夜行観覧車

著者 :
  • 双葉社
3.26
  • (198)
  • (871)
  • (1422)
  • (365)
  • (69)
本棚登録 : 6955
レビュー : 1125
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575236941

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • おそらく、再読です。でもちっとも覚えてない。そして、初めて読んだ時よりも違う読み方をしています。
    最初は湊かなえさんの描く、ドロドロとした人間像を中心に読んだのでしょう。
    でも今は。
    親子関係、特に母子関係、を中心に読みました。とてもリアル。「ポイズンドーター・ホーリーマザー」を読んで、改めて湊かなえさんの描く母子って根深くて苦しいなって思っていたけれど、「夜行観覧車」も、とてもリアルに描かれていて。
    「ポイズン~」のベースとなるような作品でした。

    高橋夫婦の会話から、何も分かっていない遠藤夫婦に引きました。これじゃ、彩花はしんどいよね。
    日常は意外と普通に過ぎていく。そんな中で何気なくかける言葉に、子どもが日々傷ついたり、苦しんでいたとしたら。子どもに逃げ場はない。親は、子どもに期待する。そして特に、母親にとって子どもは分身のような存在だ。けれど、子どもは、親の期待通りに生きないし、ましてや分身なんかでは決してない。
    子どもの人生を決めるのは子ども自身だから。作品に登場した、主に4人の子どもたちの人生に幸があることを祈っています。

  • 夜行観覧車 湊かなえ
    (株)双葉社
    2010 6/6 第1刷
    2010 6/17 第2刷

    2019 12/11 読了

    この本も「BIBLIO RADIO」でご一緒してくださってるペコリーヌさんにお借りしました。

    本作の中では
    日常、非日常は薄皮を挟んで密着している。

    日常的な社会の中では
    最早人々は正常に生きていけなくなっているのかなぁ…

    個人の感情は社会の中では
    まるで不必要と言われているのかなぁ…

    感情が爆発した先端が「殺人事件」だとするなら
    その感情を覆い隠している日常的な社会の方が歪なんだろうか。

    2010年に出版された本作は
    この歪な社会を予言しているのかもしれない。

  •  図書館より
     高級住宅地で起こった殺人事件の真相を、事件の起こった高橋家、その隣に住む遠藤家、そしてその近所に住む小島さと子、それぞれの視点から迫っていくミステリー。

     『告白』の湊さんらしい人間のドロドロっぷり(笑)。コンプレックス、エゴ、親からのプレッシャー、ストレス、現実逃避……、事件の真相は? というミステリ的な興味はもちろんありますが、読めば読むほど明らかになっていく、各人物たちの抱えた黒い部分に嫌悪を覚えつつも、
    筆の巧さ、そしてなによりも舞台や各人物の境遇の置き方が巧くその黒い部分にどこかしら共感や理解を覚えながら読み進めてしまいます。

     一見幸せそうに見えた高橋家と娘が常に癇癪を爆発させている遠藤家、しかし事件が起こったのは高橋家の方。しかし読み進めてみると遠藤家でなぜ事件が起こらなかったのか、なぜ高橋家で事件が起こってしまったのか、という境界線がぼんやりと見えてきます。

     読んで思ったのは家族という共同体の曖昧さ、そして家族の平穏は常にギリギリの綱渡りの上で成立しているのではないか、ということでした。

     個人的に小島さと子の悪意がなかなかに強烈でした。善良そうな人かと思いきや、自分の価値観のためにやること、そして何よりそれをとがめられた時の反論が
    理解はできてもまったく共感できないもので、こんな行動原理でこうも自分が正しいように言い返せるんだな、とある意味感心してしまうほど。そんなさと子ですが、終盤では意外な面もみれて、人間って分からないな、とも思いました。

     まとめ方が少し雑というか、無理やり話を希望を残した感じで終わらせようとしているのが、少し違和感がありましたが、改めて「やっぱり湊さんだなあ」と思わせられる作品でした。高橋家の子どもたちは本当に頑張ってほしいなあ。

  • 正直そこまでめちゃくちゃ面白いわけじゃない。
    むしろ。

    劣化版告白なのか?

    とか思う気もする。
    それでも。
    でもでも。
    続きが気になりまくって。
    移動中もずっと読んでた。

    時間が開けば。
    手が開けば。
    目が開けば。
    気がつけば。

    読んでた。

    そして家族についてとか。
    他人についてとか。
    色々考えさせられたんです。
    ただ単に家族が大事とか。
    そういうことじゃなくて。

  • 登場人物すべてに嫌な感情を持ちながら読んだ作品。

    絶対、自分の家族はこうなってはいけない! と思わざるを得ないストーリー。

    小説としては、湊かなえ調全快の面白い作品です。

  • 遠藤家。気に入らないことの原因をすべて母親のせいにする娘は、たびたび癇癪をおこす。ある日ついに我満の限界を超えた母親は、娘を殺しかける。
    遠藤家の向かいの高橋家。医師の夫、美しい妻、優秀な娘と容姿優れた息子という人もうらやむ家族だが、妻は前妻に対するコンプレックスを胸に秘めており、あるときそれを爆発させ夫を殺してしまう。
    娘を殺しかけたり、妻が夫を殺してしまうという、普通なら事件によって家族がばらばらになるような事件を経ても、この作品の家族は、逆に家族関係を再生又は強化していく。
    これがこの作品の面白いところである。

  • より良い未来のために最大限の努力をしようとしても、思い描いていたものになることなどどのくらいあるのだろうか。過去を振り返ってあの時あれをしてなかったからといって何になる?パーフェクショニストの幻想は捨てて、リアリストになる。
    変えられないシュチュエーションや相手に全ての理由付けをするのではなく、自分を変えていくほうが自分のためにも相手のためにも成長できる。
    そして、あなたの立場と相手の立場は、どれくらい一致してる?誰もが自分をいいように解釈して理解してる。いつだって自分が優利でかわいいんだ。

  • 夜間観覧車から見るひばりが丘は、どう見えるか。題名の意味が分かる。それぞれの家族の背伸びしている心たち。「観覧車」は書籍版では、まだできていない。

  • 野次馬丸出しで女性週刊誌の中にありがちな他人の家の中を覗き見ている気分になる一冊。さまざまな登場人物の心中や言い分を率直に描いていて引き込まれた。空恐ろしい気分になる。あっという間に読み終えてしまった。

  • 図書室

    上に、下に。
    色んな高さにぐるぐる回って
    最終的には同じ場所に戻る。
    観覧車って、家族だったんだ。

    家庭内殺人。癇癪。
    この物語の中の家庭が異常
    なんじゃなくって、
    きっとどの家にも
    起こりうることだろう。
    読み進めていくと、
    自分の家庭と照らし合わせて
    「これ、うちんちにもあるかも」
    と、思う場面がいくつもあった。

    もし自分の家で
    殺人…が起きたら、どうなるだろう。
    その可能性は0じゃない。
    人を殺せそうな道具、あるし。
    もし自分の隣の家で、
    殺人が起きたらどうだろう。
    左隣の家は1人暮らしだが
    右隣は4人家族だ。
    仲の良さそうな家族だと
    思うけど、家族のことは
    その家族にしかわからない。
    十分、起こりうるだろう。
    そのとき、
    自分はどう思い、どう動くんだろう。
    「家庭内殺人」
    という非現実的な言葉。
    でも、その可能性は
    自分の身の回りにいつも転がってる。

著者プロフィール

湊かなえ(みなと かなえ)
1973年、広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。
2005年に第2回BS-i新人脚本賞で佳作入選。2007年には第35回創作ラジオドラマ大賞受賞、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。読んだ後に嫌な気分になるミステリー「イヤミス」の優れた書き手として著名。
「聖職者」から続く連作集『告白』は、2008年、「週刊文春ミステリーベスト10」で第1位、「このミステリーがすごい!」では第4位に選ばれ、2009年、第6回本屋大賞を受賞。デビュー作でのノミネート・受賞は、共に史上初。2012年「望郷、海の星」で第65回日本推理作家協会賞(短編部門)、2016年『ユートピア』で第29回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。ほか、直木賞で度々候補になっており、2018年『未来』で第159回直木賞に3度目のノミネート。同年『贖罪』でエドガー賞候補となった。
映画化・ドラマ化された作品多数。特に映画では、2010年『告白』、2014年『白ゆき姫殺人事件』、2016年『少女』、2017年『望郷』と話題作が多い。

湊かなえの作品

ツイートする