅力で、みんなが大好きな理由なのかもしれない
現実にるり姉みたいな子が隣りにいたら、何を好き勝手言ってるのと呆れたり、年をわきまえてと分別くさいことを言いたくなるだろう
自分には絶対になれない無理なキャラクターだけに、羨ましくもあり憧れたくもなるるり姉なのである -
るり姉を大好きな人達が、大好きなるり姉について語っていく話。
天真爛漫なるり姉。
家族だから敢えて伝えない想いが、それぞれにあって、胸の中でそれをそっと温めているようなところが良かった。 -
ありそうでないストーリー。
スッキリとできるラストで心地よく読破出来た。
気軽に読めるそんな作品♪ -
思った事を口に出し、行動する自由奔放な「るり姉」。でも、その根底に何かを寂しさを感じてしまうのは私だけ?結末は、そうなんだぁって感じだけど、まぁハッピーエンドでよかった。
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こういう親戚ってーか・・・家族愛的な・・・
非現実だなあと思っちゃうけど、あったら素敵だよなあ・・・ -
血縁ゆえの親しみ、愛情、るり姉と姪の三姉妹、そしてるり姉の夫カイカイとの夫婦愛、
三姉妹の母=姉と妹(るり姉)との姉妹愛、家族のカタチ、どんなに身なりがヤンキーでも変わらない接し方とか、そんなこんな。
大切な人が死んじゃうかも、という恐怖、寂しさ、不安。
途中ちょっと中だるみしたけど。
少々の奇抜さは家族には受け入れられるという安心感。
感想になってない? -
うーっむ。やはり女性向きの小説だったなあ。でも、まあ、女性の感情がなんとなく分かったような気がした。母の妹、るり姉、をとりまく人々の話がるり姉を描いてくれる。
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可もなく不可もない物語。この物語ではるり姉が病気になっていく経過がさつきの視点から書かれているだけで、あとの姉妹や婚約者、母からの視点からは過去の思い出としてしかるり姉が描かれていないんだよね。最後のみのりの視点から、勿体ぶって勿体ぶってようやくるり姉がさらっと妊娠付きで登場して、ああ無事だったのかって。それだけの物語。最後までるり姉どうなったの?って読者に我慢させるのはいいんだけど、だとしたら変な話、るり姉は最後、死んでなければいけなかったんじゃないかなと。多少なりとも感情移入した登場人物に穏やかではない話だが、少なくともこの物語は、るり姉を殺したがっている。るり姉がいない世界を描きたがっている。だからこそ、るり姉が出てきてからの不協和音がすごい。