ユリゴコロ

  • 双葉社
3.74
  • (301)
  • (734)
  • (482)
  • (94)
  • (21)
本棚登録 : 3556
感想 : 700
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575237191

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 亮介が実家で偶然見つけた「ユリゴコロ」と名付けられたノートは殺人者の告白文だった。
    人を殺す時の何とも言えない恍惚…
    この手記を書いたのは亮介の本当の母親、美紗子。
    罪深い人間。わからない、この人を理解することはできない。
    だけど、長い長い物語を読んでいくと、少しだけ彼女に対する同情のような気持ちも出てきた。
    彼女も変わろうとしている様子が見えたから。
    彼女と彼女の周りの人間の愛と苦悩。この長い物語をひとことで言うと、
    『家族の愛の歴史、憎しみはどこにもない』、洋平の言った言葉だけど、これに凝縮されているのかな。

  • 恋人の千絵を家族に紹介した夜から、二ヶ月後、千絵が失踪した。その後すぐに、父がすい臓ガンだと宣告された。しかし、父が死ぬ前に母が交通事故で死んだ。日々弱っていく父。父を見舞った僕は、ある日父の書斎でノートの束を発見する。そのノートに綴られていたのは、ある殺人鬼の告白だった。

    ホラーだと思って読み始めたのでちょっと肩透かしをくらった。しかし、殺人鬼の告白は悲しく、空虚で、美しかった。ちょっと主人公がうだうだしすぎで苛々したけど。結局主人公がしたのってノート読んだだけだしね。

  • 読みながらつい「うわっ」と声が出てしまう。
    怖い怖いと言いながら読みました。

  • 店頭の平台に乗っているのに、なかなか読むことの無い一冊がありました。殺人事件がからむ内容だったので敬遠していましたが、思い切って読んでみたらラストは意外にも温かい気持ちになることのできる一冊でした。

    ■4冊のノートに綴られた告白文

     今回ご紹介するのは沼田まほかるさんの書かれた「ユリゴコロ」という一冊。主人公の若者が自宅の押し入れで4冊のノートを見つけて、その恐ろしい内容に引き込まれていくところから物語が始まります。

    【あらすじ】
    ある一家で見つかった「ユリゴコロ」と題された4冊のノート。それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。この一家の過去にいったい何があったのかー。絶望的な暗黒の世界から一転、深い愛へと辿り着くラストまで、ページを繰る手が止まらない衝撃の恋愛ミステリー!各誌ミステリーランキングの上位に輝き、第14回大藪春彦賞を受賞した超話題作!(Booksデータベースより)

     主人公はドッグランを備えた喫茶店を経営している若者。幼い頃に高熱で入院し自宅に戻った時に、母親が替わっていたと思い込んだ記憶の持ち主。病で余命いくばくもない父親を自宅に見舞った際に、留守中の父親の書斎にある押し入れから見たことの無い古いノート4冊を見つけます。

     内容な殺人願望と実際の殺人の様子を書いた告白文。これは真実なのか、誰が書いたのか。ノートを読み進めるうちに謎は深まり、自分の幼い頃の記憶をたどりながら真実に近づこうとします。

     そして迎える驚愕のラスト。それは人の心の中にある哀しさと複雑さと、そしてとても深い愛情を感じさせるものでした。

     この作品を読んで、家族のあり方や愛情の表し方というのはさまざまで、家族を形づくっているものの脆さと強さを改めて感じました。

     決して一般的ではない家庭環境を描きながらも、もしかしたら似たような状況というのはどこにでもあるのではないかと思わせる内容は、著者の文章力の高さと設定の巧みさによるものなんだろうなと思います。

     一気に読んでしまうほど引き込まれる一冊でした。

  • ぐちゃぐちゃな内面を描くのが上手だと思いました。

    殺すのが衝動から愛情に変わるのはうおぉーと思った。

  • もしかしたら家族は連続殺人者かもしれない。偶然みつけたノートに書かれた驚愕の内容。
    追い詰められていくようなストーリー展開に引き付けられたが、最後の展開に肩すかし。
    前半と後半での人物設定の変化が極端すぎて、無理やりハッピーエンドにしようとしているとしか思えない。

  • 図書館本。このミスにもランクインしていたのと、本屋で平積みされていて、高評価だったので読みました。手紙をもとにその前後で主人公の気持ちを描く手法は面白いと思います。ただ、あまりに話しが突拍子もなかった割には、最後は常識的に収まる…というか収めたというのが、何とも納得がいかなかったです。面白いのでしょうが、好みは別れるのかなあ。

  • 不穏な空気と疑念やらなんやらが絡み合い、続きを読まずにはいられなくなりつい寝不足に・・・沼田まほかるさんの本の中では、陰湿さが薄い感じで、これは結構好きですね。

  • 初、沼田まほかるさん。ミステリアスなタイトル、透明で謎めいた雰囲気をかもす語り口、うまいなあ、と思いました。が、本屋で絶賛されていてやや期待しすぎたのかしら、物足りなさも。あと100ページ多かったらもっと面白そうなのに…?(ミサコ、のこと、エミコ、のこと、細井さん、の生活、等々) とりあずもっと他の話もよみたいなあ。3てん、ふつうに読んでたら4てんくらい。

  • まほかるさんの本は、読んだ後に、なんとなく重くて辛い気持ちになる本が多いように思いますが、この本は、ラスト好きでした。
    惹きこまれて一気に読みました。

全700件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

沼田 まほかる(ぬまた まほかる)
1948年、大阪府生まれの小説家。女性。奈良県在住。読んだあとイヤな後味を残すミステリーの名手として、「イヤミスの女王」という称号で語られることもある。
寺の生まれで、大阪文学学校昼間部に学ぶ。結婚して主婦になり、母方祖父の跡継ぎを頼まれ夫がまず住職となるが、離婚を経て自身が僧侶になる。50代で初めて長編を書き、『九月が永遠に続けば』で第5回ホラーサスペンス大賞を受賞、56歳でデビュー。
2012年『ユリゴコロ』で第14回大藪春彦賞を受賞し、2012年本屋大賞にノミネート(6位)。それを機に書店での仕掛け販売を通じて文庫の既刊が売れ出し知名度を上げた。
代表作『ユリゴコロ』は2017年9月23日に吉高由里子主演で映画化。同年10月、『彼女がその名を知らない鳥たち』も蒼井優・阿部サダヲ主演で映画化された。他の代表作に、『九月が永遠に続けば』、『猫鳴り』、『アミダサマ』。

沼田まほかるの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×