チョコレートの町

著者 :
  • 双葉社
3.55
  • (15)
  • (78)
  • (69)
  • (7)
  • (3)
本棚登録 : 380
レビュー : 75
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575237009

作品紹介・あらすじ

シャッターの下りた商店街。傍若無人な昔の同級生。どこか馴染めない家族。俺は、嫌っていた故郷で働きだした。そうして初めて見えた、大切なこと。故郷を持つすべての人に捧げる物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • チョコレートの香る故郷の町に、短期間だけ赴任することになった早瀬。
    知り合いばかりの小さな町、そこでの暮らしや空気が、自分に合わないと感じて上京したはずなのに、赴任先での仕事をしていくうちに、少しずつ故郷での暮らしに馴染み始めていることに気付く。

    良かったです、とっても。
    『君は故郷を愛しているかい?』
    関東圏で育ち、暮らす自分には、故郷という言葉はあまりピンときませんが、大人になり、やっぱりいいものだなと思える感じは分かる気がします。
    登場人物がみんな魅力的。早瀬はゆるくて優しい感じだけど、男気もある。早瀬の彼女沙知、元カノ聡子は、ちょっと気の強い感じが魅力だし、若槻さんに田村君、吉村さん、みんなホントいいんです。

    チョコレート工場の責任者高橋君との最後の会話、早瀬の言葉『故郷への思いはそれぐらいがちょうどいいと思いますよ。離れた場所から時々思うぐらいが』に、グッときました。

    少し時間を空けて、また読みたいと思える本でした。

  • タイニー・タイニー・ハッピーだったかな、確か。飛鳥井千砂さんの別の作品の後書きに、タイニー・タイニー・ハッピー、アシンメトリー、はるがいったら、は面白いけどそれ以外は少し停滞している。というようなことが書かれていたけど。
    サムシングブルーも、学校のセンセイも、この作品も私はとても良い作品だと思う。そもそも後書きに、そんなネガティブ要素書いていいのか!ああ、なんか悔しい。
    で、この作品。主人公、遼は勤めている不動産のひょんなトラブルから、しばらく地元で働くことに。
    地方から東京へ行った自分。行かなかった元恋人。帰ってきた人。
    地元勤務で共に働く田村くんや若槻さん。かつての級友、正志や清水くん。家族。兄の恋人。チョコレート工場勤務の高橋くん。人事部の吉村さん。
    と、わらわら登場人物が出てくるのに、一人一人の個性がくっきりあるから混乱しない。それぞれのあたたかみがあちこちに見える。
    カレーの染みを落としてくれるお母さん。ワンピースを羨ましがる兄の恋人。気まずい場面で渦中の人をお茶に誘う田村くん。
    人柄の良さや、嫌な人かと思っていたら実はいい人だった、というようなことを描写するときのさりげない表現がとにかくうまい。
    おすすめの一冊。

  • チョコレートのにおいがする町が故郷の主人公。

    仕事のトラブルで地元の支店で働くことになり・・



    なんかね、チョコレートのにおいのする町って

    名糖産業の工場があるところ~!って

    愛知県に住む私は思ってしまうのだけど

    愛知県出身の飛鳥井さんもそこをイメージして書いたのかな。



    実家から出たことない私は

    故郷に対する気持ちっていうのを実感する機会がないです。

  • 「ふるさと」「故郷」或いは「家族」にノスタルジーを感じなきゃいけないような強迫観念をメディアを通じて受ける日常。私はそれを感じすぎなのかもしれない。でも人間関係ってそんなに簡単じゃない。

  • 2017/12/13
    ずっと故郷にいる私。
    まあこんなに地域のつながりなんてないニュータウンなんだけど。
    それでも聡子のポジションなので耳が痛い。
    遠くにありて思うものだったら美しいやろうね。

  • 不動産会社の店舗の店長をしている『遼』は、とあるトラブルの為、突然実家の町の支店に応援に行くことになった。そこは田園が広がる、大きなチョコレート工場がある田舎の町だった。
    この町に合わず高校卒業と同時に離れ東京に出た。一年半ぶりに降り立ったこの町は、相変わらず甘い匂いに包まれていた。


    常にチョコレートの匂いが漂う町。確かに食事中もその匂いを嗅ぐのは、毎日チョコを食べる私でもキツイかも。
    許せないってほど嫌じゃないけれど細かいことが一々引っかかる、そんなことの積み重なり。それが身内なら尚更嫌気がさしてしまう。何となく疎遠になる町、家族。
    久しぶりに戻った町で人に接している内に、別の角度から見ることが出来たり、初めは早く東京に戻りたかったのに自分の居場所は無いようで、そんなときにここで必要とされていて気持ちが揺らいだり…でもやっぱり相容れないところもあって。そんなぐらぐらと揺れる気持ちがよく分かった。繊細な心理描写とポジティブな作風とあったけど、まさにその通り。
    登場人物もみな温かみがあって憎めない人ばかり。特に『吉村さん』は進行には直接関係はないけれど、主人公の気持ちを整理するポジションで、良いスパイスのように彼が出てくるとピリリと締まる。主人公が「気を許せる相手」と言ってもらえたときは、こっちも嬉しくなったくらい。
    ただ一点引っかかったのが、中年(?)女性にに対する視線が厳しすぎやしませんか。四十台半ばの赤チェックのエプロン駄目ですか?

  • 故郷とは。離れてわかることもある。

  • 最近はまってる飛鳥井作品。今回はチョコレートの町なんてかわいいタイトルだからファンタジー?と思ったらチョコレート工場がある田舎の町のお話だった。
    そんな町の閉鎖的な環境や家族と合わないと思い東京(正しくは川崎)に上京した早瀬遼が仕事のトラブルで故郷の支店に帰るんだけど、早瀬くんとってもいい人だし、同僚の若槻さんや田村くんもいい人だし、彼女の沙知もいい子だしとにかくみんな大人で優しい人ばかりで心が癒された。飛鳥井さんの物語はいつも心が洗われる気がする。
    早瀬くん、すごく気が付くしいいやつだけど本当に沙知のこと好きなの?とはちょっと思うけどね。燃えない恋もあるってこと?なんか早瀬くん淡々としてていいやつだけど読めないなぁ。
    自分が東京に近いところで生まれ育ったから故郷を愛しているとか、早く東京に行きたいとかそういうことがないから、帰る田舎があるっていうのはちょっと憧れるし、かなり久しぶりに入った焼肉屋で声かけてもらえるとか羨ましい。
    それと、本の見開きと終わりの部分のページがシルバー色で、チョコレートの銀紙を思い出した。それもわざとかな?ちょっとほっこりした。

  • タイニータイニーハッピーの感じを田舎町にもっていったような感覚。
    おもしろかった。

  • 実家のある田舎町に帰った主人公の、知人への遭遇率の高さに笑ってしまう。
    実家の家族たちの衣食住への無頓着さもよく分かる。
    代わりがたくさんいる東京での、自分の居場所のことも共感。
    タイトルに惹かれて読んだが、なかなか良かった。

全75件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

飛鳥井 千砂(あすかい ちさ)
1979年生まれの小説家。北海道生まれ、愛知県稲沢市育ち、神奈川県在住。
2005年『はるがいったら』で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2011年刊行の文庫『タイニー・タイニー・ハッピー』が20万部のベストセラーとなる。他の代表作に『アシンメトリー』『君は素知らぬ顔で』『UNTITLED』『鏡よ、鏡』『女の子は、明日も。』『そのバケツでは水がくめない』など。

飛鳥井千砂の作品

チョコレートの町を本棚に登録しているひと

ツイートする